HAPPY BIRTHDAY
9/23


「行ってきます」

 誰もいない家に向かってつい習慣的にそう言ってしまってから、兄は自分の行為のおかしさに微かな笑みを浮かべて妹との約束で家を出た。

 今日は9月23日。秋分の日で学校は休みだ。同時に愛すべき妹・可憐の誕生日でもある。

(それにしても……)

 可憐と待ち合わせした場所に向かいながら、兄は数日前の会話を思い出していた。


「可憐。もうすぐ誕生日になるけど、今年はどんなプレゼントが欲しい?」

「えっ……!? で、でも…………」

 兄の問いかけに、可憐は俯いてしばらく考えた後に、

「お、お兄ちゃん……物とかじゃなくてもいいですか?」

 何故か少し顔を赤らめて質問を返す。兄はどうして可憐がそんな態度でそんな質問をしてくるのかはさっぱりわからなかったが、だからといって何も問題があろうはずもない。

「もちろん、かまわないよ。高いプレゼントをねだられるよりそっちの方が僕としても助かるくらいだ。……できないことを言われたら困るけど」

 兄の言葉を受けて、可憐は今度こそ自分の望みを告げる。

「そ、それじゃあ……お兄ちゃん、お誕生日は可憐とずっと一緒にいてください」

「え?」

 兄はあまりに簡単なお願いに拍子抜けした。

「そんなことでいいの?」

 確認するように訊くと、可憐はこくりとうなずいた。

「可憐は……その……お兄ちゃんと一緒がいいから……」

 頬を赤くして俯き加減に言葉を紡ぐ妹の姿に兄は苦笑して、

「わかったよ。じゃあ……」

 そのまま当日の待ち合わせの予定を決めたのだった。


(かわいい妹に慕われるのは嬉しいけど、いい加減兄離れできないと陰で泣いてるクラスメートとかいるんじゃないか?)

 かわいい妹の姿を思い浮かべてそんなことを考えていた。だが、それでホントに可憐が自分の元を離れて誰か男に笑顔を向けているような場面を想像しかけると、

(……でも、その辺の男なんかに渡すくらいなら、ずっと僕を兄と慕ってる方がいいさ!)

 すぐにさっきの考えを撤回していた。

 12人もいる妹たちを構い続けることは心身ともに疲れを感じることも少なくないが、やはりかわいい妹たちだ。離れていってしまったらと思うと寂しくなる。

 ただ、そう思ってちゃんと妹たちの相手をしているつもりでも、12人もいてはどうしても行き届かない部分があるだろう。だから、誕生日くらいは好きなだけ付き合って、できる限りワガママも聞いてあげよう。兄はそう考えていた。

「…………よし、ピッタリ」

 考え事をしている間に着いていた兄は、腕時計に視線を落として約束の時間ちょうどであることを確認して、呼び鈴を鳴らした。

ピンポーン

 呼び出し音が鳴ってからほとんど時間をおかず、

「お兄ちゃん!」

 待ってましたとばかりに、玄関の扉を開けて可憐が顔を見せた。

「お、おはよう……可憐」

 妹の勢いに気圧されたように兄は少し言葉を詰まらせて挨拶する。

「あっ……!?」

 その兄の態度にはっとして可憐は玄関のドアを開けたままの形で固まったようになって顔を赤く染めた。

「……お、おはようございます、お兄ちゃん。その……ごめんなさい。約束したときからずっと楽しみにしてたから、はしゃいじゃって……」

 赤い顔を俯き加減にしたまま口の中で呟くような声で言う可憐に、

「ところで、今日はこれからどこかに行くの?」

 と、兄は露骨だが話題を変えて可憐が気にしなくていいことを示した。それに実際、これからどうするかというのはまず聞いておかなければならないことだった。可憐と約束したのは今日この時間に可憐の家に迎えに行って、それから1日を一緒に過ごすということだけ。具体的にどこでどういう風に過ごすのかは決まっていない。一応、兄の方でもいくつかプランは考えておいたが、可憐が行きたいところがあるというならもちろんそれに従うつもりだった。

