「彷徨える獣達」を読む

権太 (2月17日(火)23時05分42秒)
◆Xアニト様へX◆
一週間以内での再投稿はデビュー直後以来じゃないでしょうか。
少々日が過ぎてしまいましたが権太初の季節ネタです。(ですよね?)
かって空想デートを飾ったバレンタインデーを題材にした名作比べますと
(↑比べちゃいかん)
まあ何です、救いようなのい悲惨な話に仕上がってしまいました。
◆桜川あきさんへ◆
はじめまして、身も心も純男の権太といいます。
正直言いまして前回のあきさんの物語は
この手の世界に疎い権太にとって感情移入する余地がありませんでした。
しかし今回の物語は視点を
「SMというものに理解がなかった」「俺」に置いているためか
権太でも非常に判りやすい展開です。
もし現実に目の前に彼女のような存在があったらどうなるか、
いや、どうすべきなのか。
結構これは難しい選択かもしれません。
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【聖バレンタインデーの慟哭】 (彷徨える獣達外伝)

「熱き想いをぶつけ合い 皆の気持ちが合体だ♪
来るぞ来るぞアニトカイザー 攻めるぞ責めるぞアニトカイザー
着くぞ突くぞアニトカイザー イカスぞイカスぞアニトカイザー
豪烈合体アニトカイザー♪♪」

「ごん太ちゃん、がらにもなく鼻歌なんか歌っちゃって、ごきげんじゃない。
なんか良いことあったの。」
下校途中、桑原が後ろから声をかけてきた。
「おっ、桑原じゃない、久しぶりだなー。」
「なに言ってんのよ、毎日学校で会ってるでしょ。」
「しかし二人っきりは、去年のマック以来だぞ。」
「そう言えばそうね。」
「ほれ見れ、今日は大漁だ、欲しかったら幾らでも分けてやるぞ。」
「わっ、ごん太ちゃん、こんなに一杯、チョコもらったんだ。」
「まあな、これも高潔な人格のたまもの、人徳が良き友をもたらすのだ。」
「良き友って、ごん太ちゃんに女の子の友達ってそんなにいたっけ?」
「女じゃないぞ、鈴木にもらったのだ。」
「これ全部鈴木君の?」
「鈴木のだけじゃないぞ、数は少ないけど佐藤のも混じってるぞ。」
「女の子のは?」
「女の子は、柏木からもらったぞ、これは手作りでなかなかの大作のようだぞ。」
「それだけ?」
「まあそう言うことだな、帰宅部一筋だから義理チョコもないぞ。」
「そんなこと自慢しなくたって…、て言うか、それって酷くない!?」
「酷い? 僕は鈴木が鼻血と歯痛の無限地獄に陥るところを救済してやったのだ。」
「そうじゃなくて、女の子の気持ちはどうなるのよ。」
「鈴木にとって今日は天からチョコレートが降ってくる日以外の何ものでもないのだ。
もともとアイツに気持を汲んでやる気などさらさらないのだ。」
「そうだとしても、せっかく勇気を振り絞って鈴木君に渡したチョコが、
そのまま素通りして、ごん太ちゃんのところに行ってしまったら可哀想じゃない。」
「それも違うのだ、万が一、そのチョコがきっかけで鈴木の目にでもとまってみろ、
チョコレートを渡したってのは奴隷宣言をしたも同じだぞ。
縛りあげられた上に、毎日、鞭と蝋燭で調教され、
トイレに監禁されて人間便器にされて汚いからって捨てられてしまうのだぞ。
僕はそんな哀れな女の子達を事前に助けてやっているだけなのだ。」
「そっ、そこまではしないでしょ。」
その時に一筋の涙が僕のホホを伝うのを桑原の目は見逃さなかった。
「あっゴメンね、私もチョコを渡すつもりでいたんだ。
でも、ごん太ちゃん、忙しそうで機会がなくって・・・。」
そう言って制服のひだスカートのポケットから出してきた板チョコは
どう贔屓目に見てもプレゼント用ではない。
何日かポケットに入れっぱなしで忘れていた食い残しみたいだ。
「ほんとはもっと大きいのをあげるつもりだったんだけど、これしか残ってなくて。
ハイ、友チョコね。」
僕の心は感謝の念と馬鹿にするなと叫び出したい気持ちとでいっぱいになった。
桑原から捨てチョコをもらいうけとると、
僕の目からは大粒の涙が溢れ出るのであった。

