柏木彩 (12月29日(日)04時58分03秒)
こんばんは,お久しぶりです。
今書いている物語の最初の部分を投稿します。
これって,面白いですか?
感想を聞かせてもらえると嬉しいです。
もちろん,私は,書いてて面白かったですけど。
TVの国のアリス(Alice in TVland)

鏡の表面が波打って見えた。
小石が落ちて波立つ水面のよう。
何だろう、そう思って手を伸ばすと、
僕の指先は、抵抗もなく鏡の中に吸い込まれていった。
そして・・・
= = = = = = = =
「大変だ、大変だ。」
大きなウサギの着ぐるみを着た男が、手にした懐中時計に目をやりながら走っていった。
ウサギの癖に、帽子にメガネ、チョッキを着た、気取った姿だ。
僕は、なぜか、その後を追って走っていた。
自分でも、なぜ走っているのかわからない。
いつの間にか、僕は、大きなお城の門へとやってきた。
がシャン!
「用のないものはここへ立ち入ることはならん。」
僕の目の前で2人の兵隊が大きな槍をクロスして、道をふさいだ。
「その子ならいいんだ。こっちへおいで。」
兵隊たちの向こうから、先ほどのウサギが手招きをしている。
僕は、巨大な兵隊たちの間をおそるおそる通り抜け、門の中へと入った。
「ここは一体?」
ウサギの後をついてお城の中へと入りながら僕は尋ねた。
「ここはお城だよ。」
「君は?」
「私は白兎。君のガイドだよ、アリス。」
「アリス?」
「自分の名前を忘れたのかい、アリス?」
「なに言ってるの、僕の名前は、」
「君の名前はアリスだ。自分の名前を忘れちゃいけないよ。」
ウサギは僕の声をさえぎるように言った。
「何で、僕は」
「今日このお城に招待されているのはアリスだけ。
それ以外の者が通ろうとしても門番の兵隊に止められてしまう。
君がアリスじゃなかったら、門から中に入れるわけないだろう?」
「そんなこと言っても、アリスって、女の子の名前でしょ。僕は」
「なに言ってるんだいアリス。君は女の子じゃないか。ほら。」
目の前の鏡には、大きな白ウサギが映っている。
その隣には・・・
「・・・僕!」
背中まで届く柔らかくカールした髪の毛に、フワフワした白いドレス、
膝上まで届くソックスをはいた女の子。
だけど、この顔は、僕?
慌てて自分の体を見下ろしてみる。
鏡に映っている通りの姿。
鏡の中の女の子も自分の姿を見下ろしている。
「ほらごらん。これで納得したかい、アリス?」
「そんな・・・」
ドシン、ドシン。
廊下から、大きな地響きが聞こえてきた。
「何かあったのかね、Mrラビット?」
釣り鐘を叩きならしたような大声に、僕は震え上がってしまった。
甲冑に身を固めた兵隊が廊下から部屋の中をのぞきこんでいた。
手には巨大なハサミを持っている。
「いいや、何でもないよ、隊長。
アリスは今日初めてなものだから、少し戸惑っているんだ。」
「それならいい。怪しいものを見かけたら知らせてくれよ。今日は大切な日なんだから。」
兵隊は、地響きを立てながら通り過ぎていった。 
「今のがお城の警備隊長だ。職務熱心なのはいいが乱暴でね。
この間、ハロウィンの夜にお城に入り込んだ酔っ払いがどうなったか知っているかい?」
まだ震えが止まらない僕は、返事もできず、首を横に振った。
「あのハサミで首をちょん切られてしまったんだよ。
私はああいう乱暴なやり方は好まないんだけどね。」
そういえばあのハサミ、なんだか赤黒いシミがあったような・・・
「今日もああやって、招待されていないものが忍び込んでいないか、見回っているんだよ。
いいかい、アリス、もし君がアリスじゃないなんて言ったら、
すぐにあのハサミで首をちょん切られてしまうよ。」
「でも、僕は、アリスじゃ・・・」
「僕、じゃないだろ、女の子なんだから、あたし、と言いなさい、アリス。」