「えっ……そ、それは……」

 だが、可憐はやはり赤い顔で俯いたままだった。やはり話題を変えたくらいで、ぱっとさっきのことを忘れて頭を切り替えることはできず、さらに何か言いたいことはようだったが、それを口にするのを恥ずかしがっているようでもあった。

 しかし、ずっとそうしていても始まらない。やがておずおずと2枚の紙切れを兄に向かって差し出した。

「お兄ちゃんがよかったら、一緒にこの映画を観るのがいいの」

 可憐が差し出していたのは、最近評判になっている海外の恋愛映画のチケットだった。兄妹で恋愛映画、というのに兄が難色を示すかと考えたのかもしれない。だが、兄の方でもその映画は考えていないこともなかったので、問題はない。それに、兄の記憶通りならこの時間から映画館に向かえばだいたいいい時間に着くはずだった。

「今日は可憐の誕生日なんだから、“お兄ちゃんがよかったら”とか考えなくていいんだよ。それに、僕もその映画は考えてたし」

「本当!? お兄ちゃん」

「可憐にウソなんか言わないよ。さ、行こう。今からならちょうどいい時間に着くはずだから」

 そう言って兄が可憐に手を伸ばすと、ようやく可憐は安心したように笑顔を見せて、兄の手を取った。


 兄の予想通り、映画館に着いた時間は早すぎず遅すぎず、ちょうどいい時間だった。かなりいい席に並んで座ることができた兄妹は、たわいない会話に興じていたが、上映時間が来て館内が暗くなると、画面に集中し始めた。

(へえ……)

 可憐の趣味を考えてこの映画を予想していた兄は、自身としてはあまり興味はなかったのだが、映画が始まると予想外に面白かった。いつの間にか映画に惹きこまれていたが、終盤の盛り上がりが近づいてきたところで、

ぴとっ

 肘掛けの上で軽く握っていた手に触れた感触に、はっと我に返る。その感触の正体は隣りで映画に見入っている可憐の手だった。映画に集中している可憐の手が自然に動いて隣りにいた兄の手を握ったのだろう。

「………………っ」

 兄はそれと気づいて声にならない声を上げかけた。可憐の方は映画に見入っていて自分の手が兄の手に触れていることにも気づいていないようだったが、兄はそれに気づいてしまった。そうなると、どうしても可憐の手が気になってしまい、さっきまでのように映画に集中することはできなくなってしまった。

(柔らかい、な……)

 それどころか、逆にどんどん意識は自分の拳の上に重ねられた可憐の手に向かってしまう。その柔らかい感触のこころよさに一瞬、“異性”を意識してしまい、慌てて相手は妹なのだとその意識を打ち消した。しかし、どうにも落ち着かなく、自分の頬が少し熱くなっていることが自覚できた。

(暗くてよかった……)

 妹と手が触れて、興奮したように頬を染めてしまったところなど誰にも見られたくはない。だが、問題は映画が終わって明るくなるまでに自分が落ち着きを取り戻すことができるかということだ。もし可憐に自分の今のような様子を気づかれたら気まずいことこの上ない。あとは、映画が終わるまでに、握ってきたとき同様に自然と可憐の手が離れることを期待することか。

「…………………………」

 兄が動揺している間に映画はクライマックスに来てさらなる盛り上がりを見せているようだったが、兄はもうそれどころではなかった。

 だが、幸いにして可憐の手はクライマックスシーンが終わって少しした時点で離れていき、兄はなんとかスタッフロールが流れて映画館が明るくなってしまう前に平静さを取り繕うことができた。自分の手の動きも、それによる兄の動揺も気づかなかった可憐は、映画の感想を嬉しそうに兄に語りかけながら映画館を出た。


 その後は可憐は兄にお任せで、昼食を済ませてショッピングや喫茶店等、適当に繁華街周辺を回っていると、やがて日も傾き始める。そろそろ可憐の方からもういいという言葉が出ることを予想しつつ、兄はそれを望んでいなかった。そして、そんな自分に戸惑ってもいた。

