エロマン□純子 (4月23日(水)22時44分09秒)
■アニト様
111話も続いた「そして、ぼくは〜」の方、前回で突然の休養になり
不可解に思われたですよね?
きっと、アニト様のことですから、最近の純子の物語を読んで
話しの展開が雑になってきたことをお気付きだったと思います。
登場人物を増やしすぎてしまいました。
このままでは、適当になってしまう。
それでは、111話も続けてきた意味がなくなってしまいます。
必ずいつか再開します。
そして、今回から新作です。
今までひとつの物語しか書いてこなかったので、どうなるか心配です。
新作の方もよろしくお願い致します。
■観月様
>家庭教師と女教師の違いを述べよ。
う〜ん・・・。
それは、ふたりだけの密室で繰り広げられる・・・。
女教師っていうとSMを連想するし、家庭教師っていうと???
けっこう、色んなことを空想してしまいます。
■舞様
舞さんは、自分の女装姿を他人の視線に晒したことはありますか?
女装って恥ずかしいからいいんですよね。
純子も初めて人前で女装姿を晒したときは膝がガクガク。
でも、慣れてくると平気になります。
慣れと引き替えに刺激がなくなる。
恥ずかしい気持ちって、やっぱり刺激的なんでしょうか?
■権太様
一時期、権太さんが「空想デート」に長い期間訪れなかったことがありましたよね?
もう、やって来ないのかな?なんて思ったりして。
でも、最近また訪れる頻度が多くなってきましたね。
以前も何度か書きましたが、場を明るくさせる雰囲気があります。
その明るくさせる雰囲気って、何なんでしょう?
■柏木彩様
お久しぶりです。懐かしく思ったりして・・・。
相変わらず、軽快な文章力は健在ですね。
どうして、そんなにテンポがいいの?なんて思ったりしました。
最近、新しい作者さんが増えてきましたが、古くからの人も健在なり。
旧友に再開したようで嬉しく思いました。
■鈴木京子様
京子さんもセーラー服好きなんですか?
なんで、セーラー服ってあんなに男心をそそるのかしら?
永遠の憧れですよね。どうして、そんなにいいの!なんてね。
それで野外レズプレイ?
野外でレズって、すごく刺激的。想像すると股間が・・・。
【上を向いて歩こう】 第1話

「小林! 今日も残業やってくれるか?」
「え、ええ・・・」
ぼくは現場の責任者、佐々木課長が大嫌いだ。
すぐに大声で怒鳴る。
下品な笑い声を聞くたびにぼくは反吐が出るほど不快な気分になる。
(残業なんて、やってられっかよ!)
そんな内心とは裏腹に、小林純太郎は佐々木課長に逆らえない。
「他の連中は、なんだかんだ理由をつけて残業を断りやがる・・・」
佐々木課長はぶつぶつ言いながら、自分の持ち場に戻った。
(そろそろ、こんな会社辞め頃だな・・・)
小林純太郎は、小さな電機部品メーカーの工場に勤めている。
現在27才の純太郎は、この工場に入ってまだ一年あまりである。
職を転々としてきた。
どこの会社に入っても、まともに勤められないダメ人間である。
ちょっと辛ければ、辞めてしまうのだ。
(ぼくは人間関係が苦手だから・・・)
ひとことで言えば、対人恐怖症なのだ。他人の視線が気になる。
話しかけられるだけで赤面する。話すと意識しすぎてどもる。
他人から見れば、純太郎の異常なシャイさからくるリアクションが面白いのだろう。
からかわれたり笑われたり・・・。
小学校のときから、そんな性格であった。
(このままじゃ、将来が思いやられる)
自分のダメな性格は自覚している。
しかし、どうしても治らないのだ。
今の会社でもそうである。自己主張というものができない。
残業や休日出勤も、断れないことをいいことに、
上司の佐々木課長は当たり前のように純太郎に命令口調で言ってくるのだ。
(他にも暇な奴がいるのに・・・)
純太郎はもう会社を辞めるつもりだった。
(今度の給料をもらったら辞めよう)
残業を終え、純太郎はアパートに戻ってきた。
心身共にかなり疲れ切った。
純太郎は今日一日のことを思い起こした。
昼休みに、ひとり弁当を食べているときに、
パートのおばさん連中が純太郎のまわりにやってきた。
「小林さん、彼女いるのか?」
中年女の嫌らしさ丸出しの物言いに、純太郎は不快だった。
しかし、そんな気持ちとは反対に純太郎は赤面した。
「ワハハハ! 小林さんはうぶなんだねえー」
純太郎を指さしながら、おばさん連中は大笑いした。
(どうしてぼくは、こんなにシャイなんだろう?)
もう、27才といえば世間では結婚してもいい年齢である。
悲しくなった。
(こんなぼくを見たら、天国の父さん、母さんも泣くだろうな)
部屋で横になり、純太郎は天井を見上げて思いだしていた。

