ユウキ(8月25日(金)21時17分35秒)
★アニトさんへ
新作が・・・って
あっ、今日はオフ会・・・
今頃お楽しみの真っ最中なんでしょうね。良いなぁ。
どうりで皆さんのカキコが少ないわけだ。
明日か明後日になったらオフ会報告が山のように・・・
はあぁぁ〜。
ってなわけで新作です。
/////////////////
「少年 1」

「これで午前の講習を終わります。お疲れさまでした。」
「ありがとうございましたっ!」
僕が週に二回通うトレーニングジムで、
年に1度行われる「スタントマン講習会」。
これは、フリーのスタントマンやアクション俳優の質を向上させるために、
テレビで現役で活躍しているプロが講習を開くもので、
いろんなオーディションやスカウトの現場でもある。
学生兼フリーのアクション俳優である僕は三回目の参加だった。
午前の講習が終わって、僕は昼食のために同じ建物内の食堂へ向かった。
と、いっても僕は弁当なのだが。ジム内は飲食厳禁だから仕方がない。
いつもより人気の多い食堂の片隅で弁当を開いていたら、声をかけられた。
「ここ、いいですか?」
「あっ、どうぞ。」
答えてからビックリした。
目の前に大男が立っていた。スタントマンの友坂さんだ。
友坂さんは僕の向かいに座って、昼食を食べ始めた。
「さっき、講習に来てたよね?」
「あ、はい。よくご存じなんですね。」
「実は、すごくちっちゃくて元気のいい子がいるなぁと思って見てたんだ。」
すごくちっちゃくて…ねぇ。そりゃ、僕は身長150センチしかないけどさ。
190センチもある友坂さんに比べたら「すごく」だろうけどさ…。
ちょっと気分を害していたら、気まずい沈黙が流れた。
「名前、なんて言うの?」
「巽…ユウコです。」
「ユウコちゃんのお弁当、おいしそうだね。」
「・・・…」
またまた沈黙。
話す内容が見つからない僕は、
仕方なく、さっきから思っていた事を口にした。
「あの…友坂さんのお昼って、それだけですか?」
タラコスパとミニラーメンとライス大盛り。飲み物は牛乳。
「えっ。そうだけど?」
「普段もそんな食事を?」
「そうだけど。何?」
「いえあの…スタントマンさんなら、
もっと体作るための食事とか、気をつけてるのかなぁと思って…。」
僕の弁当。肉と野菜の煮物中心のおかず、それに白米とフルーツ。お茶。
ただでさえ脂肪が付きやすい体を筋肉質に作って、
それを保とうとしてるんだからけっこう気を遣う。
なのに、現役のスタントマンがこの食事?
「えーっと。だって、ちゃんと食べてるし。牛乳は好きだからよく飲むけど。」
「あの…タラコスパとミニラーメンとライス大盛りって、
炭水化物ばっかりでしょ。」
「・・・…?」
「熱と脂肪にしかならないでしょ。それで毎日のお仕事大丈夫なんですか?」
「脂肪ったって…オレ、やせ型だし。」
しどろもどろな返事。なんだか頼りない。
「体重おいくらですか?」
「76キロ。」
「体脂肪率…ってご存じですか?」
「うん…聞いたことあるけど…
この前の健康診断で、28%とかだったかな。」
「それ、隠れ肥満、っていうんですよ。」
「えっ?!何ソレ、オレ太ってるの?」
「下手すると成人病で死にますよ。」
こっちが必死になって体重管理してるというのに、
健康管理も出来ないプロがいるなんて。
僕は腹立ち紛れに少し脅しをかけた。
「ユウコちゃん!」
友坂さんのアセった声。ちょっといい気味かも。
でも事態は思わぬ方向へ転がった。
「オレのマネージャーになってくれない?」
「…えぇっ?!」
「オレさ、そーいうの苦手で、何もわかんないから。
メンバーとか監督には注意されるんだけど、何して良いかもわかんないし。
助けて欲しいんだ。」
「…そ、そんな…」
でも、有名人(この業界では)の付き人になれるわけだし、コネもできる。
オーディションの第一次選考に通ったも同然だ。良いかも知れない。
「…わかりました…。」
そうしてその日、僕は講習会終了を待たずに、
撮影所へのフリーパスを手にすることになったのだった。

つづく




アニト(8月26日(土)23時06分33秒)
ユウキくん、こんばんは。
オフ会は・・・とても楽しいものでした。
後日「オフ会報告」としてまとめる予定ですから、
こうご期待!(とはいうもののいつになることやら)
それと、オフ会に参加した人たち各々の感想は、
名古屋の某掲示板に書き込まれ、ここでは無いですよ。
新作「少年」、いい物語なるようガンバってください。