そして、ウサギは声を押し殺しながら言った。
「いまさらアリスじゃないなんて言ったら、すぐにつかまって首をちょん切られるよ。
アリスのガイドの私まで首をちょん切られるかもしれない。
私がアリスだといって連れてきたんだから、君はアリスなんだ、いいね。」
ウサギの顔は恐ろしい形相に変わっており、
本当に首をちょん切られてしまうと思っているようだった。
その迫力に押されて僕がうなずくと、ウサギはたちまち機嫌をなおして
「アリス、リボンが曲がっているから直してあげよう。」
なんて言いながら、ドレスの腰についた大きなリボンを引っ張り始めた。
僕は、どうやら、アリスとして振舞い続けなければいけないらしいと覚悟した。
「今日はお城で何があるの?」
僕はおそるおそる尋ねた。
「女王様のお茶会があるんだよ。」
「アリスは、なぜ招待されたの?」
「アリスが可愛い女の子だという評判を聞いて、
女王様の3人の王子のお妃にしたいんじゃないかな。」
げっ
「でも、僕は」
「僕じゃないだろ、アリス。」
「あ、あたしは、お妃なんて・・」
「大丈夫、私が礼儀作法を教えてあげる。」
「いいよ、礼儀作法なんて。」
「よくお聞き、アリス。女王様はとても厳しいお方だ。
お茶会のときにちょっとでも粗相があったら、
たちまち親衛隊長に命じて、のこぎりで首をちょん切ってしまうよ。
ああ、言い忘れたけど、親衛隊長はいつでも2メートルの大のこぎりを持ち歩いているんだ。」
「そんな・・・」
「どうしたんだい、アリス。元気がないね。
女王様のお茶会に招かれるなんて、とても名誉なことなんだよ。
ここにお座り。私の話を聞けば、アリスもこれがどんなに名誉なことか分かるよ。」
僕は、ウサギに促されてその膝の上に腰掛けた。
ウサギは、僕の髪の毛を梳りながら話を続けた。
「いいかい、女王様は、この国全体を治めているとても偉いお方だ。
普通だったらお城の住人以外は門の中に入ることもできないんだよ。
もし気に入られて3人の王子様のお妃になれば、一生幸せにお城で暮らすことができるんだよ。」
「でも」
「大丈夫、アリスなら、こんなに可愛いんだから、きっと王子様達も一目で気に入るよ。」
「そうじゃなくて」
「ああ、これが気になっているんだね。」
ウサギの白い手袋に包まれた手が、スカートの上から僕の股間を柔らかく撫でた。
「こんな尻尾のことは気にすることないよ。この国の人たちは、尻尾なんて気にしない。
私にだって、まあるい尻尾が生えているんだ。アリスに尻尾があったって誰も気にしないよ。」
「そんな。」
「それに、王子様たちは、とっても、その、上手いんだ。
お妃になれば、とっても気持ちがいい、アリスもきっと気に入るよ。」
「だって。」
「アリスはまだ経験がないから怖いんだね。どうしたらいいか分からないんだろう。
簡単なことさ。ただ、王子様たちに身を任せていればいいんだよ。こうやって。」
ウサギが、僕の首筋に息を吹きかけた。
長いひげが耳の後ろをくすぐる。
「あっ」
ウサギの手がスカートの上から僕の太ももを撫で始めた。
もう片方の手が胸をまさぐる。
「どうだい、気持ちいいだろう?
王子様たちのお妃になれば、もっと気持ちいいんだよ。」
ウサギの手がドレスの中に侵入し始めた。
敏感な部分をくすぐられて、僕は、思わず声を上げて身をよじった。
「感じているんだね。それでいいんだ。可愛い声だよ。
そうやって素直に身を任せていれば、どんどん気持ちよくなるからね。
もっともっと、可愛い声を聞かせておくれ。」
ウサギの手の動きは止まらない。
僕はますます激しく身をよじり、押し殺そうとしても、声が漏れるのをとめることができない。
そして・・・

=2=
気がつくと僕は、自分の部屋のベッドの中に横たわっていた。
(夢・・・か?)