昭和60年、純太郎はまだ小学校4年生であった。
茹だるような暑い夏だった。
テレビの画面の中では、衝撃的なニュースが流されていた。
“御巣鷹山に日航機墜落!”
500人以上の犠牲者が出た、我が国航空機史上最悪の惨事だった。
なぜ、あの日のことを想い出すのか?
それは、あの事故が報道されている最中、純太郎の父は急逝した。
長い入院生活の末、あっけなく父は逝った。
享年36才の若さだった。
(考えてみれば、かわいそうな父さんだったなあ・・・)
“キューポラのある町”という映画で有名なK市に住んでいた。
鋳物工場勤めの父だった。肉体労働はきつかったのだろう。
仕事場から帰ると、父はいつも焼酎でレモンと氷で割って呑んでいた。
酔った父はよく歌を唄っていたのを憶えている。
いつも決まった歌を・・・。

上を向いて歩こう
涙がこぼれないように
想い出す 春の日
ひとりぽっちの夜

日航機事故、その中の犠牲者に歌手の坂本九がいた。
そう、「上を向いて歩こう」を唄っていた歌手だ。
父がよく唄っていた曲・・・。
坂本九が亡くなり、そして父も亡くなった。
あの茹だるような夏の日のことを想い出す度、
悲しい出来事と共に「上を向いて歩こう」のメロディーが想い出される。
ぼくの家族はなんて悲しいんだ・・・
純太郎は自分自身の情けなさと家族の思い出で涙が溢れてきた。
かわいそうな父、そして母・・・。
そして、行方不明になった幼い弟・・・。

《続く》




アニト (4月23日(水)23時47分33秒)
エロマン□純子へ
「そして、ぼくは〜」が《雑になってきた》とは思ったこともないよ。
ただ、主役が代わるたびに章を変えるなどして区切りを付ければ
新鮮な気分で書き続けられたかもしれないね。
とはいえ「パート2」をいつの日か読める可能性がある、
それが何より楽しみではないか。
新作「上を向いて歩こう」にも大いに期待しているよ。
>家庭教師と女教師の違いを述べよ。
わたしならこう答えるがどんなものだろう?。
女教師は女性のみ、家庭教師は男女問わず。