ユウキ(8月27日(日)20時34分48秒)
書きたいコトがいっぱいあって、
伏線張ったら張りすぎて、長くなりそうです・・・。
まだぜんぜん肝心なところまで行ってません。参ったな・・・。
因みに、スタント&撮影はもっともらしいことを書いてますが、
登場人物は実在の人物とは一切関係ありませんので、ご理解お願いします。
★綾乃さんへ
ご期待に添えるような話だと良いんですがねー。
僕も頑張るので、綾乃さんも、
「石にかじりついても」京都まで来てくださいね(にやり)。
///////////////
「少年 2」
翌日、僕は撮影現場になっているという採石場に行った。
友坂さんは子供向けヒーロー番組、いわゆる「戦隊モノ」のアクション俳優。
変身後の戦闘シーンをすべて担当していて、今年の役柄は確かブルーだ。
「おはようございまーす。」
スタッフに挨拶して、間近で本番ロケを見ることになった。
広い採石場のひらけた場所に作られた、
小さな砂山の手前にミニトランポリンが置いてある。
その奥でブルーが立っている。
「友坂さんだ…やっぱ絵になるなぁ。」
テレビの俳優さんの本番前って、やっぱりすごいな。
そして、ずっと手前、僕の目の前には分厚いウレタンマット。
「よーい・スタート!」
監督の声と同時にブルーが走り出す。
「耳栓しとき。」
傍にいたスタッフが僕に言った。
次の瞬間。立て続けに爆発が起こった!
ブルーの両サイドから火柱があがり、背後には黒煙が渦を巻いて。
ブルーがミニトラを踏んで空中に舞い上がったと思うや、
ひときわ大きな爆発が背後の地面を吹き上げた。
轟音が耳栓を忘れた僕の頭を心まで揺さぶって、頭がキーンとしてる。
そんな僕の目の前に、バァン!という何かが破裂したような音とともに、
「吹き飛ばされた」演技を終えたブルーが降ってきた。
「はい、OK!」
監督の声に、ブルーが面を取る。
「いらっしゃい♪」
友坂さんが、凍り付いている僕に、にこやかに微笑みかけた。
「次、ピンクいこーかー。そのまえにちょっと休憩!」
監督の声。
「はーい。」
ピンクの中身は八木さんっていう男の人だ。
男の人の方がアクションにキレがあって良いのだそうだ。
「やあやあ、おじょうちゃん。トモの付き人だって?恋人候補かな。」
衣装を持った八木さんがやってきて、僕に声をかけた。
ガハガハと豪快に笑う姿からは、テレビの華麗なピンクは想像が付かない。
背が低いので、ちょっとだけ親近感。
「カメリハさぁ、オレのかわりにやらない?」
「えっ?」
「スタントとちがって、次普通の立ち回りだし。普段やってるならできるよ。」
「えぇっ。」
「よかったら本番もドーゾ。」
にこにこ。八木さんの顔をみてるかぎり、好意。
「ねぇ、監督―せっかくだからー。」
「うん、時間あるし、いっぺん見てみよか。
せっかくトモが見つけてきたんだしな。」
うへー。そんなバカな。
確かに普段から殺陣はやってるし、
舞台だと思えばできないことはないけど。
ロケバスの中から準備を終えた戦闘員さん20人あまりがゾロゾロと出てきて。
「衣装、着れるよね。衣装下も洗濯したてだから使っていいよ。」
「さー、いってみよー。」
友坂さんまでやってきて僕にピンクの衣装を押しつける。
なんだか無理矢理女装させられてる感じだ。
普段、衣装を着るときは気にしてないのに。
ロケバスの隅っこで着替えさせてもらって、
八木さんから立ち回りを教えてもらって、何回か練習してもらって。
「じゃーやってみようか。よーい、スタート!」
ウソだろ〜(ToT)そんな簡単にー。
練習の時、マジメにやってたつもりなのに、
本番になるとみんなのスピードが2倍くらいに感じる。
