ロードス島異聞録 3


 

  

「なるほど、たいしたものだ」

 黒の導師の言葉には、おおいに感心したような響きがあった。

 わずか一日で、変われば変わるものである。

 今夜の攻防は、昨夜のものとはまったく違った結果になった。

 昨日と同じ要領でニースに近寄ろうとした男の影は、指をふれることもできずに一蹴された。

 ニースの信仰の力はゆれを見せず、精神の壁のようになって彼女を守っていた。

 精神の力が、まるでこの異世界に真実の壁を作り出したようだった。

 男の手は、壁に阻まれたようにニースまでとどかない。

 その状態で、ニースが動いた。

 男の腹にニースの肘が突き刺さり、一声うめいて倒れた。なまじやっきになってニースに近寄ろうとしていただけに、一撃でのされてしまう。

 ニースは戦士としての修行も欠かしてはいない。

 ごろつき程度なら1対1では負けぬほどの技量を身につけているのだ。神に奇跡を願わずとも、この程度のことは可能である。

 男をかるくのしてしまったニースにさすがに驚いたらしい。さしもの黒の導師も最前の言葉を吐いたのである。

「今夜は、負けません」

 ニースが、宣言するように言った。内心では、神に誓いを立てるように。

 負けそうになれば、仲間が助けてくれる。その思いもあった。自分の力に対する自信もあった。

 毅然とした、立派な態度だ。

 相手を威圧する迫力がニースの身体からにじみ出ていた。

 黒の導師の、かすかなあせりのようなものが感じられた。予定が違う、といわんばかりの様子だ。

 姿は見えないが、ようやくニースはこの空間自体が彼と同化しているようなものであることをつきとめていた。

 自分の支配する仮想領域に何者かを招き入れる。そういう魔法なのだろう。

 この世界は黒の導師そのものなのだ。

(・・・・負けない。今度こそ・・・・!)

 精神を統一する。黒の導師の精神攻撃にそなえ、さらに不意の接近にも警戒する。

 万全の体制で、ニースは黒の導師を待ち構えていた。

 

(どうするか・・・・?)

 バグナードは悩んだ。

 魔法の空間を維持しているがゆえの苦痛が彼の身体をさいなむ。

 あまり長く考えている余裕はない。

 強力な戦士でもイメージして送りこむべきか。それとも、別の方法を探すべきか。

(数でせめるか、それとも、搦め手を探すか・・・・)

 

 それからしばらくは、バグナードの精神攻撃だけが続いた。

 さしもの黒の導師もそう奇策をいくつも用意しているわけではないらしい。

 ニースは、意識をしっかり保ってその攻撃を防ぐ。

 黒の導師の攻撃は、ひとつひとつが重く、どっしりとニースの身体に響いてくる。だが、ニースは正確にその攻撃を察知し、自分の身を守っていた。

 魔力と魔力がぶつかりあい、空間をゆがませる。

 だが、黒の導師の魔力はニースの精神を打ち破ることができない。

 ニースとて体力を削られてはいるだろう。だが、黒の導師の消耗はそれ以上であることが想像された。

 自分は、負けていない。

 ニースは、しっかりとそのことを自分に言い聞かせ、不安をいだかぬようにした。

 不安も、人の心を惑わせる。必要なのは、落ちついた状況判断と、そして神と自分を信じる心だ。

 ・・・・状況は膠着状態に落ち入った。

 

 永劫の時の流れを感じさせるほど、長いときが流れた。

 二人のにらみ合いは未だに続いている。

 ニースの額に汗がたまり、長い髪がしっとりとうるおうほどの時間を経て。

 ・・・・そして、ようやく、戦況に変化が生じた。

 その原因は、現実世界にあった。

 

 それは、スパークたちの夜営の地だった。

 幾人かは眠り、幾人かは見張りや見まわりに動いていた。昨夜以来、見張りの目は外ばかりでなく内にも向かうようになっていた。

 もちろん、黒の導師に狙われているニースをさらわれぬよう、未然にその事態を防ぐのが目的である。

 だが、夢への攻撃を判別するのは難しい。ニースが夢の中で苦しめば肉体も反応しようが、もし架空空間で互角の戦いを演じていれば、すこし緊張しながら眠っているようにしか映らない。

