十二妹絶望物語

第8話

ずるっ……

 意識を無くした鞠絵の中から、勝沼はゆっくり一物を引き出した。

 全体がピンク色の粘液でコーティングされたようなそれは、まだ硬さを失ってはいなかった。

「……まだ、だな」

 栓を失った鞠絵の秘裂は、ぽっかりと穴を開けたままの状態で、そこから破瓜の血と混じったピンク色の精液を溢れ出させている。

 太ももを伝って行為中から流れていた鮮血も、そのピンク色の濁液の流れに洗われて、シーツに大きな染みを作り上げようとしていた。

ジャラッ……

 糸の切れた人形のような鞠絵の身体をひっくり返そうとすると、足首に嵌めてあった鎖が鳴る。

 さっきは気にならないような位置だったが、身体を反転させて足の左右が逆になると、かなり邪魔となってしまう。

 外すか、外さないか。

 油断して三度失敗することを勝沼は恐れていたが、今さら足首の鎖一つ外したところでほとんど変わりはない。

 今回は、まだ後ろ手に縄で縛ってあるし、部屋の入り口にも鍵を掛けてある。万に一つも逃げられることはないだろう。

 そう判断した勝沼は、足首の枷を外した。

がしっ

 それでも念のため、自由になった足を、すぐさましっかり抱え上げた。

 スカートが捲れ上がり、汚されたばかりの秘部だけでなく、白い尻も勝沼の正面で露わになる。

「起きないのか?」

 尻肉を掴んで割り広げると、ピンク色の濁液をまだ垂れ流している秘裂の上に位置する、小さな放射状の窄まりまでしっかり勝沼の目に入っていた。

 こんな格好、もし鞠絵に意識があれば、間違いなく激しい羞恥に全身を染めて、必死に抵抗したはずだ。

 だが残念なことに鞠絵の意識はまだ戻ってはいない。意識のない少女に羞恥責めは無意味だった。

 一物が充分な硬さをまだ保っている勝沼は、挿入の衝撃で目を覚まさせてやろうと、すぐにその照準を定めた。

 ただし、それはさっき開通させ、濁液を滴らせる秘裂ではない。その上方、菊のつぼみにも似たもう一つの窄まりだった。

ぐっ……

 何の準備もないまま、勝沼はいきなり挿入を開始した。

 しかし、ほぐされてもいないその窄まりは、異物の侵入を頑なに拒み、亀頭の半分も入れることはできなかった。

「くそっ、駄目か」

 挿入には失敗したものの、それだけでもかなりの痛みを伴ったはずだが、鞠絵に目覚める様子はまるで見られない。

 半ば自衛本能的に現実逃避のために沈んだ意識は、少々の苦痛では現実に引き戻せるものではなかった。

 ともあれ、このままではどうにもならない勝沼は、仕方なく指を秘裂の方に伸ばした。

ぬるっ

 そこから垂れる精液を指先で掬い取ると、菊座の周辺にそれを塗り込んでいった。

 途中でなくなってくると、また指を秘裂に伸ばして液を補充し、その指先を菊花の中心、窄まりに押し当てた。

 液を塗りこむようにしながら徐々に進めていくと、第一関節の辺りまでが中に埋まり、そこでゆっくりと指を動かし、少しは入り口を広げることができた。

 それと同時に、一物も軽くとだが秘裂へと押し出した。

にちゃっ……ぬちゃっ……

 ごく浅い部分で、突くと言うよりも一物を擦りつけるような動きをする。

 引き出したときには、一物全体が秘裂に残っていた体液をまぶされてピンク色にぬめっていた。

「これでよし、と」

 指の方も窄まりから引き抜き、代わって再び一物がそこに押し当てられた。

ぐちゅっ

 今度はお互いに塗った精液が潤滑液となってぬめった音が聞こえる。さっきよりは確実に入りやすくなっていた。

 それを感触で確認した勝沼は、鞠絵の腰をしっかりと抱えなおし、一息に貫こうと腰を大きく突き出した。

メリィッ!

