第十一話「グローリア」

 

 外は嵐。雨がせわしなく窓を叩き、雷鳴が轟く。風に吹かれて木々がざわめいており、時折それらは雷光によってカーテンに不気味な影を映し出す。

 陵辱の果てに気を失ったR・カノン。気が付くと、彼女は自室のベッドの中にいた。幼い膣では未だに鈍痛が続いており、木の棒で刺し貫かれているようであった。

「一、二、………五、六」

 R・カノンはベッドの中で数を数えていた。窓が雷光によって白く光り、次に雷鳴が届くまでの数。要するに、数を数えることによって雷の距離を測っているのだ。勿論R・カノンはどうして雷の距離がそれで分かるのか、また、何故自分がそんなことを知っているのか分からなかった。それが、人間の少女の記憶を受け継いでいるためである等と、到底知り得る筈もない。ただひたすら、少女は悲しみや恐怖をこらえ、嵐が去って欲しいと願うばかりであった。

「……三、四……八」

 これが人間の少女であれば、枕を抱いて母親の部屋をノックし、母親の身体にしがみついて眠れば済むことである。朝になれば嵐は去り、夜と共に不安はかき消される。しかし、少女は一人であった。不安を払い、共に寝てくれる両親は存在しない。

「五、六…………どうして、こんな事に………」

 呟きを洩らすR・カノン。涙が頬を濡らし、頬が強張る。

 その時、何者かがR・カノンの耳に優しく囁きかけた。

「何を泣いているの?」

 R・カノンは驚いて辺りを見回す。確かに人の気配を感じるが、何も見当たらない。

 不審に思い、じっと目を凝らして闇の中を見つめていると、やがて白い影が浮かび上がってくるのが分かった。もやもやとして判然としないが、R・カノンと同じくらいの、金髪の少女に見える。

「………あなたは、誰?」

 少女の誰何の声に、白い影は素直に応じた。

「私は………エインセル(自分という意)。あなたよりも前からこの部屋に住んでいるのよ」

「エインセル?…………あなた、お化けなの?」R・カノンは恐る恐る訊ねた。

「あなた、」白い影の声は不機嫌に言った。「初対面の人に、お化けですかって尋ねるの?それって、とっても、とぉ〜っても失礼だわ!」

「あ、あの、ごめんなさい」戸惑いながらも謝罪するR・カノン。

「それより、どうして泣いてるの?戸棚に隠しておいたクランベリー・パイをネズミにかじられたとか?それとも、夕食に出たビーフ・シチューにお肉が入っていなかったとか?それはとっても悲劇だわ!ビーフ・シチューにお肉が入っていなかったら、それはただのデミグラス・ソースだもの」

 エインセルはそう言うと大袈裟に頭を抱えた。

「違うわ。そりゃあ、確かにクランベリー・パイをネズミにかじられたり、ビーフ・シチューにお肉が入っていなかったら悲劇かも知れないけど、私が泣いているのはそんな理由じゃないわ」

 そういうとR・カノンは毛布をきゅっと掴んだ。忘れていた鈍い痛みが下腹部に広がる。

「それじゃあ、どうして泣いているの?パイやシチューより大切な事ってあるのかしら?」

 エインセルの問い掛けに、R・カノンは咄嗟には答えられなかった。再び涙が頬を伝う。

「………それは、…ここで酷い目に遭わされたから………」

「だから泣いてるの?いつまで?何粒涙がこぼれたら泣きやむのかしら?百粒?それとも千粒かしら?多分、涙がたくさん溜まったら、その涙はあなたを助けてくれるのね?そうでなければ、そんなにぽろぽろ涙をこぼすはずがないもの」

 エインセルの辛辣な言葉に、R・カノンは何事か言い返そうとするが、その時にはもう、エインセルの影は消えていた。

「…………エインセル?」

 返事はない。夢でも見ていたのだろうか?

