私は21歳以上です。



 『くの一忍法修行(謀略編)』
                        作:Biscuit

 この作品は本HP掲載中の「くの一の忍法修行」の作品にヒントを得て、
 新たにbiscuitさんが書き下ろしたものです。設定や登場人物名が同じ
 ですが、全く新しい作品世界が広がっています。私の「本編」「番外編」
 ともどもぜひご覧下さい。                (Midway)


 伊賀の国、その山間にあるひとつの村がある。一見すると何の変哲もない村に見
えるが、実はお婆様と呼ばれる頭領に率いられた女忍者、くの一、正確にはくの一
の卵達、の隠れ里である。頭領以外は、すべてうら若い娘達であった。娘達はお婆
様の指導の元、日々厳しい鍛錬に勤しんでいた。

 そんなある日、里の中心にある一軒の家で、庵を挟んで二人の女性が座っていた。
一人は女性と呼ぶにはかなり年をとっており、もう一人は女性と呼ぶには若い気もす
る。

「お婆様、なぜ、そのようなことを我らが?」

楓は疑問を感じ、くの一の頭領に訊ねた。

「我らの里は、ご依頼のあった方の父君にひとかどならぬ恩義があるのだ。我らが

今こうしてあるのもそのお方のおかげなのじゃ」

「そうでございましたか」

「みずきやこつぼの修行にもなるじゃろう」

「はっ、わかりました」

楓は頭を下げた。



 楓は街道を見下ろす森の中に潜んでいる。楓の後には三名のくの一が控えてい
る。楓からは見えないが、辺りには他に三名のくの一がいる。楓の左方に、ふっと
人の気配がした。みずきだった。

「もうじきここに来ます」

「わかった」

楓は短く答え、襲撃の準備をした。みずきも側で同じく準備をした。みずきは性技で
はいまひとつだが、武芸や尾行などはもう一人前と言ってもよかった。先日の「みの
むし」でなさけない姿を曝してしまったことの名誉挽回のつもりだろうか、他の者より
も張りきっている。

しばらくして、目標となる人物(正確には二人だが)が来た。計画はこうだ。街道で
目標を捕らえ、近くの山小屋に連れ込む。そして・・・
先に楓達が相手の前に立ちはだかった。そして、残りのくの一達も現れた。

「何やつ!」

一人は侍姿で、年のころは二十代前半か、もう一人は十代半ばの美しいがまだあ
どけなさの残る娘だった。

「あ、兄上!」

「雪絵、後ろに下がっておれ」

男の名は小野瀬新之助、ある用事で妹の雪絵と隣町に行った帰りである。新之助
は刀を抜き構えた。その構えには隙がなかった。

楓は新之助との間合いを詰めていく。相手はなかなかの腕前のようだ。うかつには
手を出せない。相手を殺すのなら簡単だ。だが、今回の仕事は・・・

(お婆様、相手が強いのなら強いと言ってくださればよいものを・・・これも修行のう
ちか)

楓は心の中で、頭領に文句を言ってから刀を抜き、新之助に切りかかった。だが、
新之助はいとも簡単に楓の剣を受け止め、横あいから飛んでくるみずきの鉄鎖をも
はね返した。他のくの一達の攻撃も軽々とかわしていく。

(仕方ない・・・)

楓は新之助に突進するように見せかけ、すんでのところで跳躍し、雪絵の側に着地
すると同時に雪絵の喉元に剣を突き付けた。

「しまった!」

新之助は自らの敗北を悟った。

「この女を殺されたくなかったら、刀を捨てておとなしくしろ」

楓の声が響いた。雪絵は顔を真っ青にしながら立ちすくんでいる。新之助には選択
の余地はなかった。刀を捨てると、忍びの者が近付き、顔に湿った布を被せた。軽く
つんとする臭いをかいだ瞬間、意識が遠のいていくのがわかった。



 新之助と雪絵が楓に出会う一月前、新之助の屋敷。

「兄上、わたくしは嫁になど行きたくはありません。わたくしは、ずっと兄上のお側に
いとうございます」

雪絵はきっと新之助を見つめた。

「なにを馬鹿なことを言っておる、相手は家柄もよく、評判の良い男だ」

「そういうことではありません」

雪絵は言い張った。

「俺も父もそなたの父君に約束したのだ。そなたを幸せにすると」

新之助は雪絵を見つめ、言った。

 新之助と雪絵は本当の兄妹ではない。新之助の父と雪絵の父は古くからの友人だ
った。雪絵の母親は早くに亡くなり、父も雪絵が九つの時に亡くなった。雪絵が幼かっ
た為、家を継ぐことが許されず、行き場のなくなった雪絵は新之助の父に引き取られ
たのである。