変な夢だった。
「アン。」
体を起こそうとして、パジャマの布が僕の体を撫でた。
思わず変な声を上げてしまって、一人で赤面した。
全身が敏感になっている。
まだ、ウサギの愛撫の感触が体に残っている。
身支度を整えて学校へ向かった。
朝ほどではないものの、いつまでも、体に残った感触は消えなかった。
そのせいか、学校にいる間中、普段とは違うような、
言葉では説明のできない違和感が続いていた。
「ゲーセン行こうぜ。」
6時限目の授業が終わると弘が声をかけてきた。
ゲームオタクでSF、アニメオタク、
美少女マニアでロリコンの変態野郎、小学校以来の腐れ縁だ。
部活もやっていない僕たちは、放課後よく一緒に遊んでいる。
街を歩いていても、僕の違和感は続いていた。
見慣れた街のはずなのに、どこか、何か違う。
それこそ、通りの向こうから、昨夜のウサギがひょっこり姿を現しそうな、そんな気がした。
「どうぞ。」
通りに立った中年の女がすれ違う女の子たちにティッシュを配っている。
「どうぞ。」
目の前に差し出されて、思わず僕も受け取ってしまった。
「俺にはくれないのかよ。」
弘が憤慨した声を上げた。
「ちょっと離れてたからだろ。欲しかったら戻ってもらってきたら。」
「そこまでしてティッシュもらいたいとは思わないよ。」
必要ないくせに、人がもらっていると自分も欲しがるんだから子供だ。
「だったらこれあげるよ。」
「いらないよ別に。って、これテレクラじゃん。しかも女に配るやつだぜ、これ。
適当なことやってんな、あのバイト。」
{ワンダーランドでの素敵な出会いに、アリス達を誘う 
フリーダイヤル 0120−××××−△△△△}
”アリス”の文字に僕は、ドキッとした。
「せっかくもらったんだ、女のふりしてかけてみるか?」
「そんな悪趣味じゃないよ。」
弘は僕の様子には気づいていないようだった。
「あ、今日SFマガジンの発売日だった。ちょっと本屋寄っていい?」
弘と一緒にいると必ず本屋によることになる。
SFマガジンだけじゃなく、
アニメ、ゲームの雑誌は一通りチェックしなきゃ気がすまない男だ。
「お前最近買わないのな。」
「最近、あんまり面白くなくて。今月は、どう?」
そういいながら、弘の持っている雑誌を覗く。
{サディズム&フェティシズムマガジン}
表紙には巨大なウサギが鎖につながれた少女を従えて妖艶な笑みを浮かべている。
「えっ?」
「どうしたの?」
「だって」
そう言いながら再び見ると、普段見慣れているSFマガジンだ。
「おかしいな。なんか、別の雑誌と見間違えたみたい。」
「大丈夫かよお前。今日、学校にいたときから何かぼおっとしてるぞ。」
「ごめん。何か疲れてるみたい。今日は、帰るわ。」
久々に暇つぶしに読もうという気になってSFマガジンを買うと、
僕は弘と別れて家へ向かった。

=3=
「ただいま。」
と言っても、家には誰もいなかった。
親父は仕事で遅くまで帰らないし、母さんは、親類の法事で田舎に帰っている。
僕は、買ってきたばかりの雑誌をぱらぱらとめくった。
しばらく読んでないから連載ものはよく分からない。
新刊本紹介やコラムは相変わらずだ。
海外短編の翻訳に日本人作家の読みきり。
面白いといえば面白いけど、どうしても毎月買わなきゃとまでは思わない。
中学生のころは、弘と一緒にのめり込んでいた時期もあるけど。
一人で食事の支度をすると、テレビを見ながら夕飯を食べた。
SM@Pのナカイが、司会をやってる。
そのうちに僕は、テレビを見ながらうとうとと居眠りをしてしまった。

=4=
「アリス、目が覚めたかい?」
僕はウサギの腕の中にいた。
「どうしたの?」
「よっぽど感じたんだね。失神してしまったんだよ。
でも、これだけ感じやすい子なら、王子様たちもきっと大喜びさ。」
体中に、ウサギの愛撫の感触が蘇った。
「ドレスが汚れてしまったね。心配いらないよ、これに着替えなさい。」