 やがて少女は、悲しみと不安な気持ちを押さえ込んで寝台から立ち上がった。嘆きは何ももたらさない。もう一人の自分が言っている。喉が渇き、肺を不安が圧迫するが、二、三度大きく息を吸い込んで、それを追い払う。そして、前髪をぐっとかき上げると、まだおぼつかない足取りでドアへと歩み寄り、部屋の外に出た。何をして良いのかは分からなかったが、何か行動せずにはいられなかった。ここを抜け出して、抜け出せたとして、事態が好転するかどうかは分からない。しかし、ここにいることは自分の意志でないことだけは確かだ。

 廊下は暗く、不気味であったが、雷鳴が届かないだけましだろう。もっとも、はたた神と恐怖が生み出す亡霊、どちらがましかは分からないが。

 R・カノンは出来るだけ足音を立てぬよう、息をひそめて進んだ。幸いにして分厚い木製タイルは少女の体重を受け止め、素足であることもそれを助け、軋みすら立てない。しかし、何時、誰と出くわすかもしれない。じっとりと額に汗を滲ませながら、カノンはゆっくりと歩を進める。

 わずか数メートルが、何十、何百メートルにも思える。どの位か進んだところで、扉から光が漏れていることに気が付き、足が止まる。鼓動が早まり、こめかみに力が入る。じじりじりと足を滑らせ、辛うじてドアの側まで近づくと、カノンは肺に溜まって行き場を失った空気を少しずつ、少しずつ吐き出した。何とか呼吸が整い始めると、中の様子を窺えるほどに余裕が出来、耳をそばだてた。

 微かに話し声が聞こえる。内容までは聞き取れないが、男女それぞれの声が聞こえた。カノンは壁に背をつけ、しゃがみ込むと、姿勢を低くして中を覗く。

 すると、そこには驚くべき光景があった。

 

 天井から下ろされた鎖に、黒髪の少女が吊されていた。光沢のある、黒い革の衣装を身に着けてはいるが、衣服としての用を為してはいない。白い乳房は上下に食い込んだ革のベルトによってせり出され、下腹部の茂みも露わにされている。そしてその奥では、凶暴な電動淫具が鈍い呻り声と共に秘肉を掻き回していた。しかも、足を閉じられないよう、一本の棒に足首を固定されており、淫具が内臓で暴れる度に少女は腰を揺すり、蜜を垂れ流す。柔らかなランプの光に浮かび上がる白い裸体。猥褻な衣装。

 カノンはこの光景を淫らで不潔なものだと感じたが、同時にこの少女がとても美しいと感じていた。少女はカノンが理想とする繊細な美しさを持っている。硝子細工の様な儚げな少女。しかし、それが今、淫らな攻めにくぐもった喘ぎ声を上ている。静脈が透けるほどに白い肌が薄暗がりの中で淫らに蠢き、甘い吐息が漏れ出す。肌はほんのりと桜色に上気し、滲み出す玉の汗が滑らかな肌に妖しい光沢をもたらす。

「すっかり出来上がっているようだな、R・グローリア」

 部屋の奥、射千玉の闇の中から男が姿を現す。R・カノンの知らない男だ。

「………ふぅくっ、………ゴー、………ルドマンさま……」

 少女は顔を上げ、涙に滲んだ瞳を男に向けた。瞳の奥には不安と怯えの色が窺える。

「カーペンターが面白いことを言っていたよ」

 ゴールドマンが薄く笑う。唇に張り付いた、形だけの不自然な笑い。

「お前を貰い受けたいというのだ。奇妙な話だろう?アンドロイドであるお前を愛しているというのだ。………まったく、理解に苦しむよ」

 ゴールドマンはそう言うとR・グローリアの陰部に手を伸ばし、バイブを掴んでこね回した。眉根を寄せ、苦悶の表情を浮かべる少女。

「ど、………んふぅ、…どうしてです?アンドロイドが愛されて、何故いけないんです?」

 R・グローリアの言葉に、ゴールドマンの表情から笑みが消える。

「ふん、莫迦莫迦しい。人間とアンドロイドがどうして愛し合える?そんなものは一時の気の迷いだ。カーペンターにはそれが理解できないのだ。所詮アンドロイドは創られた物。真に愛情など理解し得る筈もないし、そんな木偶人形相手に愛などと、滑稽極まりない」

