桃原美希子 (8月29日(火)12時57分19秒)
■アニトさま■
先日仕事帰りに秋の虫の声を聞きました。
暑い暑いと感じながら季節は確実に秋に向かっているようです。
日本が一年中春か秋の気候だったらいいのに
と願うこともたびたびですけれどそれじゃ変化が楽しめません。
もしも女装が認められる世界になったらそれでも女装をするかと自問すると
自由すぎて密やかな変身の楽しみが奪われてしまうようでもあり、
自分がどうするのか想像がつきません。
立ちふさがる壁があるから興味を持つのかもしれませんね。
「もしも女装が認められる世界になったらそれでも女装をするか」
というアンケートがあったら結果を知りたいです。
物語は蔵出しでございます。
ずっと以前に、書き始めたのはいいのですけれど
先が見えてしまう展開しか思い浮かばず断念していたのです。
場つなぎ物語で申し訳ございません。
−−− ベィビーシッター −−−

「あなた、本当に大丈夫?」
玄関先で米須の若妻、初子さんが念を押すように訊いた。
「ああ、任せておけよ」と耕司。
「分別のある大人が2人もいるんだもんねー」
妻の富美子が半ば笑いながらノウテンキに言う。
「あー、いいからいいからゆっくり楽しんできなよ」と僕。
僕、麦旗稔と米須耕司とは学生時代からの親友で
お互いに結婚してからも家族ぐるみの付き合いをしている。
といっても僕たち夫婦にまだ子供はなく、
耕司の子供はまだ1歳になったばかりの女の子だけど。
気の合う富美子と初子さんは一緒にママさんバレークラブに加入していて
午後から行われる地区大会のことでほとんど上の空みたい。
反省会と称した打ち上げの時間も含めれば帰りは夜遅くなるというので
耕司と僕がベィビーシッター役をおおせつかることになったのだ。
大荷物を抱え妻2人が出て行くと、耕司の家は急に静かになった。
幸い昼食は用意されていて小さな爆弾美鈴ちゃんは健やかにお昼寝中。
これから数時間おきにミルクを飲ませなければならないため
外出は控えるつもりでいた僕たちはさっそく将棋盤に向かい合った。
兄都学園将棋サークルの主将とキャプテンという立場を互いに主張し
保持し続けた因縁の間柄でもある。
もっとも正式な部活動として認められておらず
クラブ員は2人だけだったため対戦場所は僕の家であったのだが。
第一局の中盤、僕が必殺の3三角を打ち攻めたときだった。
興奮しすぎて盤に叩きつける駒音が大きすぎたせいか
2人ともが目の届くベィビーベッドにいる美鈴ちゃんがぐすりだした。
と次の瞬間には火がついたように泣き出す。
「あー、やってくれちゃった」
「ともあれ抱き上げてあやしていろ。ミルクを取ってくる」
キッチンには1回目分の哺乳瓶が用意してあった。
「どうだ小さな爆弾は……泣き止まないようだな。ほらこれを」
手渡す哺乳瓶を耕司が受け取り、胸に抱いたまま吸い口を美鈴ちゃんに近づける。
いきなりチュウチュウチュウと吸い出した。
赤ちゃんの食欲というのはいったいどうなっているのだと思う。
長く飲んでいる気がしたが中身のミルクはそれほど減っていない。
それでも満足したようで口を離したのを見て安心したのもつかの間
導火線が再燃するかのように泣き出した。
「いつもならこれで満足するはずなのに」
「おむつはどうだ?」
耕司がオムツ越しに匂いをかいでみる。
自分の子供だからできることなのだろうなあと感心した。
「大丈夫みたいだ」
「赤ちゃんに寝る飲む出す以外の欲求はあるのか?」
「う〜ん……あやされる、かもしれん」
さすが父親、それに違いない。
「自分の匂いが染みついたベッドカバーで包んでやれば安心するかもしれん」
さっそく耕司はベィビーベッドから掛け布を取り上げ
美鈴ちゃんを包んで腕の中であやしはじめた。
「アバアバアバァ、パパでちゅよぉ〜」
美鈴ちゃんは掛け布の匂いを確かめ、耕司を見上げた、ように見えた。
が泣き止んだのはその一瞬だけだった。
「母親の匂いを求めているのかもしれない」
さすが父親、もしかしたらそうなのかもしれない。
「奥さんの洋服かなんかで包んであげたらいいのかもしれないぞ」
「おおっ稔もたまにはいいこと言う」
耕司は美鈴ちゃんをあやしながら寝室に向かった。
