十二妹絶望物語

第10話

「チェキ〜〜!!」

 狭い部屋に叫び声が響く。四葉はのしかかってきた勝沼に激しく暴れて抵抗していた。

 振り回す手足が時折四葉を押さえ込もうとする勝沼の身体を打つ。本気で痛いと感じるほどのものではないが、うっとうしいことは間違いない。

 結局、勝沼は5分ほどもかかってようやく四葉の抵抗を押さえ込むことに成功した。

 膝を入れて脚を割った上で体重をかけて動きを封じ、両手もそれぞれの手首を掴んでシーツの上に押さえつけてしまった。

「あ、兄チャマ! 兄チャマ〜!」

 四肢を封じられた四葉は、今度は虚しい助けを呼び始めた。

 今自分を襲っているのがその“兄チャマ”だとはまるで気づくことなしに。

「何だ、おまえ。そんなに兄貴のことばかり呼んで。そんなに兄貴が特別なのか?」

 勝沼のその問いを、しかし四葉はまるで耳に入らないように、繰り返し兄チャマ、兄チャマと呼び続ける。その様子だけで、すでにちゃんと言葉で聞かなくても答えとしては充分だった。まあ、そんなことは初めからわかってはいたのだが。

ジ―――ッ

 両の手でそれぞれに掴んでいた四葉の手首を頭の上に交差させ、その交点を押さえつけることで片手の自由を得た勝沼は、ズボンのファスナーを下げて奥から一物を引き出した。

 さきに鞠絵を2回犯してからまだ数時間しかたっていないというのに、それはすでに隆々といきり立っていた。

「ゃっ……!」

 きつい性臭が外気に晒された一物から漂い、四葉の鼻を刺し、たまらず顔をしかめる。

「さあ、しゃぶれ」

 勝沼は、腰を少し浮かせてその眼前へ一物を持っていこうとする。当然、四葉は必死に顔を背けてそれを嫌がった。

 とは言っても、ベッドに押し倒し、四肢の自由も奪ってある。勝沼がその気になれば、四葉がいくら嫌がったとしても無理矢理その唇に一物を捻じ込むことも充分に可能だった。にも関わらず、なぜか勝沼は四葉が抵抗の意思を示すと、あっさりと腰を引いた。

「舐めるのは、どうしても嫌か?」

 勝沼の問いに、四葉の首はこくこくと縦に振られる。

 すると、勝沼は一瞬だけ唇を歪めて邪悪な笑みを浮かべたあと、いかにも残念そうに言葉を継いだ。

「そうかぁ。舐めるのはどうしても嫌かぁ……口で俺を満足させることができたら、処女を奪うのだけは勘弁してやろうとも思ってたんだが……」

「チェキッ!?」

 不幸にもさっきの表情の一瞬の変化には気づかなかった四葉は、その言葉に反応した。

「仕方ないなぁ。やっぱり下の方の口で満足させてもらうことにするか。おまえの“兄チャマ”には悪いが、な」

 わざわざ兄のことを言ってやると、やはりその言葉にも四葉は反応する。

 四葉の頭の中で“兄チャマ”の優しい顔や、“兄チャマ”との思い出、彼に対する密かな自分の想い、といったものが浮かんでは消えていった。

 照準を下に移して、今にも下着の上から勝沼が一物を秘所に押し当てようとしたそのとき、咄嗟に四葉は言葉を発していた。

「ま、待って! やるデスから! 舐めマスから、それだけは許して欲しいデス!」

 それを聞いた勝沼は動きを止め、再びにやりと唇を歪める。

 これで、四葉は処女と守ることと引き換えに、当面は勝沼の奴隷も同じだった。四葉にはまだその自覚がないのかもしれないが、一度弱みを見せてしまえば、その弱みがなくならない限りは従わなくてはならなくなる。無理矢理に四葉の唇を犯さなかったのは、この言葉が聞きたかったためだった。

「そうか、その口で俺を満足させてくれるのか」

 そう言うと、四葉の手首を押さえていた手を離してやり、さらに身体の上からも退いて、四葉を完全に自由にしてしまう。半歩離れたところで仁王立ちになり、四葉の反応を待った。

 だが、四葉はなぜ勝沼が四肢を自由にしてくれたのかを理解できていないようだった。

「さぁ、どうした? 俺を満足させてくれるんだろう?」

 言われて四葉は、自分の身体を自由にしたのが、無理矢理にさせるのではなく、あくまでも四葉の方から勝沼に奉仕させるためなのだと、ようやく気づいた。

「っ……!」

 勝沼のいやらしさに対する憤りと、これからやろうとしていることへの恥ずかしさで、四葉の顔が赤く染まる。

 さっきは処女を守りたい一心で、半ば反射的に「舐める」と言ったが、改めて自分から一物に唇を寄せるとなると、かなりのためらいがあった。

 勝沼の正面で膝立ちになると、ちょうど一物が四葉の顔の前に来る。眼前のきつい異臭を放ち、そそり立った少女には理解不能な形状をしたモノと同じ物が、“兄チャマ”の身体にも付いているとは容易に信じられなかった。こんなことなら、“兄チャマ”のモノも機会を見てチェキしておくのだったなどと、場違いなことが一瞬頭の隅をよぎる。(実際は、四葉の目の前にあるモノこそが、まさにそれなのだが)

