第1章〜罠

          私は小野寺忍、22歳。両親と姉、兄の5人家族、職業は
          現在のところ無職。今の不況の下、アルバイトでどうにか
          生活してるんだ、地方の短大出たけど三流ではこんな時代
          に良い就職口なんかコネでもなきゃある訳ないじゃない。
          だから、親の反対押し切って都会に出て来てアルバイトし
          ながらの職探し、だけどもう2年もたったんだな〜短期の
          バイトなんかじゃ生活苦しいし。かといって風俗行く程の
          度胸も無いし、でもねスタイルには自信あるんだよ、3サ
          イズは86−59−88ナイスバディ。

          地元の女子校時代、後輩から何故か頼られてお姉様してた、
          レズッ気も有ったからか抵抗も無くその世界に入って行っ
          た。あたしの初めての相手ってのは後輩が持ってきたバイ
          ブだったんだ、今まで3人の男性と付き合ってセックスは
          したけどなんか違うんだよね、それなりに満足して感じち
          ゃうけどいつも自分でも訳の判らない疑問持ってたんだ。
          都会では毎日の生活に追われ、今はセックスの疑問を考え
          る暇もなく、時折処女捧げたバイブと遊ぶ程度。そんな時
          だった、久しぶりに親友の朋香、青木朋香に呼び出された
          のは。

          「元気そうだね忍。今のバイトはどう?あんた、まだ就職
          見つからないの。」
          「あたしだって探してるんだよ、とりあえずはバイトしな
          きゃ生活できないじゃない。朋香は良いよね。親元で暮ら
          してるから、職探しだってマイペースで。」
          「またそれを言うんだから、話しが続かないよ。せっかく
          良い話し持ってきたから呼び出したて言うのにな。」
          「アハハ。ここのコーヒー代は私持つよ、チーズケーキも
          食べない?ここの美味しいって評判だからさ。」
          「ったく、すぐこれだ。前に逢った事あるよね、あたしの
          先輩の阿部さん姉弟。」

          唐突と朋香の口から出た阿部姉弟の名前、正直なところ私
          は驚いた。

          阿部姉弟、朋香のお父さんが勤める人材派遣会社の次期代
          表候補で、二人が入社した途端業績延ばした若き実力者。
          私達より4歳年上、姉の零さん、弟の清明さんは一卵性双
          生児で二人ともとっても奇麗で素敵なご姉弟。親と自分達
          は違うって考えていて、親のイメージで接する事を嫌うし
          っかりした人達。

         「あ、あの双子の人だっけ?二人ともかっこ良かったから
         覚えてるよ。」
         「こらこら私に嘘つくなよ〜、あんたが前に清明さんと時
         々逢ってた事、あたし知ってんだからさ。」
         「・・・・・」

         一瞬言葉を飲みこんだ。そうです、朋香に紹介されてから
         数日後、一人暮らしの私は彼らの家に食事に招かれた時、
         お酒の勢いもあってか彼と、清明さんと関係を持ってしま
         ったんです。でも本当は零お姉様に抱かれたかったんだけ
         ど。

         彼は私にとっては4人目、親元から離れて都会で暮らして
         は初めての男性、やはりいつものセックスの疑問が心に残
         る。でも、何度か身体を重ねるうちに今までの男と違う事
         に私は気付いた、彼は私とのセックスに対して射精という
         男性の性的満足感を一度も感じ取っていないという事を。
         それが、ある時。

         「清明さん」
         「ん。どうしたの忍ちゃん?、ごめんよ満足できなかった
         かな?」
         「いえ、私は良かった。でも、なぜ清明さんは私でいって
          くれないんですか?私ってセックスが下手だからなの?」
         「急に何言い出すんだよ。」
         「だって、私の身体に清明さんの精液一度も感じた事ない。
         愛して欲しいとかって考えてるつもりは有りません、でも
         私はそんなに魅力のない女ですか?」
         「・・・・・・」
         「貴方にも感じて欲しいんです、清明さんの精液を私の身
         体の中に感じたいの。」

         そう言い終えた私は彼の太く大きなペニスを口一杯に咥え
         こんだ、喉の奥に届きそうになるくらい深くまで。

         「忍、唾でたっぷり僕の物を濡らすんだ。そんなに欲しい
         なら僕の好きな所にたっぷりと注ぎ込んであげるけど、そ
         こがどこであっても忍は受け入れてくれるんだろうね?」