ついていけない〜。内心悲鳴を上げる。
「はい。OK」
慌てて監督を振り返る。
「うーん、やっぱり少し荒っぽいかな。」
「慌ててるのかな。ちょっと雑ですね。」
友坂さんまで…。緊張してるんだから仕方ないだろ!
「八木ぃ〜」
八木さんが衣装を着てドタドタと現れた。面をかぶる。
「もういっぺん。よーい、スタート」
と、その動きは人が変わったみたいに可愛らしくなった。
素早く、華麗に。
敵を倒したときの仕草からやられて転ぶまで、すべてが女らしい。
演技だと解っているのに飛び込んでいって助けたい、
応援したい衝動にかられるほどに。
「ほへ〜…」
僕はただただ驚くしかなかった。
「要は、メリハリやね。男だから出来る事ってあるんだよねぇ。」
本番を終えた八木さんが僕の肩を叩いて言った。
「いやー、イキナリでごめんねぇ。疲れたでしょ。」
ロケが終わって私服に着替えた友坂さんが、
ちょっと自信喪失気味の僕に言った。
「よーし、おやつ食べにいこう♪おごってあげる♪」
「はぁ…。」
僕はだまって付いていくことにした。
近くの小さな喫茶店に入って、友坂さんは店のおばちゃんに、
「いつものやつね♪」と告げた。
「彼女は?」とおばちゃん。
「あ、アイスコーヒーください。」
気疲れで食べる気力のない僕だった。
「はい、お待たせ。」
友坂さんの前に置かれた物を見て僕は絶句した。
どうやらイチゴパフェスペシャルというらしい。
生クリームたっぷりの大きなイチゴパフェの上に、
ショートケーキが乗っている。
「…太るよ。」
無心にパフェをほおばる友坂さんに僕は言った。
とりあえず、ここはトレーナーとして忠告しておこう。
「えっ。でも…ユウコちゃんは甘い物食べないの?」
「食べるよ。和菓子だけど。
今の季節なら水ようかんと冷たいお抹茶かな。」
「えー抹茶ぁ?あんな苦いものよく飲めるねー。」
「カテキン多いしね。
それに和菓子は糖分だけで、脂肪分ほとんどないから。」
と、僕はそのまま30分ほど、
甘い物で太る、というメカニズムを講義するハメになった。
友坂さんって、ホントに無知だ。
聞いてみたら、中学出てすぐアクション一直線だったらしくて、
ほとんど勉強してないらしい。
炭水化物だとか難しい単語をつかうとすぐに理解できなくなる。
190センチ76キロ、素顔でタレントになれそうな端正な顔。
外見はすごくカッコイイのに。
「とにかくさ、主食だけだと筋肉になりにくいんだよ。
これからはご飯半分にしてお肉とお魚、
それと、野菜は生野菜じゃなくて、煮付けね。
生は量が多く見えるだけだから。」
ちょっとイライラして言葉遣いが男っぽくなってるかな。
「……カッコイイね。」
「は?」
怒るかと思ったら、友坂さん、変なコトいう。
「さっき、オレの本番見てるときはすごく可愛かったけど。今はなんだか…。」
「嫌い?」
「いや、そういうんじゃなくて…。」
友坂さんは口ごもってしまった。
「あ、来週の日曜、休みだから…どこか行かない?」
しばらくの沈黙の後、突然友坂さんが言った。
「彼女とデートじゃないんですか?」
「彼女いたら、ユウコちゃんを付き人になんかしてないって。」
「……。」
ほめ言葉なんだろうか??それとも間に合わせの彼女ってか??
「あ、そうか、ユウコちゃんこそ彼氏とデート?」
「いえ、別に空いてますよ。」
彼氏も彼女もいないから。ヒマはヒマだ。
彼女扱いされてるのはあまりうれしくないけど、
友坂さんからは学ぶことがいっぱいありそう。
「どこ行きたい?」
「できれば…撮影関係の所。スタジオとかロケ地とか案内して欲しいな。」
「オッケー。」
話はまとまった。

