私は21歳以上です。


エスニック
セックスマシーン
            その3

  
第3章 痴漢体験プレイ

 

 突然体が大きく揺れた。そして大きな圧迫感。ボクの右手は窮屈な姿勢のままで吊革を掴んでいる。もう一度がたんとからだが揺れて、左側から人の圧力がかかった。僕は必死で吊革を掴んで、からだが倒れないようにふんばった。 

 どうやらここは満員電車の中。朝の通勤電車の中らしい。ということは、パターン4の痴漢体験のプログラムが開始されたのに違いない。それにしてもすごいスシ詰め状態だ。とても仮想世界のことと思えない。昔サラリーマンをしていた頃、毎朝体験していた、不快な通勤シーンがよみがえってくる。

 ボクはスーツを着てネクタイをしている。左手には書類の入ったブリーフケースを抱えている。車内は人息で息が苦しいほどだ。みんな不快な気持を口に出さず、じっと我慢を続けている。電車は時速80キロほどで、今どこかの鉄橋を渡ろうとしている。どうやら都心へ向かう快速電車のようだ。だれかのウォークマンから音が漏れ、ななめ前方の中年男の整髪料のニオイが鼻をつく。

 また電車が大きくカーブを曲がり、左側から人の波が押し寄せてきた。うっ。今度の圧力には抗しきれず、とうとう左手の吊革から手が離れ、とどどーっと、右側へと押し出されてしまった。唐突に鼻腔に何ともかぐわしい芳香が漂ってきた。目を上げるとボクの真正面にいつの間にか、OL風の小柄な女性が正対していた。

 人に押されたためとはいえ、見ず知らずの異性と正面から向き合うことは、何とも恥ずかしくもあり、照れくさいことだ。彼女はしきりと身体の方向を変えようと試みるのだが、いかんせんこのすし詰め状態では、そう簡単に身体の位置を変えることもできない。むしろ後ろからの人波に押されて、さらにボクに密着するような状態になってしまった。

 「あの・・。すいません・・・」。彼女は赤面しながら小さくボクに告げる。
 「いえ、こちらこそ・・」。思わず答えてから、ボクは彼女の顔があまりにも間近にあることにビックリしてしまった。顔と顔の距離はわずかに10pほど、息を吹きかければ息が直接当たるほどの近さだ。しかも彼女の顔・・・。目がぱっちりと大きく、赤く口紅を引いた唇がなんとも可愛いらしい。明らかに僕の好みにぴったりのタイプなのだ。

 電車が再び揺れ、彼女の身体がさらにボクの側へと密着してきた。ボクも彼女も身動き一つできないまま、まるで恋人同士のように正面から抱き合うような状態で、身体を密着し続けている。電車の揺れと共に彼女の胸の膨らみの感触が、ボクの胸にもじかに伝わってくる。

 そしてその感触が、ボクの眠っていた官能を呼び覚ました。むくむくむく・・。下半身で肉体の一部が変化を始めだしたのだ。さっきまではラッキー今日はついているぞ、と思っていたのだが、この変化にはボク自身が逆にあわててしまった。彼女に悟られまいと、慌てて身体を後ろにずらそうとしたのだが、このぎゅうぎゅう詰めの車内では、それは不可能な試みだった。

 ぼくの下半身は次第にスーツのズボンを持ち上げ、テント状になっていく。理性でなんとか押さえようとしても、胸に当たる二つの丘の感触と、頬に当たる黒髪の感触、そして甘い香水の匂いが、その努力を無にしてしまう。

 今や上半身に限らず腰から下も密着した状態になっているので、この肉体的な変化は、彼女にも当然伝わっているはずだ。スカートの奥の秘密の部位に、ボクのズボンから張り出したものが、めり込むような形でぐいぐいと圧迫を始めている。

 はっ。ボクは慌てて目の前の彼女を見た。なんとかして弁解をしなければ、痴漢と間違われてしまう。これは決して意図的なことでなくって・・・、と、口から言葉を発する瞬間になって気がついた。彼女、じっとボクを見ているのだ。