 映画館でのことをきっかけにして、兄の可憐へ向ける目が急激に変化しつつあった。これまで何も感じていなかったような妹の何気ないしぐさに“異性”を感じ、まるで彼女とデートしているかのような錯覚を覚えてしまう。動揺と興奮を隠して妹の前でいつもの“兄”を演じるのは困難だった。いや、可憐は何も言わないがとっくに兄の普段と違う態度に気づいていたのかもしれない。

「お兄ちゃん、もうすぐ夕方だね」

 可憐がある店の前でふと声をかける。来た、そう思った。妹の前で自分を取り繕うことに多大な努力を強いられながらも、兄は可憐と一緒の時間をもっとすごしたいという気持ちをどこかに抱いていたが、ついに終わりの時が来たのだと思った。しかし、可憐が続けた言葉はそれとは逆の言葉だった。

「お兄ちゃんがよければ、だけど……ケーキ買ってお兄ちゃんの家で休憩するのはどうですか? いろいろ回って疲れちゃったし……」

 兄は予想外の展開に一瞬驚いたが、すぐに笑みを浮かべて

「いいよ。じゃあ、早速買おうか。どのケーキがいい?」

 と言うと、すぐそこにあったケーキ屋に目を向けた。可憐もこの店が目に入ったからそんなことを言い出したのだろう。時々、妹への手土産に利用することがあって、兄にも馴染みのケーキ屋だ。2人で少しだけ考えたが、結局は普通に苺のショートケーキを2つ買っていくことに決めて、兄が店員を呼んで勘定を済ます。

「それじゃ、行こうか」

 まだしばらく妹と一緒の時間をすごせることに妙な嬉しさを感じながら、兄はケーキの箱を受け取ると可憐にそう声をかけて家路に着いた。

 可憐の方でも同じように感じていたのか、楽しく談笑しながら歩いていく。半日一緒にいて、もういろいろと話したにも関わらず自然に話題が出てきて会話には困らない。そのせいかいつもより家までの道が短いようにも感じられてしまった。


 しかし、そんな気分も兄の家に着くまでだった。玄関のところまで来て、挿し込んだ鍵をガチャリと回したところで、兄ははっと気づく。いつものように、今日も家には誰もいない。つまり中に入れば可憐と2人きりということだ。普段なら何も気にしないことだったのだが、今は可憐のことを異性として感じ始めてしまっている。どうにも“2人きり”というのを意識せずにはいられなかった。

「…………………………」

 ドアを開けてリビングまでは通したのだが、さっきまではすらすら出てきたはずの話題が、ぱったりと出なくなってしまう。ケーキの箱を置いたテーブルを挟んで向かいに座った可憐にもそれがうつったのか、どことなく赤い顔で俯いたままどこか落ち着かないようだった。急に押し黙ってしまった兄の態度に居心地の悪さを感じているのかもしれない。

「……そ、そうそう! ケーキ食べるんだったら、お茶を淹れてこないとね」

 先に妙な沈黙を破って席を立ったのは兄の方だった。何も言わずずっと可憐のことを見つめていると、兄としての自分を保てなくなってしまいそうで、それからの逃避でもあった。

(……ふう。どうしちゃったんだ、僕は)

 たった数時間の間に可憐に対してこれまでとは違う愛しさがどんどん膨れ上がる自分に戸惑う。もし、この状況で何かまたきっかけがあれば、兄妹としての一線を本当に越えてしまいかねない。だが、その危険を承知の上でまだ可憐を返したくないと思う自分もそこにいた。

「……お待たせ」

 紅茶を淹れながら自分の思いを整理しようとして、しかし何も整理できないまま兄は紅茶を淹れた2つのカップを盆に載せてリビングへ運んだ。可憐はと言えば、兄が出て行く前と変わらないように俯いたままで、ケーキの箱も開けられていなかった。