僕はとりあえずその場にて待機。
「洗濯してある洋服でもいいんだろうか?」
壁の向こう側から声がした。
「あーだめだ。洗濯前のものはない」
耕司が宙を見上げて立ち尽くす姿が思い浮かんだ。
「あるものでいろいろ試してみろ」
しばらくパタンコトコトと家具を開け閉めする音と美鈴ちゃんの泣き声の重なっていた。
が2つが同時にぴたりと止んだ。
「引き出しの中に寝かせたら成功した」
耕司が手ぶらでバンザイしながら戻ってきて言った。
「しかし目の届かないところに置いておくわけにもいかないだろ」
「それもそうだ」
「ならば引き出しごと持ってくるか中にあるもので包んではどうか?」
「引き出しごとならばベッド代わりにもなる気はするが……それはマズイ」
「なぜだ?」
「妻の下着入れだからだ」
「上か下か」
「上だ」
「そうだ、美鈴ちゃんが一番気にいるブラジャーを耕司がつけるというのはどうだ」
「よせやい。方法がないか試してくる」
そう言って耕司は再び寝室へ向かった。
壁の向こう側から美鈴ちゃんの泣き声がもれてきた。
それが止む。
再び泣き声。
困り果てている耕司の姿が目に浮かぶ。
しかし僕としては今することが思い浮かばない。
美鈴ちゃんの鳴き声が止んだ。
123……10秒待って僕は忍び足で寝室を覗いてみた。
床に広がる洋服の海の中で耕司はペタリと座り込み、
胸に抱いた美鈴ちゃんがきゃっきゃっと笑っいながらはしゃいでいた。
耕司は上半身裸でブラジャーをつけていた。

 ▽ ▽ ▽ つづく ▽ ▽ ▽




アニト (8月30日(水)23時50分53秒)
桃原美希子さん、こん○○は。
>「もしも女装が認められる世界になったらそれでも女装をするか」
逆にわたしは「もしも女装が認められる世界になったらそれでも女装をしないか」
を考えてみると、「しない」と思うのです。
まず第一の理由として着る物に無頓着であり、
繊細な装飾などがされているシャツや長くも短くもスカートでは
取れやしないか破れやしないか汚れやしないかパンツが見えやしないかと
さまざまな場面で行動に制限がありそうです。
女性物の洋服や下着を身に着けたいと願っている人は
大手を振って着られる楽しみを見出すかもしれませんし、
《密やかな変身の楽しみ》を求める人は
違う形で願望を叶える方向に行くかもしれません。
いずれにせよいつでもどこでも自分が着たい服を着るのが一番です。
美希子さんの《蔵》にはどれだけの物語が詰まっているのでしょう。
発想の豊かさに感心しますよ。
素敵な物語をいつもありがとうございます。




桃原美希子 (9月13日(水)17時29分02秒)
■アニトさま■
>取れやしないか破れやしないか汚れやしないかパンツが見えやしないかと
>さまざまな場面で行動に制限がありそうです。
そうなんです、身体にフィットしている上にいろいろな装飾があるものですから
立ったり座ったり身体を無理に伸ばしたりひねったり
特に何かを手にしたまま急な動きをすると引っ掛けちゃったりして、
縫い合わせがベリッ、付属装飾がポロリ、ネックレスがプチッ、
ストッキングがピキキッー、…ってたま〜にやっちゃいます。
女性服や用品は繊細さ・壊れやすさ・か弱さの強調なのかな?
そういう演出をしながら一方でそれらが枷にもなっていますから
自然と抑制力が働いて女性らしい動きになっていくのではないのかしら、と。
ウエディングドレスなんかその最たるものかもしれません。
ううぅ、大手を振って(振っちゃいけませんけれど)着てみたいですぅ。
それと最近タトゥーに興味を持ち始めました。
といっても本物じゃ痛いだろうし後戻りできないのでシールですけれど。
今も乳首ちゃんの横にちっちゃな赤いバラが咲いていて
自分の秘密がそこに凝縮している気がしてすごくエロチックです。
■男柱都市ムレムレの被虐者にてチンコ擦るもの中出真樹お姉さま■
お返しの名前を考えるだけで一夜が終わってしまいますですぅ〜。
イメージとしてはパルテノン神殿みたいなのがありまして
男根型の石柱にチンコを擦りつけている被虐者たちで熱気ムレムレ、みたいな〜。
>書き込みの少ない時期にアニト様とのマンツーマンプレイ。
ひゃんっ 覗かないでくださいませ〜、お姉さまのエッチ!