(おしまい)




アニト (2月18日(水)23時24分22秒)
権太さん、こん○○は。
これはまた懐かしい歌が登場したものです。
といっても何のことかわからない人もいるでしょうから
こういうときはリンクを書いておくのがいいでしょう。
http://www.muvc.net/fantasydate/kuso2001/rie09.html
ふむ?、《救いようなのい悲惨な話》でしょうか?。
形はどうあれ想ってくれる人がいるのは幸せなことです。
ホワイトディにはきちんとお返しをせねばなりませんね。
《バレンタインデーを題材にした名作》がまたひとつ生まれました。




鬼束権太 (9月24日(金)19時24分57秒)
◆Xアニト様へX◆
>あの物語やその物語の設定をこの物語にはめ込んで、
>予想もできぬ壮大な《最終話》でした。
お褒めの言葉に、ケロベロス共々、喜んでおります。
「Happy Birthday 2001 権太編」もそうでしたが、
予めオチを考えていない方がラストのまとまり具合が良いみたいです。
「亜里砂の大冒険」のように最初からオチのある話だと、
そこに至るのが億劫になって、けっこう辛いです。
>《書き足らないところ》は次作でのお楽しみということにして。
それでは早速、お言葉に甘えまして…。
今回の話は其の弐拾四と其の弐拾五の間くらいでしょうか。
無駄にタイトル数ばかり増やしてしまい、まっこと申し訳ありません。
転記のおりには、
「アニメのようなミステリー」
「彷徨える犬達」
「聖バレンタインデーの慟哭」
にも(彷徨える獣達外伝)と副題を付け加えていただけると有り難いです。
そのお礼と言ってはなんですが、
ケロベロスのスッポポンの写真などをいつか…。
◆みずきさんへ◆
最終回おめでとございます。
以前にみずきさんとレスのやりとりをしていた時から
もう3年もたってるんですね。
みずきさんの物語を楽しみにしている人がいっぱいいます。
是非これからも楽しくてHな物語をお願いします。
あっ、それと超遅レスですが権太の書くものって徹頭徹尾ギャクなんですよ。
(よそからは何を今更との声も聞こえそうですが…。)

