第十三話「ポンツウェイン卿の触手」

 

 シーツの中にくるまり、R・カノンは昨晩のことを思い出していた。少女が見るもおぞましい怪物に犯され、殺される。自分もやがてはあんな目に遭うのだろうか?少女は不安と共にシーツを握りしめ、胸元にぐっと引き寄せた。

 そして、もう一つ思い出される昨晩の出来事。殺人現場を目撃したR・カノンは恐ろしさのあまり動けないでいた。そこに、R・カノンが最初に目にした男、アートマンが通りかかったのだ。R・カノンは恐怖に身を縮ませたが、意外にも、アートマンは自室に戻るように指示しただけで、他の事には触れなかった。結局、R・カノンは脱走を諦め、自室に戻って朝まで悶々と過ごしたのである。

 軽いノックの音。

 どうやら、R・アザレアとR・ロベリアだろう。カノンは返事をせずに、両者が部屋の中に入ってくるのを待った。

「どうです、今朝の御気分は?昨晩はよく眠れましたか?」

 R・アザレアが入ってきた。ワゴンを押したロベリアも後に続く。

 シーツから僅かに顔を覗かせるR・カノン。R・アザレアがその様子にくすりと笑みを洩らす。

「昨日………、」カノンが躊躇いがちに声を出す。優しく首を傾げるアザレア。

「昨日、お化けを見たの」

 カノンの言葉に、アザレアがロベリアと顔を見合わせる。

「………う、嘘じゃないのよ」シーツから顔を出すカノン。

「誰も嘘なんて申していませんよ。R・カノン様はエインセルを御覧になったのですね?」

 アザレアの言葉に、カノンは昨晩の白い靄が名乗った言葉を思い出した。

「アザレアもあのお化けを見たことがあるの?」

 問い掛けるカノンに、アザレアはかぶりを振る。

「いいえ、エインセルはタイプ・カノンの前にしか姿を現さないのです。何故かは分かりませんが。悪戯をするわけではないようなので、悪いボギーというわけでもないでしょう。放って置いても大丈夫ですよ」

 アザレアはそう言って、ベッドからカノンを助け起こす。

「ボギー?」首を傾げるカノン。

「ええ、ボギーです。私の生まれたところでは、悪い妖精のことをボギーとかボゲードンとか言うんです」

「………生まれたところ?」アザレアの言葉に、R・カノンは更に首をひねった。

「あ、………ああ、そうでしたわね。R・カノン様は昔の記憶がなかったのでしたね。………ここで造られたアンドロイドは皆、人間の、………オリジナルの記憶を受け継いでいます。殿方に、より人間らしい反応を楽しんでもらう為なのでしょう。でも、何故かあなたのタイプは記憶が受け継がれない。アートマン様達はそれが為に随分苦労なさっている御様子ですが、あなたが一番御存知のように、未だにそれは解決されていません」

「尤も、記憶など受け継いでいない方が良いのかも知れませんが………」アザレアは口の中で小さく付け足す。

「アザレア、今日はポンツウェイン卿のお相手でしょ?R・カノン様にはどんな衣装を着てもらおうか?」

 重くなった空気を見て、R・ロベリアが話題を変える。

「ポンツウェイン卿?」カノンが質す。

「そう、ポンツウェイン卿。偉そうな名前ですよね。何でも昔のブリトニアの………えっと、なんだっけ、あ、そうそう、コーンウェル地方だか何だかの領主だったんですって。でも、ほんとの事かどうか………。ここには上院議員様だの司祭様だの、偉そうな肩書きの人が大勢出入りしていますからね。でも、みんな、ほんとの事かどうか分からないんですよ」

 ロベリアの言葉に、カノンはただ、はあはあ成る程と頷いた。文字通り、まだ生まれて何日も経っていないので、右も左も分からない。

「そんな事より、これなんかどうかしら?」

 R・アザレアはクローゼットから黒いレザーの衣装を取り出した。どう見ても胸の部分に覆う物は何もなく、凶悪なTフロントにホックが付いていて、外すと肝心な部分が露出してしまう。しかも、何故だかお尻の部分には尻尾が生えていた。