でも見られながらするのもかなり刺激的かも。
数だけ多い作品群は、夜中にエッチな気分になって
物語をネタにオナニーしちゃおっかなっていう人が
パンツを下ろしてシコシコはじめてから発射までのタイミングに合わせられるように
3〜5話程度で完結するように心がけているんです。
……って大ウソです、本当はワタシの集中力のなさゆえです。
大先輩には60作を超える綾乃さまがいらっしゃいますし
ワタシが苦手としているジャンルを書かれていたり
どうしたらこんなすごい設定を思いつくんだろうって方もいっぱいいらっしゃって
ホントに空想デートの奥深さを感じています。
真樹お姉さまこそ深い造詣で独自の世界観をお創りなっていて
すごいと尊敬できるお方でございます。
いきなりアザトースが難しければ
はじめは軽く「穴通す」くらいで優しく愛撫してくださいまし〜
−−− ベィビーシッター 2−−−
「笑うな、笑うなよ。これが一番いい方法みたいなんだから」
着ていたシャツを脱ぎ、初子さんのブラジャーをつけた耕司は
肩を落として背中を丸め、しかし強いまなざしで僕を見た。
美鈴ちゃんはそんな父親の胸に張り付いているブラジャーに触れながら
キャッキャキャッキャと笑顔を見せている。
これが愛する娘を想う父親の強さなんだろうと感心した。
「僕が笑っているように見えるか? 冗談とはいえ提案したのは僕だ。
それに笑っているのは美鈴ちゃんだけだろ」
「おかしいのだろうか?」
「赤ちゃんにおもしろいという感情があるのかどうかわからないが、
たしかにブラひとつでいるのはおかしいし、僕も目のやり場に困る。
いっそのことシャツも着たらどうだ」
「それはこのうえ妻のものをという意味か?」
「自分のシャツを着たら意味がないだろ。
ブラジャーでこれだけ美鈴ちゃんの気を引くことができるなら
初子さんの洋服を着れば着るほど効果的なのかもしれない」
「早い話が女装しろと」
「可愛い我が子のためを思えばな。なにも化粧しろとまで言わない」
「下もか?」
「いつまでも腕の中に抱いていてはそのうち疲れる。
膝に置いてあやせるようにするにはそのほうがいいと思うが」
耕司は眉間に皺を寄せて宙を見、それから笑顔で美鈴ちゃんを見つめた。
「よしわかった。着替えるから向こうへ行っててくれ」
まさか本気でするとは思わなかったが、決心を固めたようだ。
約10分後、リビングに現れた耕司は白いワンピースを着ていた。
学生時代にバレーボールの選手だった初子さんは耕司と同じほどの身長がある。
ブラウスでもスカートでも選択はいくつもありながらやはり抵抗があったのだろう。
美鈴ちゃんを腕の中に抱く姿は一応ママの形になっていた。
しかし首から上は父親のままだった。
長袖長丈で、よく見ると黒のストッキングも履いている。
裾から覗く脛毛を見せつけられるおぞましさは解消してくれた。
「じろじろ見るなよ、そんなにおかしいか?」
「いや、なかなか考えたと思ってね。違和感がないことはないが耐えられる」
「Tシャツにパンツ……いやズボンという意味だが、にしようと思ったが
さすがにウエストがきつくて諦めた」
「よし、今日は一日そのままでいるのがいい」
「ああ、こうなりゃヤケだ。観念した。……その代わり」
と耕司は脇に挟んだ何かを僕の前に突き出した。
「一緒に子守をする以上、稔も同化してもらうぞ」
広げてみると半袖の薄桃色のワンピースだった。
ポトリと何かが落ちたの見ると、袋に入ったままの新品のパンスト。
「僕にも着ろと?」
「抱っこはときどき交代だからな」
「いいのか?」
「そろそろ交代してもらわねば腕がしびれてきた」
「いや、僕が初子さんの服を着てもいいのかという意味だが」
「この際だ、しかたあるまい。ただし内緒だぞ」
「もちろん」
僕は洋服を持ってキッチンへ入った。
シャツ脱ぎズボンを脱ぎ頭からすっぽりとワンピースを落とし着る。
夏用のゆったりした作りだから窮屈感はない。
耕司もそう考えたに違いない。
ハタと困ったのがパンストを手にしたときだった。
トランクスをどうしよう?