エロマン□純子 (4月24日(木)22時22分44秒)
■アニト様
連日の投稿となりました。
新作「上を向いて歩こう」は、まだ純子が生まれる以前の名曲です。
この歌には、物語の中、小林純太郎の父のように、
純子の父の思い出にも通じています。
酔うとこの歌をよく唄っていたっけ・・・。
なんか、悲しい曲に感じるんです。
今後、どんな展開になっていくか自分でも分かりません。
前作同様、いや以上に感情移入できれば成功といえるんですけど。
■美希子様
それにしても、臨場感溢れる文章ですね。
ほんと、その光景が目に浮かぶようです。
スポーツの場面を文面で表現するのってすごく難しいと思います。
また、新たなる美希子さんの一面を見せられた感じがします。
この物語を女装とどう絡めていくのかしら?
【上を向いて歩こう】 第2話
昭和59年だった。
ぼくは確か小学校の3年生だったと思う。
事件はある春の日、ぼくが学校から帰ってきたときだった。
あの日のことはとてもじゃないが忘れられない。
「純太郎! たいへん! コーちゃんがいないのよ・・・」
母の尋常ではない表情、そしてその切羽詰まった口調を聞いた瞬間、
ぼくは心臓が止まる思いだった。とてつもない不安感を憶えた。
「え!? どうしたの・・・」
「朝、遊びに行ったきり戻って来ないの!」
「・・・」
弟の光太郎は当時まだ三才。
もう、午後の2時半過ぎだというのに帰って来ないというのはただ事ではない。
そんなことは今まで一度もなかったのだ。
弟の光太郎は、家の前の小さな広場の砂場でひとり遊びをしていたという。
広場の前には、父の勤めていた鋳物工場があった。
光太郎は、いつもその砂場でひとり遊んでいることが多かったのだ。
その日、光太郎は夜になっても帰って来なかった。
警察官が家へきて、深厚そうな顔で父や母と話していた。
「お、おまえが! しっかり見ていないから!」
父が激しく母を詰った。
「そんあこと言ったって、
あんただって工場からコーちゃんの姿見られる筈でしょ! コーちゃん・・・」
母はかなり取り乱していた。
弟の光太郎は、いつも11過ぎになると、その広場に遊びに行く。
そして、昼休みに家に御飯を食べに戻る父を待っているのが常だった。
父が広場に行くと、光太郎の姿がなかった。
そして大騒ぎになったのだ。
光太郎はその日は戻らなかった。
次の日も、そしてその次の日も・・・。
誘拐事件か? それとも何かの事件に巻き込まれたのか?
とうとう、分からずじまいだった。
父は酒に溺れた。
行方不明なのだ。生死すらはっきりしない。
仕事どころではなかったのだろう。
傍で見ていても恐くなるほどの荒れようだった。
母も心労で体を壊した。
(ぼくも、弟の行方不明で心配で夜も眠れなかったなあ・・・)
浴びるように酒を飲んでいた父は肝臓を壊して入院した。
そして、その翌年、あの茹だるような夏。この世を去った。
ぼくは泣いた。
弟のために泣いた。
そして、父の心情を思えば切なくて泣いた。
母は惚けたように、無気力になった。
それからというもの、ぼくと母の辛い日々が始まったのだ。
どうしようもなく悲しかった。
しかし、母のことを思うと泣いてばかりいられなかった。
ぼくは親戚の援助を受けながら、どうにか夜間高校を卒業した。
そして、社会人になった。
小学生のころから、不幸な家庭生活が続いてきたせいか
ぼくは性格の暗い少年になっていた。
強くならねばならないのに、ぼくは人と接するのが恐かった。
社会人になっても、ぼくは性格が災いして仕事が長続きしなかった。
そして、唯一の家族である母も3年前に亡くなったのである。
ひとりぽっちになったぼく。
名曲「上を向いて歩こう」の一説が想い出された。

ひとりぽっちの夜♪

「なんだ! おまえ辞めるのか!」
佐々木課長の怒鳴り声が響いた。
その日、ぼくは会社に辞表を出したのだ。
「この不景気の中! いくら若くても仕事ないぞ!」
佐々木課長のいうことも尤もだと思う。
しかし、もうこの会社で働くつもりは微塵もない。
「すいません。もう、辞めたいんです・・・」
「理由はなんだ!?」
「・・・」
佐々木課長はぼくの表情をじいっと観察していた。
そして、タバコに火を点けると言った。
「まあいい。でも、今月いっぱいはいてくれよ・・・」
「は、はい」
佐々木課長は辞表を作業着の内ポケットにしまい込み、
その場を離れていってしまった。
なぜか、課長の目が悲しそうに感じたのは気のせいか?
その日の夜、ぼくは近所のラーメン屋で食事を採った。
炒飯と餃子を頼み、雑誌を眺めていた。
その雑誌の中の広告に、ぼくは釘付けになった。
“貴男も貴女になれる! 女装の館、オリビアハウス”
その広告には、素人でも女になれるという。
貸衣装があり、化粧も施してくれるらしい。
そして、女になった男たちがくつろぐ、
アマチュアの女装ハウスだということらしい。
噂には聞いていたが、心臓が高鳴った。
“たまには、女になるのも悪くないな・・・”
ぼくは、その広告の電話番号をメモしたのだ。