「はい、可憐」

 仕方なく、兄は箱を開けて中からケーキを取り出すと、紅茶のカップと一緒に可憐の方に差し出した。自分の思いもそうだったが、可憐の様子もまた、兄には不可解だった。

「……あ、ありがとう、お兄ちゃん……」

 自分の前にケーキが出され、ようやく可憐は少し顔を上げた。そのとき兄は初めて可憐が一見同じようで実は様子が変わっていたことに気づいた。頬は真っ赤に紅潮し、思いつめたような極度の緊張状態に見えた。それを見て兄はますます可憐がわからなくなる。2人とも無言のままケーキを口に運ぶことになった。カチャカチャとフォークを使う音だけがリビングに時々響いていた。

「……ケーキ、食べ終わったね」

 結局、そのまま一言も言葉を交わさないまま、ケーキはそれぞれの口の中に消える。とりあえず言葉をかけたものの、兄は次の行動を決めかねていた。

「……お、お兄ちゃん!」

 やはりもう家まで送るべきかと、悩んだ末に兄が結論を出そうとした直前、可憐は不意に大きくはないが、言葉に込められた重さを感じさせる声で兄を呼んだ。

「な……何?」

 何か重大なことを言おうとしているのが感じられて、兄も緊張しつつ先を促した。可憐は切り出したもののやはりまだ言いにくいのか、さらに何拍か置いて口を開く。

「ホ、ホントは可憐……もう1つお兄ちゃんにお願いがあったの」

「え?」

 可憐が何を言おうとしているのか、兄はさっぱりわからなかった。しかし、可憐の方はとうとう意を決したのか、真っ赤な顔で兄にそのお願いを告げる。

「可憐の初めて……お兄ちゃんにもらって欲しいの……」

 どうしても恥ずかしいのか、それは囁くような声だった。しかし、可憐の言葉に集中していた兄には、しっかりと意味が伝わっていた。

「か、可憐…………」

 思いもよらない妹の言葉に、兄は絶句した。だが、兄が呆然としている間に可憐はその反応を拒絶と受け止めたのか、両眼を急速に潤ませていく。

「やっぱり……可憐は……妹なの……?」

 涙をこぼし始めた可憐の姿に兄ははっと我に返る。入れ替わりに、兄妹だとか倫理だとかいう言葉が兄の中から消し飛んだ。可憐に対する愛しさだけが際限なくどんどんと膨らんでいく。

「可憐…………!」

 兄は感情のままに可憐の身体を抱きしめた。そのまま初めての唇を重ねる。禁断の唇の味は涙が伝って少しだけ塩気があった。


「可憐……本当にいいの……?」

 そのまま抱きかかえるように可憐を自室のベッドまで運んだ兄は、互いの着衣を脱ぎ去ったところで確認するように愛しい妹の目を見た。可憐は裸を見られることの羞恥に頬を染めながらも、ベッドの上で兄に身を委ねるためにおとなしくしている。その瞳には初めての行為に緊張している兄自身の姿が映っていた。

こくん……

 可憐の首が静かに縦に振られる。それを受けて、兄は再び唇を重ねた。

「んんっ……」

 今度はただ唇と唇を合わせるだけのキスではない。舌を絡め合わせ、互いの唾液を交換する、性交の前の準備儀式としての口付けだった。

 双方にその意志があっても、互いに初めての行為であるために最初はどうしてもぎこちなさがあったが、やがて慣れ始めたのか舌の動きが滑らかになっていく。それと同じくして兄の手は可憐の胸に伸びた。少女の身体はどこも柔らかかったが、中でも特に柔らかい胸の膨らみをそっと優しく感触を確かめるように揉んでいく。一番柔らかい部分とはいっても、成長途中にあるためその芯は逆に硬い。力余って可憐に苦痛を与えたりしないよう、兄は細心の注意を払いながら妹の身体を愛撫し続けた。

「あっ……!」

 最終的な目的が性交にある以上、そこへの愛撫は避けて通れない。しかし、まだ生え揃ってはいない淡い茂みの下にある女の子の部分に兄の指が触れようとすると、可憐はさすがに恥ずかしがって抵抗するような声を出した。

