十二妹絶望物語

第14話

ぐいっ

「キャッ!」

 勝沼の腕が背後から鈴凛の身体をしっかりと抱きすくめた。

「イヤッ、やめて! 離してよ!」

 鈴凛がそう叫んで逃れようとするが、手の自由が利かない上に後ろから抱えられているためにいくら暴れようとしても効果はなかった。

「おまえの身体で、存分に楽しませてもらおうか」

ぐにっ

 勝沼の手はさらに伸びて、服の上から鈴凛の膨らみかけの胸を掴んだ。まだ成熟しきっていない乳房は固さを残していたが、勝沼の手の力はそれを物ともせず、掌の中で形を歪める。

「っ……!」

 胸を触られたことへの嫌悪や驚きよりもきつく握られたことへの痛みが勝り、鈴凛の顔が苦痛で歪む。

 しかし、勝沼は服の上からの感触ではやはり不満だったのか、鈴凛を抱えたまま机の上に手を伸ばして救急箱を引き寄せた。

じゃきっ

 取り出したのは、先ほど鈴凛が寝ている間に視界と手の自由を奪うために包帯を巻くときにも使った、包帯やテープを適当な長さに切るためのハサミだった。

「……これが何か、わかるか?」

 2,3度じゃきじゃきと刃を重ねて音を立てると、勝沼は刃を閉じてそれをぴたりと鈴凛の頬に押し当てた。

 ひんやりと冷たい金属の感触が伝わる。さっきの音からするとハサミだろうとは思ったが、確信は持てない。もしかしたらナイフとかもっと凶悪な刃物かもしれない。視界を奪われ、皮膚感覚がより敏感になったことが恐怖心をかきたてる。

「な、何なの……?」

 尋ねる鈴凛の声には、明らかに脅えが含まれていた。

「今から、これで邪魔な服を取り去ってやる。……動くなよ、怪我をすることになる」

 勝沼は答えを返さず、代わりにそう言ってハサミの刃を少し開いて、鈴凛の襟元にあてがった。

「ひっ……」

 今度は首筋の辺りに冷たい感触があり、思わず鈴凛は身をすくめる。

「動くなと言ったはずだ!」

 勝沼の叱責の声が飛ぶ。

 慌てて刃を引いたからよかったものの、もう少しで鈴凛の首筋か胸元に傷をつけてしまうところだった。

じゃきっ……

 改めてハサミをあてがった勝沼は、ゆっくりと鈴凛の服にハサミを入れていった。

じゃきっ……じゃきっ……

 少しずつ、少しずつ、鈴凛の服が真ん中から切り裂かれて肌が露わになっていく。そのハサミの動きは、鈴凛に怪我をさせないよう慎重にしているというよりも、じわじわと行うことで鈴凛により大きな恐怖を与えようとしているに近かった。

「……これくらいでいいだろう」

かたっ

 へその少し上くらいまで服を切り裂いてしまった勝沼は、そこでハサミを救急箱の蓋の上に置いた。

ぐっ

 そして、ハサミを置いた右手で邪魔するものが一枚減った胸を再び掴んだ。

「くっ……」

 激しい拒絶の声はもうなかった。先ほどのハサミは勝沼の期待以上の恐怖を鈴凛に与えたようだった。緊張からか、それとも恐怖からか、鈴凛の身体が小さく震え、肌が微妙に粟立っていた。

「ぅっ……」

 しばらくそのまま胸をきつく揉み続けていると、鈴凛の身体にまた別の変化が現れてきた。

 相変わらず顔は苦痛に歪められたままだが、いつの間にか肌の粟立ちは収まりうっすらと汗が滲み始める。揉み続けていた指が位置を変えると、皮膚の上に赤くその痕が残っていた。

「ん? これは……」

 そして、掌にかすかに感じる乳首の感触。尖り始めているようにも思えるのだが、やはりまだブラが障害となってはっきりとは捉えきれない。

「これも邪魔だな」

 そう言って勝沼はさっとハサミを再び手に取ると、プツッと2つのカップの中間を切ってしまった。

はらっ

 支えるものを失った2つのカップは、今まで包んでいた若い膨らみを覆うことを止めて、重力に従い両脇から垂れ下がった。

「あっ!」

 見えなくても、感覚でそれくらいは十分にわかるのだろう。鈴凛は声を上げるとなんとか胸を隠そうとした。しかし、両腕を後ろに縛られた状態で裸の胸を隠す方法といえば、ベッドのシーツに身を投げ出して自らの身体で覆い隠すしかなかったが、鈴凛の身体を抱え込んだ勝沼の腕がそれを許さなかった。