《続く》




アニト (4月24日(木)23時34分26秒)
エロマン□純子へ
どうだい、新しい物語にとりかかった感想は?。
《連日の投稿》が純子の気持ちを表しているのだろう。
《昭和59年》をすこしばかり調べてみると、
ロス五輪でカール・ルイスが活躍し、冒険家の植村直己氏が亡くなり、
グリコ・森永事件があり、オーストラリアからコアラがやってきて、
「つぐない」や「飾りじゃないのよ涙は」といった曲が流行っていたようだ。
純子の物語には過ぎ去りし日の郷愁が感じられて良いっ!。
そして現在、小林純太郎は・・・、純子は・・・。




エロマン□純子 (4月26日(土)14時19分12秒)
■アニト様
ここのところ、ハイペースで書き込みが進む純子です。
実は昨夜、衛星放送で「シェーン」という古い映画を観ました。
子供のころ、何かで観た記憶があるのですが、これが実にシンプル。
俗世間の鬱陶しさを忘れさせてくれるような映画でした。
背景の自然も素晴らしく、
ラストで少年が「シェーン!」と叫ぶ姿と相俟って
けっこう余韻が残る映画でした。
映画通のアニト様ですから、このような名画は観たことがあると思いますが、
最近ああいう癒される映画が少ないですよね?
さて、今夜は久しぶりに学生時代の友人との飲み会です。
そして、明日(今日)は、新しく改装した新東京競馬場が遂にベールを脱ぎます。
いい週末を過ごしたいと思います。
【上を向いて歩こう】 第3話
純太郎は広告の住所を頼りに新宿の街を徘徊していた。
日本最大の歓楽街である歌舞伎町の猥雑さとは対照的に、
新宿区としては人通りも少なくひっそりとした場所にそこはあった。
“オリビアハウス”
純太郎はその電飾の看板を見ただけで心臓が高鳴った。
(ついに、来ちゃったぞ・・・)
立ち止まり深呼吸してみた。
ドキドキしているのが分かる。
しかし、いざ入ろうとすると足が進まない。
まだ、心の準備ができていないようだ。
もう一度深呼吸してみた。
そして意を決し純太郎は歩を進めた。
その瞬間、そのマンションから人が出てきた。
純太郎は踵を返し、その場から離れた。
他人にオリビアハウスに入るところを見られたくない気分なのだ。
しばらく歩いた。
後ろを窺い誰もいないのを確認すると、また戻った。
(今度こそ、思い切って入ってしまおう・・・)
あまり行ったり来たりするところを見られたら、
挙動不審者だと思われるだろう。
思い切りが大切なのだ。
(中はどんな雰囲気なのだろう? 変態と思われないだろうか?)
女装の館なのだから、中にいる人たちも同好の者なのである。
変態と思われないだろうか?と考える方がおかしなことであるが、
今の純太郎にはそんな思考能力もないほどに緊張していた。
入り口の近くまで行くと、また踵を返すという繰り返し・・・。
余計なことばかり考えてしまい、どうしても入り口を潜ることができなかった。
そうこうするうちに、純太郎は30分程もそのあたりを行ったり来たりいていた。
(今日は諦めようか? 場所だけは確認したんだし・・・)
純太郎は勇気のない自分に情けなさを感じたが、諦めてみると気が楽になった。
(今度にしよう・・・)
オリビアハウスに入ることを諦め、
純太郎は駅の方に戻ろうと歩を進めた直後である。
何者かが背後から純太郎の肩口を叩いた。
そこにはガタイの良い化粧の濃い30代と思われる女が立っていた。
「おにいさん、さっきからウロウロと何してんの?」
「え、えぇ・・・」
純太郎は狼狽えた。
いきなり声をかけられ、どう答えていいか?
「おにいさん、ここに入りたかったんじゃないかしら?」
女はオリビアハウスの看板を指差して微笑を浮かべていた。
その声はハスキーではあるが、女のものではないと感じた。
「い、いえ、そ、そんな・・・、ぼ、ぼくは・・・」