「そ、それを着るの?」

 困惑するカノン。しかし、アザレアはまるで意に介さない。

「そうですよ。ポンツウェイン卿のお相手をするときは、あまり濡れて困るような衣装は着ない方が良いんです。それにほら、これには猫耳のカチューシャが付いてるんですよ、絶対にお似合いになりますって♪♯」

 そう言って、自分でカチューシャを被ってみせるアザレア。カノンは最早溜め息しか出なかった。

「さあ、衣装が決まったなら、早速お着替えですよ。お支度お支度ぅ♪♯」

 ロベリアはそう言って、ベッドの上のカノンにしがみつき、唇を奪うと押し倒した。手は既にカノンの秘所をまさぐっている。アザレアは苦笑と共にその様子を見ていたが、やはり彼女もベッドの上に上がるとお着替えに参戦した。

 

「今、何と言った?」

 言葉と共に、アートマンの手から鉢が滑り落ちる。土と共にこぼれ出る赤い花。モニターの向こうでは少女が怪訝な顔でこちらを見ていた。

「夢を見たと言ったの」

 少女はアートマンが何故そんなに狼狽しているのか、分からなかった。

「ゆ、夢って、一体どんな?」アートマンが質す。

「怖い夢。とっても、とっても怖い夢………。女の子が裸で吊されてて、………」少女は僅かに顔を赤らめた。「それで、犬みたいな熊みたいな、怖い猛獣に殺されるの」

 アートマンは頭が混乱した。少女の見た夢とは、昨晩、少女のコピーであるR・カノンが覗き見た光景に違いがなかった。しかしながら、果たしてそんな事があり得るのだろうか?夢というものは人間が眠っている間、覚醒時に見たものを脳が整理するために起こる記憶の混乱で、眠りが浅いとき、身体は眠っていて脳だけが起きているときに見ると言われている。しかしながら、少女は今、プログラムに置き換えられた身である。記憶の書き換えは、こうしてアートマンが彼女のシステムを起動させているときにのみ行われる。また、たとえコピ−とは言え、R・カノンの見た光景がオリジナル・カノンの夢となって再現される筈もない。

「すまない、急用を思い出した。今日はこれまでにしてくれないか?」

 アートマンはそう告げると、不満の声を上げる少女を後目に、システムを終了し、ゴールドマンの部屋に向かった。

 礼儀などは打っちゃって、乱暴にゴールドマンの部屋に殴り込むアートマン。部屋を見回して誰もいないことが分かると、そのままずかずかと奥の部屋へ進む。奥の部屋では、ゴールドマンとゼルダ、そして二体の少女アンドロイドがお楽しみの最中であった。

 ゴールドマンは事態を知らないのだから仕方がないが、その狂宴を目の当たりにして、アートマンの頭にカッと血が上る。

「なんて様だ、アルフレドッ!!」

 突然殴り込んできて気炎を吹き上げるアートマンに対し、ゴールドマンは怪訝な表情を向ける。

「何をカリカリしているんだ?アートマン。大体アルフレドってのは何だい?」

 腹の上で悶える少女アンドロイドの胸を揉みしだきながら、ゴールドマンは首を傾げる。ゼルダももう一体の少女アンドロイドと絡み合い、アートマンのことなどまるでお構いなしであった。

「カノンが夢を見たそうだ………」

 憮然と告げるアートマン。その言葉を聞き、ゴールドマンは吹き出し、大声を出して笑った。

「まったく、突然飛び込んできて何を言い出すのかと思えば、そんな冗談を言うために私のお楽しみの邪魔をしに来たのか?プログラムになったカノンが、夢を見る筈がないじゃないか」

 ニヤニヤ笑いながらアートマンに応じるゴールドマン。しかし、アートマンは硬い表情を崩さなかった。

「昨晩、R・グローリアが殺されるところをカノンのコピーが覗いていた」

 アートマンの言葉に、ゴールドマンの眉根がぴくりと持ち上がる。

「どうやらその時の様子をオリジナル・カノンが受け取ったらしい」

「どうやって?」ゴールドマンが質す。

「それは僕にも分からない。昨晩、オリジナルのカノンを起動させたことはないし、そんな報告も受け取ってはいない。第一、コピーとオリジナルの間に交感機能を設けたのか?」 アートマンの言葉に、ゴールドマンは神妙な顔で腹の上で踊る少女を脇へやった。そしてベッドから降りると、テーブルの上に用意されていた紅茶をカップに注ぎ入れ、ひとくち口に含んだ。そして、もう一杯をアートマンに差し出す。