 雪絵の父の病床での最後の言葉は新之助の父と新之助に対しての「雪絵をよろし
く頼む」であった。新之助も新之助の父も雪絵を本当の妹、娘のように可愛がり大切
にした。昨年、新之助の父が亡くなる時の最後の言葉も「雪絵をよろしく頼む」であっ
た。

 喪が明けてから、新之助は雪絵の嫁ぎ先を探し始めた。この時代、女子の一番の
幸せは良い家に嫁ぐことである。だが、家柄がよくても、当の本人の性格が悪くては
困るので嫁ぎ先はなかなか決まらなかった。それでも、ようやく新之助の御目がねに
かなう相手を探し出し、強引に婚礼を決めてしまった。



「!」

新之助は意識を取り戻し、自分の置かれている状況を見て驚愕した。山小屋の中の
ようだが、なんと全裸でしかも手足は床に縛り付けられているのだ。

「あぁっ、あああっ」

艶かしい声がした。そちらに顔を向けてまたもや驚愕した。後手に縛られ、身に着け
ている物は白足袋だけという姿の雪絵が、同じように足袋だけの格好になっている
女二人と絡み合っている。一人は雪絵に接吻しながらその可憐な乳首を弄び、もう
一人は、意外にむっちりとした雪絵の両腿を大きく広げ、女陰にむしゃぶり付いてい
るのだ。

くの一が習得する性技は、男相手のものだけではない、女相手のものもある。主に
口、指で行うものが多いが、なかには刀の柄や筆など身近にあるものや男根の形を
した木型を利用する技もある。

「ああぁっ、だ、だめ、もう、あああっ」

雪絵は大きく喘ぎ、真っ白い身体を薄く桃色に染めている。それもそのはず、女陰に
むしゃぶりついているのはこつぼなのである。舌を細長くし膣の奥まで差込み、クネ
クネと動かしながら、指で陰核と菊門を刺激する。

(この娘、まだ未通女だが、手淫はやってるな・・・)

こつぼは雪絵の身体の反応を見ながらそう思った。

「雪絵!」

「あ、兄上、ああっ、ああっ」

「なんだその姿は!恥を知れ!」

新之助は、あられもない雪絵を見て、叱咤した。

「ああぁっ、あああぁぁ、あ、兄上、も、申し訳、ありま、せん、でも、ああっ」

「妹を離せ!」

新之助は周りのくの一達に叫んだ。

「妹だと?嘘をつくな!おまえらが隠密なのはわかっているんだ」

側に立っている楓が嘲る様に言った。

「隠密?人違いだ!俺は小野瀬新之助、そっちは妹の雪絵だ」

新之助は言い張った。その間にも、雪絵へのみずきとこつぼの責めは続いている。
雪絵は汗にまみれ、今にも気をやりそうな状態だ。

(そろそろいいか)

こつぼは雪絵の口と乳首を弄んでいるみずきに合図を送った。こつぼとみずきは新
之助から雪絵を良く見えるようにすると、雪絵を一気に責めたてた。みずきは雪絵の
乳首を吸い上げ、もう一方の乳首を指で弄び、こつぼは雪絵の陰核を吸い上げ、膣
と菊門に指を差し込み卑猥に動かす。

「ああっ、いや、もう、だめぇ」

「雪絵、我慢するんだ!」

「あぁっ、だ、だめ、い、いっちゃう、あ、兄上、見ないで、ああ、あっ、あああぁぁっ!」

雪絵はその瞬間、身体を反らしながら大きく叫んだ。

新之助は眼前の光景に呆然としてしまった。これまで新之助は、雪絵は血が繋がっ
ていないとはいえ妹であり、女として見たことはなかった。それに婚礼を薦めながらも、
心のどこかで雪絵をまだ子供だという気持ちもあった。

