み や

 

 時は昭和の初期。物語は関西のとある置屋「五条屋」から始まる。

 五条屋は界隈でも名の通った置き屋で、数多くの芸妓、舞妓を擁していたが、その中に「見習いさん」からようやく舞妓になったばかりの少女がいた。

 少女の名前をみやといい、源氏名を「いときち」といった。

 みやは五条屋の女将、松の親戚筋にあたるのだが身寄りが無く、松に引き取られて育てられた。しかし、松にはみやに対しての愛情は無く、普通に身請けされてきた他の芸妓と同じ、商品としての価値しか見出だしていなかった。

 それでも、芸妓としての修行をさせてもらえたということはある意味幸運だったのかも知れない。

 ともあれ、みやが生きていくには舞妓として五条屋に身を寄せるしかなく、みやもそれを受け入れていた。

 そして、不遇ではあったがようやく舞妓になり、みやはその生業に楽しさを感じ始めていたのだった。

 そんなある日、みなの世慣れていない少女の愛らしさに、好色な目を向けるものがいた。 洛頂紡績の社長、金菱康雄である。

 康雄は金菱家の道楽息子であり、若い頃から芸術家を気取り、放蕩三昧の生活をしてきた。

 特に女癖は悪く、殊に素人の少女には異常な執着を見せた。

 みやは素人娘というわけではなかったが、その初々しさとあどけなさ、そして少女特有のみずみずしい色気は金菱の情欲をかき立てずにはいられなかった。

 ある日の事、一計を案じた康雄は札束を懐に忍ばせ、五条屋の女将松に、みやを写真のモデルとして貸してくれないかと持ち掛けた。

 松は康雄の下心は分かっていたが、康雄の懐から取り出された法外な札束に相好を弛めると、一も二もなく快諾したのだった。

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