「……大丈夫。僕も初めてだからうまくできないかもしれないけど、できる限り優しくするから」

 小さく身を捩った可憐の耳元に兄が優しく囁きかけると、緊張しかけた可憐の身体が元に戻る。改めて兄は可憐のあそこに手を伸ばしていく。

くちゅっ

 兄を受け入れたいという可憐の思いの賜物か、兄のぎこちない愛撫が意外に感じさせていたのか、初めての経験にも関わらずそこはすでに濡れ始めている。

 兄はそれを嬉しく感じながらも、初めて触れる異性の性器を手探りで愛撫していった。しかし、本などで一応知ってはいるが、実際に触れるのは初めてであるため、どこが何だとかいうことはよくわからない。己の股間で先走りの涙を流しながら出番を待っている男性自身を挿し入れる場所くらいは確認しておこうと思うのだが、それもままならない。

「はぅっ……!」

 そうするうちに指先が何か小さな突起のようなものをかすめて、可憐はその衝撃に身を跳ねさせた。おそらくそれが可憐のクリトリスだったのだろう。兄はそう気づくと、今の刺激で量を増したあそこから染み出す液体を指先に付けて指を滑らかにさせてから、さっきの場所を再び探した。女性の中でも一番敏感な場所だということは聞き知っていたので、胸を愛撫するとき以上に慎重にその突起を探り当てる。

「あっ……はぅっ……お、お兄ちゃん…………!」

 刺激が強くなりすぎないように注意しつつその秘芯を愛撫していくと、可憐の口から明らかに快感の喘ぎが洩れる。自分の愛撫で感じていることをはっきり実感すると、兄はもう我慢ができなくなった。

「か、可憐……そろそろ……」

 本番への突入を告げる兄の声は興奮に上擦っていた。どこまですれば愛撫が十分かということもわからない兄は、そう言うことで可憐の準備ができているのか確かめたかった。

「う、うん……来て……! お兄ちゃん……」

 可憐の答えを聞いて、兄は身体をずらして男性自身を妹のあそこに押し当てた。

「い、行くよ……!」

ぬるっ

 呼び掛けとともに腰を前に突き出したが、初めてであるためうまく場所が合わなかったのか、中に入っていかずに滑ってしまう。

「あ、あれ……?」

 焦って兄はもう一度試してみるが、やはりうまくいかない。2度、3度と繰り返すが、焦れば焦るほど男性器はちゃんと目的地にはうまく辿り着けなかった。

「お兄ちゃん……?」

 覚悟していた痛みがなかなか来ないために、可憐は戸惑ったような目で兄を見上げる。その視線に兄はさらに焦りそうになったが、

「可憐、お兄ちゃんが相手だったら我慢するから……」

 自分のことを気遣ってなかなか兄が挿れられないのだと思ったのか、真剣な声音の可憐のその言葉に兄ははっとなった。自分はうまく最後まで繋がれないことに焦るばかりだったが、可憐はそんな自分が可憐を気遣ってうまくできないのだと思ってくれている。しかも、うまくいけばおそらく可憐は破瓜の激痛に耐えなければならなくなるというのに。

「ゴメン……! 初めてだからうまく場所がわからなかったんだよ。でも、今度こそ……」

 我に返った兄は、焦っては同じことの繰り返しだと落ち着いて照準を合わせ直す。

ずず……

 慎重に腰を前に進めていくと、今度こそ兄の男性器は可憐の処女穴をまっすぐ突き進んでいった。

「うっ……!」

 狭い穴を押し広げるようにして進んでくる兄のモノに可憐は少しだけ顔を歪めたが、小さなうめきを洩らすだけでその痛みに耐える。

「だ、大丈夫? あと少しだから……」

 気遣う声をかけながらゆっくりと腰を進めていった兄の男性器の先端が、何かにぶつかってその進行が止まる。可憐の処女膜に違いなかった。これさえ突き破ってしまえば、可憐の処女は兄のものだ。

ぶつっ

「ぐううぅっ……!」

 意を決した兄が腰を突き出すと、男性器の侵入を拒んでいた薄膜は、経血を通すためにあった裂け目を亀頭に押し広げられ、純潔を証すその役目を終えた。可憐は歯を食いしばってその痛みに耐える。