 夢の精霊の力を感じられるリーフならば違いもわかろうが、そうそう彼女だけに任せるわけにもいかない。

 ここは敵地なのだ。外への警戒を減らすわけにもいかない。

 ・・・・で。

 今は、何の因果か。

 ニースの幕には彼女が一人で眠っているところだった。

 そして、見まわりを終えたギャラックがその幕に戻ってきたとき、彼女はまだ夢の中の反応を現実に表してはいなかった。

「・・・・・・」

 ギャラックは、じっと眠る少女を見下ろした。昨夜のことを思い出す。

 苦悶しながら眠る少女。だが、ギャラックの目には、その苦悶は、もうひとつの側面をもって映っていた。

 頬を紅潮させ、身をよじる少女の姿は、まるで誰かの愛撫でも受けているようで、異常な発汗などがなければスケベな夢でも見ていると思われかねないものだった。

 ギャラックは、昨日のその少女の顔を思い出してごくりとツバを飲んだ。

 ニースは、まだ12歳だ。ギャラックからすれば、娘といってもおかしくない年頃だ。

 だが、その少女に・・・・昨夜依頼、どうも不思議な感情がうずいている。

 相手は、ガキのような女だというのに。

(こいつ、どんな顔してよがるんだろ?)

 いつも聖女然とし、落ち着き払った女だ。チンポを叩きこんで、ぐいぐい犯してやったら・・・・どんな顔をするのだろう?

 感情を表にしない少女に対する反発と、昨日の議論のせいだろうか。ギャラックは、そのおかしな感情をおさえきれずにいた。

 眠るニースの横にひざまづく。

 少女の顔をのぞきこむ形になった。ニースは、じっと目をつぶり、瞑想しているような姿で眠っていた。

(け、気取りやがって)

 ギャラックは舌打ちした。彼の性格は、このようなタイプの女性を本来好むものではない。

 だが・・・・。少女の寝顔は。

 あまりに美しく、魅力的だった。

 そして、ギャラックにとっては、その顔が・・・・恐怖や、淫らな形にゆがむのを想像するだけで、たまらないほど欲望を刺激されるのだ。

 なんとか、その顔を見てやりたい。

 その思いが、ギャラックの頭を支配した。

 すでに、ニースが自分が仕える国の宮廷魔術師の娘だとか、そういう考えは消えうせていた。

 ・・・・魔性の魅力に見入られていたのかもしれない。

 ギャラックの手は毛布をはねのけ、ニースの胸に伸びた。

 年齢からは信じられぬほど発達した、その乳房に。 

 

(・・・・・え・・・・!?)

 ニースは、自分の身体の反応に愕然とした。

 バグナードの攻撃ではない。見まわしてみても、昨日のような男の影すら見えない。

 それなのに、自分の胸に奇妙な圧迫感がある。

 放っておくと、その圧迫感はどんどん強くなっていった。

 昨日、男に胸をもまれたときと同じ感覚が広がっていく。

(・・・・な、なんで・・・・?)

 黒の導師に動きはない。いつも導師が攻撃をしかけてくるときは、あたりの空間にうねるような歪みが生じていた。

 今は、それがない。・・・・これは、黒の導師の攻撃ではありえない。

 ・・・・だとしたら、これは、私の性欲?

 そう結論づけざるをえない、その感触に・・・・ニースは、激しく動揺した。

 

 あまりの柔らかい感触にギャラックの手は止まらなかった。

 押せばどこまでも沈んでしまうのではないかというほど柔らかい胸肉をつまみ、きゅ、きゅっと刺激してやる。

 触り心地のよさにギャラックは思わず感動し、両腕で双球を揉みこみ始める。

(す、すげえ・・・・)

 胸がマシュマロのようにプニプニとへこみ、指の形におされていく。

 かすかに押し返してくるその感触の、気持ちいいこと・・・・。

 ギャラックは、導かれるようにどんどんともみこみを続けた。

 知る限りのテクニックを尽くし、少女の胸を堪能する。

 同じ動作を繰り返す人形のように、ギャラックはニースの胸を押しつづけていた。

「へ、へへへ・・・・」

 

「え・・・・う、うん・・・!」

 ニースは、胸を押さえてうめいた。

 放っておくと、胸の刺激はどんどん強くなってきていた。

 どうして?