 とはいえ、いつまでも躊躇していては、いつ勝沼の気が変わって力ずくで犯されることになるかわからない。両の拳をぐっと握ると、四葉は意を決して異臭に顔をしかめながらもおずおずと唇を一物に寄せていった。

「うっ……」

 だが、次第に近づいてくる一物を直視し続けることができず、途中から四葉は目を閉じてしまった。

ぬるっ

 ちゃんとした指標もないのに目を開けていなければ狙いが定まらないのも道理、四葉の唇は一物をうまく捉えることができず、亀頭が柔らかい頬の上を滑っていった。亀頭が滑った部分は、すでに滲み始めていた先走りの汁が、まるでナメクジが這った跡のような軌跡を残していた。

「チェキッ……」

 薄く目を開け、わずかな時間で自分が失敗したことを理解した四葉は、一物が目に入るとすぐに再び目を閉じてしまった。

 それからさらに2度、3度と四葉はリトライするが、やはりなかなかうまくいかず、顔をベトベトにしていくばかりだった。

「ちゃんと目を開けて俺の一物を見ろ! それと、口だけじゃなくて手も使って一物に添えろ!」

 とうとう勝沼から指示が飛んだ。

 このまま見ているというのもなかなか面白いものがあったが、それでは埒があかないという判断だった。

 その指示どおり、四葉は膝の上で固く握っていた拳を解き、右手を震わせながら一物に伸ばす。

「ひゃっ……」

 指が一物に触れた瞬間、改めて感じたその熱さと感触につい手を引っ込めそうになった。

 だがそれをこらえて、そっと右手を一物の幹に添える。

 そうしておいて、もう一度顔を寄せていく。

 やはり直視するのは抵抗があるのか、視線がさまよっているところはあったが、

「んっ……」

 今度こそ唇が亀頭をとらえた。粘膜が唇に触れる感触は、気色のいいものではなかった。

「舌を出して舐めろ」

 言われるまま、唇を割ってその隙間から小さくピンク色の舌を差し出す。

 そして一瞬、ちろりと亀頭の先端と触れ合った。

「ぅっ……」

 しょっぱいような、エグいような嫌な味が舌の先から伝わってくる。

 通常であれば、到底舐めることができるような味ではなかったが、四葉は覚悟を決めて再び舌を伸ばす。

 それでも、犯されることを考えればまだマシだった。

 揺れないように右手を添えながら、亀頭に舌を押し当てる。さっきと同じ嫌な味がするが、構わずに四葉は舌を動かし始めた。

ちろっ……ちろっ……

 ゆっくりとだが、顔をくしゃくしゃに歪めた四葉の舌が、亀頭の上を這いまわる。

 意図しているわけではないが、時折舌が滑り、カリ首の辺りもくすぐるようにかすめる。

 先端の中心、小さな穴から滲み出てくる先走りの汁の舌先がすくい取り、代わって舌の腹で亀頭全体に唾液を塗り込めていく。

 四葉は嫌々ながらも懸命にしようとしているが、まだ足りない。

「咥えろ」

 ビクッと四葉の身体が震える。だがすぐにその小さな唇がゆっくりとだが大きく開かれ始めた。

「はむっ……ん……んぐっ……」

 唇が開ききると、四葉は顔を前進させた。

 亀頭全体が唇の中に消えたところで、顔の動きはぴたりと止まる。

 先ほどまでよりもっと強い味と臭いが口中に広がった。

 舌先で感じていたしょっぱさとエグさに加えて、鉄臭さと強烈な生臭さが口の中一杯になった。

 あまりの気持ち悪さに胃液が逆流しかける。

 せめて舌が触れるのをさけて少しはマシにしようとしたが、四葉の小さな口ではそれも思うようにいかない。かえって亀頭のあちこちに舌を触れさせることとなった。

「ただ咥えてないで、少しは動かせ。それと、そんな風にそのまま舌も使えよ」

 さらにこんな指示まで出されては、処女を守るためにもこの気持ち悪さに耐えるしかなかった。

「んっ……んんっ……」

 言われるままに唇を締め、前後させることでカリ首の辺りを刺激する。

 舌を口中で動かし、亀頭を舐める。

 亀頭に染みついていたものが唾液で溶けて混ざり合い、さらに先走りの汁も加わったおぞましい味の液体が口中に溜まると、それを嚥下する。

 次第に四葉の中で嘔吐感が大きくなっていった。

 それをこらえながらの必死の口唇愛撫も、所詮動きそのものは不慣れで感じるポイントを掴んでいない稚拙なものだったが、勝沼はそれなりの快感を感じていた。

