朝。
勝沼はひとり学校へ向かっていた。
昨日の咲耶は失敗だった。その処女を味わいはしたが、行為後の予想外の反応に監禁することができなかった。
まあ、あの様子だとどこかへ訴えるということはまずないだろうから、すぐこの地を離れる必要はないだろう。直人と木戸の回復もまだだし、何よりまだ10人もの妹が残っている。そう簡単にこの身体を手放すつもりはない。
が、そのためには周囲にあまり不審がられないよう日常生活を装わねばならない。そのための登校だった。
もっとも、都合のいいことに授業はもう終わって、今日と明日が過ぎれば長期休暇に入ることになっている。それに、次の獲物を探すという目的もあった。
「あっ。お兄ちゃん!」
学校へ続く道を歩いていると、後ろから声がかけられた。
聞き覚えのある声に足を止めて振り返ると、予想通り髪を揺らしてこちらへ向かって来る妹の姿があった。
「……可憐か」
そのまま追いついてくるのを待って、残りの道を横に並んで一緒に歩く。
次の獲物はこの可憐といくか。
自分に会えたことで嬉しそうに話しかけてくる可憐の言葉に適当に相槌を打ちながら、勝沼はそんなことを考えていた。
「あのさ、可憐……」
獲物を罠へと誘い込む言葉をかけようとしたところで、勝沼の視界の端に別の妹の姿が入ってきた。
(咲耶……)
遠くからこちらに向かっているのは、間違いなく咲耶だった。
ちっ、と勝沼は小さく舌打ちした。
他の妹のいるところで、間違っても昨日の話や今までとは違う態度をされると非常にまずい。
幸い、まだ遠いのと、昨夜の件で下半身に違和感があるのか、時々下の方に気をとられているようで、まだ向こうはこっちに気づいてはいない。
「どうしたの? お兄ちゃん」
言葉を途中で切ってしまった勝沼を妙に思ったのか、可憐が首を傾げる。
(仕方ない。こいつは後回しだ)
「悪い! ちょっと学校で用があったの忘れてたんだ。急いで先に行く!」
咲耶に気づかれる前にこの場を離れることを選択した勝沼は、そう言うと可憐を置いて学校への道を走り出した。
昼前で学校は終わった。あとは明日の終業式で学校は長期休暇に入る。
今日は朝に可憐に会った後は、妹の誰とも他に会っていない。
やはり、あのとき可憐を誘っておけばよかったかとも後悔していたが、まあ今更言っても仕方がない。
鞄を掴むと、HRが終わった教室から廊下へと出ていった。
とにかく今のところは帰宅しようと、校舎の玄関へと向かう。
「お、お兄様っ!?」
勝沼は相手にわからないよう小さく再び舌打ちをした。
お約束にも、廊下の角を曲がったところでばったり咲耶と鉢合わせてしまったのだ。
だが、視線が合った途端、咲耶は顔を真っ赤に染めてそらしてしまった。
「ごめんなさい、お兄様。なんだか時間が経てば経つほど恥ずかしくなっちゃって、今はお兄様の顔もまともに見れないの。見てしまったらどうにかなっちゃいそうで……」
「いや、咲耶……昨日のことなんだけど……」
勝沼は口を挟もうとするが、やはり咲耶の言葉をとどめることはできない。
「身体の方は心配しないで。まだちょっと変な感じはするけど、困るほどじゃないわ。もちろん、このコトは誰にも内緒よ。両親はもちろん、他の妹たちにもね。
ホントは皆に言いふらして廻りたいくらいなんだけど、やっぱり恥ずかしいし、大騒ぎになっちゃうもの」
「いや、だから……」
「それじゃ、お兄様! また落ち着いたら会いに行くわ。ホントにごめんなさい!」
早口に自分の言いたいことだけ言ってしまうと、結局勝沼に口を挟む余地を与えないまま身を翻して、赤い顔のままで走り去ってしまった。
タッタッタッタッ……
駆け足で遠ざかっていく咲耶の後ろ姿を眺めながら、勝沼は疲労と安堵混じりのため息を吐いた。
昨日の行為後と同じだ。すっかり向こうのペースに呑まれてしまって、こちらは何も言えなかった。
単に気が強いだけの少女とかなら、いくらでも力ずくで黙らせてやるのだが、咲耶はそういうのとは違う。自分の想いの勢いだけで突っ走っていて、どうにもこちらは調子を狂わされてしまった。
しかし、出会い頭で随分意気を削がれてしまったが、それでもはっきりしたことがある。
慌てて無理に彼女の口を塞ごうとしなくとも、少なくとも彼女が再び自分の方からやってくるまで、昨日のことが周囲に漏れる心配はないということだ。
今度咲耶が訪ねて来たとき、その時こそ陵辱が終わった後に何も言えないほど犯し抜いて、監禁してやろう。
勝沼はそう決めた。
だが、今日のところはこちらからあえて獲物を探しに行こうという気にはなれなかった。
やはり、咲耶とのやり取りでペースが狂ってきている。
とにかく、今日は家に帰ろう。そう思って再び校門に向かって歩き出した。
「……ん?」
しかし、校門を前にしてその足が止まる。そこに新たな別の妹の姿を認めたからだ。
「あれは……」
名を呼ぼうとしたそのとき、
「にいさま!」
向こうもこちらに気づいて、こちらに向かって両手を広げて駆け寄ってきた。
「白雪!?」
意外な顔に勝沼は少し驚いていた。
そう離れていないとはいえ、白雪が通っているのは別の学園。それでも弁当を持って昼に頻繁に訪ねてきていたという記憶は身体にあるが、今日は昼まででその弁当も必要ない。
