十二妹絶望物語

第7話

「どうだい、鞠絵? 今日は楽しかったかい?」

「はい、兄上様。今日は楽しくて、まるで夢みたいです」

 鞠絵は本当に嬉しそうに、にっこり笑って頷いた。

 例によって、勝沼は優しい“兄上様”を演じて鞠絵に今日一日つきあっていた。

 だが、すでに陽も傾き始めている。そろそろ限界、本性を見せる頃合だ。

「もう暗くなっちゃったな。残念だけど、デートはもう終わり。さ、一緒に家に帰ろうか」

 内心とは反対のことを口にすると、鞠絵の手を握って先に歩き出す。

 残念どころか、退屈なデートにはもう飽き飽きしていた。さっさと楽しい陵辱の時間に入りたいものだ。手を握ったのも、つまらないことを考えて躊躇う時間を与えたくないからだった。

 そんな腹の内は露知らず、口先だけの言葉を素直に受け止め、鞠絵は手を引かれるまま顔を赤らめて勝沼についていった。どうせ少女的な甘い想像でも勝手に膨らませているのかもしれないが、家に着いたら激しく生々しい現実と直面する手はずになっている。

 そして、その2人の後ろを、鞠絵の飼い犬のミカエルがついていく。こいつは勝沼が“兄上様”と違うことをなんとなく感じているのか、まるで懐こうとはしてこなかった。……まあ、懐かれても勝沼には迷惑なのだが。

 加えてこれからのこともあるし、勝沼にすれば後ろからついてくるミカエルの存在は邪魔でしかなかったのだが、鞠絵の前で追い払うこともできなかった。

 そんな格好で、鞠絵が緊張しているのかほとんど言葉も交わさないまま、2人と1匹は家の前に辿り着いた。

 ミカエルはまだついてきていたが、ここまで来てしまったのでは仕方ない。ミカエルを無視して勝沼は予定通り進めることにした。

「今、鍵を開けるから」

 鍵を探すふりをしながら、ポケットの中に手を入れて、こっそりと呼び鈴を鳴らす。

リーン

 鞠絵は気づかないようだったが、ミカエルは鈴の音に反応し、耳をぴくりと動かした。

 鈴から手を離すと、勝沼はポケットから鍵を取り出し、玄関の鍵穴に差し込む。

「さ、入った入った」

 ガチャリと鍵を回し、勝沼は鞠絵を促して扉を開く。

GUOOOOOOOOOO……

 扉を開けたところに、古手川が中から飛び出してきた。

 ちょうど、勝沼に促され中に入ろうとしていた鞠絵と、至近距離で直面する格好だ。

 がくっ、と急に鞠絵の身体が勝沼にもたれかかってきた。見ると、驚きのあまりか声もなく気絶している。

「……いつもながら、爺の顔は強力だな」

 意識をなくした鞠絵を受け止めたままの姿勢で、勝沼は感心していた。

ワンッ ワンワンッ!

 倒れた主に代わって、ミカエルが激しく吠え立てる。

 このミカエルにも古手川の姿は見え、かつそれを敵だと認識しているようだった。

 どうせ幽霊である古手川は、仮に飛びかかられたところで引っかかれることも噛みつかれることもないのだが、いつまでも吠えさせておけば、近所の者が何かと思って出てくる可能性がある。それはあまり好ましくないし、勝沼と一緒に家の中にまで入ってこられると面倒だ。

「うるさい! 黙れ犬!」

 鞠絵の目がない今、勝沼はミカエルのことで遠慮する必要はどこにもない。

 勝沼はミカエルの腹を思い切り蹴り飛ばした。

キャゥンッ!

 鳴き声を上げてミカエルの身体は吹っ飛んだ。

 それだけでは足らず、勝沼は玄関を入ったところに鞠絵の身体を横たえてから外に戻ると、さらに2度、3度とミカエルを足蹴にする。

ドカッ、ドカッ

「お、おぼっちゃま!? そんなにしては、その犬が死んでしまいますぞ」

 勝沼のやりすぎの暴行に、古手川も戸惑うような声が出たが、勝沼に耳を貸す様子はなかった。

 10回以上も蹴られ、踏まれてミカエルの鳴き声がか細くなってほとんど聞こえなくなると、ようやく勝沼も満足がいったように薄く笑ったが、もう一度大きく足を振ると、再び大きく蹴り飛ばした。