驚きと恥ずかしさ、そして思考回路が混乱した純太郎は狼狽えた。
女はそんな純太郎を見て、ニッコリと笑った。
「いいから、一緒に入りましょうよ!」
純太郎は女に手を引っ張られ、オリビアハウスに入っていった。
店内は女性物の派手な服や艶めかしい下着が所狭しと飾られていた。
「いらっしゃーい!」
店員が女と純太郎を見て叫んだ。
アップテンポの曲が流れている店内に、目も眩む妖しい女性服の数々。
「あら、マキさん久しぶりね!」
店員が女に親しそうに話しかけた。
そして、ちらっと純太郎に目をやると女に意味ありげに笑いかけた。
「マキさん、今日は彼氏と一緒なの? いい男じゃない」
マキと呼ばれている女、いや、女装した男は否定も肯定もしなかった。
(ぼ、ぼくが、この女の人の彼氏?・・・)
純太郎は恥ずかしさのあまり、顔が火照った。
赤面する純太郎を見て、女と店員が同時に笑った。
「いえ、外でね、この男性がウロウロしてたから・・・」
「あら、そう。オリビアに来たけど、
入れなくてウロウロしてる人ってけっこういるのよね。
初めての方かしら?」
純太郎は恥ずかしくて顔が真っ赤になった。
「それで? 今日は買い物かしら? それとも女装するの?」
「あ、はい、その・・・。女装したいんですけど・・・」
店員がニッコリと頷いた。
「それじゃ、おにいさん、上のサロンで待ってるからね」
マキと呼ばれる女は、そのまま階段を上がっていってしまった。
「それで、ええと・・・、システムが知りたいんですけど・・・」
生まれて初めて女性用の下着を買った。
それを持って純太郎は、違う部屋に通された。
貸衣装室である。
そこには色々な衣装が所狭しと飾られてあった。
係りの女性が、この中から衣装を選べと言った。
(もう、後戻りは出来ないんだ。今夜、ぼくは女になる・・・)
純太郎は無難なところで、白のブラウスに、
膝上10センチほどの黒いタイトミニスカートを選んだ。
「こ、これにしたいんですけど・・・」
純太郎は係りの女性に告げた。
「それじゃ、そこの試着室で着替えてください!」
純太郎は、生まれて初めて女性物の下着と衣服を身に付けてみた。
鏡に写る自分の姿を見て、なんか情けない気分になった。
(オカマになったぼくを、亡くなった両親が見たら・・・)
しかし、華奢でスタイルがよく、子供の頃から「女の子みたい!」と、
人からバカにされてきた純太郎は妙にその姿が似合った。
27才という年齢が信じられぬほど若くて華麗に見えた。
後ろ向きになって、タイトスカートに拘束されたヒップラインを見て、
純太郎は恍惚となった。
(本当の女みたいなお尻だ・・・)
着替え終わると、純太郎は恐る恐る試着室から出た。
女の服装に、化粧っけのない短い髪が情けなかった。
「それじゃあ、こっちに来てね」
係りの女性が純太郎を手招きした。
化粧品臭が鼻についた。
そこの化粧台に腰掛けると、化粧をしてくれる女の人がやってきた。
鏡を通して、純太郎の顔を観察する。
「初めてなの?」
「ええ、そうです・・・」
メイク係りの女はしばらく純太郎の顔を観察していた。
「あなた、顔も小さいし、けっこういい女になるそうね」
(ぼ、ぼくがいい女? に、なれる・・・)
純太郎はなぜか気分がよかった。
そして、メイクが始まった。
ファンデーション、アイシャドー、口紅etc・・・。
純太郎の顔が鏡の中で次々と変わっていく。
まるで魔法のように・・・。
「はい、上唇と下唇を合わせてみて」
純太郎は唇を合わせた、その仕草が妙に女っぽかった。
口紅の匂いが鼻につき、なんか内面から女になったような錯覚を受ける。
「それじゃ、カツラを被せるからね」
メイクの女の人が、純太郎の頭にストレートロングのウィッグを被せた。
その瞬間、純太郎は鏡を見て衝撃を受けた。
「こ、これが、ぼ、ぼくなのか?・・・」