「か、可憐……!?」

 その痛々しさに兄は思わず引き抜いてしまいそうになったが、

「だ、大丈夫だから……! 止めないで……お兄ちゃん……」

 瞳一杯に涙を溜めながら、可憐は行為の継続を願った。文字通り身を裂くような苦痛に苛まれても行為の完了を願う妹の健気さに、兄も覚悟を決めて一旦引き抜きかけた男性自身を再び可憐の中に埋めていった。

「うっ……」

 最後の障害を抜けてしまったため、後は簡単に根元まで可憐の中に入り込んでしまった。温かい粘膜に男性全体を包まれて、兄は初めての快感を感じていた。可憐の感じているであろう苦痛を思うと申し訳なかったが、すぐに達してしまいそうなほどの快感だ。

「う、動かすよ……」

 男性自身を根元まで可憐の膣に収めたまま、しばらく慣れるのを待つようにじっとしていたが、兄はそう言った。可憐が微かに首肯するのを確認してから、兄は慎重に腰を揺らし始める。

ずっ…………ずっ…………

 可憐の負担をなるべく減らすために、動かす幅も速度も小さなものだったが、初体験の兄にはそれでも十分すぎる快感があった。早く兄が達してしまえば、可憐はそれ以上の苦痛は味わうことはない。そんな計算をする余裕も無く、兄はすぐに限界を迎えてしまった。

「ううぅっ…… で、出るっ……!」

 このまま膣内に射精して取り返しがつかなくなったら、と一瞬頭によぎったが、抜き出されるのを待たず、兄の男性自身は妹の膣内で精を吐き出してしまった。

ぴゅっ、ぴゅびゅっ、びゅるっ……

 大量の精液があっという間に可憐の膣内を満たしていく。

ずるっ……

 もう手遅れとは知りつつも、兄は吐精途中の途中の男性自身を可憐の膣内から引き抜いた。

びゅ、びゅびゅっ……

 尚も精を吐き続けていた男性自身は、そのまま可憐の鼠蹊部と淡い茂みをもべっとりと白く汚していった。膣内で吐き出された精液は破瓜の血と混ざって薄ピンク色の濁液として膣口から溢れ始める。

「はぁっ……はぁっ……はぁっ……はぁっ……」

 可憐の中と外にありったけの精液を吐き出した兄は、しばらくの間は射精後特有の虚脱感にあったが、やがて頭がはっきりとしてくると可憐の身体を気遣う思いが戻ってくる。

「か、可憐……大丈夫かい?」

 自分が吐き出したもので汚してしまった可憐の身体を綺麗にしてあげようとティッシュを箱ごと手に取って尋ねる。問われた可憐はまだ兄が入っていた部分にじんじんする痛みと異物感が残ってはいたが、自分を気遣おうとする兄に笑顔を返した。

「ありがとう……お兄ちゃん」

 

 その後、兄と可憐は交代でシャワーを使い、自分たちの身体とベッドの痕跡を綺麗にした。それが終わるともう夕食の時間はとっくに過ぎていた。夜は可憐の家の方でまた家族とのお祝いがある。名残惜しかったが、今日はもうお別れだった。

 本当は兄もそのお祝いに参加する予定だったが、今2人で他の家族の前に出たら、さっきまでのことを隠しきれる自信がなかった。もし可憐とのことが家族にばれてしまったら、もう二度と可憐と会うことすら許されなくなるかもしれない。気分があまりよくないということにして、今日はこのまま別れるのが最善だった。

 せめて見送りくらいは、と兄は玄関の辺りまで一緒に来たのだが、可憐は靴を履くと玄関の扉を開ける前に兄に手招きをした。

「うん?」

 何の疑いも無く兄が近づいてくると、

チュッ

 可憐の方からも顔を近づけてきて、唇と唇が軽く触れ合って、すぐに離れた。

「お兄ちゃん、大好き!」

 最後にそう改めて告白してから、可憐はドアを開けて家族の待つ自分の家へ帰っていった。


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