 ニースの頭の中に疑問符が並び続ける。

 身体に、不思議な感触が流れだしている。

 昨日植えつけられた快楽の種が出芽するように、ニースの身体が急激に高まっていった。

 ・・・・昨日に比べると、幾分か乱暴な刺激。

 ニースは身もだえした。

 どうすればいいのか分からない。

「くくく、どうした? ”聖女”よ」

「うう・・・・!」

 黒の導師の嘲笑が聞こえてきた。ならば、やはりこの身の疼きは彼の仕業なのか。

 だが、一度快楽を受け入れてしまった身体はもろい。すぐに乳首に反応があった。

 ニースの身体に悪寒が走った。

 

 

 

 何かにとりつかれたように、ギャラックは胸をもみ続けた。

 手は、すいつけられたようにニースの双球にあわせられている。

 激しくもみしだいているうちに衣服がはだけ、ぽろりと胸がこぼれた。

(おおおおお!)

 ギャラックは内心で、ガラにもなく歓喜の叫びをあげた。

 形のいいおっぱいは、視覚だけで男を刺激する。

 それは、今までみた中で、もっとも穢れなく・・・・白く美しい乳房だった。

 人間の肌が、こんなに透き通るようでいいのだろうか? 乳房は、このように美しいものなのだろうか?

(すげえ・・・・すげえぜ)

 もう、手を離すことなど考えることもできない。

 ずっと揉みつづけていたいという欲求にとらわれ、ギャラックの愛撫は執拗に続けられていた。

 ぎゅ、ぎゅっと胸が押さえ込まれ、ニースの白い胸に赤く手のあとが残る。

「うう・・・・」

 ニースの口がゆがんだ。唇もなまめかしく動き、あやしい声をつむぎだす。

 ギャラックは、まよわずその唇を奪った。

 ニースに覆い被さるようにして口を重ねる。

(お、おおお・・・・!)

 甘い。ほのかな香りが口の中に広がるようだ。

 まるで幼児がおっぱいをすうようにギャラックはニースの唇を吸いあげ、その口をタコのようにし相手を味わいつくそうとした。

 ちゅる、ちゅる、ちゅる。

 ニースの顔から力が抜けていくのが感じられた。あたかも、ギャラックを受け入れたかのように。

 もう、ギャラックは止まらなかった。

 舌がのびる。ニースの顔を嘗め回し始めた。

 唇をもう一度味わう。頬の垢をこすりおとす。鼻の裾をぺろぺろといたぶる。閉じられたまぶたの上をベロでやさしくなでる。

 そして、その腕はあいかわらず胸をもみほぐしつづけている。

(・・・・やった!)

 揉みほぐしつづけた乳房の先に、硬質の反応を感じてギャラックは狂喜した。

 勃起し始めた乳首をさらにいたぶり、素早く口を動かしてその乳首をくわえる。

 口が一つしかないのがもどかしい、とばかりに素早く頭をゆらして両方の乳首を交互にくわえ、なめ、吸った。

(・・・・俺は、世界で最高の女体を、犯しているんだ・・・・)

 ギャラックは、自分の肉棒がもう我慢できないほどそそりたっているのを感じていた。

 彼は、ニースを女神の生まれ変わりだとか、聖女だとか、そういう風にとらえてはいなかった。

 だが、いまなら信じられる。このすばらしい女体を、他のどんな言葉で表現できるだろうか?

 ふるえる乳房も、そのやわらかさも、甘さを感じさせる唇も・・・・。

 極上だ。極上の逸品だ。

 その女性を、自分は犯しているのだ・・・・!