つづく




アニト(8月27日(日)23時52分45秒)
ユウキくん、こんばんは。
あはははは、伏線は張りすぎると収拾がむつかしくなりますし、
読む人も混乱してしまいますよ。
もっとも筆力のあるユウキくんのことですから
それらを生かした物語になるだろうと安心していますが。
京都と言えば太秦、なるほど撮影シーンがリアルなのは、
日常的にそういった情報が入ってくるせいでしょうか。




ユウキ(9月3日(日)22時41分23秒)
こんばんはぁ・・・
夏バテでついにダウンしておりました、ユウキです。
今朝に至っては低血圧で起きられず、
起きたと思ったら脳貧血で倒れました。
それでもここに来るといろんな意味で血圧が上がって正気になります(笑)
残暑厳しき折、みなさんもどうぞ体に気をつけてください
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「少年 3」
そうして日曜日。
「これって…やっぱりデートって言うんだろうなぁ。」
食品に関してのグチばっかり言ってるみたいだけど、
本当は監督さんや八木さんを紹介してくれたり、
僕がスタッフとうまくいくように手回ししてくれたのは全部友坂さんで。
すごくお世話になってる。
お礼に少しはおしゃれしていってあげようかな。
女の子に縁なさそうだったし。
ちょっと気を利かせたつもりで、女の子モードを作ってみる。
とは言っても、ピンクのブラウスにGパンはいただけなんだけど。
アクションやってるときはたいてい男の子モードだし、気持ちの問題かな。
友坂さんは、ジャージ姿以外の僕を初めて見たわけだけど、
なんだか嬉しそうだった。
そして、京都といえば、太秦撮影所。
そこで、忍者ショーのお友達を紹介してもらったり、
撮影セットに入らせてもらったりしてなんだかんだ言ってるうちに、
一日は過ぎて、いつのまにか僕と友坂さんは手を繋いで歩いてた。
どこからどう見てもカップルだったけど、何故か僕は苦にならなかった。
「今日は、ありがとうございました。」
別れ際、駅の改札のところで、僕は挨拶した。
楽しかったから、ちょっと丁寧に。
「いや、オレも楽しかったよ、ありがとう。」
友坂さん見てると、首が痛いよなー…。って友坂さんも首と腰が辛そう。
「じゃぁ、また。」
「はい、明日、撮影所で。」
そういって、踵を返した僕。
次の瞬間。
「……!」
背後から抱きすくめられた。
僕は恐怖に凍り付く。
(友坂さん…?!)
ごつい腕はまちがいなく友坂さんのだ。そして、左手が僕の右胸に…
「う…わあああああああああああ!」
僕は今まで胸なんか触られたことなかったんだ。
痴漢におしりさわられたのは2回あるけど。
僕は絶叫して、そのあと、その場にへたりこんだ。
女の子モードの時って、感情の起伏が激しい。
気がついたら、大粒の涙がボロボロこぼれて、僕は泣いてた。
「ゆ…ユウコちゃん…」
友坂さんがおろおろしてる。
その姿を見て、少し我に返った。
やっぱり…後輩とかじゃなくて、
単なる性欲のはけ口…僕は単なる「女の子」だったんだ。
裏切られた気がした。
撮影所に連れて行ってくれたのも、単なるエサ?
「……っ!」
友坂さんの馬鹿、って言いたいんだけど、声にもならない。
僕はそのままダッシュで改札に駆け込み、後ろも見ずに家に帰った。
「はぁぁぁぁ。」
家のベッドにひっくり返って、僕は何度目かのため息をつく。
友坂さんから僕の携帯に謝りの電話がずっと入ってるけど。
許せない。声もききたくない。謝るくらいだったら最初からするな。
もう友坂さんには会いたくない…でもスタントはしたい…。
でも友坂さんを無視すると、撮影所にはいられない。
スタントをやめる?…いやだなぁ。
一人の人間関係ごときで夢潰してたまるか。
先輩の面倒見るのは後輩の役目。
友坂さんに会うのも仕事だと思えばいい。
「しゃーない、行くか。」
僕は諦め口調で呟いた。

つづく




アニト(9月4日(月)23時29分40秒)
ユウキくん、こんばんは。
これこれっ、身体には気をつけてくださいよ。
もうユウキくんはユウキくんだけの身ではなく、
心配してくれるお友達がたくさんいるのですから。
物語の方は、とても重要なテーマにさしかかっています。
>女の子モードの時って、感情の起伏が激しい。
立場は違えど、この言葉に大きく肯いた女装娘さんは多いことでしょう。
みんながこの物語に注目しているはずですよ。