「コピーとオリジナルの間に交感機能を設ける筈などないじゃないか。そんな事をすれば自我の崩壊を招くことになる。コピーはともかく、オリジナルにそんな危険は冒せない。クローニングの基本だろ?」

 そう言うと、ゴールドマンはもう一口紅茶を含んだ。

「まったく、訳が分からない。カノンの記憶は全てアンドロイドの陽電子頭脳にコピーされている筈なんだ。他のアンドロイドは記憶の再現が上手くいくのに、どうしてカノンだけ………。その上、今度は夢を見たときた」

 アートマンはぼやき、渡されたカップを口に運ぶ。上質のアールグレイだ。

「カノンの記憶が再現されないのは、プログラムに書き換えられる前に受けた傷が関係しているんだろう。脳に受けた損傷は思ったほど軽くはなかった」ゴールドマンが応じる。

「神経細胞の再生は上手くいったじゃないか。事実、オリジナルのカノンは記憶に何の損傷も見られない」

「そうだな。そうなると、そこから先は精神科の仕事かも知れないぜ」

「………記憶を思い出したくない何かが、コピーのカノンにはあるというのかい?」

 アートマンの言葉に、ゴールドマンは無言で頷いた。

 

 二人のメイドに連れられて、ポンツウェイン卿の待つ部屋へと向かうR・カノン。猫耳の付いたカチューシャに、鋲の付いた大きめの首輪、そして胸の大きく開いたレザー・スーツを身に纏っている。その衣装はTバック、Tフロントで、お尻には可愛い尻尾が生えていた。

 R・カノンは胸元を庇いつつ、お尻を気にしながら歩いた。完全に露出した白いお尻が、体を動かす度にいやらしく捩れる。

 廊下を歩きながら、R・カノンはなにやら甘い香りが漂ってくるのに気が付いた。

「………何、この香り?」首を傾げるカノン。

「すぐに分かりますよ」R・アザレアがそう言うと、何がおかしいのか、R・ロベリアがくすくすと含んだ笑いを漏らした。カノンは何やらからかわれているようで、憮然とした表情を向ける。

 やがて、ブルームフィールドの時と同じく、とある部屋の前に立ち止まると、R・アザレアは扉をノックした。返事を待たずに中に入るアザレア。途端に、扉の向こうからむせ返るような甘い香りが溢れかえった。

 中に入って、R・カノンは驚いた。部屋の中は蒸し暑く、まるで熱帯の密林の様であった。足下には粘度の高い液体が満たされており、そして、肉色の樹が部屋の中央で座していた。この樹が床には根を、天井には蔦を這い回らせ、甘い匂いをまき散らしているのだ。

「ポンツウェイン卿、R・カノン様をお連れしました」

 アザレアの言葉に木の幹がぱっくりと開き、中から三色の水晶にも似た玉が覗く。

『おお、御苦労。これが噂のカノンか………』

 樹が震え、奇妙な声を出す。と、同時に三色の玉がぎょろぎょろと奇妙に動く。この不気味な樹がポンツウェイン卿なのだ。

 奇妙に動く三色の玉を、カノンは不思議そうに見つめた。玉も、カノンの方を向いてその動きを止める。実はこれがポンツウェイン卿本体の目で、赤、黄、緑の光の三原色を以て、立体を認識するのだ。

『この衣装はアザレアが選んだ物なのか?………ふふふ、私の好みをよく心得ている』

 ポンツウェイン卿の言葉と共に、蔦や根が這い回り、卿の感情表現を肩代わりする。

「恐れ入ります」R・アザレアは会釈すると、足下でいつの間にか鎌首をもたげている根を一本持ち上げた。根の先には切れ目が入っており、アザレアは指でそれを剥くと中から亀頭が現れた。その亀頭を、さも美味そうに頬張ると、喉の奥まで飲み込み、くちゅくちゅと舐め回した。涎が溢れ、白い顎を濡らす。

