十二妹絶望物語

第3話

「……ぅ……んん………」

 ようやく目を覚ました咲耶がいたのは、兄の部屋。それもベッドの上だった。

「……お兄様?」

 そして、首だけ起こすと同じベッドの上でこちらを向いて座っている兄の姿があった。

 まだ自分がどうしてここにいるのだとか、さっき何があったかなどということは咲耶の頭には浮かんでいない。

 それを気遣うかのように、勝沼はさりげなく身を乗り出して口を開いた。

「やあ、咲耶。気がついたかい?」

 だが、勝沼が優しいお兄様のふりをするのはその一言までだった。

「……じゃあ、そろそろお楽しみといくか」

「お兄様……」

 どうなってるの?

 そう尋ねる前に、

「んっ」

 咲耶の唇は強引に塞がれてしまった。

 身を起こそうとした咲耶を逆に再び押し倒した勝沼の唇によって。

 突然のキス。

 それも、ただ単に唇と唇を重ねるだけのものではない。

 すぐさま舌が咲耶の口の中に侵入しようとしていく。

 お兄様のこの突然の行動に驚いて、咲耶は反射的に固く口を閉ざして抵抗した。

「んんっ!?」

 しかし、お兄様の手が服の上から胸に添えられ、舌が歯茎をなぞるように滑っていくと、やがて咲耶は自ら道を開き、舌の侵入を受け入れた。

 勝沼が舌と一緒に唾液を流し込むと、抵抗なくそれも呑み込んでいく。

 無論錯覚に過ぎないのだが、咲耶はその液体を甘く感じていた。

 上あごの粘膜をなぞっていたお兄様の舌に自らも舌を絡め、さらに互いの唾液を交換する。

 焦点が合わないほど近づいているお兄様と目が合うと、視線だけで微笑んだような気がした。

 そうして舌を絡め合わせて長い時間―――実際には1分ほどだが、ようやく勝沼の唇は咲耶のそれから離れていった。

 一瞬、唾液が細い糸を紡いだが、それもすぐに切れて2つの唇を繋ぐものは何もなくなる。

「お兄様ぁ……」

 キスだけでそんなに盛り上がれるものかと、勝沼は半ば呆れた。

 頬を染め、瞳をわずかに潤ませながら、咲耶は名残惜しそうに勝沼を見上げている。

 勝沼は咲耶のこの反応に、にわかに怒りにも似た抵抗をおぼえた。

 最初からこうも従順で積極的では、どうにもこちらは面白みに欠ける。もう少し抵抗なり拒絶なりを示さないものか。

「きゃうっ!」

 勝沼の思いが、ただ添えられるだけだった胸に当てた手に自然と力を込めさせていた。

 無意識の行動だったが、その反応に気をよくすると、改めて服の上から力強く胸を揉む。

「いっ……痛っ……お兄様、もっと優しく……」

 そんな言葉を聞き入れるつもりは全くない。

 逆にもう一方の胸にも手をやって揉んでいく。

 そう、これだ………

 この表情。

 苦痛に顔を歪め、目尻に涙まで浮かべたその姿を見て、ようやく勝沼は少女を犯そうとしていることを実感し始めていた。

 服を引き破るような勢いで、咲耶の胸元をはだけさせると、間から白いレースの下着が覗いていた。

 その上からまるで何かを搾り出そうとでもいうようにきつく胸を揉み続ける。

「どうだ? 愛しい愛しいお兄様に胸を揉まれる気分というのは?」

「あっ……あっ………」

 同時に露わになった首筋に唇を寄せていく。

ぺろり

「ひゃんっ!」

 いきなり首筋を舐め上げられ、咲耶は奇声を発して、身体をビクリと震わせた。

「く、くすぐった……」

 唾液をたっぷりとまぶしてぬらついた舌が、さらに2度、3度と首筋をなぞっていく。

 やがてナメクジが這った跡のようにぬめぬめとひかる筋が、首の周りに何本もできた。

「はぁんっ!」

 最後に頭を少し下げると、下着で隠れている胸の部分のすぐ上に吸いついた。

 この間も、胸の方でもずっと刺激は続いていた。

 いつの間にかきつい一辺倒ではなく、強弱をつけて変化させていた。

 それも、胸元に吸いついていた唇と同時に離れていく。

 あとに残ったのは、強い力で揉まれ続けたためにうっすら赤くなった胸と、勝沼の唾液でべっとり濡れた首筋。そして、くっきり残る唇が吸いついた跡だった。

「さて、そろそろ次に進むか」

 そう呟くと、休む間もなく今度は腕を掴んで咲耶の身体をうつ伏せにして、そのまま後ろ手に両手を押さえてしまった。

