私は21歳以上です。



 夕陽に染まる
     
エピソード3(1)
                                  作:放射朗
                                 

 口封じのための逆レイプが終わった後、私の世界観は
180度転換してしまいました。

 今まで、セックスは卑猥で隠微なもので、他人には隠す
べきものという当たり前の常識に縛られた世界観を持って
いた私ですが、それが男性優位社会の仕組まれた世界観だと
いうことに気づいたのです。

 女性は男性の従属物ではなく、もっと個人的にセックスを
楽しんでいいのだということに気づいたのです。
 そして男性優位社会に反撃する手段も先輩たちから教えられ
た気でいました。

 今思えば滑稽でしかないのですが、その時はあまりの衝撃に
頭が麻痺していたのかもしれません。
 傲慢な男性をいじめることにすっかりはまってしまったのです。
 だから今度行われる、私たちが主役となる新入生歓迎の逆レイ
プ大会を、私は心待ちにしていました。

 この前の逆レイプでは顔またぎまでしかさせてもらえません
でしたが、新入生歓迎の逆レイプ大会ではきちんと男またぎ
できる、そのことに期待で胸を膨らませていました。
 
 それは夏休みの合宿の時でした。
 毎年わが剣道部では夏休みの10日間、海辺の合宿所で集中
合宿が行われます。

 その年の合宿は7月20日からの10日間でした。
 普段はあまり練習にこない4回生もお楽しみに参加するためか
今回は参加して、総勢25人の女子剣道部員が海辺のいつも契約
している民宿に集まりました。

 この民宿は専用の道場を持っていて、私たち剣道部以外にも、
他の大学の柔道部や空手部などが良く利用している合宿所でした。
 でも道場がそんなに大きくないこともあり、一度にひとつの
クラブしか利用できません。
 だから誰に気兼ねすることも無く、この施設を使うことができ
るのでした。

 4月に入った新入生も3ヶ月が過ぎ、全員口封じ(エピソード
2参照)もすんで、すっかりクラブの一員になっています。

 言葉遣いも両親が聞いたら腰抜かすような事を平気で言えるよ
うになっていました。
 
 そんな風にクラブの一員になった私たちですが、初めての合宿
はやはり体力的にとても厳しいものでした。

 毎朝5時に起きて近くの砂浜を5キロほど走らされます。
 その後は、素振りなどの基本的な科目を練習して練習試合が
待ってるんです

 その学年で1番負けた人はさらに追加で腕立てふせや腹筋など
のきついトレーニングをさせられていました。

 私は剣道暦が新入生の中では3番目に長いこともあり、それは
ありませんでしたが、、、。
 それが朝食前の練習メニューなのですから。
 

 毎日の、きついけど単調なメニューは6日目にちょっとした変化
がありました。
 夕食前の日課のマラソンの時でした。時刻は夕方の6時頃です
 もう少しで合宿所につこうかというところで、女の人の悲鳴が
聞こえてきたのです。
 左の土手の上の駐車場の方からでした。

 そして少しして、そこからの階段を一人の男の人が二人の暴走
族風の男達に追われながら走り下りてきました。

「うわ−助けてくれー」
 追われている男は、何事かと足を止めていた私達に気づくと、
私達に助けを求めてきました。

「た、助けてください。彼女が暴走族に捕まってるんです。」
 20代前半くらいのその男は先頭の増田先輩に向かって叫びました。

 後から追ってきた二人の暴走族は私達の人数にちょっと警戒するように
距離をとって止まりました。

 私は咄嗟に増田先輩がその暴走族たちを退治して、アベックを
救出することを想像しましたが、現実はそんなに甘くありません
でした。

「どうして私達が危険な真似をしてあなた達アベックを助けない
といけないのかしら。自分の彼女は自分の手で守りなさいよ。行
くわよ。」

 増田先輩は冷たく言い放つと、再び走り出しました。
 他の部員もそれに続きます。
 二人の暴走族は心なしかほっとした表情で、逃げてきた男を上
の駐車場まで引っ立てていきました。

