その24

 

 

 

 

「ただいま」

ラブホテルで若者に精根尽き果てるまで犯されて、生ける屍と化した美しい義

叔母を彼女のマンションまで連れ帰ってから、隆俊は夕闇迫る頃に自宅へと戻

って来た。部屋に入った途端に、良い臭いが漂って来るから、彼は朝にファミ

レスで食事を取っていらい飲まず喰わずで園子と交わっていた事を思い出した

「いるのか? 暢子? 」

いつもであれば、とっくに店に出ている時間なのだが、美貌の義母は在宅して

いる。ダイニングのテーブルの上に並べられた料理の数々を見て、隆俊のハラ

の虫が悲鳴を上げた。

「おかえり。ねえ、あなた、園子を知らないかしら? 連絡が付かないのよ」

食事の前に手を洗う為に洗面所に向う若者に、暢子は憂いを込めた視線を送り

ながら問いかけた。

「さっきまで一緒にいたんだ。もう、家にいるぜ。でも電話に出るのは、まだ

 ちょっと無理かな? 」

洗面所で手を洗いながら、隆俊は大人びた様子で答えた。ダイニングに戻ると

、彼は改めて義理の母親を見つめる。店に出る時とは違い控えめではあるが、

それでも化粧は整えている彼女のオレンジ色のエプロンの下には、すらりと白

い脚が伸びて艶かしい。

園子と血縁であるから、どこか似た雰囲気はあるが、妹に比べると、より爛熟

した感の強い義母を見て、無尽蔵な性欲を持つ若い獣は、股間が強張るのを感

じていた。しかし、今は性欲よりも食欲の方が勝っている。彼は椅子に座ると

暢子が手渡したお椀を受け取り、食欲を満たしに取り掛かる。

「いっしょだったって… 何処にいたのよ? 」

すこし青ざめて険しい顔付きで、暢子は義理の息子に問い質す。

「ラブホテルさ。いままで一緒だったぜ」

事がここに至れば隠しだてする必要も無いから、隆俊は御飯を頬張りながら、

別段、気に掛ける様子も無く事実を話している。半ば予想はしていた事だが、

こうしてあっさりと述べられてしまうと、暢子は溜息を漏らすばかりだ。

「あの子が誘ったの? 」

「ああ、そうさ。積極的だぜ、園子は。いい女だよな」

手作りのハンバーグをたった3口で平らげた餓鬼は、付け合わせのフライドポ

テトもまとめて口に放り込みながら、何も隠しだてしないで義理の母親の質問

に答えてしまう。二の句が告げぬ暢子は、旺盛な食欲を見せる義理の息子の食

事の風景を、溜息を吐きながら見守っている。

「なあ、店の方はどう成っているんだよ? 今日は園子もダウンしているんだ

 ぜ? 」

「大丈夫よ、バーテンのチーフに連絡して、店を休む事にしたから」

暢子に続いて園子まで、無類のタフネスを誇る少年の餌食に成ってしまった今

、店は休むより他に手立てが無い。暢子にしたところで、とてもこのまま夜の

店に赴き客をあしらう気力は無かった。

2日間における、この獣との交わりで疲れきり、心も折れていた暢子であるが

、隆俊が妹とラブホテルで2人だけの時間を過ごしていたと聞くと、心中穏や

かとは言えなく成っている。それにしても、あれだけ彼女を貪りながら、平気

な顔をして園子と情交を重ねている義理の息子の精力には驚きが隠せない。し

かも、洗面所から戻って来た時に、彼女を見た少年の目には、明らかに好色な

光が宿って見えたではないか!

「もっ… もう、園子とは会わないで! あの子まで巻き込むのはやめてちょ

 うだい! 」

「なんだよ? 焼きもちか? 暢子。心配するなよ、園子と犯ったからって、

 あんたを仲間はずれにはしないさ」

出された料理の大半を平らげた少年は、ようやく人心地付いた様な顔をして不

敵に微笑んでみせる。

(やっ… 焼きもち… そうなの? 私は妹を嫉妬しているの? )

自覚が無かった嫉妬心を隆俊から指摘されて暢子は困惑する。真実を見抜く義

理の息子に視線がいたたまれずに、彼女は立ち上がると冷蔵庫に歩み寄る。こ

の場の支配者に成り上がった若者の為に、暢子はグラスに冷えた麦茶を注ぐと

テーブルに舞い戻る。

「おっ、気が利くな、サンキュー」

びっくりする様な勢いで夕食を平らげた若者は、上手そうに冷たい麦茶も一気

に飲み干す。

「ふぅぅぅ… 御馳走さん! 旨かったぜ」

空に成ったコップをテーブルに戻した隆俊は、食休みする事も無く立ち上がる

から、若い獣も前にした暢子は勢い身構える。だが、そんな若い義母の警戒心

などお構い無しに、彼は暢子の傍らに歩み寄る。

「なっ… なに、なによ? 隆俊? 」

「腹が満ちたら、次にやる事は決まっているだろう? 」

満腹な獣は、他にも欲望に忠実らしい。そんな義理の息子の野獣を思わせる性

欲に、暢子は驚いて彼を見つめる。

「だって、アンタ… さっきまで園子と一緒にラブホテルで… 」

「ああ、楽しんで来たぜ、だからウォーミングアップは十分さ。ほら、見ろよ」

食事を終えた隆俊は臆面も無く、彼女の前でズボンとトランクスを摺り下げる。

「俺の方は、いつでも準備はオッケーなんだぜ」

ここ数日の間、彼女の芯に強烈な快楽を刻み込んで来た肉の凶器は、呆れた事

に園子との情事を重ねた後にも些かの衰えも見せてはいなかった。無礼きわま

りない義理の息子の行動を本来であれば諌めるべき暢子であるが、つい最前ま

で妹と一緒だったと言う隆俊の台詞が、彼女の理性を狂わせている。それに加

えて萎えると言う言葉を知らぬ獣の巨根を突き付けられて、彼女は息子の股間

から目が離せない。

「ほら、ぼんやりとしていないで、しゃぶってくれよ。大丈夫さ、園子と一緒

 だったラブホテルで、ちゃんと最後にシャワーを浴びて出て来たからな」

妹の園子の名前を出された事で、美しい義母は逆上する。彼女はテーブルを離

れると、恨みがましい目でチラリと隆俊を見上げた後で、ついに彼の前に跪い

てしまった。

 

 

 

牝喰伝 その3 END

 

 

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