だが、無理やりとはいえ雪絵が気をやるところを見てしまい、女であるということを実
感した。すると、どうしたというのか、新之助の男根が勃ちはじめている。

「男、どうした?勃っているぞ」

楓がからかうように言った。

「い、いや、こ、これは」

新之助は慌てた。しかし、慌てれば慌てれるほど勃起は止まらない。ついに男根は腹
に付くほどにそそり立ってしまった。七寸近い長さの立派な一物だ。

「おまえはさっき、この女が妹だと言ったな。だったら妹が気をやるところを見て興奮し
たのか?それじゃ、獣だな」

またもや、からかうような楓の言葉。

「ち、ちがう!」

「ならば、兄妹というのは嘘ということになるが」

「ちがうんだ」

新之助はどうすればよいかわからなかった。

「あっ、な、何をするんだ」

楓は左手でやんわりと新之助の男根を握った。

「気持ちいいのか?」

「そ、そんなことはない」

「ほう、そうか」

そう言うと楓は丹念に男根を擦り出した。それは端から見れば、ただ擦っているよう
に見えるが、実は男根の触感と相手の表情や身体の動きを見て男根のどこを擦れ
ばよいか判断し、重点的にそこを責め立てる高度ではあるが、くの一にとっては基本
的な性技のひとつである「筒しぼり」である。

「ああっ」
(気持ちいい・・・)

新之助は思わず声を出してしまった。

「ああぅっ、あああん」

楓が左手で男根を擦りながら、右手で陰のうを擦り始めたのだ。新之助は腰をくね
らせながら悶えた。

「ほら、妹とやらが見ているぞ」

楓は言葉でも新之助を嬲る。新之助が雪絵の方を見ると、雪絵は気をやった直後の
とろんとした、それでいてなぜか異様に熱い眼差しで新之助を見つめている。

「あ、兄上・・・」
(兄上、気持ちいいのね・・・そんなに大きくして・・・)

「ゆ、雪絵、見ないでくれ」

しかし、雪絵に恥ずかしい姿を見られていると思うと、ますます気持ちが高ぶってしま
う新之助である。楓は新之助の男根に顔を近付けると、そっと口に含んだ。

「ああっ、あああぁぁ」

新之助は喘ぎながら身体を振るわせた。新之助とて女に男根を咥えられたことがな
いわけではない。遊郭に遊びに行ったり、若後家の相手をしたこともあるたのだ。しか
し、それまでに経験した女とは全く違っていた。床に縛り付けられた身体を激しく揺す
り悶える。

「ああっ、ああぁぁ」

いつの間にか、みずきとこつぼが雪絵への愛撫を再開していた。

(あ、兄上・・・)
「ああ、いい、いいの、すごくいいの」

雪絵はもはや快楽を抑えようとはしなかった。大きく喘ぎながら、乳と女陰をみずきと
こつぼの手に押し付けていく。楓が新之助の男根から口を離し、みずきとこつぼに合
図を送った。するとみずきとこつぼは雪絵を抱え上げ、新之助に跨らせた。

「な、何をする気だ!」

新之助はそう言ったものの、くの一達がなにをする気かは明らかだった。新之助の男
根が雪絵の女陰に触れる。

「やめろ、やめてくれ、雪絵はもうじき婚礼なのだ。こんなことしたら・・・」

「まだ芝居をする気か?婚礼が近いのならばちょうどいいだろ、兄であるおまえが男
を教えて嫁に出してやれ」

楓は笑うように言った。こつぼが新之助の男根を握り雪絵の膣にあてがう。

「はっ、ああっ、ああ」

雪絵は軽く喘いだが、抵抗はしない。

「や、やめろ!」

新之助は叫んだが、みずきもこつぼもやめない。

「ああああっ、あああ」

新之助の男根が半分ほどまで雪絵の膣に入った。新之助はなんとか男根を抜こうと
もがいた。みずきとこつぼがさらに力を入れようとした時だった、雪絵は耐えられなく
なったのか自分から腰を落とした。

「ああああああぁぁ」

新之助の長大な男根は雪絵の子宮まで届いた。途中、なにかを裂くような感覚を残
して。不思議と雪絵の顔には嫌悪感はなかった。一方、新之助の顔には絶望感が浮
かんだ。雪絵と交わってしまった。雪絵の許婚や家人にどう顔向けすればよいのか。
そんなことが頭を過ぎった。

だが、次の瞬間、そんな思いは消えた。みずきとこつぼが雪絵の身体を上下、前後に
動かし始めたのだ。それと同時に新之助の下半身に強烈な快感が広がった。未通だ
った雪絵の膣は驚くほどきつかった。