>それで両足を抱えてもうヤダ!なんて断って。
こういうのって男心をそそるというか可愛くていいなぁ。
たぶん、お相手さんは困った半分、
嬉しい半分な顔をしていたんじゃないでしょうか。
羨ましい限りです(もちろんお相手さんが)。
◆中出真樹さんへ◆
「美しき日々」再再々放送がいよいよ10月2日からがはじまります。
真樹さんのみならず全てのお姉さま方々とアニト様も是非ご覧ください。
http://www3.nhk.or.jp/kaigai/beautiful_days/gtv/
ドラマというものを馬鹿にして全く見ない権太がはまったのですから
誰でもがはまることうけあいです。
>連続物では細腕繁盛記以来、ドラマというものを見たことがありません。
うぬ、チェ・ジウ演じるところのヨンス。
まさに古き良き時代の女性なのです。
新珠三千代ファンなら、なおさら必見でしょう。
◆亜井京子さんへ◆
ふむ、いくら「心が大事」といっても、そこは女心、
より綺麗になりたいというのも正直なところなんでしょう。
質実剛健無骨一点張りの権太ゆえに配慮が足りませんでした。
>胸だけは、ホルモン注射で
>AからBカップの間くらいにまで膨らんできたのですが
と言うことですと、かなりの本格派でもあるし、
あとはステップバイステップで進めて行けばいいんじゃないでしょうか。
無駄毛処理は脱毛レーザーをきちんとした医療機関でやってもらいましょう。
贅肉落としならエステですね。
ただ、これにはかなりお金がかかりそうなので、
取り敢えずは家庭内ダイエットとエクセサイズですか。
最近、この手の番組をTVでもよくやっています。
その中で「いきなり黄金伝説」の田島寧子編にあった「お尻ウォーキング」は、
なかなかでした。
http://www.tv-asahi.co.jp/densetsu/recipe/sp20040923/index.html
いや、効果の程については番組以上のことは全然判んないんですけどね。
やってみるとビジュアルとして、みょーにラブリーなんですわ。
◆吉田聡美さんへ◆
>おつゆなんですけど、聡美の場合、丼といえば、鰻丼のように
>濃いめのタレがほどよくかかってるのが好きなんです。
>だから、天丼なんか絶対、東京式!
うぬ、またしても何が関東風なのか判らなくなってしまいました。
関東に属する(だろう)権太の家での天丼というと
残りもの天ぷらをお汁で一煮立ちさせ、
汁だく状態にして丼ご飯にのせたものなのですよ。
外食での揚げたて天ぷらに上品タレの天丼も味としては美味しいものの、
熱々ボソボソで早食いには適しません。
江戸っ子ならば丼物をガバガバッとかき込むというイメージなので、
てっきりそれが出来ない汁無し天丼は関西風だとばかり思っていました。
そう言えば、鰻丼の鰻抜き汁だくとか、
猫まんまが大好きな自称関東人の権太なのでした。
◆桃原美希子さんへ◆
>だんだんと鬼束権太さまに近くなっちゃったようです。
権太は教え子に手を出すようなまねは絶対にいたしません。
いや、たぶんしません。
してもチョットだけですよ。
え?チョットでもいけないのですか?
いやだからそれは仮定の話で〜
え〜い、愛があれば何でも良いじゃないですかあ。
愛ある者同士、誰が引き離せるというのですか!!
でもあの二人、これからどうなっていくんでしょうかね。
鬼塚先生って独身ですよね(ワクワク
>次回作よろしくお願いします。
いちお今回の「次回作」、全然次回作になっておりません。
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□ 靴泥棒 □(彷徨える獣達外伝)

「ごん太ちゃん、なんでスリッパ履いてるの?」
桑原が不思議そうに尋ねてきた。
校舎でのスリッパ履きは結構目立つと思うのだが、
僕から切り出す前に指摘されたのは桑原が初めてだった。
けっこう僕はさびしい奴だったのかもしれない。
「上履き、盗まれたみたいで無いんだよ。
しょうがないから外来用のスリッパ借りてきた。」
「生活指導の鬼塚先生には届けたの。」
「いや、もうボロくそで穴もあきかけてたし、あんな腐れ上履き盗むような奴、
よっぽど事情があったんじゃないかと思ってしてない。」
「ごん太ちゃんてやさしいのね。」

=それから2週間後=
「ごん太ちゃん、またスリッパ履いて、どうしたの?」
桑原が不思議そうに尋ねてきた。
校舎でのスリッパ履きは結構目立つと思うのだが、
僕から切り出す前に指摘されたのは桑原が初めてだった。
けっこう僕はさびしい奴だったのかもしれない。
「また盗まれたみたいで上履き無いんだ。
しょうがないから外来用のスリッパ借りてきた。」
「生活指導の鬼塚先生には届けたの。」
「あの先生、筋肉馬鹿って感じで行く気しない。
それに上履きなんか盗むなんて、よっぽどお金に困ってるんだろうから、
あんまし騒ぎたく無いんだ。」
「ごん太ちゃんてやさしいのね。」
「まあな、それでさ、ゴムストラップのところに、
油性マーカーの太字でごん太って書いておいたから、
もし履いてる奴を見つけたら教えて。」
「うん、わかった。それにしても盗んだの同じ人かな。」
「まさか、上履きなんか二足持っててもしょうがないじゃない。」