 四葉に自分から愛撫をさせて支配下においている精神的充足感が、稚拙な愛撫でも快感を倍加させていたのだ。

 だがそれも、射精を導くまでには至らない。勝沼はすぐにさらなる快感を求めた。

 四葉の顔の動きを見定めて、不意に自らも腰を動かし始める。

「んぐっ……ぐっ……げほっ、げほっ……」

 突然の動きに、亀頭で喉奥を突かれ四葉は一物を吐き出して激しくむせる。

 すぐそこまで胃液が逆流してきて、独特のつんとした味と匂いが口中に広がった。

「なんだ、この程度で。だらしない奴だ」

ピシャッ、ピタンッ

 うずくまるようにしてむせている四葉の頬を、勝沼は根元を持って一物を揺らして左右に打つ。

 そのたびに頬に当たった一物から先走りの汁と口中でまぶされた唾液とが飛び散り、四葉の顔を汚していく。

「さ、もう一度咥えるんだ! 今度は手も使っていいから、ちゃんと俺をイかせろ。 それともやっぱり処女を犯して欲しいか?」

 まるで容赦のない勝沼の言葉にも、四葉はむせていたのが治まってくると涙目の顔を上げた。

 その手と顔がのろのろとだが一物に向かうのを上から見て、勝沼は嬉しくなってきた。

(そんなに処女が大切か? 兄のために守りたいのか?)

 顔を涙と唾液と先走りでぐちゃぐちゃにしてまでも守ろうとしているものを、一物で思い切り突き破ってやる瞬間を思うと、たまらない愉悦だった。

 当然のことだが、勝沼にはいくら四葉ががんばったところで処女を許してやるつもりは実は全くない。

 かすかな期待を与えてそれにすがらせたのも、後でより強い絶望を味わわせるためのアクセントにすぎない。

「んんっ……」

 そうとは知らず、四葉は再び勝沼の一物を咥えていた。

 勝沼の言葉を信じ、処女だけは守りたい一心でなんとか勝沼を悦ばせようとしている。

 指示されたとおり、今度はその細い指も一物の幹に絡め、むせない程度に口の奥深くまで含んでいた。

 勝沼の表情を見ながらどれがいいかを掴もうとするが、覆面にさえぎられて表情が掴めず、どうすればいいのかよくわからなかった。

 わからないなりに絡めた指を動かし、唇の締めつけや口内の舌の動きにも緩急をつけ、なんとか快感を引き出そうとする。

「ふっ……」

 それなりの成果があったのか、勝沼はさっきよりも純粋な快感を感じていた。

 だが、まだこれではなかなかイクことはできない。それでも勝沼はあえて何も言わず、四葉のするままにさせていた。

「んっ……んふっ……くんっ……」

 一物の微妙な反応から感じる場所をなんとか読み取って、次第に四葉の動きが的確なものへと変わっていく。

 必死なのか、勝沼が何も言わないのに今まで使っていなかった左手も使い始めていた。

「……ん?」

 そうするうちに、四葉の膝の辺りがもぞもぞと動いていることに勝沼は気づいた。

 舐めしゃぶっているうちに自分の性感が刺激された、というのではなく、原因はこの部屋に連れて来られる前に監禁部屋で漏らしてしまったおしっこにあった。

 しばらく前から尿を吸ってぐっしょりと濡れた下着が少しずつ冷たくなって気持ち悪く感じていたが、今度はそれが乾き始め、水分が蒸発して濃縮されたアンモニアなどの尿の成分が内股にむず痒さを引き起こしていたのだ。

 だが、事情が知らずに見れば、四葉が感じ始めているように見える。

 おまけに、新たに加わった左手が、ズボンの中に差し入れられ、奥にあった柔らかい袋をやわやわと揉み出したのだ。

「くっ……」

 精を放つことができるレベルまで、急速に勝沼の性感は高まった。

 そのうめきが耳に入ったのか、四葉の動きがこれが最後とばかりに激しくなる。

 どちらにしろ、四葉を犯すことに変わりはないのだ。勝沼は無理に射精をこらえようとはしなかった。

じゅぽっ

 そんな音をたてて、勝沼は一物を四葉の唇から引き抜いた。

 その次の瞬間、勝沼は輸精管を解放する。

びゅっ、びゅるっ、びゅるっ……

 亀頭の先端から白濁した粘りのある液体が迸り、すぐ前にあった四葉の顔をまともに直撃して汚していった。



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