 ほとんど笑みを浮かべたような、妖しい表情。これにはボクの方がビックリしてしまった。そしてそのとたんに、突然のように下半身を襲った予想外の感触。何かがボクのあそこに触れてきたのだ。

 えっ。ビックリしたようなボクの表情を見透かしたかのように、彼女の口元からは意外な言葉が漏れた。「かわいい・・」。
 「えっ?。なんていったの・・」。
 「私で感じちゃったのね?」。

 周りの人に聞こえないように、声を落としてはいたが、今度こそはっきりと聞こえた。
彼女は意図的にこの状況を楽しんでいるというのだろうか?。むずむずと、ボクのズボンの中の勃起に触れてきたものが、絡みついてきた。

 彼女の指先は大胆にもボクのあそこを弄ぶように掴みあげ、そして揉みしだくようにようにうごめく。「うっ・・・」。思わず声が漏れてしまう。周りの乗客に気づかれないかと、気が気ではない。

 痴女なんだ・・・。そう彼女は痴女なんだ。男を痴漢する女なのだ。噂に聞いたことのあるし、アダルトビデオなどでもちょくちょくと見かける、でも実際に出会った人なんて聞いたことがない・・・。こんな機会なんて、滅多にあるもんじゃない。そう思ったとたんに、ボクは行動を開始した。

 相手が痴女であると判ったことが、行動を大胆にしていた。吊革から離れて手持ちぶさたになっていた左手を、自然な感じで彼女の右肩から背中の方へと降ろしていった。背中から腰へ。そして豊かな膨らみのヒップへ。

 そこには、スカートの薄い布地を通して肉感的なヒップの丸みがあった。最初は遠慮気味に、そして次第に大胆に左手を動かしてみた。今までその欲望はあっても、必死に理性で押さえてきた痴漢願望。その夢が今現実のものとしてあった。胸の膨らみにも触れてみたいが、こちらは右手の自由が利かず手を出すことができない。ただ乗客に押されて密着した状態が続いているので、電車が揺れるたびに彼女の胸の二つの膨らみが、じかにボクの胸にの押しつけられる。その感触がこれまたたまらない。

 ボクの突然の指の反撃に彼女の表情が微妙に変化した。今まで余裕の微笑すら浮かべていた美しい顔が、一瞬の間だけキッとした表情を見せ、そして今度はいたずらっぽいウインクを返してきたのだ。「うっ」。思わずボクは股間を押さえいうずくまりたくなった。彼女がボクのあそこをぎっと力一杯に握りしめたのだ。と同時にヒップをなでていたボクの左手の手首を掴まれたのだ。

 彼女のもう一つの手が伸びてきて、ボクの手首をつかんだのだった。ビックリしたようなボクの表情を見透かすように、彼女の唇が耳元に触れ、そして小さな声でささやいた。
 「さわっていいのよ・・・」。
 そういうと、彼女の手はボクの手を彼女のスカートの内側、触れたくても普段は決して触れることの許されない、薄いパンティーに包まれた秘密の場所へと誘った。

 パンティーの中の湿り気を帯びた下着の感触がボクの指の先にじかに触れた。戸惑いながらも、ボクは自分の欲望に逆らうことなく、もぞもぞと指を動かしてみた。そのあまりにもリアルな感触にボクの興奮曲線は一気に急上昇を始めた。下半身の一点に血液が逆流し、その怒張を握りしめた彼女の指先が、そのつぼを心得たように、優しくそして激しく揉みしだくのだ。このままではパンツの中に射精すらしてしまいそうだ。

そう考えた瞬間。
 「どうじゃな、楽しんでおるかいの?」。
突然、耳の奥に博士の声が響いてきた。

 「えっ、はっ、博士ですか?」。
 「そうじゃ、どうやら草薙君はこのバーチャルな世界を現実の世界と誤認し始めているようじゃのう。まあ無理からんことじゃがな」。
 そうなんだ。ここはセックスマシーンの中だったんだ。ぼくは目に入るもの、耳に入るもの、身体に触れるものなど、全てがあまりにもリアルなために、すっかりと自分が被験者となってマシーンの中に入っていることすら忘れてしまっていたのだ。