=その翌日=
「ごん太ちゃん、なんて上履き、履いてるのよ!!」
桑原が目を満丸にして驚いている。
結構めだつ状態の上履きにもかかわらず、
僕から切り出す前に指摘されたのは桑原が初めてだった。
けっこう僕はさびしい奴だったのかもしれない。
「ストラップに名前だと、
ストラップを切られてしまったら判らなくなってしまうから、
見えるとこ全部にごん太って書いといた。」
「まるで耳無し法一みたい。」
「これなら遠目でも一目で判るから絶対に盗まれないだろ。」
「それ新品なんでしょ。ちょっともったいないかも。」
「まあそうだけど盗まれるよりはマシだし、しょうがないよ。」

=そのまた翌日=
「ごん太ちゃん、今日もスリッパ履いて、また盗まれたの?」
桑原が怪訝そうに尋ねてきた。
校舎でのスリッパ履きは結構目立つと思うのだが、
僕から切り出す前に指摘されたのは桑原が初めてだった。
けっこう僕はさびしい奴だったのかもしれない。
「うん、最短記録更新。一日しかもたなかった。
極貧靴泥棒が3人もいるなんてこの学校、
いや、日本の政治経済はどうなっているんだ!」
「あんな耳無し法一みたいな靴、だれも履けないって。」
「そのくらい困ってたってことじゃないか。」
「ねー、ごん太ちゃんの足のサイズって幾つなの。」
「2*センチだけど、育ち盛りだし、まだまだ大きくなるぞ。」
「それ、私と同じサイズ。」
「そうか、桑原ってデカ足女だったんだ。」
「もー失礼ね。私はふつーでごん太ちゃんが小さいの。」
「僕のほうが背が高いから相対的に桑原のほうがデカ足だぞ。」
「そういうことばっか言うから彼女できないのよ。」
「桑原ってキツ過ぎだな。人には言って良いことと悪いことがある。」
「どっちがよ。
でね、私の知る限り、私と同じサイズの男子なんて、ごん太ちゃんがはじめて。」
「そうか、犯人は小足の三人に絞られるわけだな。」
「2*センチの子が三人もいて、
三人共、ごん太ちゃんの靴を盗むなんて絶対にあり得ない。」
「じゃあ、女が犯人なのか?」
「あんな耳無し法一みたいに気味悪くした上履き欲しがる女の子なんて絶対いない。」
「だと、犯人は誰なんだ。まさかケロベロスか?!」
「ケロベロス・ゴンタちゃんは美希子さんのお家でお留守番でしょ。
そうじゃなくて、ごん太ちゃんには熱烈なファンがいるのよ、 男 子 に 。」
「男が履けない靴なんか盗んで何に使うんだよ。」

と、そこまで言い切ったところで、
はたと背筋が凍りついてしまった、ごん太少年なのであった。

(おしまい)




アニト (9月25日(土)00時21分46秒)
鬼束権太さん、こん○○は。
>予めオチを考えていない方がラストのまとまり具合が良いみたいです。
短編ですと寄り道せずにオチまで一気に書き込むことも可能ですが、
長い物語では書いているうちに迷いが生じることはありがちです。
書き始めからラストまでのテンションをいかに一定に保ち続けるか、
それが長編を書くむずかしさととおもしろさだと思います。
いつの日か「亜里砂の大冒険」のオチも読ませてください。
《(彷徨える獣達外伝)と副題》の件、了解しました。
ただしケロベロスのバニーガール姿《をいつか…》の方がうれしいです。