ドグッ

 強い勢いで、ミカエルの身体は玄関横の植え込みの陰まで転がっていった。

「これでよし、と。
さぁ、爺。鞠絵を部屋まで運んでおけ!」

「は、はい! ただいま……」

 振り返っての勝沼の言葉に、古手川は慌てて頷いた。

 咲耶、白雪という立て続けの失敗に今の勝沼はひどく攻撃的になっているのを古手川は感じていた。それは下手な行動をとれば、古手川自身も危ないと思わせる。

 すぐさま、命に従い鞠絵の身体とともに勝沼の前から消えていった。

 勝沼は古手川を見送りながらゆっくり玄関まで戻り、扉を閉めかけたところで、もう一度ミカエルの方を見た。

 毛皮が呼吸を示すように上下しているので、まだ息があることはわかったが、しばらくはろくに動けそうもない。

 痛めつけられ動けなくなったその姿を確認してから、勝沼は扉をしっかりと閉め、さらに鍵を厳重に掛けて、古手川を追うように部屋へ戻って行った。



 部屋のベッドに仰向けに横たわったまま、鞠絵はまだ意識を取り戻していない。

 勝沼は鞠絵が寝てる間に準備をすっかり済ませ、すでにいつでも始められるよう上着も脱ぎ捨てていた。

「鞠絵、おい、鞠絵! いつまで寝てるつもりなんだ?」

 いつまでも目覚めないのをただ待っていても仕方がないので、大きな声で鞠絵に呼びかける。

 すると、既に目覚めかけていたのか、すぐに瞼がぴくぴくと震え、ゆっくりと開きだした。

「……え……ここは……」

 まだぼんやりしていて何もわかっていない様子だったが、やがて瞳が焦点を結ぶと、鞠絵の顔のすぐ近くでこちらを窺う“兄上様”の姿があった。

「あ、兄上様!?」

 驚いた鞠絵は、慌てて上体を起こす。起こそうとした。

 だが、腕が思うように動かず、起き上がることに失敗してしまった。

「えっ」

 再び驚いた鞠絵は自分の姿を見た。

ジャラッ……

 鞠絵が意識を失っている間に、上半身に縄がかけられ、右の足首にはなんと鎖のついた金属の環がはめられていた。鞠絵の位置からではわからなかったが、その鎖の先はもう一つの金属環があり、それはベッドの足にはめられ、鞠絵がここから逃げ出すことを完全に妨げていた。

 これが、今回勝沼が万が一にも逃げられないように用意したものだった。

「あ、兄上様、これを外してください!」

 縄は、基本的には胸の上と下の2箇所に腕と胴体を纏めるようにしてかけられているだけで、それゆえに肘から先は比較的自由になっている。

 その自由になる手の先だけを使って、なんとか上体を起こそうと努力しながら、鞠絵は勝沼に訴えかけた。

「馬鹿言うな! せっかく縛ったものをなんで何もしないうちに外さなきゃならん」

 あっさりと退けられ、鞠絵は愕然とした。勝沼の言葉は、同時にこれをやったのが勝沼自身であるということも示している。まさかとは思わないでもなかったが、信じていた“兄上様”の酷い行動は、大きな衝撃を与えていた。