「耕司、……パンツはどうしてる?」
しばらく間があって壁越しに声が聞こえた。
「もともとブリーフ派なんだ。違和感はない」
ふーむ、しかしこちらはトランクス、そのままパンストを穿けばゴワゴワする。
思い切って下着も脱ぎ、素肌にパンストを試みることにした。
変身完了。
だけどもまだ気になることがある。
「ブラはそのまましているのか?」
しばらく待っても今度は返事はなかった。
しかたなくリビングに戻ると誰の姿もない。
「いいものがあったぞ」
そう言いながら戻ってきたとき耕司は長髪になっていた。
「ウチの奥さん、元美容師だったんだよ。カツラがあるのを思い出した」
ストレートの毛先を美鈴ちゃんが掴もうと何度も手を伸ばしていた。
さっきまでは首から下は女性物を着ていても耕司は耕司、
男であることに変わりないと感じていたのだが
ウイッグを被ったことで逆に顔だけが男である耕司に違和感を感じた。
きっと性別を見分ける上で顔や髪の印象というのはそれほど大きいのだろう。
かといってできもしない化粧を勧めるのは気の毒だ。
「もちろんお前の分もある」
手渡された黒い塊はショートボブのウイッグ。
「なあ、稔。不思議に思ったんだけどお前は女装することに抵抗はないのか?」
「耕司ほどはな」
何か言いかけた耕司だったが僕がウイッグを被ると口をつぐんだ。
僕の変身に僕が感じたと同じ感想をいだいたのかもしれない。
僕も言いかけた言葉を飲み込む。
お互い無言でソファに座り、将棋版に向き合った。
しかし次がどちらの番だったのか思い出せず、妙な沈黙が続く。
美鈴ちゃんだけが笑っていた。
僕はこらえきれなくなった。
「実はさ……妹のセーラー服を着たことがある」
「ほんとに?」
「ああ、何回か」
何をだったか忘れたが文房具を借りようとして妹の部屋に入り、
そういえば部活動の合宿中だったと思い出し、
壁にかかっていたセーラー服に目が留まったのだった。
「耕司はないのか?」
「ないよ。だって一人っ子だから。で、着てみてどうだったんだ?」
「どうって……セーラー服って案外ゴワゴワしていた」
「いやや、気持ち的にだ。たとえば女子高生の気分になったとか」
「耕司は今、母親の気分になっているのか?」
「いやそれほどでも」
「それと同じだ。形ばかり女装をしたからといって女性の気持ちはわからない。
こんな機会はまたとないからなんなら試してみるか?」
「どうやって?」
「しぐさや態度、たとえば膝をそろえて座るとか、女性言葉で話すとか」
「おっほっほっほっほっ。気持ち悪いじゃございませんこと?」
「お前は有閑マダムか! じゃなくてもっと普通でいいんだよ。
たとえば奥さんを真似てみるとか」
「ならできそうだ。けっこう男っぽいからな」
「ウチもだ。いや、ウチもですわ」
「子供ができたせいかなんだかしとやかさがなくなっちゃって」
「コウミさん、やればできるじゃない」
「コ・コウミ?…むむぅ。あらミノリさんだって」
「その調子で参りましょう。
よかったらわたしにも美鈴ちゃんを抱っこさせてくださらない」
「じゃあわたしはお昼のお支度を」
耕司いやコウミはお尻をプリプリ振りながらキッチンへ向かった。

 ▽ ▽ ▽ つづくぅ〜 ▽ ▽ ▽




アニト (9月14日(木)23時23分53秒)
桃原美希子さん、こん○○は。
>自然と抑制力が働いて女性らしい動きになっていくのではないのかしら、と。
男側としてはそうあっていただきたいと願っています。
スカート姿のまま大股開きで座ったりガハハと笑ったりされては萎えますからね。
「女らしくすることが恥ずかしい」と言う女装娘さんがいたのですが、
「女装をして女性らしく振舞わないのはもったいない」と説き、
今では昼間の外出してもパスできるほどに成長しています。
自然であれば世間は認めてくれるのかもしれません。
男とて《繊細さ・壊れやすさ・か弱さ》を内に秘めています。
しかし誰かに寄り添いたい癒されたいと思っても機会や場所はそうそうありません。
女装はまさにうってつけの行為といえましょう。
わたしですか?、安らぎの場は女装世界の他にありますし、
そもそもストレスを溜め込まない性格なのですよ。のはははは。
>それと最近タトゥーに興味を持ち始めました。
むふふ、《乳首ちゃんの横にちっちゃな赤いバラ》とは挑発的な!。