「カノン様、ポンツウェイン卿の触手はそれぞれ触覚器官や生殖器官になっているんですよ。ほら、これは目玉」

 ロベリアはカノンにそう説明すると、アザレア同様触手の一本を剥いて見せた。成る程、触手の先に目玉が現れ、ぎょろぎょろと辺りを見回す。カノンはぎょっとして目を背ける。そして、足下に鎌首をもたげている触手が目玉であることに気が付くと、お尻や股間を手で覆い隠そうとした。

『ふふふ、可愛いのぉ………』ポンツウェイン卿が呟く。

 すると、目玉の触手が何本も持ち上がり、カノンの身体を舐め回すように視姦する。いたたまれずに身を縮ませるカノン。

「R・カノン様、ほら、怖がってないで、卿のおちんちんを可愛がって差し上げて下さい」

 触手の一本を剥き、カノンに差し出すアザレア。カノンは顔を背け、手を出そうともしない。

「カノン様、卿に失礼ですよ」

 アザレアはカノンを窘めるが、ポンツウェイン卿は意に介してはいなかった。むしろ、カノンの恥じらう様子を楽しんでさえいた。

『ふふふ、構わんさ。その内、嫌でも欲しくなる』

 そう言って何本もの触手を伸ばすポンツウェイン卿。触手はアザレアの手足に絡み付き、彼女の身体を持ち上げる。

「ああん、ポンツウェイン卿、私は今日は案内だけで………」

 身を捩って逃れようとするアザレア。しかし、宙に浮いていては何ともしようがない。ポンツウェイン卿の触手は遠慮会釈無く少女の身体を絡め取り、這い回る。嬌声をあげるアザレア。

『何を言うか、アザレア。この様に淫らな身体のお前を、姿を見ただけで帰せと言うのか?もしその様なことができる男がいるとしたら、それは少女に興味がない同性愛者か、または不能者に違いない』

 そう言うとポンツウェイン卿は、触手をアザレアの下着の中に潜り込ませ、淫裂を撫で回した。そして、ブラウスの胸元を引き裂き、白い乳房をこぼれ出す。乳房を触手でひねり出した卿は、粘液にまみれたそれで、乳首を刺激する。

「お、おやめになって下さいポンツウェイン卿。わ、私はもう………は、はぁうっ!?」 下着の中で触手が暴れる。アザレアは眉根を寄せて必死に快感に耐えた。白い肌が桃色に上気する。

『本当に猥褻な身体だ。何故お前はこうも私の胸を焦がすのだ?』ポンツウェイン卿が溜め息と共に呟く。

「そ、そんなこと……あん、……私に言われましても……あんぅっ!」

 アザレアの下着が引きちぎられ、何本もの触手が殺到する。穴という穴に粘液まみれの触手を押し込まれ、アザレアは気も狂わんばかりによがり泣いた。三つの穴をぐちゅぐちゅと触手が出入りし、汁をまき散らし、体内で暴れ回る。

 その様子を見守るロベリアとカノン。しかしロベリアは堪えきれないと言った様子で、秘所をまさぐり、乳房を自ら揉みしだく。やがてはついに触手の一本を取り上げると、ぬちゃりと自分で淫裂を拡げ、そこに押し込んだ。

「わ、私もぉ………」

 熱に浮かされたように、腰を揺するロベリア。するとロベリアにも触手は絡み付き、アザレア同様、幼気な身体を蹂躙し始める。

「はぅんぅっ!!き、気持ち好いのぉ………」

 歓喜の悲鳴を上げるロベリア。

『どうした、カノン?お前はまだ欲しくはならないのか?』

 ポンツウェインの言葉に、カノンは顔を背ける。

『ふふふ、やせ我慢をするな。この香りには催淫効果がある。どんなにやせ我慢しても、抗いきれるものではないぞ?それが証拠にお前の乳首はもうこんなにしこり立っているではないか………』