《続く》




アニト (4月29日(火)00時16分16秒)
エロマン□純子へ
書く楽しみを抑えきれないといった純子の喜びが伝わってくるようで
わたしも嬉しく読んでいるよ。
『シェーン』のように名作として後世まで語り継がれるかどうかはわからないが、
今公開中の『シカゴ』はなかなかすばらしかった。
映画館へ行く時間がとれなかったら
ビデオで『月のひつじ』という作品を見てみなさい、
《背景の自然も素晴らしく》《けっこう余韻が残る映画》だよ。
わたしも女装ショップへ行ったことがあるのだが、
(女装娘さんとの同伴であるから誤解のないように)、
たしかに初めての人は入りにくいだろう。
だからこそそういう難関を乗り越えた変身後の自分を見たとき、
ある種の陶酔感が生まれるのかもしれないね。




エロマン□純子 (5月1日(木)22時29分04秒)
■アニト様
ここのところ、書き込みが寂しくなってますね。
多いときも少ないときもあって、バランスがとれているのでしょうか?
>ビデオで『月のひつじ』という作品を見てみなさい、
さっそく、この連休中に捜してみようと思っています。
連休中は予定があるのでしょうか?
純子はゆっくりしようかと思っています。
ビデオでも見て、食事でも行って、読書でもして。
そして、空想デートを書き込みして・・・。
■純子様
そういえば、先日の知事選で性同一性障害の女性(元男性)が当選しましたね。
あのニュースを聞いたときは驚きました。
私の場合は単なる「女装趣味」なので
“肉体と心の性不一致”なる人の心の苦しみは判りません。
純子さんは、あのニュースをどんな気持ちで聞きましたか?
【上を向いて歩こう】 第4話
「新人さんが入りまあ〜す!」
係りの人に促されて、純太郎は女装者の集うサロンに入った。
皆の視線が純太郎に注がれた。
そこには、談笑をしているグループ。
ソファーで静かに雑誌などを読んでいる者。
鏡の前でポーズをとっている者。
多くの女性?がいた。
化粧臭が鼻についた。
純太郎は恥ずかしそうに、俯いたまま立ち尽くすしかなかった。
「あら、下でウロウロしていたお兄さんかしら?!」
奥の方で、ハスキーな声が純太郎に向かって発せられた。
純太郎は視線をあげて、声の方へ目を向けた。
オリビアの看板の前で会った女。
店員に「マキさん」と呼ばれていた女がにこやかに純太郎を手招きしていた。
純太郎は不自然な歩き方で、手招きされた方へ向かった。
「さあさ、ここに腰掛けて」
マキが純太郎のために、隣の席を空けた。
「あらあ・・・、さっきのお兄さんが、こんないい女に変身して・・・」
「・・・」
周囲の女の視線も、純太郎に注がれた。
(ぼ、ぼくをみんなが見てる。女になったぼくを・・・)
スカートを穿いて、化粧をした姿を人前で晒すのは恥ずかしかった。
「恥ずかしがらなくても、みんな同じ女装娘なのよ」
マキがからかうような目で、純太郎に言った。
「は、はい! よろしくお願いします・・・」
頭の先から爪先まで、純太郎の姿は女だった。
生まれて初めて女になった純太郎は何とも不思議な感覚だった。
「初めて女装したんですか?」
「きれいね・・・、わたし嫉妬しちゃうわ」
「新人の娘って、初々しくていいわねえ・・・」
「切れ長の目がきれいで、羨ましいわ・・・」
「経験を積めば、まだまだ美しくなりそうね」
新人に対する物珍しさからか、周囲の女装娘から次々に質問が飛んだ。
純太郎は、それに戸惑いながらも「はい」と、小さな声で答えた。
(こんなに注目されたのは初めてだ・・・)
純太郎が美女であるというのは、決して外交辞令ではないようだ。
鏡を覗いてみると、体型も顔も本当にきれいなのだ。
とくに、切れ長の目は神秘的で周囲から称賛された。
そして、脚線美は純太郎自身が鏡を通して見ると息を呑む程だった。