最近では家庭用のプリンタでもタトゥーを作ることができますから
刺激的な言葉を貼り付けてはどうですか。
物語は毎回凝った名前で楽しませてくれますね〜。




桃原美希子 (9月22日(金)16時22分51秒)
■アニトさま■
元々この物語は勢いよく書き出しておきながら
途中で煮詰まってしまいお蔵の奥にひっそりとしまいこんでいたのですけれど
アニトさまのお言葉をヒントにだんだんと調子が上がってまいりました。
といっても空想ネタとしてはやっぱり平凡のまま終わりそうです。
リアルな女装で「好きだから女装」「強制女装」なんかがある他に
「やむにやまれぬ事情があって女装」
をしている人がいらっしゃるのかなーって考えています。
たとえば浮気防止のために毎日奥様のパンティを穿かされていて
職場やいろいろな場面での着替えに苦労しているとか。
どなたかから体験談とかアイディアをいただけたら、それを元に膨らませて、
みなさまのアソコも膨らむような物語を書けたらいいなんて思ってます。
ワタシのネタが尽きてしまう前に。
タトゥーシールはなるべく触らないようにしていたのにもかかわらず
2日目でひび割れができてところどころ欠けだしてしまいましたぁ。
もうちょっと上質なシールがないか物色中でーす。
そんなこと絶対できないとわかっていながら
誰かに見せたいという気持ちがフツフツと。
プリンターは壊れて使えないんでございます、トホホ。
−−− ベィビーシッター 3 −−−
米須耕司との付き合いは将棋が縁で知り合った高校生のときからになる。
地元の同じ大学に進み、学部は違ったけど家が近所ということもあって
春夏秋冬、街へ海へ山へ、一緒に遊んでいた。
実はそのころには僕はときたま女装をしていた。
といっても外へ出かけるほどじゃなく、深夜部屋で下着を身につける程度だったけど。
妹が高校を卒業して家を離れると残された少しばかりの洋服を拝借するようになった。
セーラー服もその1着だった。
社会人になりお互い忙しくなって5年ほど付き合いが途切れ、
先に耕司に婚約者ができて結婚式に招かれ、1年後今度は耕司を結婚式に招いた。
それからは家族ぐるみの付き合いだ。
妻同士、富美子と初子さんも気が合いママさんバレーに参加している。
そういうわけで高校時代からお互いの性格も含めた素顔を知っているから
女装をしている今相手の気持ちをなんとなく分かり合える気がする。
もちろんこの場合は男としての気持ちだけど。
昼食をとり、ミルクで満足した美鈴ちゃんはベィビーベッドで健やかにご睡眠中。
指しかけの将棋を再開する気にならず場の空気に圧迫されるように
耕司がスイッチを入れたテレビには再放送の番組が映し出された。
画面ところせましと華やかな衣装を着た若く女性女性女性女性女性女性……。
カメラを十分に意識して背筋を伸ばし足をそろえて斜めに置き、手はスカートの上。
話す順番がまわってくるとおバカな失敗談を自ら語りながら
笑顔で口元に手をやったり髪を触ったり
小首をかしげたり頬を膨らませたりと忙しい。
要するに僕と耕司がそうそうすることはないアクションだらけだった。
が、無言で見続けているうちに意識的にときに無意識に
開いていた足が閉じ、手の置き場を考えたりしていた。
耕司も同様のようでときどき目が合って照れ笑いしたりする。
耕司にはわずかながら胸の膨らみがあった。
一番最初に身につけたブラジャーをそのまましている。
僕はブラはしていなかったけど、
サマーワンピースの胸の辺りにあるリボンが背中を一周していて
ほんのちょっぴりの締め付け感があった。
テレと気まずさを半々にした顔で太股を摩りながら耕司が口を開いた。
「ずっと閉じてると腿の内側がプルプルしてこない?」
「そうだね、それに気を抜くといつの間にか背中が丸くなってる」
「僕もそう。ただ座っているだけで女の人ってけっこうたいへんなんだね。
ほらこの人見て。笑うときいつも口元を隠してる。
こっちの人はずーっと手をミニスカートの上に置いたままだし、
その隣りの人なんかしゃべるたびに身体全体でブリブリブリッ子してる。
冷静に見てるとなんか恥ずかしくなっちゃうような仕草だけど
彼女らにとっては自然なんだろうね、生まれたときから女なわけだから。
もっともスカートを履いてて大股開かれちゃ萎えちゃうけど」
耕司の言いたいことはわかる。