 触手の一本が乳首に触れ、カノンは小さな悲鳴を上げた。そして、胸に気を取られている間に、別の触手が股間のホックを外してしまう。

「きゃああっ!?」

 思わずしゃがみ込むR・カノン。

『ふぅむ、まだ生えてはいないようだな。白くてふっくらとした土手。僅かにはみ出した花弁。これは舐め甲斐がありそうだ………』

 その言葉通り、どろりとした触手が足下から現れ、下からカノンの淫裂を触れた。

「やぁっ!?」

 カノンは慌ててお尻を庇うが、触手は一本ではなかった。何本もの触手が鎌首をもたげ、目玉をぎょろぎょろと動かしながら少女を視姦する。最早カノンはどうすることもできなかった。一瞬、座り込めば手で胸を庇うだけで済むと考えたが、生温い液体の下には何本もの触手が潜んでいる。進退窮まるカノン。

『それほどまでに嫌がることも無かろう?お前のあそこからは、先程から蜜が滴っているではないか?欲しくて堪らないと、顔に書いてあるぞ?』

 ポンツウェインの言葉は嘘ではなかった。事実、乳首触れられた時、強烈な刺激が身体を駆け抜けたのだ。R・カノンは虚ろな目で、宙で演じられている淫らな踊りを見つめた。黒いスカートから白い下半身が露わにされており、肉色の触手が何本も蠢いている。ぐちゅぐちゅと淫らな音が響き合い、二人の少女はつま先を伸ばして、ぴくぴくと身悶える。そして触手と肌が絡み合い、粘液で溶け合い、愛液が糸を引いて滴り落ちる。

 狂宴は確かにカノンの中に甘い疼きをもたらしている。頭の片隅に、あの太いモノが自分の中に入ってきたら、どんなにか気持ち良いことだろうと、ぬめぬめとした触手が身体中を舐め回したら………と、淫らな妄想が膨らんでくる。カノンはそれを抑え込もうとするが、うち消せば消すほどに、淫らな妄想はますます膨らんでくる。

『ほら、カノン、私の物を可愛がっておくれ。一本くらいどうって事はないさ。それに、私が人に見えるかい?これはSEXとは違うんだよ?別にいやらしい事じゃないさ。躊躇うことなんか何もない。一本くらいどうって事はないさ、一本くらい………』

 ポンツウェインが、同じ言葉を何度も繰り返す。まるで呪歌(まじうた)のように………。これはSEXとは違う。一本くらいどうって事はない。一本くらい………。

 甘い香りの立ち込める中、カノンはふらふらと触手の一本に手を伸ばした。剥いてみるとそれは陰茎で、鈴口からは透明な粘液が顔を覗かせている。

 カノンはごくりと唾を飲み下すと、それを舌の先ですくい取った。舌の上にしょっぱい味がじんわりと広がり、それと同時に甘い疼きが胸を掴む。それ自体の味はあまりしなかったが、何か別の処で感じる味があった。渇きを癒す、男の味。

『どうだね、私の触手の味は?』

 ポンツウェイン卿の言葉に、カノンは応えなかった。その代わりに、ポンツウェイン卿の亀頭をぱっくりと口に含む。

 飢えた遭難者のように、カノンは陰茎を必死に貪った。まるでそれしか飢えを癒す方法が無いかのように。喉の奥まで咥え込み、涎が流れるのも構わずに、カノンは夢中になって御馳走を味わった。

 頃合いを感じたのだろう、ポンツウェインの触手がカノンにまとわりつくが、御馳走に夢中のカノンはまるで気にしていなかった。いや、むしろ喜んで受け入れているのかも知れない。触手の一本が淫裂を舐め回しても、甘い吐息を漏らすだけで抗う素振りすら見せはしなかった。