鬼束権太 (12月21日(火)01時25分58秒)
◆Xアニト様へX◆
権太もいよいよ空想デート5年目に入り、
少年老いやすくオッサン道を爆進している今日この頃です。
その昔しにアニト様に年齢を問われた頃が懐かしい。
あの時には質問の意図を理解するのに30分ほどかかりました。
仮にあれがアニト様の杞憂通りだったとしても
プラス4だけしっかりと加齢してしまった事になります。
と言うことで、
鬼束権太18歳、「亜里砂の大冒険」完結をめざしまだまだ頑張ります。

「彷徨える獣達  其の弐拾五へ」のリンクが切れております。
残念ながら権太のスキルだと
アニト様のDドライブへはたどり着けそうにありません。
◆中出真樹さんへ◆
いやー、嬉しいです。
盗作だなんてとんでもない。
権太の書くものに盗めるものなんて塵一つありません。
むしろ権太へのプレゼントとして有り難く頂戴いたします。
そうすね、「亜里砂の大冒険」冒頭の暗さは書いた当時も評判だったとゆうか、
書いた本人まで同情されてしまったような気配までありました。
でも自分としてはギャグ満載のつもりで書いていたのですよ。
そこのところは今でも複雑な気持ちです。
◆田神真緒さんへ◆
はじめまして、純男の権太といいます。
いいですね、看護婦さんって。
権太も憧れております。もちろん男としてですが。
特に気になってしまうのが、あの帽子。
あれってどうやってひっついているのでしょうか。
ハードなお仕事でありながら、ずり落ちそうになっているのを見たことが無い。
なんとも秘密なアイテムです。
◆吉田聡美さんへ◆
ナイスフォローをありがとうございます。
>此の世は、はかないものであるという現実をしっかりと
>みつめた鬼束権太様の真理を追究する姿勢、
いやいや、そんなしっかりしたものではありませんよ。
権太の場合、夢オチありですから、
全てはケロベルスゴンタの夢での出来事かもしれません。
浪速のことは夢のまた夢、って、これをはかないって言うんでしょうかね。
鉄腕サトミも、とても勉強になります。
ところでモデルになった(?)アトムってなにげにHですよね。
言葉使いが女の子ぽいし、きわめつけが、あのお尻のマシンガン。
あれは、どういうつもりだったのでしょう。
◆桃原美希子さんへ◆
フム、妹願望ですか。
兄としての自覚がふつふつと沸いてくるではないですか。
とは言え、妹萌えの実感も今一つ沸かないのです。
前にも書いたかもしれませんが、
リアルに妹がいたとしたら馬鹿にされっぱなしで、
さぞかし肩身の狭い思いをしているんではないかと・・・。
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□続・靴泥棒□
「おーい、室長、一緒に帰ろうや。」
僕は鈴木を呼び止めた。
「いつも帰りは一緒だろ、それになんだよ、その室長ってのは。」
「あれだけ宣伝しといたんだから下手な人物描写より判りやすいと思ってな。」
「お前って、時々、わけわかんないこと言ってるぞ。」
「その辺は、あまり突っ込んではいけない。読んでる人が引くだけだ。」
「その前に俺がひいている。」
「それはともかく、上履き泥棒が誰か、目星がついたぞ。」
「まだそんなこと言ってるのかよ。ただのイジメじゃねーの。」
「そんなことはない。そもそも僕のようなタイプはイジメにはあわないのだ。」
「あまりに可哀想すぎてイジメる気もおきないか。」
「質実剛健実直誠実な僕のどこが可哀想だというのだ。
それはともかくとして、
イジメなどというものは本人に判るようにしなければ意味が無い。
僕にはその兆候のかけらもないのだ。
よって上履はどこぞの生活困窮者が盗んだのだと考えていたが、
僕の靴サイズと適合する男子は調査の結果存在しないことが判明した。」
「調査しなくても判るって。」