 

 連鎖的に続く愛撫を受け、ニースは夢の中で悶絶した。

(ああ・・・・う、嘘・・・・なんで・・・・こんな、こんなぁ・・・・!)

 膝がくずれ、地面に脚がついた。意識がふわ、ふわっとうき、時々ブラックアウトする。

 目をつぶり、自分の身体を抱いて必死に快楽にこらえる。それが、ニースにできる精一杯のことだった。

「ううううう・・・・あ、あ・・・・!」

 黒の導師の攻撃が来た。

 全身に痺れるような衝撃がはしり、手足の感覚が薄れていく。ちりちりと小さな炎であぶられるような痛みが身体に加えられた。

 なのに。全身に痛みが走ったのに。

 それにもかかわらず、ニースの身体は興奮をかくせない。

 まるでいまの衝撃で感じてしまったように、どんどん高まっていく。

(な、なんで・・・・)

 痛みで感じる変態のことを、聞いたことがあった。

 暴力的な性行為の方が、普通にするより感じる女性もいるらしい、と。

 もちろん、マーファ神殿はそういった「ゆがんだ」性行為を認めていない。自然ならざるもの、として否定するばかりだ。

 自分は、ひょっとしてその「変態」なのだろうか?

 ニースの心が、不安でゆらめく。

 彼女の敏感過ぎる体は、寝たままで刺激にどんどんと反応をしめしていた。

(ひいいいっ!!)

 また、身体に電撃が走る。

 精神がゆるんだせいか、黒の導師の攻撃はニースの身体に痕をのこすほど激しい形で炸裂した。

 身体を打たれるようにニースは地面に倒れた。

 それなのに。

 身体には激痛が走っているというのに。

 ニースの秘部はねちゃねちゃと音をたてていた。

 ニースのショックは、相当なものだった。

(私・・・・どうしちゃったの・・・・?)

 

 ギャラックの手は、とうとうニースのスカートに伸びていた。

 スカートをまくりあげると、白い脚がぱっと目に入る。その魅惑的な身体のラインに、ギャラックは舌なめずりをした。

 神は、よくもこれだけの肉体が作れたものだ。

 清楚なるがゆえに男を魅惑し、狂わせる肢体だ。それも、これでまだ12歳だというのだからたまらない。

 体つきにはまだまだ成長の余地がうかがえる。このまま育てば、いったいどうなることだろう。

「へ、へへ・・・・」

 視線が上へいき、ニースの下着をとらえた。

 中心部分が変色しているのが見て取れる。普段のギャラックなら、「聖女ヅラしてても、しょせんこんなもんだ」とでもあざ笑ったことだろう。

 ・・・・だが、今のギャラックにはもはやそのような感想をいだけない。

 彼女が聖女であることは、彼にとってはもはや厳然たる事実であった。

 でなければ、ここまで自分の心を支配できるものだろうか?

 このすばらしい肢体は、間違いなく聖女のモノなのだ・・・・!

 今のギャラックにとって、ニースの下着が濡れているのは感動的な出来事だ。

 自分の愛撫で、この聖女が、感じている。

 その事実がギャラックをさらに昂ぶらせていた。

 もっと、もっと感じさせてやる。聖女を、俺のものにしてやる。

 そういう思いが、ギャラックを支配したのだ。

 スカートの中に頭をつっこむようにして、顔全体を下着によせる。

 木綿に、妖しげな匂いがまじるニースのそこをじっと、みつめ、息をあらげる。

 下着に手がかかった。

 期待がふくらむ。秘部も、胸のように綺麗なのだろうか? まるで童貞少年のように心をときめかせ、ギャラックは腕に力をこめた。

 

 ニースの身体を、薄気味悪い悪寒が走る。

(見られている・・・・?)

 黒の導師の視線だけではない。それより、はるかに気持ちの悪い目つきで自分を狙っている人がいる・・・・。

 どうにか上半身をおこし、胸を隠すように抱きかかえ、恥じらいに頬をそめる。

 異様な羞恥心を感じ、ニースは動けなくなる。

(は、恥ずかしい・・・・な、なんなの、何が・・・・起きている・・・・の?)