「第一、まだ仕上げが残ってるんだ」

 そう言って勝沼が軽く鞠絵の身体を押すと、

「きゃあっ」

 なんとか起きようとしていた鞠絵は、あっさりとバランスを崩し、ベッドの上で転がった。勢い余って、元の仰向けではなく、勝沼に背中を晒す体勢になる。

 それが目的だったのか、勝沼はそのままで鞠絵の身体を押さえ、かろうじて自由だった手首をもう一方の手で掴んで背中に回した。

 取り出してきた細い紐で両の手首を後ろ手で縛ると、背中にある縄の結び目の先をぐいと引く。

「あくぅっ!」

 鞠絵の口からうめきが上がった。よりきつく縄が鞠絵の服や腕に食い込み、胸の肉を搾り出している。

「兄上様。く、苦しい……」

 強く引いたことで結び目から長く伸びた縄の先に、手首を後ろ手に縛った紐のあまりをしっかりと結びつける。

 これで鞠絵の拘束は完成し、上半身の動きは完全に封じられた。

 この最後の仕上げを鞠絵が意識を取り戻すまであえて待ったのは、無論鞠絵に苦痛を与え、辱めることが目的だった。

 そしてそれは、十分に成功している。再び鞠絵を仰向かせたとき、鞠絵の顔には脅えが浮かび、眼鏡の奥の瞳には涙が光っていた。

 だがまだまだこんなものでは勝沼は満たされなかった。

「いやぁっ!」

 嫌がる鞠絵に手を伸ばすと、縄の締め付けで押し出された胸を服の上から強く握り締めた。

「くぅっ……」

 鞠絵の顔が苦痛に歪み、瞳から溢れ出した涙が一筋流れた。

 それを見た勝沼の胸を握り締める手が一瞬緩んだ、次の瞬間、

ブッ、ブチッ

 さらに、服の上からではいまいち感触がわかりづらかったのか、前のボタンが弾けるように外された。

 開いた隙間から、勝沼の手が服の中へと侵入していく。

「ダ、ダメですっ。もう、これ以上は……」

 拒む声を上げるが、縛られた上体重で身体を押さえられた今の鞠絵には、どうすることもできなかった。

 ブラジャーもずらし、白い吸いつくような肌を探っていた指の先が、無理矢理押し出されていた小さな乳首にとうとう触れた。

「ひっ!」

 縄のきつい締めつけで限界近くまで張り詰めた神経が集中したそこは、軽く触れられただけで鞠絵の息を詰まらせた。

 その反応に勝沼の顔が邪悪な笑みに歪む。

 再び指先が服の中で乳首があったところへ伸びた。

「んああぁっ!」

 次の瞬間、強烈過ぎる刺激に、肺の中の全ての息が悲鳴となって吐き出された。

 敏感すぎるそこを、勝沼の指が、爪を立てて強く摘んだのだ。

「……はぁっ……はぁっ……」

 すぐに指の力が緩むと、口が大きく開いて、失った酸素を再び補給しようとしていた。

 だが、勝沼の責めはこれにとどまらなかった。

 右手は依然服の隙間から潜らせて胸を触りながら、左の手が下へと伸びる。

「あっ……そこは……ダメっ……」

 スカートの裾を捲り、その中へ進んでいこうとする手に、鞠絵は息を絶え絶えにしながら拒絶の意を示した途端、

「がっ……」

 再び乳首が、さっき以上の力で摘み上げられた。爪が食い込み、それが離れたときにはくっきりとついた爪の跡から、うっすらと血すら滲んでいた。

「どうした、鞠絵……? もう嫌がらないのか?」

 今度は反対側の乳首に指先をあてがっておいて、勝沼が問う。逆らえばまた痛い目に遭わせるという脅しだった。

 鞠絵の唇が恐怖で小刻みに震えたが、声にはならなかった。

「……そうそう、素直にしてろ」

 薄く笑みを浮かべた勝沼の左手が、再び侵攻を開始した。

 スカートの奥に隠された、白い下着に覆われた部分にまで達した指先が、太ももを伝って昇って行く。

 下着の上にかかると、ゆっくりと撫で上げ、また滑り下ろす。その繰り返し。

 上半身の責めとは対照的に、こちらは優しげなものだった。

 それに合わせて、右手の方もその動きをソフトに再開した。

「んっ……ぅぅ……」

 汗なのか、それとも別の分泌液かはわからなかったが、秘裂の上を下着越しに撫で続ける指先には、やがてかすかに湿ったものを感じられるようになった。

 本当にかすかな湿り気だったが、勝沼はそれで充分だった。

「……頃合か?」

 指の動きが止まり、右手も胸の隙間から引き出される。鞠絵は、勝沼の責めが止んだことにほっとしていた。

 だが、勝沼の左手はスカートの中から出ることはなく、逆にそのさらに奥、下着の縁にかかった。

「さぁ、仕上げだ!」

 鞠絵は勝沼の動きに気づいたが、すでに遅かった。

ズルッ

 下着が一気に膝の辺りまで引き下ろされ、薄い茂みが外気に晒された。

「い、いやっ! 許して!」

 鞠絵は叫びを上げて激しく抵抗しようとしたが、腕を後ろ手に縛られ、足も途中までずり下ろされた下着が枷となって、動きを妨げる。無駄な足掻きの結果は、下着を膝の下の方までさらにずり下ろしてしまったことと、勝沼の嗜虐心を煽って喜ばせたことだけだった。