したがって、今日学校で白雪に会えることは全く予想していなかった。
「どうしてこんなところにいるんだい、白雪?」
疑問を口にすると、白雪はさも当然とばかりに答える。
「もちろん、にいさまに会いに来たに決まってますの」
「わざわざ、僕に会いに? なんでまた?」
すると、さっきまで浮かべていた満面の笑顔が、シュンとした顔に一変した。
「だって、もう学校は明日までですの。そしたらもう毎日にいさまに姫のお弁当を食べてもらう機会がなくなってしまいますの! だから せめて今日はにいさまと一緒に帰ろうと思ってましたの……」
「なるほど、そういうことだったのか……」
そう呟く勝沼の頭に閃くものがあった。
「僕も、これからしばらく白雪の手料理が食べられなくなるというのは、残念だよ。そこで、思いついたんだけど、どうかな? 今度白雪がウチに来てご飯を作ってくれるっていうのは?」
「それは名案ですの! にいさま。姫は明日にでもにいさまのお家にご飯を作りに行きますの!」
案の定、白雪はこの提案を大喜びで受け入れた。
……こちらの思惑も知らずに。
その後も楽しく話を続けて帰ったその晩、白雪から本当に明日ウチに食事を作りに来ること。それとその買い物も終業式の後校門で待ち合わせて一緒に行きたいということが、メールで伝えられた。
勿論、勝沼は了解の返事を出してディスプレイの前でにやりと笑った。
この妹たちは、本当にこの身体を慕っているに違いない。誘い込むのがあまりに簡単すぎて、張り合いがないくらいだった。
「やあっ! にいさま、にいさま! く、苦しいですのっ!」
身体の下から聞こえてくる叫びに構わず、腰を動かし続ける。
破瓜の血と、激しい腰使いで中から溢れ出した愛液とが混ざり合って滴り、シーツにピンクがかった紅い染みをつくっていた。
開いたばかりの入り口を激しく擦られ、苦痛に歪み、涙を浮かべた顔に深い満足を覚えると、さらに身体を重ね合わせてその唇を吸った。
「んっ……んぐっ……!」
すぐさま舌で唇を割って差し入れ、大量の唾液を流し込む。
こくこくと喉が上下し、流し込まれたその液体を嚥下していった。
そのまま腰を掴んで体をわずかに持ち上げさせると、唇を離して体内深く刺さった肉棒を支点にぐるりと身体を反転させた。
うつぶせになった相手をさらに何度かのしかかるように後ろから激しく突いた後、不意に腰の動きを完全に止めた。
「に、にいさま……?」
不意の中断に訝しげにこちらを向こうとしたところを、右の人差し指を口の中に差し入れる。
まるで一物に対するかのようにその指を存分にしゃぶらせると、少女の唾液でべっとり濡れた指をゆっくり口から引き抜き、己の一物が刺さったままの秘所のすぐ上にある小さな窄まりにあてがう。
「そこはっ……」
最後まで言わさず、一気に指を根元まで突き入れた。
「ぐっ……」
うめきが漏れるのがわかったが、そのまま穴をほぐして広げるかのように指を掻き回していく。
「はあっ、はあっ、はあっ……」
息を荒げ、全身が上気して汗でうっすら濡れていた。
前の穴を犯す一物も、ゆっくりとだが動きを再開し、後ろの穴に差し入れた指を半ばまで引き抜く。
抜いてしまうのかと思いきや、人差し指に中指を添えると、差し込む指を2本に増やして再び後ろの穴を掻き回し始めた。
「んっ……んあっ……はあっ……!」
次第に少女の声が、苦痛を訴えるものから別の色も混じり始めた。
すると、再び腰の動きを停止し、今度こそ後ろの穴から指を引き抜く。
さんざん掻き回されたその穴は、指を入れられる前とはうっすら開いて入り口が大きくなっていた。
引き抜いた指からは微妙に芳香が漂っていたが、そんなことはどうでもよかった。
一物を膣内から引き出し、今まで指が入っていた場所にあてがう。
「にいさまっ……!」
引きつったような声を発して制止しようとしたが、その次の瞬間、
ズンッ!
「んぎいいいいいいいいぃぃ!」
一気に根元まで突き入れられ、全身の息全てを搾り出すかのような悲鳴が響き渡った。
「くっ……」
あまりのきつさに、入れたこちらも顔をしかめた。
前の穴もきつかったが、後ろはきつすぎる。
結合部へ唾液を垂らして少しでも潤滑を良くすると、抽送を始めた。
「ひっ……ひっ……ひっ……」
一突きごとに、少女の口から悲鳴のような苦痛の吐息が漏れる。
このままではきつすぎて長くはもたない。
そう思って片方の手を腰から離して前の肉芽を摘んだのだが、逆効果だった。
「ひぎぃっ!」
一際大きな悲鳴を上げると、身体が大きく跳ねて肛門が収縮した。
その刺激に抗しきれず、勝沼は声を上げて放出を始めた。
びゅっ、びゅるっ、びゅるっ……!
「うぉぉぉぉぉぉぉぉ……」
自己嫌悪。
まさしくその一言に尽きた。
勝沼紳一ともあろうものが。多くの少女を犯し、その罪によって裁かれてなお少女を貪るため亡霊となった男が。
……夢精とは。
やはり、どうにも調子が狂っている。
咲耶を監禁できなかったときからか。いや、ひょっとするともっと前、この身体に入ったときからおかしかったのかもしれない。
だが、そんなことを考えても仕方がない。今日は白雪を犯すことを考えねばならないのだ。
ベットリ汚れたトランクスを脱ぎ捨てると、ティッシュを数枚箱から引き抜いて一物を拭い、新たな下着をつけると、学校へ向かう準備を始めた。