「ううっ、うううう」

新之助は歯を食いしばって耐えた。一瞬でも気を抜けば射精してしまいそうだ。だが、
みずきとこつぼはさらに雪絵の身体を動かす。しかも、雪絵の乳や女陰を刺激する。

(も、もう、だめ・・・)
「あああっ、ああ、いいの、兄上、ああ、雪絵、すごくいいの!」

雪絵は大きな声を出し、自ら腰を激しく動かし出した。

「ゆ、雪絵、や、やめるんだ、ああっ」

新之助は口では雪絵にやめるよう言ったが、雪絵のあまりもの破廉恥な姿に我慢で
きなくなったのか、下から猛烈な勢いで腰を突き上げた。

「あん、あん、ああ、あん」

雪絵は新之助の突きに合わせるように尻を振った・・・

くの一達は雪絵と新之助から離れ、二人を見つめていた。いつ縄が解かれただろうか、
雪絵の手は自由になっていた。雪絵は自由になった両手を新之助の厚い胸に置き、つ
い先ほどまできれいに結わえられた髪を振り乱し、身体全体を赤く染め、汗まみれにな
りながら激しく腰を振っていた。やがて二人に頂上が近づいてきた。

「ああっ、あ、兄上、ああっ、雪絵、気を、気をやりそうです、ああぁぁ」

「お、俺も、いきそうだ、ああっ、雪絵、いいぞ、ああっ」

新之助も顔を真っ赤にし、狂ったように腰を突き上げている。

「ああっ、いく、いくぞぉぉ、あああぁ」

新之助は叫び、腰を突き上げながら雪絵の中に射精した。

「ああっ、熱い、ああぁぁ、あ、兄上ぇぇ、ああああぁぁぁ!」

雪絵も膣の奥深くに熱い樹液がかけられるのを感じながら絶頂を迎えた。

(意外にあっけなく終わったな)

楓はそう思ったが、違っていた。

「雪絵、早く俺から退くんだ!何をしておる」

気をやった直後の虚脱感から戻ると新之助は、自分の上に臥している雪絵を叱りつけ
た。雪絵はなぜか悲しげな顔をしながらも、新之助の身体から離れた。

(この男、しぶといな、あれをやるしかないか)

楓はみずきとこつぼに合図した。楓ら三人は、新之助を床に縛り付けていた縄を解くと、
新之助を四つん這いにし、再度床に縛り付けた。新之助も縄が解かれた瞬間、暴れた
が、激しく気をやった直後であり、また三人のくの一に押さえられたせいもあり抵抗でき
なかった。

「うわっ、なにをするんだ!」

楓が新之助の菊門に指を入れた。

「おまえ、まだ尻を使ったことはないんだな」

「あ、当たり前だ、ああっ、やめろ」

楓はゆっくりと指を前後、上下、左右、そして回すように動かし出した。

(この男、なかなかいい尻をしてる)

「あっ、あぅ、あああっ」

新之助は生まれて初めて味わう感覚に酔いしれた。

「ああぁっ」

雪絵の声がした。新之助が雪絵を見ると、何かを身体に着けられようとしている。その
何かとは男根の形をした木型が獣の皮に取り付けられたものだった。よく見ると皮の内
側にも男根の形をした木型が付いている。それは「二股殺し」と呼ばれるもので、主にく
の一同士で性技の鍛錬をする時に使用するものであった。

「ああっ、ああああぁぁ」

みずきとこつぼが木型を根元まで雪絵の膣に挿入した。二人は皮を雪絵の腰に縛り付
け、雪絵を抱き上げると新之助の背後に跪かせた。ちょうど、木型が新之助の菊門に当
たるように。

「な、何をする気だ!」

新之助は叫んだが、またもやくの一達が何をする気かは明らかだった。逃れようともが
く新之助を楓が押さえつけ、みずきとこつぼが雪絵の腰を掴み、木型を新之助の菊門
に挿入した。

「うわぁぁ」

その瞬間、新之助は叫んだが・・・

「?」

新之助は激痛に見舞われると思ったが痛みはなかった。ただ痺れるような感覚がす
るだけだ。これは楓が先ほど新之助の菊門に指を入れた為である。未通の膣や菊門
に指を挿入し周囲の筋肉の緊張を解き、わずかな時間で性感を開発するというくの一
の性技のひとつである。その名は「筒ならし」。

雪絵が未通女だったにもかかわらず新之助の長大な男根でよがり狂ってしまったの
も、直前にこつぼが雪絵に「筒ならし」をしていた為である。そして、痺れるような感覚
が退いていくと、強烈な快感が湧き上がってきた。