 やがてポンツウェイン卿の触手はカノンの四肢を絡め取り、宙に持ち上げた。大の字に身体を開かせられるカノン。咥えていた触手が離れ、落胆の表情を見せる。

 しゅるしゅると触手が伸び、カノンの乳房を、女の部分をいやらしく舐め回す。

「………あん、くぅっ!?………や、やめぇ……てぇ」

 幼い亀裂をいたぶられ、カノンの白い太股が、ふるふると小刻みに揺れる。

『ふふふ、まだまだ素直ではないな。どれ、これならどうだ?』

「はあんぅっ!?」

 淫核を攻められ、悲鳴を上げるカノン。少女の真珠をポンツウェイン卿は嬉々として、いたぶった。刺激が強すぎるのか、カノンは身を捩って逃れようとする。

『どうだ、カノン、そろそろ入れて欲しいのではないか?』

 眉根を寄せ、かぶりを振るカノン。反意を表しているのか、それとも、快感に耐えかねているのか判然としない。

『おや、まだ駄目か。………しかしな、入れぬ訳にはいかんのだ』

「いやあぁぁああっ!!」

 ポンツウェインの言うとおり、最早、否も応も無かった。一際太い触手が、カノンの小さな花をずぶりと串刺しにする。

 足が突っ張り、身体が小刻みに痙攣する。

 触手はにゅるにゅるととろみ汁をまとわりつかせ、花弁を激しく擦りあげた。

「あん!あっ!………」

 甘い香りの為であろうか、身体が過敏になっており、少しの刺激でも身体が反応してしまう。

「ふぅん、………も、もうやめてぇ」

 くねくねと身を捩り、触手から逃れようとするカノン。しかし、ポンツウェインはそれが少女の本心ではないことを見抜いていた。ぬぷぬぷと注送を繰り返すポンツウェインの肉棒。うずうずとした快感が湧き起こり、じわじわと身体を浸食していく。

『ふむ、カノンはおねだり上手であるなぁ………。仕方ない、これも食べるが良い』

 そう言ってポンツウェインは、更に触手を二本送り出した。一本はカノンの目の前、もう一本は後ろ。

 前の一本がカノンの口にねじ込まれる。

「んむぅっ!?」

 極太の亀頭が少女の口内を乱暴に暴れ回る。

 そして、後ろの肉棒は………。

「いはぁっ!!やへ、やはめぇ………。おひいほいひははひへぇっ!!」

 とろみ汁をすくい上げ、ぬりゅぬりゅと菊門に塗り拡げる。

 排泄器官への攻撃に、カノンは必死に拒絶しようとするが、なにぶん粘液まみれのこと、触手は菊門に頭を潜り込ませ、易々と侵入していった。

『おやおや、ブルームフィールド殿はこちらを手つかずにしておられたとは、………何ともらしくない事よ』

 ぬちぬちと菊門をいたぶるポンツウェイン。排便感の奥に眠る快感。A感覚をカノンが覚えるまで、そう長い時間は必要なかった。

『ふふふ、もうお尻で感じているのか?とんだ淫乱少女だ。さあ、御馳走はまだまだあるぞ?』

 ポンツウェインはそう言うと、無数の触手を殺到させた。入れ替わり立ち替わり、無数の触手がカノンを蹂躙する。身体中のあらゆる性感帯を刺激され、カノンは発狂しそうなくらい感じていた。まるで毛穴の一本一本までも犯されている。そんな錯覚さえ覚えた。 やがて、ポンツウェインの饒舌な口(どこにあるのかは定かではないが)が動かなくなり、触手の動きも早くなっていった。ポンツウェインの部屋は彼の発散する催淫香と、三人の少女の発する甘い体臭で溢れかえり、また、彼女達の洩らす嬌声と、花弁の濡れ悶える音が響き渡る。

 そしてついには少女達は激しい絶頂を迎え、ポンツウェインも白濁液を噴出させた。

 その様は圧巻であった。何しろ何十、何百本という陰茎が、次々に少女の体内に精液を吐き出したのである。ポンツウェインが果てたときには、部屋の中は精液まみれになっていた。無論、その中心にいる三人の少女も。

 力を失った触手は三人を床の上にゆっくりと下ろし、三人の少女は粘液まみれになりながら、荒い息をつき、心地よい絶頂の余韻に浸った。

 ぐったりと身体を投げ出す三人。

 しかし、やがて三人はのろのろと起き上がると、足を時折滑らせながら、互いに近づき、絡み合った。ポンツウェインの媚薬に頭が混乱し、理性が麻痺し、性欲だけが身体を突き動かしているのだ。

 精液の海の中、尚も互いを貪る三人の少女。

 ポンツウェインがその力を取り戻すまで、さほど時間はかからないだろう。

 

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