「うっ、うぅ……」

 結局、鈴凛には羞恥に苛まれながら、それを逃れる術がなかった。

 ただ、勝沼が鈴凛の背後にいるため鈴凛の肩越しとなって正面から見られることがないことだけが唯一の救いと言えた。

ごろんっ

 しかし、その唯一の救いも、無惨にも打ち砕かれてしまった。

 そのままの体勢では鈴凛の胸を揉むのには便利でも、鑑賞するには不向きなことは、勝沼も先刻承知だった。すぐに勝沼は鈴凛の背後を離れ、仰向けになるように鈴凛の身体をベッドの上に転がしてそのうえから覆い被さるような形をとった。この体勢なら、存分に鈴凛の身体を目にすることができる。

「いやぁっ!」

 鈴凛の口から、悲鳴が漏れる。この体勢は、さっきまでより精神的のみならず、肉体的にもつらい格好だった。なぜなら、仰向けになることで、後ろ手になった両手が自分の体重で押し潰されることになるためだ。しかも、暴れたり身体を回転させたりしないよう勝沼が鈴凛の身体を押さえ込んでいるため、両手にかかる負荷は倍増している。

 さらに、目が見えていないのにも関わらず感じられるほどの視線が露わになった胸に注がれているのは言うまでもない。

「くっくっ……乳首が起ち始めてるじゃないか。乱暴に胸を扱われてよかったのか?」

 おまけに、追い討ちをかけるようにそんな言葉が勝沼の口から発せられる。

「う、ウソっ! そんなのウソよっ!」

 自分を辱めようとする言葉に、鈴凛は顔を真っ赤にして必死で反論した。

「なら、これは何だ?」

 しかし、鈴凛の乳首が充血を始めているということ自体は事実だった。勝沼はそこをぴん、と指で弾いてみせる。

「きゃんっ!」

 強い刺激に鈴凛の口から声が漏れる。

 だが一方で、鈴凛が勝沼の愛撫に快感を得ていたことを否定したのもまた真実だった。勝沼の手できつく揉み続けられた結果、搾り出されるように無理矢理充血させられたものだったからだ。

 とは言え、神経と血流が集中するそこをいきなり指で弾かれたのでは、悲鳴のような声が漏れるのも仕方なかった。それでなくても、視界が遮られることで皮膚感覚が敏感になっているのだ。

むにっ

 言葉で鈴凛を辱めておいて、勝沼は三度鈴凛の胸の膨らみに手を伸ばした。

 固さを残すまだ若いそこは、仰向けになっても形を変えずになめらかな曲線を保っていた。そして、勝沼の指摘したとおり、頂点ではピンク色の乳首がむくりと起き上がっている。

「やっぱり直接触るとまるで違うな」

 そう感想を漏らす勝沼の手の動きも、これまでのものとはまるで違っていた。

 さっきまでは力任せに乳房を潰すような動きだったのが、今度はまだ熟しきっていない鈴凛の乳房に痛みがいかないよう、かなり力を加減している。そしてゆっくりとこねるように揉んだり、指の腹を使って乳首も刺激したりと、鈴凛に快感を与えることを目的としていた。

「んっ……んんっ……」

 執拗に愛撫を繰り返され、鈴凛の口から今までとは響きの異なる声が漏れた。

 勝沼の手は乳房だけに留まらず、脇腹や他の性感帯へも指が伸びていった。しかし、まだ性感は未発達で、快感はほとんどなく、むしろどちらかといえばくすぐったいようなものだったが。

「どうだ? 気持ちいいだろう?」

 勝沼はそう問い掛けたが、鈴凛は首を横に振る。

 兄を想って自慰を繰り返した経験から、他の場所はともかく胸の方は快感をしっかり感じてはいたが、鈴凛はそれを認めたくなかった。目隠しをされ、自由を奪われた状態で見知らぬ男からの愛撫を受けて感じてしまったなどとは認めることはできなかった。

「……そうか」

 意外にも、鈴凛が否定すると勝沼は手を離した。

 自分が快感を認めるまで執拗に愛撫されると考えていた鈴凛は、その勝沼の反応にほっとした。が、すぐにより大きな不安が襲ってきた。

 胸を嬲られている間は、その行為自体はともかくとして勝沼の動きも意図も感じることができる。しかし、勝沼が離れてしまうと、鈴凛が感じることができるのは背中にあるベッドのシーツの感触と空気だけだ。勝沼が何を考えているか、何をしようとしているのか、窺い知ることはまるでできない。