 そう言うとゴールドマンは、部屋の隅に置いてあるテーブルにちらりと視線を移す。テーブルの上には直径三十センチほどの真鍮で出来た筒が置いてあった。

「はんぅ、………わ、私は、私なりに愛情を理解しているつもりです。……んくぅ、私はカーペンター様を愛しています」

「黙れっ!こ、この木偶人形めっ!!」

 アンドロイドの告白に、ゴールドマンは怒り、R・グローリアの頬に平手打ちを見舞った。目が大きく見開かれ、血走り、興奮のあまり汗が滲み出している。

「確かに陽電子頭脳は人間のそれより遙かに優れている。お前は人間らしい感情を見せ、さも人間らしく振る舞うことが出来る。しかし、それは所詮猿真似だ。プログラムがそうさせているにすぎない。それを、言うに事欠いて、愛情を理解しているだぁっ!?人を愛しているだとぉっ!?………プログラムが破壊されでもしたか?」

 うなだれる少女型アンドロイド。その瞳からぽろぽろと大粒の涙がこぼれ始める。

「難しいことはよく分かりません。でも、感じるんです。あの人への愛情を………。あの人を失うことになれば、私は酷い痛みを、心に痛みを感じてしまう。これは、今、私が感じている感情は何なんでしょう?これが愛情でないなら、一体なんだと言うんです?」

 R・グローリアの主張に、ゴールドマンは思わず鼻白む。が、すぐに気を取り直すと、再び薄い笑みを浮かべ、部屋の隅にあるテーブルへと歩み寄った。

「これは何だと思う?」真鍮の筒を取り上げ、ゴールドマンが問い掛ける。しかし、R・グローリアはうなだれたまま返事をしなかった。

「これはオリジナルのグローリアだ」

 ゴールドマンの言葉に、R・グローリアははっとして顔を上げる。

「ROM人格マトリクスと言うのを聞いたことがあるか?人間の記憶をそのまま数値化して情報として保存する技術だ。しかし、人格マトリクスは記憶の書き換えが容易ではないため劣化するし、再生回数も限られており、人間の保存方法としてはまだまだ完全とは言えない。しかし、この金属管は違う。この金属管の中には、人間そのものがエネルギー化されて保存されているのだ。そして今、この中にいるのはお前のオリジナル、即ち本物のグローリアだ」

 ゴールドマンは言いながら筒を玩ぶ。いたたまれずに顔を背けるR・グローリア。

「素晴らしいとは思わないかい?無垢なる少女は電子の世界で永遠の生を持ち得たのだ。ここでは年をとることもなく、老いることもない。そして、このグローリアの記憶を受け継いで造られたのがお前、タイプ・グローリアだ。お前には微かにグローリアの記憶がある筈だ。しかし、それはあくまでもオリジナル・グローリアの記憶でしかない。お前の感情の動きはオリジナルの模倣にすぎない。たとえ愛情を感じていると思っていても、それはグローリアの記憶を元に、そう感じていると錯覚しているだけなのだ」

 ゴールドマンはそう言うと、再び真鍮管をテーブルの上に戻し、R・グローリアの元に歩み寄った。背後から手を伸ばし、乳首を指先で玩ぶ。

「お前は男の欲求を満足させるために造られた性欲処理人形なのだ………」

 囁くゴールドマン。R・グローリアの股間に手を伸ばすと、疑似陰茎を引き抜き、蜜壷をこね回す。

「はぁぅ、………や、やめて下さい」

 身を捩って逃れようとするR・グローリア。しかし、ゴールドマンは執拗に少女自身を攻め立てた。

「お前の感情など数列の羅列に過ぎない」

 陰茎を取り出し、少女の濡れそぼった花弁にあてがう。とろみ汁を絡ませて、ぬちゃぬちゃと花弁の感触を味わう。

「この柔らかな乳房も、いやらしくぬめった花弁も、男を喜ばせるために造られた。ただそれだけの存在なのだ。今、それを思い知らせてやる」

 そう言うとゴールドマンは、少女の愛液でぬめる陰茎を褐色の菊座にあてがった。そうして、ゆっくりと侵入を開始する。痛みを感じて眉根を寄せるR・グローリア。排便感が背筋を伝い、奇妙な感覚が下腹部に広がる。

