私は21歳以上です。



      居酒屋 

                        作:テンちゃん  
     
  トン。目の前に5杯めのウーロンハイが置かれる。その
隣には枝豆。俺用の濃いめのウーロンハイ。
 平日の遅い時間。客は少ない。口論しているサラリーマ
ン。なかば酔い潰れた派手な服装の女性客。それだけ。
 おかげでゆったりとしたボックス席に座れた。

 ふと昔を思い出す。部下を引き連れハシゴしたあの当時
。この6人掛け用テーブル。笑顔があった。売れば売るほ
どモノは売れた時代。多少のリスクがあってもそのリター
ンは倍になった。
 、、、、、カランと氷が溶ける。遠くにカウンター越し
オヤジ。焼き物に夢中なのか、ハチマキからしたたる汗。

 いっそ独立でもしようか。ダメだ。金がない。スズメの
涙ほどの失業保険。その大半は別れた妻に送られる。生き
地獄。されど現実。
 今は酔おう。グイッと飲み干す。

 「いらっっしぁぁぁいい!!」

 遠くから大将の声。昔と変わってない。もう一杯。もう
一杯飲んだら帰ろう。あの暗く寂しい我が家へ。

 すぐ、、、、、すぐ分かった。確認できた。

 後藤と青木、他3名。酔っていた。自分よりも酔ってい
た。考えたこと。

 、、、、、、、、、、、、、、、、またか。それだけ。

 「あ、あれぃ、課長さんだぁ!、、キャハハ、、こんな
とこに課長さんだぁ!、、、みんなぁ」

 後藤の声。昔は可愛い声。今は悪魔の声。すぐに俺のボ
ックス席は満たされる。5人の女で満たされる。続いて青
木。酔った青木の声。

 「なにしてんですぅ?、、職なくてヤケ酒ですか〜?、
フフフ、、、ウハハハハハァ!、、オヤジィ!こっちにも
ウーロンハイッ!、、、みんなもホラ、頼んじゃって〜」

 逃走。それがまっ先に浮かんだ言葉。ここに居てはヤバ
イ。途方もなくヤバイ。直感がそう告げる。
 後藤に伝わる。俺の考えが伝わる。女の勘。

 「帰ろうったってダメっすよぉ、、、カ、チョ、ウ!、
、、いいから飲みましょ〜よぉ!!、、、み〜んなバラさ
れたいんですかぁ?、、、ヘヘヘ」
 
 はじまった、、、必殺ワザ。どうしようもない。他の子
も事情を知っているのだろう。俺に向けられる矢のような
目。セクハラした過去。消えない過去。が、充分に罪は償
ったハズ。

 「こ、こんどは、、今度はナニをしようっていうんだ、
、、こんな人が居るんだ、、ぞ、、」

 関係ないといった顔。6人の顔。次の瞬間。

 きた。きた。もうわかる。このパターン。いつものパタ
ーン。俺の両サイドに陣どった後藤と青木。俺の局部をま
さぐる二人。気づくと後ろにも二人。おそらく後藤と青木
の後輩。逃げ場はない。ネタネタと粘るような視線。
 
 その時、若い二人組の男がのれんをくぐってきた。うら
やましそうな顔。女5人に囲まれてる俺。うらやましそう
な若い男二人。誤解。違うんだ、助けてくれ。違うんだ。

 化粧のにおい。香水のにおい。オンナのにおい、、、、
それぞれがシェイクされる。ムックリ大きくなった局部。
後ろの名も知らぬ女が俺のジッパーを下ろす。あろうこと
かヌルッと俺のモノをひっぱり出す。
 居酒屋。不特定多数の人。異常事態。ヤバイ。

 「ハァハァ、、や、やめろぉ、、、な、なんてこと、」
  
 アルコールのせいで息が荒い。彼女達も息が荒い。いき
なり。ビックリした。いきなりだった。
 後藤の栗色のショートカットが俺の局部に沈む。ありえ
ない。こんなことあってはならない。しかし現実。

 「ヌッ  、、ッポ!、、、プぅぅ、、ぅポッ!」

 パチンコ屋の悲劇。思い出す。口内発射。ネコのような
後藤の舌。クチビルの感触。たまらない。少しでも意識を
ソらそうと遠くのオヤジを見る。まだ焼き物に夢中。効果
はなかった。俺のシャツに手を入れる背後の女。俺の反応
を見る目。目。目。

 その時、アルバイトらしい女の店員。追加の酒を持って
くる。危機。まさに危機。数秒、後藤のアタマが動きを止
める。不審そうなアルバイトの視線。ごまかす。タバコに
火をつけごまかす。俺のモノは後藤のクチの中。