 さっきまでのような愛撫を再開するのか、また乱暴なものに戻るのか。それとも、怒ってもっと暴力的な行動に出るかもしれない。ひょっとしたら、興醒めしてこのまま長い時間放って置かれるということも。考えればキリがなかった。そして、考えれば考えるほど、悪い方悪い方へと考えてしまう。

「ひゃっ!」

 しかし、それも突然の感触で吹っ飛んでしまった。

 鈴凛の左の乳首に何か冷たいものが不意に押し当てられたのだ。一瞬、刃物を思い浮かべたが、そんな硬い感じはなかった。しかも、すぐにそこからまた離れる。

ス―――ッ

 それが離れてすぐ、乳首が奇妙な感覚に襲われた。

「な、何? 何をしたのっ!?」

 理解できない感覚に、鈴凛は困惑する。

「あっ!」

 そして、今度は反対側。

 右の乳首も同じように冷たいものが一瞬撫でていった。

「な、何なのっ? 何を塗ったのっ!?」

 2度目の接触で、どうやら何かの液体が染み込んだものだということだけはわかったが、その正体がわからないだけに不安だった。

「……クスリだよ」

 その不安をさらに煽るような言葉を勝沼は吐いた。

 勝沼が塗ったのは、確かに薬ではあった。怪我をしたときなどに使う消毒液を右手に持っていた。臭いがあるためすぐにバレるかとも思ったが、よっぽど困惑しているのか気づいていないようだった。

「あぁっ……いゃっ……!」

 乳首に塗られた消毒液が一部は染み込み、一部は気化して残した感覚は、空気に晒され時間が経つにつれ酷くなっていく。自由が利くならば自分の手でどうにかしていただろう。それができない以上、勝沼になんとかして欲しかったが、勝沼はもう鈴凛の胸に触れようとはしなかった。

がっ

 代わって手を伸ばした先は、下半身。乳首の異様な感覚に悶える鈴凛の足を両手で掴むと、間に身体を入れられるだけの隙間を確保した上で固定する。

 もう一度ハサミを取り出してくると、今度は下からじゃきじゃきと切り裂いていった。

じゃきんっ

 すぐに上から切っていった個所にまでハサミは達し、鈴凛の服は完全に2つに切り裂かれてしまった。

ぱさっ

 すでに服とは呼べなくなったそれを取り払うと、下着が露わになる。その中心、少し窪んだところに 勝沼の指が触れる。

「あっ! だ、だめっ!」

 胸の感覚に気を奪われていた鈴凛は、ようやく勝沼の関心が下半身に移ったことに気づいて声を上げた。

 しかし、勝沼の指はしっかりと下着越しに鈴凛の感触を捉えた。

 汗だろうか、指先には微妙な湿り気も感じられた。試しに顔を近づけてみると、まだ剥き出しになって時間が経っていないために、少女独特の匂いとかすかな尿臭が感じられる。

 その匂いに興奮した勝沼は、そのまま舌を伸ばした。

ぺろっ

「ひっ! 何ぃっ!?」

 下着越しに少女の割れ目を舐め上げると、想像だにしなかった感触に悲鳴が上がる。

ぺろっ、ぺろっ……

 しかし、勝沼は何度も舌を上下させた。舌を這わせるごとに匂いは微妙に強くなり、舌先に微かな味も感じられた。

「な、何なのっ!? まさかっ、舐めてる? 舐めてるのっ!? やめてっ! やめてぇぇ!」

 ようやくその感触の正体に思い至った鈴凛は何度も叫んだが、勝沼の舌はまるで止まる様子を見せない。追い払おうにも、手は縛られて身体の下、足はしっかりと押さえられていて閉じることはおろか動かすこともできない。できることは頭を激しく左右に振ることしかなかった。

にゅちゅっ、ぐちゅっ……

 次第に舌の音が変化してくる。何度も何度も舌を這わせたことで、下着は唾液でぐっしょりと濡れそぼり、その下の秘密の場所が透けていた。ひょっとすると唾液だけでなく少女の分泌液も混ざっているかもしれなかったが、こうぐちゃぐちゃではわからなかった。

「……準備もできたし、そろそろ処女喪失といくか」

 唾液で透けた下着を見ながら、勝沼はとっくにいきり立った一物をズボンの中から引き出した。

「い、いや――――っ!」



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