「あああっ、ああああっ、ああああぁぁ、いいぃ」

新之助は耐えきれず喘いでしまう。みずきとこつぼは雪絵の腰を掴み新之助の尻に打
ちつけた。

「ああっ、あああ、ああっ、あああ」

自分の膣の中にも木型が入っている雪絵も大きな喘ぎ声を出している。

「兄上、いい、すごくいい、ああぁぁ」

みずきとこつぼは雪絵の腰をさらに早く動かす。すると、とうとう、雪絵は両手で新之助
の尻を掴むと自ら腰を新之助の尻に激しく打ちつけた。

「ゆ、雪絵、ああっ、やめてくれ、ああっ」

新之助は全身から汗を出し喘ぎながら叫んだ。

「あ、兄上、ああっ、兄上、あああぁぁ、いいぃぃ、いいのぉ」

雪絵は何かにとりつかれたように髪を振り乱し腰を振る。

「や、やめて、ああぁ、ああぁ、ゆ、ゆるしてぇ」

新之助は女子のような言葉を出して許しを乞う。だが、雪絵は口から涎を垂らし狂った
ように腰を振りつづける。

「うぉ、うぉ、ううううぉぉぉ」

やがて、あまりの快感に喘ぎ声さえ出せなくなった新之助はうめいているばかりになっ
た。目からは大粒の涙が溢れている。

「あああっ、あ、兄上、雪絵、気を、やります、ああっ、ああああぁぁぁ!」

雪絵は身体を大きく反らして絶頂に達した。

「ああああぁぁっ、いっ、いっ、いっちゃう、ああああぁぁぁ!」

新之助も雪絵の絶頂が伝わったのか、雪絵にわずかに遅れ絶頂に達し、床に白濁の
液を撒き散らした。新之助が床に臥すと雪絵がその背中に抱きついてきた。


 その時、物音がした。新之助は朦朧としながらも顔を向けると小屋にくの一が入って
来て、楓に何やら耳打ちする。

「まことか!」

楓は驚いたように新之助と雪絵を見た。

「そなた達、隠密ではなかったのだな、すまないことをした」

(だから言ったじゃないか・・・)

新之助は心の中で言った。

「我らは先を急ぐゆえ、これにて失礼する」

楓がそう言うや否や、いつの間にか服装を整えたみずきとこつぼが雪絵を新之助から
引き剥がし床に横たえ、淫具を取り外し、新之助の縄を解いた。楓は小屋から出ようと
したが,戻ってくると懐から紙の包みと竹の水筒を取り出した。

「これは我らくの一が使う気付け薬だ。毒ではない。安心してくれ」

そう言うと、二人の側に竹の水筒と包みを置き小屋から出ていった。

新之助は動けなかった。すると、雪絵がおもむろに起き上がり、紙の包みを開き、中の
薬を半分ほど口に含み水を飲んだ。そして、残りの薬と水を口に含むと新之助に口づけ
し、新之助に飲ませた。新之助が薬と水を飲み終わっても、雪絵は唇を離そうとしなか
った。新之助も雪絵を強く抱き締めた・・・



 それから十日余りすぎたある日の昼下がり、町外れの茶屋に入っていくお婆と楓の
姿があった。茶屋の女中に名を告げると部屋に通された。相手はすでに来ていた。相
手は畳に手を付き深く頭を下げた。

「この度は本当にありがとうございました。おかげですべてうまくいきました。なんとお
礼を言ったらよいか」

「お礼などと。我らが今あの里で暮らしていけるのも亡きお父君のおかげです。そのお
方のご息女のお願いとあらば、いかなることでもいたすのは当然のこと」

お婆はいくらか慌て気味に答えた。

「これはほんのお礼です」

そう言うと相手は布に包まれたものを差し出した。

「いや、このようなことをされては」

「わたくしの気持ちです」

「そうでございますか。では、ありがたく頂戴いたします」

お婆はその布に包まれたものを頭を下げながら受け取った。

「でも、殿方というものはおかしなものですね。あれほど嫁に行けと言っていたのが今
では夜毎わたくしをお求めになられて、絶対に嫁になど出さん、ずっと俺の側にいてく
れとおっしゃって」

「それはよろしゅうございましたな」

「ええ、いずれは正式に婚礼を挙げるつもりです」

そう言って、微笑む顔は雪絵のものであった。しかし、楓が十日あまり前に見たあどけ
なさの残る娘のものではなく、妖艶ささえ漂う女のものであった・・・



 お婆と里に帰る道すがら、楓は茶屋で見た雪絵の顔を思い浮かべた。あの顔は、愛
しい男に身も心も愛されている満ち足りた女の顔であった。

(わたしもあのような顔をする日が来るのだろうか・・・)

「楓、なにをぼんやりしておる、置いて行くぞ」

気付くと、お婆に数歩遅れていた。

「はっ、申し訳ありません」

楓は物思いを断ち切るように走った。
楓は伊賀のくの一。

 (終)

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