 身体を必死に小さくし、小動物のように怯え、縮こまる。

 怖かった。

 どうしようもないほどの不吉な予感が、ニースの脳裏に浮かんで離れない。

(い、いや・・・・! 早く、早く目覚めさせて・・・・!)

 こんな悪夢はもういやだ。

 ニースは、昨日の自分の態度を投げ捨てるように、そう思った。

 それなのに。あそこはじゅくじゅくと愛液を湧きつづけている。

(助けて・・・・助けて、スパーク・・・・)

 

 めくれるようにして下着が下ろされていく。

(・・・・おお)

 透き通るように白い肌のなかにあって、そこはまるで輝かんばかりのなめらかな肌をしていた。

 胸の豊かさに比べると幾分たよりないほどの肉厚でしかない。

 畏怖さえあたえる胸に比べると、そこは守ってやりたいような純朴さを秘めた恥部であった。

 小さく切り開かれたスリットはすでに開き始めている。愛液が隙間からうかがえる。

 ワレメは、すでにラブジュースで満たされていた。

(感じやすいんだな)

 そんなことを考えながら、下着を脚から抜き取る。スカートを腹の方に捲り上げ、秘部と胸を剥き出しにされた少女が完成した。

 ひとしきり眺め回し、ギャラックはその美しさにあらためて感動した。

 できることなら、この格好のまま持っていかえりたいほどの美貌だ。

(・・・・よし)

 肉棒を取り出す。

 ニースの太ももに手をかけ、脚を割り広げる。

 膝を折り曲げ、両脚の間に自分の身体を入れる。遠慮がちに開かれているワレメに、狙いを定めた。

(・・・ええい、くそ)

 心がはやる。

 きちんと定まらないうちに腰を突き出してしまい、何度か入口を滑った。

 とうとう、この聖女を犯す時がきたのだ。

 ギャラックはニースの腰をつかんだ。

 ・・・・肉棒が、秘部の入り口に触れる。ギャラックの肉棒に比べれば、ニースの秘部はどうしても小さく見えた。

 すでに愛液にまみれた秘唇は、肉棒をやさしくつつみこむように迎え入れようとしている。

 ギャラックは、自分のモノがニースのあそこを引き裂かんばかりに押し込まれている光景を想像して、はあはあと息をもらした。

(・・・いくぜ)

 肉棒に片手を添え、ぐっと押し込んだ。

 

 予感があった。

 自分の身体が、真っ二つに引き裂かれるような、不気味な感覚が。

 秘部が、おかしなうごめきを見せている。

 ニースは、自分の身体を押さえ込もうとした。

 自分の身体が、なにか別のモノになろうとしている。そんな予感にとらわれてた。

 どくん、どくん、どくん。

 何かを待ち望むように、心臓が高鳴る。

 何か?

 ニースは、それを想像して震えた。

 なぜだろう? 昨夜、すでにこの形の攻撃は受けているのに?

 ・・・・衝撃は、昨日よりはるかにすさまじいものだった。

 目がちかちかする。目の前が何もみえなくなるほどの閃光が走った。

「!! !!!!! !!」

 歯をくいしばったまま、顔がはげしく前後する。

 脚の間から頭まで剣で切り裂かれたような衝撃だった。

「が、あ・・・・あ・・・あああ・・・・」

 長い、長い痛み。

 まるで、秘部が「痛みを発生させる機関である」と思わせるほど、長い時間、その痛みが続いた。

 ニースが、視力を失ったように目を白黒させていた。

 頭がゆさぶられる。

 何も見えない。何も考えられない。

 ただ、純粋な痛みが、ニースの身体を走りぬける・・・・!

 ・・・・ニースが、頭を揺さぶるフラッシュバックをおさえ、ようやく目をひらいたとき。

 

 目に入ってきたのは、野獣のような顔つきで自分を犯す仲間の顔だった。

 

 自分が現実の世界にいることを、現実の世界で犯されていることをようやく理解して。

 ニースは、呆然としてギャラックの顔を見つめた。・・・・一瞬、痛みさえも忘れて。 


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