スカートがべっとりと何かに濡れていた。
「ああ、その前にシャワーを浴びたほうがいいね。こっちへおいで。」
シャワールームで僕は身に着けていたドレスを脱いだ。
今まではっきりとは分からなかったけれど、やっぱり、下着まで全部女物だ。
頭からシャワーを浴びてべとべとしたものを洗い落とす。
自分の手が触れるだけで、ウサギの感触が鮮やかに蘇る。
そのたびに僕は身震いした。体がなんだか火照っている。
待っていたウサギが柔らかいバスタオルで僕の全身を拭いてくれた。
「あれ?」
「どうしたんだい?」
「なんだか・・・」
なんだか、背が少し縮んだ様な気がする。
体も細くなって。
「このお城にだんだんアリスも慣れてきたんだね。さあ、これを着て。」
ウサギが差し出した下着を見て、僕は一瞬ためらった。
ドシン、ガシャ、ドシン、ガシャ
廊下から音が聞こえる。
「やあ、親衛隊長、アリスの支度はもう少しだ。すぐに行くと女王様に伝えておくれ。
さあ、早くしないと、女王様がお待ちだよ。」
ウサギがせかす。
僕は慌ててウサギが差し出した服を身に着けた。
白いブラウスに赤いチェックのひらひらしたスカート。
柔らかい感触が僕の体を包んでくれる。
さっきと同じような膝までの白いソックスをはく。
「なんだか、さっきより子供っぽいんじゃない?」
「こっちのほうが今の君には似合ってるよ。
それからいいかい、アリス、女王様の前では、女の子らしくするんだよ。
口の利き方に気をつけて。けっして、僕、なんて言ってはいけないよ。」
「はい、分かったわ、ウサギさん。」
女の子のような言葉が、思わず口をついて出た。
自分の言葉に自分で赤面する。
僕は酔っ払ってるんだろうか?
お城の庭を一望できるバルコニーだった。
周囲に、甲冑を身に着けた兵隊が控えている。
庭には、お城の召使らしき人たちが並び、バルコニーを見上げている。
長いテーブルには、麗々しく着飾った人が並んでいる。
正面の1段高くなったところには、簾がかかっており、向こうに人の気配がする。
「あそこにいるのが女王様だよ。」
ウサギが耳元でささやいた。
僕は、ウサギに促されて、女王様のすぐ目の前の席に腰をかけた。
白いひげの年寄りが、立ち上がり、簾に向かってうやうやしくお辞儀をして
「女王陛下におかれては、本日もご機嫌麗しく、家臣一同、恐悦至極に存じ上げ奉ります。」
と挨拶をする。
お仕着せの衣服に身を包んだ召使たちが、テーブルにお茶を用意する。
居並ぶ人たちは、それぞれ目の前のティーカップを手に取り、お茶を飲み始めた。
僕も、みんなに合わせてお茶を飲む。
なんだかとても甘ったるい、変わった味のお茶だ。
先ほどの年寄りが再び立ち上がり
「本日は、女王陛下の統べる国の繁栄を祝い、座興を用意しております。」
というと、奥のほうに目配せしながら指を鳴らした。
たちまち、甲冑を着けた兵隊が、ドヤドヤと現れた。
鎖につながれた囚人が5人、テーブルの前に引き出される。
「このものたちは、恐れ多くも畏くも、女王陛下の御前で、
ひと時の座興にその身を捧げる栄光を賜った幸せ者たちです。」
兵隊たちは、5人の囚人をバルコニーの端に引き据える。
それぞれの傍らには、長いまさかりを持った兵隊が控えている。
「これから何が始まるの?」
僕はウサギに尋ねた。
「あの5人の首をはねるんだよ。私はこういうのはあまり好かない。趣味の悪い座興さ。」
ウサギはうんざりしたように小声で答えた。
あまりの答えに僕は、びっくりしながら
「なんで? あの人たちが何をしたっていうの?」
「お城に忍び込んでいるところを見つかってしまったんだよ。
でも、彼らはまだ運がいいほうさ。
見つけたのが親衛隊長だったら、その場で首をちょん切られてしまう。
今日まで生きて、女王様のお茶会に臨席できるのだから、彼らも本望だろうよ。」
僕は、言葉も出なかった。
首をちょん切られるという話は本当だったの?