「それともう一つ、実は僕の持ち物が盗まれたのは今回がはじめてではないのだ。」
「そう言えば一学期の終わり頃にも体操服がないって騒いでたな。」
「あれはなんとも不可解な事件であった。
すでに体育は全クラス終了した後で、
体操服を必要としている生徒はいなかったはずだし嫌がらせとしても効果が薄い。
しかも学期を通して一度も洗濯をせずに
着用し続けていた体操服を盗むと言う神経が尋常ではない。」
「て言うか、そんな体操服を着ていたお前の方が尋常ではない。」
「汗と、埃と、涙は男の勲章なのだ。」
「持って帰るのが面倒だっただけだろ。」
「それもあるが僕のロッカーの鍵は壊れている。
盗難を避けるためにも奇麗な状態には出来なかったのだ。」
「なら、毎回、持って帰るか、先生に言ってロッカーを直してもらえよ。」
「毎回持ち帰りでは効率が悪すぎるし、
ロッカーは鍵を忘れた時に自分で壊したものだから申告は出来ないのだ。」
「結局、悪いのは全部、ごん太だな。」
「犯罪を湖塗しようとする者はえてして被害者の落ち度をあげつらうものである。」
僕は眼光鋭く鈴木を睨みつけた。
「ん?? そんなじっと見つめられると困るなあ。
ごん太にそんな顔をさせてしまって何もしないで帰すのは心苦しいけど、
次はきっとな・・・。」
「何もしないで帰れると思っているのか。」
状況を理解できず唖然としている鈴木に僕は追い込みをかける。
「男の体操服と上履きに劣情をもよおすような変態はだな、
この学校ではただ一人だ。」
「誰だよ、それ。」
「目の前にいる。」
「馬鹿言うな、権太じゃあるまいし俺はノーマルだ。」
「語るにおちたな。たった今、僕を口説こうとしたのはどこの誰なんだ。」
「そりゃ、あんな切なそうな涙目でウルウルされたら、ああでも言うしかないだろ。
だいたい物的証拠はおろか状況証拠もないじゃないか。」
「証拠なんかはどうでもいいのだ。たとえばだな、この手の話が大好きで、
季節ごとに絵本にして学校中に売りさばいている女が約一名いる。
そいつに事の顛末を語ったらどうなるかな。」
「お前は悪魔か。」
「まあそこは魚心あれば水心だ。要は誠意を示してくれさえすれば丸く収まる。
ここは一つ芳野屋店舗限定メニューのソースカツ丼で手を打たないか。」
「それが目的か・・・。」
「僕はどっちでもいいのだ。
この話を桑原に持ち込めばソースカツ丼くらいにはなりそうだしな。」
ネタ提供をしたところで売り子の手伝いをさせられるのがオチなのだが、
そんなことは鈴木には判らない。
「よっし判った。ただし、カツ抜きソースだくだ。」
「値段はかわらんぞ。」
「俺は全然かまわない。」
ソースカツ丼からカツを抜いてしまえば、ただのソースかけご飯になってしまう。
僕は若干の躊躇の後に譲歩することを決めた。
「ねぇー、鈴木クゥン。今日だけなら一緒に手をつないで歩いてもいいよー。」
「・・・・・・・・・」
二人の間に初冬の冷たい風が吹き抜ける。

やっぱりこいつは絶対に怪しすぎだと思う鈴木なのであった。

(おしまい)




アニト (12月22日(水)00時06分33秒)
鬼束権太さん、こん○○○。
>少年老いやすくオッサン道を爆進している今日この頃です。
わははは、女装世界ではセーラー服を着ればハイティーン、
ランドセルを背負えば小学生になれますから
我ら男組も実年齢分だけの知識と包容力を持った永遠の青年でいようではありませんか。
もっとも「不良中年」という言葉も好きなのですが。
《鬼束権太18歳》とは、どはははは、言いますねー。
みなさんへの暖かいレスと、リンク切れの連絡ありがとうございます。


アニメのようなミステリー」は「2003年の物語」内に、
彷徨える獣達」は「2004年の物語」内にあります。

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