 亀頭が窄まりの皺を押し広げて進んでいき、雁首の一番太い部分が入り口をくぐり抜けてしまうと、あとは一気に奥まで入った。

「ぎゃああああああああぁ!」

 身体を引き裂かれるような痛みに、さすがに鞠絵の意識も引き戻されてしまった。

 もっとも、鞠絵が今の自分の状態をちゃんと理解できているとは思えなかったが。

「ぐぅっ! ぅあっ!」

 一突きごとに襲ってくる激しい苦痛に、その出所すら判然としないまま口から泡と苦鳴を飛ばしている。

 強引に挿入された一物で、限界まで押し広げられた後ろの穴は、一部が裂けて出し入れのたびに鮮やかな紅を流す。

「はっはっ、どうだ? 続けて前も後ろも奪われる気分は?」

 勝沼の問いに、無論鞠絵からの答えは返らない。与えられ続ける苦痛にただ突かれるたびに喘ぐだけだった。

「ぐっ……かはっ……!」

 勝沼の位置からでは見えなかったが、眼鏡の奥の鞠絵の瞳は、すでに焦点を成してはいなかった。

 激しい痛みと恐怖から逃れるために一旦は失った意識を、それを上回る激痛でもって無理矢理引き戻したのだ。それも無理はなかった。

「……がっ……くぅぅ……」

 悲鳴の調子が途中から微妙に変化したようだったが、勝沼はそんなことは気にも留めなかった。

 と、言うより、すでに気にするどころではなくなっていた。

 後ろの穴の入り口の喰い締めは、前の穴以上のもので、続けての2回目だというのに、もう気を抜くと漏らしてしまいそうな気配だった。

「くぅぅ……」

 さらに何度も突き上げ、腸壁を擦りつけるうち、それも限界が近づいた。

「よし。また、中で出してやるからなっ!」

 斜め上から体重をかけ、鞠絵の尻が勝沼の腰と密着するまで深く腰を押し出し、勝沼は腸内で射精を始めた。

どくっ、どくんっ……

 2回目としては大量の精液が、鞠絵の腸内に吐き出される。

 力を失い始めた一物を引き抜くと、入り口付近の裂傷から出る血と混じり合い、再びピンク色の粘液となって鞠絵の身体の奥から溢れ出した。

 身体を離すと、また意識を失ってしまったのかだらりと脱力して、尻を突き出すような格好のままベッドに崩れ落ちてしまった。

 2つの穴からピンク色の精液を垂れ流し、ぐったりしている鞠絵の姿に満足を覚えた勝沼は、一物の後始末を手早く済ませ、上着に袖を通しポケットから呼び鈴を取り出した。

チリーン

 鈴を鳴らすと、すぐさま古手川がドアをすり抜け、姿を見せた。

「お呼びでしょうか? おぼっちゃま」

「こいつを監禁部屋に運んでおいてくれ」

 勝沼は首を少しだけ曲げ、視線で鞠絵を示した。

「はい、かしこまりました」

 古手川はすぅっとベッドに横たわる鞠絵の上から重なり、とり憑こうとしたが、その直前で動きを止めた。代わって顔を鞠絵に近づけ、その顔や胸をじろじろと見る。

「どうした? 爺」

「おぼっちゃま。この少女は何か病んではおりませんか?」

「ああ。そう言えば鞠絵は療養所暮らしだったが……
様子がおかしいのか? 無視できないほどに?」

 そこで、初めて勝沼は鞠絵の異状に気づいた。とっくに行為は終わっているにも関わらず、鞠絵の全身からはむしろ行為中以上に大量の汗を噴き出し、また呼吸音もよく聞くとおかしかった。

「専門ではありませんので、確たることは申し上げられませんが、どうもこの様子は……放っておいてよくなるとも思えませんな」

 古手川の言葉に、勝沼は苦虫を噛み潰したようになった。

 黙考する勝沼の脳裏に、様々な利害が去来する。

 当然、ここで鞠絵を医者に診せるのは危険だ。だが、鞠絵に万一のことがあった場合、こんな街の真ん中では後の始末が面倒だ。それに、死人を出してしまうと、他の妹に手を出しにくくなってしまうのは必定だろう。