それじゃ、もしも、本当のことが分かってしまったら、僕も・・・
血の気が引いてその場に凍り付いてしまった僕をよそに、
いつの間にか現れた楽隊のドラムロールが静かに始まる。
いならぶ人たちは、期待を込めた目で、囚人たちを見つめている。
5人の兵隊が、それぞれまさかりを頭上高く持ち上げる。
まさか、本当に・・・
人々は、じっと息をつめて、次に起こることを待ち受けている。
静寂の中、ドラムの音だけが、緊張感を高めていく。
そして、
5人の兵隊が、いっせいにまさかりを振り下ろした。
瞬間、囚人たちの首が胴体を離れ、頭上高く音を立てながら飛んでいく。
10メートル、20メートル、どんどん、どんどん、5つの首は空高く舞い上がる。
人々は、もう座ってはいなかった。
いっせいに立ち上がり、頭上を見上げる。
ポン
何かがはじけるような音がした。
「たーまやー」
庭のほうから、人々の歓声があがった。
ポン、ポン
はじける音が続く。
見上げる空には、一面、色とりどりの火花が散っている。
「これって・・・」
花火?
バルコニーに残った胴体は、それぞれ紙ふぶきとなり、四方に散っていく。
「いったいどういうことなの?」
「見てのとおりさ。親衛隊長に見つかってその場で処刑されれば、それまで。
この場で処刑されたものは、花火に変わるんだ。」
本当に、処刑されたの? されてないの?
僕は、何がなんだか分からない。
「アリス、座興はどうであった?」
簾の向こうから声が響いた。
「は、はい。」
一瞬、自分のことだと気づかなかったものの、慌てて僕は返事をした。
「楽しかったであろう?」
「は、はい。とっても・・・・・綺麗でした。」
「大臣、見事であった。アリスも気に入ったようじゃ。」
「ありがたき幸せにござります。
あのものたちも、かようなお褒めの言葉を賜り、
天国でさぞかし喜んでいることでございましょう。」
先ほどの年寄りが、うれしそうにお辞儀する。
大臣が指を鳴らし、召使たちがテーブルにデザートを運んできた。
目の前に置かれたのは、バナナ?
なんで、僕のところだけ?
「アリス、自慢のデザートじゃ。堪能しておくれ。」
居並ぶ人たちの視線が、僕に向けられる。
「アリス殿は、これは味わったことはおありかな?」
大臣が尋ねた。
「これって、バナナですよね。」
「そなたの国では、そのように申すのか。ささ、早く味わっておくれ。」
大臣に促されて、僕はバナナを手に取った。
みんなは、食べ物には手をつけず、異様に熱心に僕の動きを見つめている。
なんだか気まずい思いをしながら、僕は、バナナの皮をむいて、一口かじった。
パシャ、パシャ、パシャ
カメラのシャッターの音と同時に、歓声が上がった。
いつの間にカメラが?
「味はどうじゃ?」
「はい、とても美味しいです。」
オオッ
僕の返事にまたもや歓声が上がった。
「それは重畳。まだまだいくらでもあるゆえ、心行くまで楽しむがよい。」
本当はまだ硬いと思うんだけど、いやとは言えない。
「アリス殿は、そのようにして召し上がるのですな。」
大臣が言った。
「他に食べ方があるんですか?」
問い返した僕に、末席のほうから答えが返ってきた。
「下のお口で食べられるのでは?」
「これこれ、はしたないことを言うでない。アリスが困っているではないか。」
そういう男も、僕のほうを見て、ニヤニヤと笑っている。
え?
一瞬、何のことか分からなかったけれど、
相手のニヤニヤした好色そうな顔を見ているうちに、僕はハッとした。
これって・・・
大きさといい、形といい、気づいてみれば、まるで、アレのよう。
それじゃあ、下のお口って・・・
卑猥な想像に、僕は、一人で真っ赤になってしまった。
お尻がむずむずして、なんだかぬるっとした感触を感じる。
「これは、バナナじゃないの?」
僕は、小声でウサギに尋ねた。
「バナナだよ。今、アリスが名前をつけてくれた。
私たちは、これのことを話すのに、人前でなんと呼んでいいのか、今まで悩んでいてね。
バナナ、かわいい呼び方じゃないか。
これからは、きっと、みんなバナナと呼ぶことになるよ。
さすがはアリスだ。女王様のお茶会に連れてきたかいがあったというものだよ。」
「そうじゃなくて、これは、木になる果物じゃないの?」
「果物? 馬鹿なことを言ってはいけないよ。
どこに生えているものか、アリスだって分かってるだろ?」