「お、お兄様? 何をするの?」

 顔を枕に押し付けられ、お兄様の顔が見えなくなってしまったことで、咲耶は不安になってしまった。

 兄のこの変わりようはなんなのか。

 普段の優しいが優しすぎていつも煮え切らない態度に比べ、今の荒々しいまでのこの積極さは。

「あっ! いやっ!」

 しかし、深く考えている余裕はなかった。

 咲耶の後ろで、足に半分ほど体重をかけて動けなくしておいて、勝沼がふぁさっと捲り上げてしまったのだ。

 元々が短かったために、うつ伏せにして後ろに回った段階で既に半分ほど見えていたのだが、あえて勝沼は咲耶にはっきりそれとわかるように捲ったのだ。

 小さな布で覆われた臀部に勝沼の顔が近づいて、視線が注がれているのもはっきりとわかる。

「み、見ないで! お兄様」

 咲耶は顔を真っ赤にすると、首と上体を必死に反らして訴えた。

 もちろん、この家に来る前にちゃんとシャワーを浴びて下着も交換してある。汚れなどは全くない。

 ただし、それはさっきまでの話。

 股間の様子を意識すると、さっきまでの激しいキスと胸への愛撫で、下着がじっとり湿っているような気がしていた。

「お願い! お兄様!」

「……わかった」

 顔がゆっくり遠ざかっていく。咲耶がほっとしたのもつかの間、

「見るのはやめだ。触ることにしよう」

 1本の指が尻の谷間をなぞるようにすっと撫でていった。

「あっ」

「これならいいだろ? 咲耶?」

 言葉と共に、指がさっきなぞった場所を戻っていく。

「ダ、ダメよ! そんなのもっとダメだわ!」

 抗議に構わずさらに何度か指を往復させた後、おもむろにズボンのベルトを外し、後ろ手に押さえていた咲耶の両手をそのまま軽く縛ってしまった。

「な、何をするのよ! お兄様!?」

 驚いて咲耶は手首の縛めを外そうとしたが、慌ててたため手首を抜くどころか逆に手首を縛るベルトがかえってきつくなる結果となってしまった。

「いまさらやめられるわけないじゃないか」

 咲耶の自由を奪っておいて、改めて勝沼はその股間に顔を埋めていった。

「いやぁっ!」

 顔を股間に埋めた勝沼は、両手でしっかり咲耶の腰を固定して下着越しに咲耶の大事な処を舐める。

ピチャッ、ピチャッ……

 勝沼が舐める音が股間から咲耶の耳に入る。その音が咲耶の羞恥を煽り、勝沼の欲情をさらに引き出していった。

「いや、いやっ!」

 ますます勝沼の股間をしゃぶる音が激しくなる。

 口の周りも、咲耶の下着もベトベトになっていった。

「そろそろ我慢が……」

 そう言って勝沼の顔が離れると、咲耶の見えないところで小さな衣擦れの音がした。

「お兄様、まさか………」

 咲耶の言葉は、唾液を吸って重くなった下着がずらされたことで中断した。

「行くぞ、咲耶!」

 下半身裸となった勝沼が、大きく腰を前に突き出す。

ぶつっ

 何かが破れる音がしたような気がした。

「んぎいいいいいぃぃぃぃ!」

 大きなうめきがあがる。

 一気に奥まで刺さった一物は、一番奥にこつんと当たったところでいったんその動きを止めた。

 結合部を覗きこむと、血が中から流れ出して下着を紅く染め、さらに太腿を伝ってシーツにも染み込んでいった。

「はぁーっ、はぁーっ………」

 咲耶は枕を涙と涎でぐちょぐちょにしながら激しく息を継いでいた。

 しばらくじっとしていると、痛みが慣れてきたのか、少しずつ呼吸が治まっていく。

 そこへいきなり腰を動かしてやると、

「はぁっ! ……はぁっ! ……はぁっ! ……」

 再び息が大きく乱れる。しかし今度は動きは止めない。また奥まで突き込むと、腰を使いながら右手を伸ばして後ろから胸をわし掴んだ。

「おっ、お兄様っ! ……せめて……もっと優しくっ……!」

 絶え絶えに言う咲耶の声を無視して、ブラジャーをずらすと中から出てきた尖った頂を親指と人差し指で摘んで潰した。

「きゃうんっ!」

 腰の動きもますます激しくなっていく。

 処女をいたわろうという考慮は全くない、あくまで自分の快楽を貪るための動きだった。

 一物を中心に、勝沼の身体が小刻みに震える。快感で限界が近くなっている証拠だ。

ぱんっ、ぱんっ、ぱんっ……

 小気味よいリズムで腰がぶつかり合う音が響く。