 「いえ・・・そんなわけではないんですが・・・。実験でしたよね。つまり目の前の彼女も全て、リアルなだけのバーチャル画像というわけですよね」。
 「そういうことじゃ。とてもリアルじゃろう。もうほとんど現実とは区別はつかないはずジャ。わしが声を出さんだったら、キミは現実のものとして、そこで痴漢行為に没入していったことじゃろうな」。

 「ということは、博士はそこからこちらが見えているわけですか」。
 「当然じゃろう。正確にモニタリングしておるぞ。何しろコレは実験なんジャからの。草薙君の個人的なお楽しみは、それはそれとして大変に興味深いものと思っとるよ」。
 「そ・・そうなんですか・・・」。
 「何を気落ちした声を出しとるんじゃ。別にワシに遠慮はいらんぞ。きみはモニターなんジャからな。そこの中では好きなように振るまえばよいんジャ。痴漢したいと思えばしたらよいし、何ならそこで彼女を押し倒したってもかまわんのだぞ」。

 「でも博士・・・。見られてると思うと・・・」。
 「そんな弱気でどうするんじゃ。困った奴じゃのう」。
 「・・・・・・・・」。
 「そうか、それじゃ判った。こうしよう。ワシからの接触は必要最小限のモードに変更しよう。キミはしばらくワシの管理下から離れで、好きなようにその世界で遊んだらよい。脳波刺激もちょっと上げてみるかのぉ。一種の麻薬のような効果もあるんで、そうすればワシが監視しているという観念は消え去って、もっとそこを現実の世界として楽しむことができるじゃろうて」。
 「いえ・・博士。このままで構いませんよ・・・」。
 「判った。判った。それじゃここの出力を最強にしてっと・・・・」。

 ジャジャジャーーーーーッ
突然目の前の景色に横線が入って、風景がゆらゆらっと揺れた。
ちょうど深夜放送が終わったあとのテレビ画面のような、モノクロで意味のない砂嵐画像が目の前をよぎった。バーチャルシーンの画像に乱れが生じたのだ。
 ジャジャージャジャジャーーーーッ
 雑音が耳を打つ。とっても不快な音だ。なにかマシーンのどこかで、異常が起きているのではないだろうか、不安感が頭をもたげた。

 「博士、博士、どうしました?」。
呼びかけてみたが返事がない。コレは何かおかしいぞ。
 「博士、聞こえますか、画面が乱れ始めています。雑音も発生しています。聞こえますか」。ボクはもう一度今度はもっと大きな声で呼びかけてみた。

 その時、耳元で女の声が聞こえた。
 「ねえ、アンタ何いってんのよ。人のお尻さわっといて、何が博士聞こえますかよっ」。
えっ?。思わず目の前を見ると、さっきからボクの真正面に立っていた痴女が、怖い顔をしてボクの方をにらんでいるのた。

周りを見ると、再びさっきからの電車の車内だった。どうやらバーチャル世界のプログラムが再開されたと言うことなんだろう。ただし何かしらさっきからの車内と雰囲気が違う。何が違うのかを考えようとしたした瞬間に、再び彼女の声が聞こえた。

 「おう、おまえ私のケツさわっただろう。この痴漢野郎っ!」。
車内中に彼女の声が響く。しまった。さっきの痴漢行為を言われているのだろう。確かにそうだけど・・・。でも確か最初に始めたのは彼女だったんでは・・・。

 「なにっ、痴漢だって?」。彼女の声を聞いて、周りにいた乗客が反応する。露骨にイヤな顔をする女子高生、正義感に火がついて目を三角にしてにらみつける若い男性、興味本位でニヤニヤと薄笑いを浮かべる中年男性・・・・。反応は様々だが、車内全てがボクに対して敵意を抱いていた。

 大変なことになってしまった。このままでは警察に突き出されてしまう・・・。そう思いかけてから、はたと気がついた。まてよ・・。ここはさっきから続いているバーチャルの世界じゃないか、何もおそれる必要なんか無いんだ。目の前の大声で怒っている女も、周りの乗客も全て、このマシーンが作ったプログラム上の映像なんだ。