 「だいじょうぶぅ?、、、この子酔っちっゃて、、もゥ
飲みすぎなのヨ!、、、」

 うまい。青木のフォロー。俺にとられた延命措置。アル
バイトが去っていく。いや、気付かれたかも。わからない
。スゥ〜と後藤がアタマを上げる。俺のモノをしゃぶって
たクチ。

 「ハァン、なんだか入れたくなってキチャいましたぁ、
もうこ〜ンナですよ、カチョウの、、!」

 後藤の目が座ってる。ホントに酔ってる時の女の目。一
人の女が後藤のストッキングを破る。アソコをいじる。ヤ
バイ。本当にヤバイ。隣の青木。あきらめなさい、といっ
た顔。ここはみんなの居酒屋のはず。いわば公共の場。絶
対ヤバすぎる。

 後藤が後ろ向きでゆっくり腰をおとす。俺の上に腰をお
とす。椅子。明らかに俺はイス。
 店内。誰も気付いていない。いや、さっきの若い男二人
が遠くからチラッとこっちを見ている。気になる。非常に
気になる。
 関係ないとばかりに後藤。俺のムスコを肉部屋に。暖か
い。熱い。そして狭い。

 「はいっちゃってますよぉ、、課長の、、、ゥはっ」

 悶える後藤の声に続き冷ややかな青木の声。

 「フフフ、、どうよ?、あこがれの後藤ちゃんの中は?
、、とてもシマリがイイでしょ、課長、、この子、酔うと
スゴいんだから、、」
 
 会社ではマスコットのような後藤。その愛くるしい童顔
でみんなから可愛がられた。今は快感をむさぼるオンナ。
 後藤の白いウナジ。俺の鼻をかすめていく。髪の生え際
、よく見ると細いウブ毛がある。すべてが原因。俺のモノ
を固くする原因。
 クッ、クッ、クッとした微妙な腰の動き。クククッとし
た他の女の嘲笑。

 「後藤ちゃん、、あんま激しくウゴいちゃダメよ、、、
バレちゃうからネ、、」

 誰の声かはわからない。そして俺の両手がほぼ同時にと
られる。すぐにヌメェ〜とした感触。アワビを触ったとき
のようなヌメェ〜とした感触。熱い。燃えるように熱い。
 方々から聞こえる低いアエギ声。絶対絶命。

 オヤジ。焼き物をしながらギロリとコチラを見る。どう
なんだ?気付かれたか?、、、、、、、、、わからない。
緊張と興奮と快感。どれも同じレベル。でもオヤジ。これ
だけは言わせてくれ。

 <俺はヤッちゃいない。ヤラれてるんだ!>

 「ぅン、、ッン、、、あっん、、ァん、、ぁあン」

 後ろの女の手。後藤のクチをふさぐ。周囲にバレぬよう
彼女のクチをふさぐ。
 高まる興奮。増す緊張。押し寄せる快感。

 、、、、ダメ。限界。キモチがいい。よすぎる。

 「びゅるぅ、、びゅるっ、、、びゅくぅ、、、っ」

 パチンコ屋の一件以来、久々の射精。濃い。自分でも分
かる。ソレが後藤の体内に。ムリヤリに。
 ビクつく身体。襲う脱力。生気がない目。その目で、と
っさにオヤジを見る。目が合う。ニヤリとするオヤジ。
 バレたのか!?いや、わからない。ニヤリの意味がわか
らない。

 「もぅ〜、、はやいんですよぅ、、カチョウさぁ〜ん」
  
 酔っている後藤の目が後ろの俺を見る。不満気な彼女の
顔。精魂つきた俺の顔。一人は今スタート。一人は今ゴー
ル。まったくの正反対。ヤル側とヤラレル側。

 「じゃ、コレよろしくね。、、カ!、チョ!、ウ!」

 青木の突き放した声と共に伝票。犯された挙げ句、支払
いの義務。女達が席を立つ。そしてのれんをくぐる。

 「アリャガトゥゥ、ゴザイヤシタァァァ!!」

 オヤジの声。所持金2千円弱。一気に酔いが冷める。ヤ
バすぎ。そしてオモシロすぎ。カードはパチンコのせいで
ストップ。はみだしっパナシの俺のサオ。中身は後藤のチ
ツの中。彼女達の姿はどこにもない。
 目の前にウーロンハイ。なぜか笑いが込み上げる。
 ふぅ、、ゆっくり飲む、、、、再びオヤジの声。

 「ダンナ、しめて1万と4800円でぇぇす!!」

                   おわり

 本文中、かなりの違和感を感じた方は『シネマ』及び『
777』からご覧下さい。
                    作者


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