「あぁぅぐぅう、………お、お尻はやめてぇ!?」

 喘ぐR・グローリア。しかし、ゴールドマンはぐいぐいと剛直を侵入させていく。

「ほら、根本まで入ったぞ」

 ゴールドマンはそう言うと、腰を揺すり始めた。ずるずると腸をえぐられ、少女は悲鳴を上げる。

「すぐに気持ちよくなるさ。もしかするとこちらの方が良くなるかも知れないぞ」

 ゴールドマンはそう言うと激しく腰を振り立た。

「いやぁぁあっ!………んんぅっ!………あんっ、そ、そんなに暴れないでぇ………」

 剛直が菊門をずるずると出入りする度、奇妙な排便感が生じ、得体の知れぬ感覚が沸き上がる。

「どうした、もう尻の穴で感じているのか?とんだ淫乱娘だな」

 そう言うとゴールドマンは、R・グローリアの膝を抱え、更に奥深くへと侵入した。

「ひぁぐぅっ!!」

 呻くR・グローリア。

「どうだ、解ったか?お前は男に快楽をもたらすために造られたのだ。もたらす為だけにな」

 乱暴に少女の体内を掻き回すゴールドマン。R・グローリアは快感のためか、それともゴールドマンの言葉を否定したいのか、額に汗を滲ませて首を振る。

 ゴールドマンはきつい締め付けを楽しみながらも、やがて、熱い精を吐き出した。

「…………カーペンター………さ、……ま」

 嗚咽と共に、少女は呟いた。そして、その小さな呟きはゴールドマンの耳の届き、更なる怒りを買う。

「どうやら、いよいよ本格的にプログラムが壊れたようだな」

 ぐったりとするR・グローリアから離れ、ゴールドマンは天を仰いで何者かに命じる。

「カーペンターをこちらによこしてくれ」

 ゴールドマンは別室でこの部屋を監視している制御官に命じたのだった。どこからともなく制御官の応じる声が響く。

『了解しました』

 暫く後、部屋の奥、ゴールドマンが姿を現したところから、今度は異形のカーペンターが姿を現す。

 が、その醜い姿も、R・グローリアにとっては愛すべき男の姿であった。身を固くしていた少女の顔が和らぎ、その胸に熱いものがこみ上げる。

「カーペンター様」

 再び、少女の口から愛する者の名がこぼれ出る。

 しかし、カーペンターは少女の呼びかけに反応せず、R・グローリアは首を傾げた。

「カ、カーペンター様?」

 再び呼びかけるR・グローリア。

「この男も………」ゴールドマンは言った「今は木偶人形同然だ」

 瞬間、何事かがカーペンターの身に起こったのだと直感し、R・グローリアは大きく目を見開いた。

「この男はもう、お前の事など覚えていないよ。あまりに食ってかかるので、私の良いように再調整したのだ。私が望むのは欲望のままに少女を犯す獣。一体の木偶人形ごときにうつつを抜かす、愚かな男ではないのだ。だから、この男は今や性欲以外の衝動は持っていない。邪魔になる負荷記憶も消去した。ちょっと消しすぎた感もあるが、まあ、何れこの男も、お前同様処分するつもりだったからね、どちらでも構わないさ。それより見たまえ、あの立派な武器を。汁を垂らして青筋を立てている。どうだ?ぞくぞくするだろう?あの大きな武器ではらわたを掻き回されたら、どんなにか気持ちが好いことか」

 ゴールドマンは冷酷な笑みを浮かべた。

「悪魔っ!!」

 少女は吐き捨てるように呟いた。しかし、ゴールドマンは愉悦に歪んだ顔を見せるだけで、まるで意に介さない。そして、少女の匂いを嗅ぎつけたカーペンターは、鼻を鳴らしながらグローリアの元に歩み寄る。

「そうだ、カーペンター。それこそがお前にとって最高の御馳走だ。存分に味わうが良い」 大きく笑い声を上げるゴールドマン。カーペンターはまるで聞いておらず、グローリアの小さな足に顔を寄せる。そして、興奮した様子でそれを口に含む。指をしゃぶり、涎を垂らしてふくらはぎを舐め回す。やがて舌は太股を這い上がり、甘い蜜を湛えた果実へと到達する。

 口を大きく開け、果実を頬張る淫獣。太股を抱え上げ、顔を埋め、相手を感じさせようという気もなく、ただひたすらに、無心に淫裂をしゃぶる。ざらざらとした舌が花弁全体を舐め回し、身体の中を蠢き、暴れる。