 少女の悲鳴、そして泣き顔。これこそ、少女を犯す醍醐味だ。

 ズボンの中でますますいきり立った一物を引き出し、鞠絵の両足をしっかり捕らえて引き寄せる。その勢いで、スカートが捲れ、薄い茂みが勝沼の眼前で露わになった。

 その薄い茂みの下にある、まだ固い肉の割れ目に、一物の先端がぴたりと押し当てられる。

「ひっ」

 鞠絵の口から小さな悲鳴が漏れた。

 今、自分の大事な場所に触れているものが何なのか。そしてこれから勝沼が何をしようとしているのか。それをちゃんと理解しているがための悲鳴だった。

「ダメです! 兄上様、それだけは絶対にダメ! わたくしたちは――」

 鞠絵の必死の制止の声も最後まで聞かず、まだほとんど濡れていないそこへ、勝沼は一気に腰を突き出した。

ずんっ!

 一瞬にして処女膜が突き破られ、一物の先端が膣内の一番深いところまで達した。

「あああぁ――っ!!」

 鞠絵の脳裏で、警告するように赤い閃光が明滅する。凄まじい激痛が全身を貫き、頭の中を侵食していった。意識のほとんどが押し流されようとするなか、言葉に出せなかった“兄妹”“近親相姦”といった単語だけが残っていた。

ずんっずんっずんっ

 鞠絵の身体を気づかうつもりが全くない勝沼は、最初から激しく腰を動かし、一物で膣内を蹂躙していく。

「ぐっ……ぎぃっ……」

 破瓜の痛みが落ち着く暇も与えられず、代わりに激痛が間断なく下腹部から伝えられる。

 悲鳴を上げようにも、眼鏡が上下に揺れるほどの激しい突き上げで、肺の中の空気が押し出され、声を上げるどころか満足に呼吸もできない状態だった。

「どうだっ? 夢みたいだろう、鞠絵?」

 激しい腰の動きは一切止めないまま、勝沼の声が鞠絵の耳に届く。

 ――夢。まさしく悪夢のような状況だったが、この下腹部の激痛は紛れもない現実だ。

 たしかに、鞠絵は“兄上様”を慕っていた。それは傍から見ると兄妹のそれというより恋人のそれに近いものだったが、鞠絵には禁忌を犯してまで“兄上様”と男と女の仲になろうというつもりはなかった。

 まして、こんな形で無理矢理処女を散らされることなど、普段の優しい“兄上様”からは夢想だにしていなかった。

ぐいっ

 一度は腰を抱えていた右手が、再び鞠絵の胸をきつく掴んできた。

「……っ……!」

 新たな苦痛に悲鳴が上がるはずだったが、まともな声は出てこなかった。鞠絵の心も身体ももう限界に近く、肺にも悲鳴を上げられるだけの空気が残っていなかった。

「もう鳴かないのか?」

 勝沼の掌の中で、鞠絵の乳房が大きく形を歪める。だが、いくら握りしめても、鞠絵の口からさっきまでのような悲鳴は出てこなかった。

「……そ、そろそろだ……」

 そうこうしているうちに、少し上ずった勝沼の声が漏れた。ずっと激しく動かしっ放しの腰の下で、一物は限界を迎えつつあった。

「奥に、たっぷりと注ぎ込んでやるっ!」

 宣言とともに、とどめの一突きが今まで以上の強さで突き込まれた。

 苦痛で一杯だった鞠絵の脳裏に、“妊娠”の2文字が大きく浮かぶ。

「――や、やめてえぇぇ!!」

 どこに残っていたのかという大きな絶叫が、鞠絵の口から迸った。

びゅるっ、びゅっ、びゅるっ……

 だが、膣の最奥で一物は絶頂に達し、大量の白濁液で膣内を満たしていった。

「あっ……ああぁ……ぁ……」

 生温かい液体が、身体の奥を打つのを感じて、鞠絵は絶望の声をもらす。

 あまりのことに現実を拒絶しようと、勝手に意識が薄れていく。力を失くした首が、がくりとベッドの上でうなだれた。



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