それ以上、僕は何も聞けなかった。
「アリスや、よき名前をつけてくれました。
みなのもの、これからは、これをバナナと呼ぶように。」
女王様の声が聞こえる。
ウサギは、ほらね、というように、僕に向かってウインクした。
その後もだらだらとお茶会は続いた。
「アリスや、ちこう。御簾の中へ。」
女王様の声が聞こえた。
ウサギは、立ち上がるよう目で促す。
僕は、仕方なく、席を立ち、侍女に連れられて簾の中へ入った。
簾の向こうは、薄暗く、中央の椅子に大きな女の人が腰掛け、
傍らには3人の侍女が控えていた。
「アリス、もそっとちこう寄れ。」
大きな女の人が声をかけた。これが女王様だ。
顔は黒いベールで覆われていてよく見えない。
「わらわの膝の上にお座り。」
「いいえ、こちらで」
結構ですと言いかけた瞬間、3人の侍女たちがハッと身を固くするのが分かった。
次の瞬間
ピシーーッ
鋭い鞭の音が聞こえ、侍女の一人がヒィッと声を上げながらなぎ倒された。
「何か言ったか、アリス? よう聞こえなんだぞ。」
僕は震え上がってしまった。
倒れた侍女は、衛兵に運び出され、新しく1人の侍女が現れ、先ほどと同じようにそばに控えた。
僕は、今度は、言われるままに、女王様の膝の上に腰を下ろした。
「可愛いのう、アリス。もっとよく顔を見せておくれ。」
女王様は、猫なで声で、僕のあごに指をかけクイッと持ち上げた。
女王様の顔が近づき、吐く息が、僕の首筋をくすぐった。
ゾゾゾゾゾッと、鳥肌が立つ。
女王様は、僕の肩と腰を抱き、それから全身を撫で回した。
「アリスや、バナナは気に入ったか。」
僕は、言葉も出ないまま、必死でうなずいた。
「そうか、そうか。この可愛い口がのう。バナナは美味しかったか。」
女王様の指先が、僕の唇を撫でた。
「それでは、今度は、わらわのバナナを試してみておくれ。」
はぁ?
わらわのバナナって?
侍女が、女王様の膝の上から僕を抱き下ろし、女王様の前に膝立ちに立たせた。
もう1人の侍女が、女王様の衣装の前をはだける。
そこには、
さっきテーブルで見たのと同じバナナが・・・
僕は、もう何がなんだか分からなかった。
「こうすればもっと美味しくなるのじゃ。」
侍女は、女王様のバナナに、たっぷりと蜜を振り掛けている。
「さあ。」
女王様は、そういって、僕の目の前にバナナを突き出した。
「どうした。もう、おなかが一杯か?」
女王様の問いかけに、僕は、救いを見つけた思いで
「はい、もう・・・」
答える僕の言葉に、顔の見えない女王様が、満面の笑みを浮かべたような気がした。
「そうか、そうか。それでは、今度は、下のお口で味わってもらおうかのう。」
えっ?
そんなことされたら・・・
侍女は、早速僕に近づき、スカートに手をかけようとする。
僕は慌てて
「いいえ、さっきと同じようにいただきます。」
「そうか。それならそうしておくれ。」
女王様の声は心なしか残念そうだった。
「まあよい、まずは、お前の可愛い唇でたっぷりと味わってもらおうかの。
下のお口のほうは、後でゆっくりと、の。」
「それが、ようございます陛下。お茶の効き目が現れるのも、今しばらくはかかるかと。」
一番年かさに見える侍女が言った。
「それもそうじゃの。もうしばらくすれば、
アリスの下のお口は、涎をたらして、バナナを欲しがるであろうからの。」
この人たちは、何を言っているんだろう?
さっきのお茶に何か入っていたの?
戸惑っている僕の目の前に、女王様のバナナが再び突き出された。
「さ、早く、その可愛い唇と舌で、まずは、この蜜を味わっておくれ。」
じわじわと近づいてくるバナナに、僕は足がすくんで逃げることができない。
とうとうバナナが僕の唇に触れた。
「さ、お口をお開き、アリス。」
開いた僕の口の中に、女王様のバナナが侵入してきた。





アニト (12月30日(月)00時47分14秒)
柏木彩さん、こん○○は。
>これって,面白いですか?
はい、たいへん面白く読みました。
《バナナ》のくだりは最高です。
物語の面白さももちろんながら、
こういう発想をされる彩さんも面白いと思っています(失礼!)。
続きをぜひお願いしますね。


TVの国のアリス(Alice in TVland) =5=へ

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