 ぶるぶると震えだしていた自分が情けなくなって、ボクは思わずにやっと笑ってしまった。そのとたんに、パシーン!!。彼女の平手がボクの頬に飛んだ。痛いっ!。続いて股間には彼女の膝蹴りが決まった。うううっっ、思わず息ができなくなるぐらいの激痛が襲ってきた。

 「このやろう。何わらってんだよおっ」。彼女の怒声が再び車内に響く。
 「やっちゃえ、やっちゃえ」。周りからはやし立てる声が続く。
こりゃダメだ。なんとかしなければ・・・。そう思ったとたんに・・・

 ジャジャジャーーーーーーッ
再び目の前の景色が薄れ、砂嵐とめまぐるしく移り変わる色の洪水が襲ってきた。
目がちかちかする。気分が悪くなりそうだ。

 突然目の前の景色が、森と湖、どこか北欧のリゾート地のような景色に変わったと思うと、すぐにまた砂嵐が襲ってきた。そしてその後はめまぐるしく場面がフラッシュのように変化を始めた。場末の盛り場の路地裏、学校の体育倉庫のようなところ、病院の病室、温泉地の露天風呂の中、普通の家のキッチン、深夜の誰もいないオフィス、ジャングルのど真ん中・・・。全く何の関連もない風景が目の前をラッシュしていく。

 そしてまたまた砂嵐へ。
 「博士、博士、聞こえますか、コントロールが変ですよ。モニターをチェックしているんでしょう。何か答えて下さいよ」。ボクは必死で呼びかけた。

 「・・・・・・・・・・クが・・・・・なぜ・・・・・」。
辛うじて博士の声が耳の奥に聞こえてきたが、雑音が多くて聞き取れない。
 「博士。聞こえますか。雑音が多くて聞き取れません」。
 「・・・・のが、おかしい・・・・・もう一度・・・・・回路の・・・」。
ダメだ。まだ何のことか判らない。

 突然画面が変わった。さっきまでいたあの満員電車の中だった。でもまた、ついさっきまでとは雰囲気が違うような気がする。さっきまでの続きならきっと、女の怒声が襲ってくるはずだと思ったが、その気配はない。目の前の彼女は何も言わずにじっとボクの方をのぞき込むようにして見つめているだけだ。そして何ともいえない芳香が漂ってきた。思わずどぎまぎとするボク。一体どうなっているんだ・・・。

 突然誰かの手がボクの脇の下に触れた。くすぐったい・・・。同時におなかや背中にも誰かの手がさわってきた。な、なんだ・・・。あわてて回りを見渡して、ボクは飛び上がらんばかりにビックリしてしまった。

 乗客が変わっている。いつの間にか、さっきまでいた当たり前の乗客達、中年サラリーマンやフリーター、学生達という、全く統一性のない雑多な人の群が、全て女子高生、女子大生、OLなどの若い女性ばかりに変わっていたのだ。満員の車内の全てが、ボクを除いて全て女だらけになっているのだ。

 一体何が起こっているのだろう。うううっ、くっ、くすぐったい・・。やっやめてよぉ・・・・。満員の車内でどこにも逃げられないボクをめがけて、四方八方から女達の手が伸びてくる。そしてボクの身体中のありとあらゆる所を、なで回したり、くすぐったりしてくるのだ。

 こんなことって・・・。いつの間にか立場が逆転して、ボクが痴漢されているのだ。右も左も前も後ろも、窒息するほどの女の洪水に埋められている。軟らかい肉の壁が四方から押しつけられ、手を動かそうと体を動かそうと、必然的にむにゅっとした、柔らかい感触が伝わってくる。勃起した状態の男性の中心には、もう何本もの手が伸びてきて、奪い合いが始まっているようだ。

 「博士ーっ。何ですかコレは・・・。何とかしてくださいっ」。ぼくは大声で博士に助けを求めた。

第3話おしまい  つづきは第4話へ

 この物語はフィクションです(あたりまえですよね)。
ストーリー中に登場する、地名、人名、団体名は、全て架空のものであり、現実に存在する類似の名称をもつ土地、人、団体とは一切何の関係もありません。あしからずご了承下さい。

その4につづく


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