「せっかくきれいなのに、座るときは脚を閉じなさいよ・・・」
マキの言葉に、純太郎は自分の股間を見た。
脚が開き、スカートの中のパンティがちらっと覗いていた。
「ああ! す、すいません!」
純太郎は慌てて脚を閉じた。
「マキさんが、よけいなこと言うから脚を閉じちゃったじゃないの!」
純太郎の前に腰掛けている女装娘が冗談交じりに言った。
「わたし、この娘のパンチラ見て、一瞬男になっちゃったわ・・・」
その女装娘の言葉に、周囲は爆笑の渦に包まれた。
その渦中で、純太郎は赤面して俯いていた。
(恥ずかしいけど、なんか、楽しい・・・)
「ところでお兄さん、名前を決めましょうよ」
「・・・、な、名前?」
「そうそう、新人さんだからまだ名前ないでしょ?」
「・・・」
「自分で希望する名前ある?」
純太郎は戸惑った。
自分で女の名前を口にするのが恥ずかしいのだ。
「ほうら、なんか、自分で好きな名前とかないの?」
「ええ、じ、じゃあ、じゅ、純子がいいです・・・」
その瞬間、純太郎は周囲から「純子」と呼ばれるようになった。
(み、みんな、いい人たちだわ・・・)
純太郎は、この輪の中に入るのを心地よさを感じた。
小さい頃から、あまり楽しい思いをしたことのなかった純太郎。
今夜は人生最良の日じゃないかと思う程だった。
その日、純太郎は記念の写真を撮って帰った。
写真の中の「純子」は完璧な女だった。
「それじゃ、純子ちゃん、また来るでしょ?」
「あ、はい! 来週も来ようかしら・・・」
「それは、嬉しいわ。本当に来てネ」
マキを中心とした女装仲間に、再訪の約束をして
純太郎は約90分程でその日は帰った。
全身に充実感を感じながら純太郎はオリビアを後にした。
帰り道、純太郎は駅前のラーメン屋に寄った。
緊張感、そしてその後の女装した余韻を感じたのか空腹だった。
チャーシュー麺を注文し、
純太郎はオリビアで撮った「純子」の写真を眺めていた。
(こ、これがぼく? まるで本物の女みたいだ・・・)
そのとき、いきなり誰かが純太郎の前の席にやってきた。
純太郎は慌てて写真を懐に隠した。
「すいません。ここ、いいですか?」
「ああ、ど、どうぞ・・・」
20代前半と思われる男は、純太郎の前の席に座った。
他にも席が空いているのに、なぜわざわざここへ座るのか?
純太郎は不快な気分だった。
男は醤油ラーメンを頼んだようだ。
そして、2,3分経った頃だった。
「あの、すいません。オリビアで純子さんと呼ばれていた方ですよね?」
「・・・」
「あそこに僕もいたんですよ」
「え? そ、そうですか・・・」
「純子さんがあまりにもきれいなので、着いて来ちゃった」
純太郎は、男の突然の言葉に驚いた。
「いきなりで申し訳ないんですけど、お友達になって頂けませんか?」
「・・・」
「否、お友達って言うより、彼女になってほしいんですけど・・・」
純太郎は、息が止まりそうになりながら、男の顔を眺めた。
「ケータイか、メルアドの番号を教えてほしいな」
男は尚も積極的に純太郎を口説いてきた。

《続く》




アニト (5月1日(木)23時35分49秒)
エロマン□純子へ
>多いときも少ないときもあって、バランスがとれているのでしょうか?
多ければ楽しいがレスがたいへん、
少なければ寂しさはあるが1人と向き合える、
何事も無理をしないで自然に任せるのが自由でいいじゃないか。
わたしのGWはといえば、少しばかり遠いところから
会いに来てくれる女装娘さんとデートの約束をしている。むははは。
その他は近場で行なわれるイベントへ遊びに行ったり、
読書と映画鑑賞で過ごす予定だよ。


【上を向いて歩こう】 第5話へ

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