 汗まみれで髪を振り乱して咲耶は痛みにもがき、腰を使う勝沼の額からも汗が滴り、咲耶の背中にぽつぽつと染みを残していった。

「そ、そろそろイクぞ、咲耶ぁ!」

 勝沼が吠えると、咲耶は一瞬痛みを忘れて振り向いた。

「ま、待って! 中じゃ……」

 しかし、最後まで言い終わる前に、奥深く突き刺さった一物は蠕動を開始した。

びゅるっ、びゅるっ、びゅるっ……

「あっ………」

 子宮に熱いものが弾けて当たるのが、薄れゆく意識の中で咲耶にははっきりとわかった。



 最後の一滴まで咲耶の中に出して、血と精液が混ざったもので染まった萎えかけの一物を引き出すと、中からピンク色のどろっとした液体が溢れ出し、ずらされたままの下着とシーツとを汚していった。

 勝沼はそれを横目で見ながら自分のモノの後始末を終え、ズボンを咲耶の手からベルトを外してズボンを穿き直した。

 そして、古手川に咲耶を監禁部屋へ連れて行かせるためにポケットから呼び鈴を取り出した。

「……もうっ。お兄様ったら」

 鳴らそうとしたとき、さっきまで意識を失っていたはずの咲耶の声がした。

 驚いて勝沼が咲耶の方を向くと、身体を起こして乱れた髪と服を直していた。

 こちらの視線に気づいて、手を止めてちょっと睨むように視線を返してきた。

「お兄様。やっと私の気持ちに応えてくれたのは嬉しいけど、これはいくらなんでもいきなりすぎるわ」

 だが、本気で腹の底から怒っているようにはあまり見えなかった。

「おまけに膣内で出して………それは、私だってお兄様の赤ちゃんなら産んだって構わないわ。でも、それはまだずっと先の話よ。ちゃんと2人で暮らせるようになってからじゃなくっちゃ」

 しかし、勝沼の後ろの壁に掛けられた時計の針が目に入ると、

「あら。もうこんな時間なの? それじゃあ帰らないと。
………お兄様。ちょっと向こうを向いてくださる?」

 完全に予想外の反応に動転していた勝沼は、つい言われるままに咲耶に背を向けてしまった。

 兄の視線がなくなると、改めて止まっていた手を動かし、身繕いをしていく。

 だが問題は下着だった。兄の唾液に精液、それに破瓜の血と愛液と、さまざまな体液が混じり合って染み込んだものを穿いたままで帰るというのは具合が悪い。

 おまけに今も少しづつだが血と精液の混合液が中から沁みだしてもいた。

 ちょっと考えた後、あることを思い出してベッドの脇に置かれていた自分の小さなバッグを開いた。そして奥の方からピンク色の可愛い小袋を取り出す。

 万一、急に始まった時のことを考えていつもバッグに入れてある生理用のナプキンショーツがそこには入っていた。

 下着を脱いで替わりにそれをあてると、汚れて濡れた下着を小さく折り畳んで小袋に入れた。

「でもお兄様も初めてだったんでしょうし、加減がわからなかったのも仕方ないのかしら。………だから、今度だけは許してあげるわね、お兄様。
さ、もうこっちを向いてもいいわ」

 言われて向き直ると、すっかり何事もなかったかのように服装を整えた咲耶の姿があった。

「それじゃあまたね、お兄様。また機会があれば、今度は優しくしてちょうだい。
……………ちゅっ。」

 顔を寄せてきたかと思うと、頬に一瞬軽く口付け、赤い顔でさっと身を翻した。

「お、おい! 咲耶!」

 慌てて勝沼が呼び止めると、ちょうどドアのところで足を止めて振り返った。

「ありがとう、お兄様。私を送ってくれるって言うんでしょ。でも今日はいいわ。
………だって、さすがに今はなんだか恥ずかしいもの」

 だが、何を勘違いしたのか一方的にそんなことを言うと、そのまま出て行ってしまった。

………バタン

 玄関の扉が閉まるのとほぼ時を同じくして、壁を抜けて古手川が勝沼の前に姿を現した。

「お、おぼっちゃま? どうなさいました。あの少女は帰ってしまいましたぞ?」

 勝沼は、ベッドにもたれるように座り込んだまま、片手で額を押さえてぼうっとしていた。

「なんというか………妙に精神的に疲れた。しばらく休む」

 そう言うと、ベッドの上で横になってしまった。




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