         そのどことなく冷たい響きの問いにも、私は咥えながら頷
         くようにペニスにむしゃぶりついて答えた、わずかな不安
         を心に抱きながらもジュルジュルと卑猥な音と共に唾液を
         ペニスにからませた。

         彼は私を後ろから犯すのが好きだ。Dカップの乳房を握り
         潰すかのようにして腰を叩きつけ、いつもはその乳房を潰
         されるような適度な痛みとあそこの快感、強姦されるよう
         な独特なイメージもあってか、頭の中がまっ白になりすぐ
         に果ててしまう。

         その女に手慣れたテクニックで何度失神しかけた事か、快
         感のあまり彼を受け入れたままで粗相をした事すらありま
         した。

         「ああ、また後ろからいつものように獣みたいに私は犯さ
         れるんだ。早く来て。」

         快楽という期待を胸に私は頭をシーツに押し付けるように
         して腰を高く競り上げた。

         快楽の喘ぎ声を上げる自分を想像し、あそこからは吹き出
         すような愛液を感じながら彼自身を迎え入れる用意を整え
         た時、突然ゾクッとする違和感と同時に引き裂かれるよう
         な激痛が思いがけない所に襲いかかった。

         彼が求めたのは愛液で濡れそぼった私自身ではなく、今ま
         で誰にも触れられた事も無かった秘密の場所。お尻の穴つ
         まりアナルに彼自身が突き刺さった、奥深く根元まで。

         腰が振られるたびに喪失の激痛が走り、歯を食いしばり篭
         った叫び声しか出せないまま熱い感覚を直腸内に感じ、同
         時にシーツを堅く握り締めたままで私は意識を失った。

         気が付いた時、私は彼の腕枕で優しい視線を感じていまし
         た。

         「驚いた。忍、アナルはバージンだったんだ、良かったよ。
         僕も興奮してたっぷり注いだから溢れてきてる、いきなり
         で恐かったろ?ごめんね、そして初めてをありがとう。」

         長いとろけそうなるキスを受けながら、まだ痛みの残るお
         尻の穴に自分で触れてみた、完全には閉じきっていないア
         ナルから血の混じった精液が流れているのが判る。

         しかし、アナル・セックスという私にとっては変態的な行
         為や痛みに対しての怒りなど湧く訳も無く、むしろ逆に私
         に向けられる優しい眼差しに満ち足りた幸福感すら覚え、
         再び腕の中で深い眠りへと落ちていったのでした。

         それが初めて一夜を伴にし「愛」という感情無しでも本当
         に深く結ばれたと心に感じた日なのです。

         その後も何度かの関係を持った。そして、セックスの最後
         には決まってアナルを求められ私もその行為に応じアナル
         の中に熱い精液をたっぷりと受け止めていました。

         それ以来、あれほど心に残っていたはずの不思議な”疑問”
         がいつのまにか私の中から消えていた、何故なの?自然と
         アナル挿入の痛み自体は我慢できる程度にまで私の身体は
         変わっていったのですが、アナル・セックスの屈辱感や違
         和感・嫌悪感だけはなかなか消えぬ物ではなく、どちらか
         らでもなく私達は逢わなくなっていたのです。