「はぁんぅ、………カーペンター様、……あんっ!……お、お願いです……、……これ以上は…や、……めぇ」

 切なげに身を捩るR・グローリア。意思とは無関係に、甘い息が洩れ出る。

 やがて、少女の蜜を堪能したのか、カーペンターは立ち上がり、柔らかな乳房に顔を埋めた。まるで赤ん坊のように、ちゅうちゅうと音を立てて乳首に吸い付く。そうして、痛いほどに勃起した陰茎を片手で支えると、柔らかくほぐされた蜜壷に突き立てた。 

「あぅぐぅっ!!」

 丸太のような陰茎をねじ込まれ、R・グローリアは眉根を寄せる。

「例の機能を始動させろ」

 今まで、事の成り行きを見守っていたゴールドマンだったが、突然、制御室へ司令を送った。

「うがぁぁぁああっ!!」

 突然、咆哮を上げるカーペンター。と、同時に激しく腰を動かし始める。淫水が溢れ、泡を持った飛沫が飛ぶ。

「あっく、こ、これは、はぁぁぁあんっ!?」

 カーペンターの突然の変わり様に、R・グローリアは戸惑いの声を上げるが、激しく攻められて顔を仰け反らせる。

「ふふふ、どうだ、交感機能の効果は?今、お前とカーペンターは、文字通り感覚を共有しているのだ。お前を犯しているのはお前のペニス。カーペンターに犯されているのはカーペンター。………男と女、同時に二つの快感を味わえるのだ。これほどの快楽は他にあるまい?もっとも、男のオルガは女のそれに比べて貧弱なものだが、なに、カーペンターの方も射精によるリミッターは外してあるから、いくらでも絶頂を味わうことが出来るぞ」

 ゴールドマンの言葉は、絡み合う二人にはもはや届いてはいなかった。必死に快感を貪るカーペンター。そして、その感覚はそのままR・グローリアの脳に到達する。存在するはずのない器官からの感覚、自分を犯し、玩ぶ自分。カーペンターが腰を動かし、快感を得ようとすればするほどに感覚は逆流し、更なる快感が二人を襲う。そんな快楽地獄のなか、R・グローリアは菊座に違和感を感じた。カーペンターがもう一つの陰茎、尻尾に備わったそれをあてがっているのだ。逃れようと藻掻くが時既に遅く、くちなわは狙いを定め、褐色のすぼまりに潜り込む。

「や、はぁあっ!?………いやぁっ、………あんぅっ!………お、お尻は………あんっ!!だ、だめぇっ!!」

 悲鳴を上げる少女。しかし、もう一つの陰茎は体内奥深くをずるずると擦り上げ、その感覚はやはり少女にも伝わり、快感が背骨を擦り上げ、電流を走らせる。

「あ、頭がおかしくなるぅっ!!………はんぅっ!………変になっちゃうっ!!……あんっぅ、あん、あんぅううっ!!!も、もうやめてぇっ!!」

 顔を真っ赤に、泣き叫ぶR・グローリア。左右に首を振り、がくがくと痙攣し、男の背中に爪を立てる。

 やがて絶頂を迎えるが、カーペンターは動きを止めなかった。自らも射精しながら、剛直は勢いを衰えさせない。どろりと濃厚な樹液が太股を滴り落ちる。絡み合った二人は、もはや一つの生き物のようであった。手足が絡み合い、肌が吸い付き、お互いを貪り合う。

「どうだ、R・グローリア。愛する男と文字通り、身も心も一つになった気分は?これが破壊され、廃棄されていくお前へのせめてもの手向けだ。愛する男の手に掛かって、絶頂のうちに破壊されるがよい。………やれっ、カーペンター!!」

 ゴールドマンの号令と共に、野獣の手が少女の白い喉へと伸ばされる。

「………な、なにを?…ぐぅっ………」

 太い指が柔らかな喉へと食い込み、R・グローリアは苦悶の表情を浮かべた。しかし、カーペンターはそれでも腰を振ることを止めなかった。想像を絶する快感は依然続いており、苦しみと快楽が同時に少女を襲い、翻弄する。