 私はなんとも言えないわだかまりというんでしょうか、何かが
胸につかえた感じですっきりしませんでした。
 できれば助けてやりたいと思いました。

 女とはいえ25人もの竹刀を携えた剣道部員がいるんです
もの、暴走族の4〜5人くらい退治するのはわけないのに。
 でも、増田先輩はリーダーとして部員をすこしでも危険にさら
すことは避けたかったのかもしれません。

「先輩。そろそろ新人歓迎会ですよね。獲物は活きの良いのがい
いですよね。たとえばアベックを襲ってレイプするような暴走族
とか、、。」

 増田先輩の後ろを走っていた由美子先輩が言いました。
 
増田先輩は立ち止まり、振り向くと竹刀を砂浜に力強く突き立
てました。
「それもそうね。本当は明日する予定だったんだけど、
ま、いいか。」

 にっこり笑った増田先輩はすごく素敵でした。
 周囲から、よーしと歓声が上がりました。
 みんなも私同様に感じていたんでしょう。

 私達が引き返して駐車場に駆け上がってみると、そこでは数人
の暴走族が一人の倒れた男に暴行を加えていました。

 倒れている男はさっき私たちの方に逃げてきた男の人でした。
 腹部を蹴られて、苦悶の表情で、のた打ち回っています。
 その男性が苦し紛れに吐いたのでしょう。
 周囲には吐しゃ物がちらばり、すっぱい胃液の臭いが漂って
いました。

 さらに奥の方のワンボックスカーからは女性の悲鳴がかすかに
聞こえてきていました。

 どうやら女の人をその中に連れ込んでレイプしている様子でした。 
車のバネがぎしぎしきしむ音が卑猥に響いていました。
 唖然としている暴走族に、ものも言わずに増田先輩が竹刀を
振りかざし、襲いかかりました。

 防具をつけている相手を一発で失神させてしまう増田先輩です。
 当然手加減しているでしょうが、4人の暴走族たちはあっという
間に昏倒させられてしまいました。

 倒れている男達には目もくれず、私達は奥のワンボックスカー
の方に行きました。

 ぎしぎしと規則正しくゆれているワンボックスカーの中で、何
が行われているかは見なくても分かりました。

「何だおまえら。」
 25人の剣道部員に取り囲まれたワンボックスカーから、血相を
変えた男が降りてきました。

 車の中では素っ裸に剥かれた女性に3人の男が群がっていました。 
見たくなかったけど、女の人の股間が濡れ光ってるのが丸見えでした。

「4人いるけどどれにしようか。」
 怒鳴る男を無視して増田先輩が由美子先輩に聞きます。 

「やっぱりあれのでかいのがいいですよね。こればっかりは
見てみないと分かりませんよ。」
 中の3人も何事かとレイプを中断しておりてきました。

「このやろう!」
 無視されたことに激昂した男が、その目を血走らせて由美子先
輩につかみかかろうとしました。

 その瞬間増田先輩の竹刀が唸りをあげてその男の腕に振り
下ろされました。
 木の枝が折れるような音がして、男のひじが反対側に反り
返り、男はその場に転げてのた打ち回りました。

 その男の悲鳴が周囲に響きました。

「あんた達も腕を折られたかったらどうぞ、かかってきなさ
いよ。」
 由美子先輩が得意げに言います。

 3人の男達はすっかりびびってしまった様子で、どうしていい
か分からずおろおろしています。

「分かったよ。女は返す。それでいいだろ。」
 やっとその中のリーダーらしい男がふてくされたように言いま
した。 
 でも、それも精一杯の強がりというのが見て取れました。
 ワンボックスカーの中で呆然としていた女性は、よろめきなが
らも必死で立ち上がってきた彼氏に助け出されました。

「どうもありがとう。」
 何とかそれだけ言って二人は自分達の車に乗り込み、そそくさ
と去っていきました。
 
 街灯にぼんやり照らし出され、周囲から隔絶した別世界のよう
な海辺の駐車場には25人の剣道部員と8人の暴走族が取り残され
ました。

   
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