2人同時に天から啓示を受けたか女装の神様が降りてきたのかもしれない。
当たり前のことだけど彼女らは女性であるから
女性らしくより女性らしく振舞うことを意識しているのだ。
あんまり意識していない子もいるけど。
僕たちは女装をしている。
だけどそれは見た目だけであって女性らしくすることなんか恥ずかしくてできない。
とはいえ股を開いてガハハハハと笑うのは不自然だ。
恥ずかしさはあるにせよそれをどこかに押し込んで
女性的仕草をする方が今この状況では自然なのではないか。
というよりめったにない機会なのだから楽しんだ方が良いのではないか。
勇気を出してそう言おうとした矢先、
「それと、思うんだけどさぁ……」
急に饒舌になった耕司に再び主導権を握られた。
「女の人って肌の露出度に対する意識が男とは全然違うよね。
ミニスカートの女性を見て男は『あとちょっとで下着が見える』と思ったりするのに
女性は『肝心な部分は隠してる。だから平気』みたいな。
とか、浜辺で大胆な水着を着る女性は『見らたくない最低限は隠している』と思い、
男は『お腹や背中や太股やその他、普段は見ることのできない肌が露出している。
残りはわずかだ、その下には…むふふふふ』って想像しちゃう」
テレビ画面の中の女性たちはノースリーブやシースルーのシャツだったり
胸の谷間が覗いているキャミソールやミニスカートだったりと刺激的な服装。
やっぱり気になっていたのは、そう思っていたのは僕だけじゃなかったんだ。
安心しながらふと以前読んだ本に載っていた笑い話を思い出した。
「4人のマージャン仲間がいてさ、たまには変わった方法でやろうと1人が言い出し、
一度でいいからやってみたかった姿に変身するということになって
次に集まったとき4人は全員が女装をしてマージャンをした、っていう話がある」
「気持ちがわからないでもないね」
「鳥になって大空を飛びたいなんていっても鳥になれるわけはないし、
アラブの王様のようなハーレム体験をしたいと思っても
豪華なセットと大勢の美女を用意しなければリアリティを感じないだろ。
その点、女装というのは比較的たやすい。
肉体的にほんの少しの違いはあるけど同じ人間だし、
女性モノの洋服は家族がいればたいてい家にあるし
なければ店でも通販でも本気で勇気を出せば買うことができるから
可能性の高さとかかる費用のお手軽は魅力的だしね。
ただしたやすくはあるけどテレや世間体や背徳心なんかがあってなかなか機会はない。
そもそも男の変身願望ランキングで女装はトップに位置するんじゃないかな」
「言われてみれば僕のランキングでも非現実的な願望を除外してしまうと
『女性になってみたい』がトップになってしまう」
「ねっ。本当に女装をするかどうかは別にして願望をもつ人は多いんじゃないかな。
僕たちは成り行きでこうしているけど、女装する人って何を目的にするんだろう?」
「女装することが目的なんじゃないか?」
「そのあとだよ」
「まぁ男が考えることは1つだわな」
「稔もそうだったの?」
あっしまった、誘導尋問に引っかかってしまった。
ママさんバレーの試合で出かけてしまった妻たちは
帰りは夜9時か10時頃になるだろうと言っていた。
ベィビーベッドで眠る美鈴ちゃんは起きる気配はない。
まだ午後の1時を少し過ぎた時間だった。

 ▽ ▽ ▽ つづきますぅ〜 ▽ ▽ ▽




アニト (9月23日(土)00時46分09秒)
桃原美希子さん、こん○○は。
おおおっ、《調子が上がって》きましたか、それはなりより。
美希子さんの書き込みを読むとき、
この物語はエッチな方向に向かうのだろうか、
それともそうでないのだろうかとワクワクドキドキするのですよ。
しかもどちらであっても美希子さんらしい物語になるところがすばらしい。
2人の《やむにやまれぬ事情があって女装》が
どういう展開になるのか楽しみにしています。
女装娘さんの《お蔵》(心)の中には
それぞれの物語が《ひっそりとしまいこんで》あることでしょう。
《そんなこと絶対できないとわかっていながら
誰かに見せたいという気持ちがフツフツと。》
ネット世界ならば可能です。
空想や《体験》を世に出していただきたいとわたしも思っています。


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