         「お〜い。もしも〜し、忍さ〜んこっちの世界に帰ってお
         いで〜。」
         「あ。ごめん。考え事してた。」
         「嘘、嘘。おおかたHな回想シーンでも頭に浮かべてたん
         じゃないの?顔赤いよ。」
         『う。こいつ、いつか絞めてやる。』
         「まさか誤解してないよね。二人の関係をどうこう言うつ
         もりなんかないし、あんたにとってはもう昔のことでしょ。
         仮に、今でも忍が本気で好きになって悩んでたら、こっち
         から切り出さなくてもとっくにあたしに話してるはずだし
         ね。ま、そんな顔してるとこ見てると未練は無いようだな。」
         「はい、はい。貴重なアドバイスありがとうございました、
         って一通りの突っ込み終わったならいいかげん本題に入っ
         てよね。」
         「ごめん、ごめん、怒らす気はないって。それがさ急に欠
         員出たんだって、阿部さんのとこ。」
         「は?」
         「こら、いきなり何ぼけてるのよ。就職世話してくれるん
         だって、あんたに来ないかって家の父親通じて連絡来たん
         だよ、一昨日。今時携帯も持ってないのはホント貴重な人
         間だよ、あんた探すので昨日一日散々だったんだから、ケ
         ーキとコーヒー追加だよ!」
         「けど、どうして私なの?本来ならバイトしてる朋香が先
         に就職じゃないの?」
         「あたし今はバイトだけどね、来年は父親のコネで入社で
         きそうだし、内緒だけど阿部さんも人事課に後ろで手を回
         してくれる事になってるんだ。もしも、まだ就職決まって
         なくバイトで自炊生活してるんなら、忍が先に来ないかっ
         て阿部さんが名指ししてくれたそうよ。でも最初は研修社
         員みたいな待遇からだからお給料はちょっと少な目だけど、
         今のバイト生活しながらの職探しよりずっといいはずだし、
         いずれはあたし達正規で入社できるって訳。これって悪く
         ない話しじゃん。」
         「あのさ、聞いても構わない?。その欠員ってどうしたの?」
         「知りたい?やっぱ気になるか。」
         「・・・・・・・・・・・」
         「あたしも父親に聞いたけど詳しくは教えてくれないんだ、
         ただ会社の若いOLが自殺したんだって。自殺する数日前
         から落ち込んでいたのをみんな気にはしてたらしいんだけ
         ど突然3日も無断欠勤したんで、心配した直接の上司が親
         に連絡して彼女の住んでるマンションの管理人さんも立ち
         会いでドア開けたら、死んでたって。警察の話しじゃ遺書
         らしい物は無かったらしいけど、かといって誰かに乱暴さ
         れたような痕も無いんで警察も自殺と断定してる。口数も
         少ない人であたしも一度だけ一緒に仕事させてもらった事
         あったけど、美人で仕事もこなしてた人だから仕事や恋愛
         とかで悩んでいても相談相手がいなかったんじゃないかっ
         てのが、もっぱら社内の噂よ。ただ、彼女いつのまにか背
         中にタトウを入れてたらしく、ひょっとしたら変な男がい
         たのかもしれないけどね。」
         「きっと何か辛い事あったんだね。かわいそうに。」
         「彼女の替わりじゃないけど、頑張ってよ。影ながら応援
         するし、忍の性格ならすぐに友達だってできるから安心だ
         よ。」
         「うん。で、これからあたしどうすればいいかな?就職話
         なんて考えてもいなかったからさ。」
         「明日、直接会社に来て欲しいって、零さんからよ。アポ
         は訪ってあるって。」
         「ありがとうね、おじさんにもよろしく伝えて。これで憧
         れのOL一年生だ。」
         「あはは、2年も浪人してるくせに。とりあえず今日零さ
         んに電話しといた方がいいよ、期待してたみたいだし、ホ
         ントは彼女があんたの採用決めたらしいから。」
         「え?」
         「清明さんとあんたの一時的な関係はきっと気が付いてる
         と思うけど、それを負い目に採用決めた訳じゃないよ、そ
         んな人じゃないから。とりあえず電話だけはお願いね。」
         「うん。会社の電話番号は知ってるから、いろいろとあり
         がとう。」
         「あたし、これからまだ用事あるんで先に失礼すね、待ち
         合わせしてるんだ。就職祝いの前払いでここはあたしが払
         っとくからさ。」
         「うん。じゃあお言葉に甘えちゃうね、帰ったら電話する
         よ。」
         「じゃ、お先に忍。」
         「ありがと朋香、バイバイ。」

         店を出る彼女の後ろ姿を見送った後、興奮気味だった心を
         落着かせもう一度冷静に心を整理してみた。

         『阿部さん達が私を。こんな事になるなんて考えてもいな
         かった、本当に甘えても良いのかな?やっぱり先に電話し
         た方が結論だせそうね。』

         喫茶店の片隅の公衆電話に向かった私は、手に持ったテレ
         カを差し込んだ。握っていた何の替わり映えも無い一枚の
         テレカが、後の「罠(トラップ)カード」になる事に気が
         付かないまま。

         一人の女性が人込みの中で歩きながら携帯電話をかけてい
         る。今ではどこでも見かけるごく当たり前の事だ、しかし
         彼女とすれ違った男性がその会話を耳にした時、怪訝そう
         に振り返った。

         「もしもし、お姉様、これからそちらにお伺いします。そ
         れから、蜘蛛の巣にご希望の可愛い獲物がかかりましたの
         でお伝えします。」


                                              


                                              


                                              



動画 アダルト動画 ライブチャット