その7

 

 

 

酒の上での勇み足であっても、既婚者である自分がよりによって部下に家で女子大

生を相手に淫らな行いに及んでしまうとは、まったく言い訳のしようも無い愚行だ

った。だが、あの狂乱の一夜を終えた次の朝、矢島一家はまるで何ごとも無かった

ように朝食の時を迎えたのだ。いつ寝入ってしまったのか分からぬ島津は、よく朝

、身支度をすっかりと整えた恵里子に起こされるまでぐっすりと眠り込んでしまっ

ていた。

 

お客様として朝餉の席に呼ばれた島津は、昨夜の出来事が夢では無かったかと悩ん

だが、朝食の後に髭を剃る為に洗面所に向かった時に、そっと近付いて来た恵里子

が頬にキスをして立ち去ったことから、あの乱れた一夜がけして夢では無かった事

を思い知らされていた。

(こまったモノだ… )

少し離れた席でノートパソコンと格闘中の初老の部下の方をちらりと見て、島津は

美人OLが入れてくれたコーヒーを口に含む。いつもであれば心地の良い覚醒感を

齎すカフェインの刺激も、今日の彼の悩みを一掃はしてくれない。思い悩む島津の

頭に、矢島の新たな誘いに台詞が渦巻いていた。

 

「この週末にも御都合をつけて、是非また遊びにきて下さい。なにしろ恵里子の奴

 が課長をえらく気に入っていまして、何が何でも連れて来いとの一点張りなんで

 すよ。それに、今週末には、また別の面白い嗜好も用意しておきますから、お待

 ちしていますよ」

本来であれば即断で辞退すべき招きなのだが、美しい女子大生の白く艶かしい肢体

を思い出した島津は、拒絶の台詞が咽に引っ掛かり出て来なかった。

 

もちろん、襖一枚隔てただけの隣室の出来事だから、島津が義理の妹と肉の交わり

を楽しんだ事は当然矢島もわかっているハズだ。にも関わらず平然と再度の訪問を

促す初老の部下の目論みが分からず、島津は途方にくれていた。結局彼は妻に新し

い釣り仲間に誘われたと嘘を付き、次の週末の不在を告げた。すると、妻も丁度実

家に用事があるからと言って、息子を連れて泊まり掛けで留守にすると応じたから

島津は心の中で安堵の溜息を漏らしたものだ。課で一番の美人OLが入れてくれた

コーヒーを啜りながら、島津は次の週末が楽しみな様な、恐いような不思議な気持

ちを持て余していた。

 

 

 

「ごめんください」

教えてもらった住所と記憶を頼りに、島津は再び初老の部下の豪邸を訪れた。指定

された通りに土曜日の夜に邸宅を訪問した彼の手には貰いものの高価なワインのボ

トルがあった。島津も妻もワインは好まぬ事から死蔵されていた代物だったから、

妻にことわりを入れた後に手土産として持参したのだ。

「はい、いらっしゃいませ、お待ちしてました課長」

なぜか奥方でも恵里子でも無く、矢島本人が玄関先まで出迎えてくれた事を幾分訝

りながら、彼は初老の部下に手土産を差し出した。

 

「つまらないモノですが… 」

「これは… 困りましたな、こんなお気遣いは今後は無用にお願いしますよ課長」

「いえ、図々しくもお招きに甘えてしまいました身としては、手ぶらと言うのも気

 が引けます」

恐縮しきりな島津を他所に、粋な着流し姿の矢島は上機嫌に見えた。溝鼠色のスー

ツを着ている日頃の彼に比べて、和風の出で立ちの矢島はそれだけで男前がアップ

しているようにも見える。

「いや、本当に、こんな気遣いは今回限りでお願いします。そうでないと、気軽に

 課長をお招き出来なくなってしまいますからね。ささ、どうぞお上がり下さい、

 恵里子達も待っています」

 

玄関に出迎えにも来ない美貌の女子大生の名前を耳にすると、あの狂乱の一夜の出

来事が克明に思い出されて島津は頬どころか耳朶まで真っ赤に成った。そんな島津

の戸惑いを意に介さぬ初老の部下は、先立って縁側をどんどんと奥に歩き出してい

た。

(おや、この声は… まさか! )

矢島に数歩おくれて縁側を歩いて行く島津の耳に、なんとも言えない艶っぽい声が

漏れ聞こえてきた。そして、その声には聞き憶えがあったのだ。促されるままに和

室に足を踏み入れた島津は、目の前で繰り広げられている光景を見て呆然と立ち竦

む。

 

「遠藤、則子くん… 」

「はい、そうです。則子くんですよ課長」

上座に設えられた御膳の向う側には、やや大ぶりの敷布団が敷かれていて、その上

では全裸の3人の美女が、まるで白蛇が絡まり合う様に淫媚な光景を繰り広げてい

たのだ。ひとりは矢島の妻の香代子、そして香代子の妹の恵里子がここにいるのは

分からないでもない。たとえこの2人だけでも全裸で絡み合っていたならば、島津

は大きに驚いたであろう。だが、この2人に挟まれて合間で身悶えているのは、間

違い無く島津の統べる課において、男性社員の人気ナンバー1を誇る遠藤則子、その

ひとだった。

 

「はぁぁ… だめぇ、また、いっちゃうぅぅ… 」

美人OLの股間には香代子が顔を埋めていて、愛液の溢れる肉穴を舌を使って責めて

いた。一方、妹の恵里子は、アクメを訴える則子の唇をキスで塞ぎながら、男性社員

連中のの眼差しを釘付けにしている柔らかな胸の膨らみを両手で激しく玩弄していた。

「うはぁぁぁ… だめぇぇ… ひぃ、ひぃぃ… 」

美貌のOLの股を支配する香代子は、発情を露に勃起した敏感な肉芽を舐るものだか

ら、則子はたまらず恵里子のキスを振り解き汗の浮いた裸身を震わせた。

 

「こっ… これはいったい? 」

「こう成るまでには苦労しましたよ。なにしろ私が課長の課に移動して来たときには

 、則子には恋人がいましたからね。丹念に説得を繰り返して来ましたから、ようや

 く最近に成って私の肉便器に成ってくれたんですよ」

驚くべき台詞を平然と言い放つ矢島の前で、島津は言葉を忘れて立ち竦んだ。

「ほら、則子、言ったとおりに島津課長をお連れしたぞ」

2人の女性に責められて我を忘れて身悶えていた美人OLは、矢島の呼び掛けに反応

して虚ろな瞳を侵入者達に向けて来た。

 

「ああ、課長、則子、もう駄目なんですぅ… 矢島様のデカいチ◯ポに馴染まされて

 、肉便器にされちゃいましたぁ… もう矢島様のデカチン無しでは生きて行けない

 便器女なんですぅぅ… 」

衝撃的な則子の奴隷口上を聞かされて、島津は強烈な目眩に襲われた。

(まさか、矢島さんが、こんな事まで… )

困惑する島津を他所に、2人の美女は獲物を追い詰めに掛かった。

「うふふ、よく言えたわね、合格よ。ほんの数週間前までは、恥ずかしがってピーピ

 ーと泣いてばかりだったのに、これでノリコも立派な淫乱女の仲間入りよ。そんな

売女には御褒美をあげる」

 

真っ赤なルージュが印象的な香代子の口から、とんでも無い台詞が吐かれると、彼女

はいつの間にか右手に握っていたバイブレーターを美人OLの濡れた肉穴にズブズブ

と埋めて見せたのだ。

 

 

 


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