「や、やめてください………、うぐぅ……カー、………さま」

 R・グローリアは何とか空気を求めて喘ぎ、カーペンターの凶行をやめさせようと懇願する。しかし、カーペンターの耳に少女の声は届かず、その指は頸動脈を圧迫し、R・グローリアを確実に死に向かわせる。

「怖れることはない、R・グローリア。苦痛を受け入れるのだ」ゴールドマンが芝居がかった調子で告げる。「苦痛の限界を超えれば、それは快楽へと生まれ変わる。極限の快楽だ。死の直前にこそ当に、究極の快楽が存在するのだっ!!」

 興奮した様子のゴールドマン。その瞳は異様に輝き、怨念めいたものさえ感じる。

 その時、一筋の涙が少女の頬を伝い、首にかかるカーペンターの手に落ちた。一瞬、カーペンターは戸惑いの表情を見せ、その手が緩む。

 咳き込み、空気を求めて喘ぐR・グローリア。

 ゴールドマンが戸惑いの表情を見せる。

「どうした、化け物っ!?何をしているっ!!お前は少女が抱けるのなら、何でもすると言っていたのではないのか?私が殺せと言えば、壊すと言い返したのはお前ではないのか?今、お前の目の前にいる少女はアンドロイドだっ!何ら躊躇うことはないっ!!殺せっ!いや、壊せ、壊せぇっ!!」

 ゴールドマンは激しく叱咤するが、ゴールドマンが叫べば叫ぶほど、カーペンターは混乱し、頭を抱えて苦悶の咆哮を上げる。

「くそっ!もっと破壊衝動を上げろっ!!殺しても構わんっ!」

 叫ぶゴールドマン。それに応じて何らかの措置が為されたのか、カーペンターの苦しみが増す。こめかみの血管が傍目にもそれと分かるほどに膨れ上がり、目は充血し、泡を持った涎がこぼれ落ちる。

「や、やめてくださいっ!!もう、これ以上は………。私を殺したいのならそれでも構わないっ!!カーペンター様を、………許してあげて下さいっ!!」

 悲鳴を上げるR・グローリア。しかし、その哀願はゴールドマンにとっては不快を助長するだけのものであった。ゴールドマンがヒステリックに叫ぶ。

「だ、黙れぇっ!!このアンドロイドの木偶人形風情がぁっ!!人間の真似をするなっ!何だ、その顔はっ!!やめろっ!!やめろ、やめろっ!!そんな目で私を見るなぁっ!!」

 と、その時、カーペンターのこめかみが一層膨れ、水風船がはじけるように血を吹き出した。

「おごあぁああああっっ!!」

 叫ぶ獣。

 カーペンターは再びR・グローリアの首に手をかけた。兇眼は充血し、赤く染まり、何ものをも見ていなかった。ただ、破壊衝動の命ずるままに少女の首を絞め、犯し、殺そうとする。もはや何の躊躇いも容赦もなかった。少女の華奢な身体は男の腹の上で力無くがくがくと揺すられ、本当の木偶人形のようでもある。

 薄れゆく意識の中、R・グローリアは回路の中で呟いた。

「(私を殺すのがあなたでよかった)」

 それは、少女の本心であった。他のグローリアは、いや、他の少女達は、一時的であれ幸せを感じることもなく、愛する者もなく、愛という言葉すら認識せずに死んでいく。それがゴールドマンの言うように錯覚であれ、勘違いであれ、R・グローリアは満足であった。彼女には、それが彼女にとっての本物の愛なのだ。

 ほどなく、R・グローリアは苦しみから解放された。

 信じられないほどの大量の精液が、少女の身体の中に吐き出され、ぼとぼとと溢れ落ちる。

「ふ、ふふふ」引きつった笑いが、ゴールドマンの口をついて漏れ出る。「アンドロイドが愛を語るなど、笑止にも程がある。数列でしか事象を認識できない計算機が、人間同様愛情を持つなど、そんな莫迦げた事がある筈もないではないか」

 そう言って、絡み合ったまま動かないカーペンターの元へと歩み寄る。

「ふん、余程の快楽だったらしいな。絶頂を迎え、動けなくなるとはな………」

 憮然と呟くゴールドマン。

 その言葉に呼応するかのように、制御官の声が響く。

『ゴールドマン様、Mr.カーペンターの身体機能が全て停止しました』

 

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