 そんなことを数分間じっと考えた末、勝沼は決断した。

「爺、今すぐ直人を連れて来い」

「は、はい。ただいま……」

 なぜ直人を呼ぶのかはわからなかったが、古手川はすっと壁を抜け出ると、階下の直人を連れて部屋に戻った。

「お呼びですか、ご主人様」

 部屋に入ってきた直人は、勝沼にうやうやしく頭を下げて言った。

「ああ、直人。おまえは今から鞠絵にとり憑いて、どこか公園にでも運んでこい。それからすぐに適当な男を使って警察なり救急車なりを呼べ」

「わかりました」

 次に勝沼は古手川を向く。

「それと、爺には今からしばらくこの身体を貸す。直人が通報した後、病院あたりから連絡が来たらそっちに行って適当に誤魔化してこい。ついでに状態も聞いてくるのも忘れるな」

「か、かしこまりました」

 勝沼は、すぐに兄の身体を離れ、亡霊の姿に戻る。入れ替わりに古手川がそこにのり移る横で、直人もベッドの上の鞠絵にとり憑いた。

「では、行ってまいります」

 直人はそう言って、すっかり日の落ちた夜の街を近所の公園へと出て行った。



 約30分後、救急病院からの連絡を受け、古手川も病院へと向かうこととなった。

 勝沼も亡霊の姿で一緒に玄関まで出てくる。

「おぼっちゃま。それでは、爺も行ってまいります」

 勝沼はそこで古手川を見送った。

クゥーン

 戻ろうとした勝沼の耳に、かすかな鳴き声が届いた。

 何気なくそちらを見ると、植え込みの陰でミカエルがぼろぼろの身体でまだそこに倒れていた。

 それだけではない。

 偶然だったが、そのさらに向こう、家の塀の辺りで人影が見えた。

(誰だ? こんなところに……)

 訝った勝沼は、その人影の方へと近づいて行くと、

「ムムム……これは、事件の匂いがするデス!」

 古手川が去った方を見ながら独り言を言っているのは、妹の一人、四葉だった。

 何を考えているのかはわからないが、ルーペ越しに古手川の背中を見ている。

「こんな時間に兄チャマが外に出て行くなんて、何か事件があったに間違いありマセン!」

(そんな時間なら、なんでおまえはここにいるんだ?)

 四葉の言葉を聞いた勝沼は、思わずそう考えた。

 だが、四葉はいつからここにいたのか。それはかなり問題だった。

「兄チャマの後についていって、この事件の真相を、兄チャマのためにもチェキするデス!」

 直人がとり憑いた鞠絵がこの家から出て行くところまで見られたのだろうか?

 いずれにしても、このまま四葉を放っておく気は勝沼にはない。

 古手川を今呼び出すわけにはいかないため、今回は勝沼が自分でやるしかなかった。

WOOOOO……

 古手川の行った方へついて行こうとする四葉の前に廻り込んで、不意にその姿を見せる。

「チ、チェキッ!?」

 四葉は突然現れた勝沼の亡霊姿にかなり驚いたようだったが、古手川ほどのインパクトはなく、気を失わせるまでには行かなかった。

「お、お、お化けデスッ……!」

 血が引いて顔が青ざめ、足が少し震えてはいたが、四葉は振り向いて逃げようとした。

WWWOOOOO……

 勝沼に背を向けたちょうどそのとき、タイミング良く戻ってきた直人が、振り向いた四葉の眼前に現れた。

「チェキ〜〜〜〜!!」

 今度こそ、至近距離で直人と目を合わせてしまった四葉は、意識を失った。

「でかした! 直人!」

 戻るなり状況をそれなりに察し、咄嗟に連携して四葉を気絶させた直人を、勝沼は誉めた。

 2人の亡霊はその間で地面に横たわる四葉を見下ろすと、

「それで、この少女はどういたしましょう?」

「当然、監禁部屋だ」

 四葉の処遇を確認して、直人は今度は四葉の身体に重なり、とり憑いた。

「それでは、監禁部屋に運んでおきます」

 むっくり起き上がると、四葉の声と姿で勝沼に告げる。

 すぐそこの家の玄関をくぐり、直人はようやくの監禁部屋の客を運んでいった。



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