ユウキ(9月10日(日)22時49分58秒)
★アニトさんへ
お久しぶりです。
ご心配おかけしました。
新しいパソコンを購入し、セットアップに手間取った上、
夏ばてでダウンでした。やっと回復の兆しが・・・(^^;)
★綾乃さんへ
出張お疲れさまです。
僕は夏ばてでの〜んびりぶっ倒れてました(笑)
綾乃17歳、続きが楽しみです。早く読みたいナ☆
僕の方は「人の良さそうな友坂さん」とケンカ別れしてますけど(^^;)
いいのかな?
★唯奈さんへ
>でも、実際のスタントマンって大変らしいわ。
>ユウコちゃん怪我には気を付けてね。
はーい。先日は膝が打撲で腫れ上がって曲がらなくなりましたー。
その前は左肩はずしましたー。
その前は足の指を捻挫しましたー(器用だ・・・)
気をつけます(^^;)
///////////////////////
「少年 4」
翌日。
「おはようございまーす。」
いつものように先に撮影所に入り、先輩の到着を出迎える。
「おう、おはようさん」
「お茶、入れましょうか。あと、今日のお昼ご飯の注文と。」
「えーとな、のり弁でええわ。」
この世界、完全縦割り社会だから、
お茶くみから掃除まで全部新人の仕事。
お茶を出し、注文を注文用紙に書いて、僕はまた稽古場掃除に戻る。
あと、控え室の掃除もあったっけ。
「おはよーす。」
「おぅ、トモ―。おはようさん。」
背後の声。
嫌だなぁ。他の新人のコ、注文取りに行ってくれないかなぁ。
でもずっと友坂さんの注文取りは僕の役目だったし、
そう感づいてくれる人なんていない。
「ユウコちゃーん、トモ来たでー。」
八木さん…お願いだから呼ばないで…(涙)
「あっはいっ!」
慌てて振り返る。
「あっ、友坂さん、おはようございます。」
よそよそしい。
八木さん、変な顔してる?友坂さんは僕の顔見てない。
「お茶入れましょうか。あと、今日のお昼ご飯の注文と。」
「あ…うん。お茶はいいよ。昼は…
やっぱりいいや。どこか食べに行くから。」
「あ、はい。」
僕はさっさと掃除に戻る。あっ、しまった忘れてた。
「あ、友坂さん、コレ昨日の栄養計算表です。
スポーツドリンクで糖分かなり取ってますよ。」
これが本来の僕の仕事。これはやめるわけには行かない。
「あ…作ってくれたんだ。」
ちょっと嬉しそうな顔になる友坂さん。
「はい、だってここでスタントの勉強するための条件ですから。」
友坂さんの顔が再び曇る。ザマァミロ。
女とケンカしてアフターフォローも出来ない奴が、
女ひっかける資格なんてねぇよ。
巨体からは似合わないうじうじした姿がしゃくにさわる。
僕はその場を後にして、その日1日友坂さんには近づかなかった。
友坂さんが不調だとか、何かあったのかとか、
なんだか話題になってたみたいだけど、知るもんか。
ちゃんと仕事はしてる。いつも以上にキッチリと。
何事もなく家に帰って、夜。
メールチェックしたら、
いつものように友坂さんからの今日の食生活の一覧が届いていた。
 朝食:ロールパン2個・ハムエッグ・レタスのサラダ・コーヒー
 昼食:カレーライス4辛大盛り 牛乳
 夕食:ラーメン・ほうれん草のおひたし・冷や奴・ビール一缶
 その他:500ミリスポーツドリンク2本・お茶1本
 以上
カレー4辛?
友坂さんは辛いのが好きだから、4辛は食べる。
でも、月曜の昼に食べるかな?
辛いカレーを食べてから急に動くと
胃がヘンになるってよく言ってたのに。しかも大盛り。
ちょっと自暴自棄になったのかな。
でもなんでそんなになるんだろう。
恋仲が進展してから別れたなら、話は分かる。
僕だって自暴自棄にもなる。
でも、先輩後輩の仲で、初デートかどうかも解らないうちに、
告白もしないうちに、トラブルがあったからって、
なにもそんなになることないじゃないか。
さすがに今日の僕の態度に諦めもついたのか、
昨日みたいに、一覧の下にお詫びのメッセージが長々とついてる、
なんてことはなかった。
僕はほっとした。
このまま先輩後輩の関係を続けていけば、僕の道も開けるはずだ。
翌日も、その翌日も僕は撮影所に通った。
約束通り、友坂さんには毎日食品分析とトレーニングメニューを渡し、
お茶くみも、掃除もちゃんとやった。
それどころか、空き時間には八木さんについてもらって、
女シン(ヒロインのこと)の動きを稽古した。
それに、友坂さんを無視してるわけじゃなく、
ちゃんと先輩として接した。
ちょっとよそよそしいカンジは残ったけど、
いままでがなれなれしかっただけだから、大したことはない。
そのよそよそしさも、日を追うごとに感じなくなっていった。

つづく




アニト(9月11日(月)23時31分24秒)
ユウキくん、こんばんは。
PCの買い換えですか、うらやましいですねー。
わたしはHDDの増設で何とかしのいでいます。
体調も復活したところで
気分一新これからもよろしくお願いします。
夢を紡いだり壊したり、異性にあこがれたり失望したり、
自分を見失いかけたり新たな一面を発見したり・・・。
少年は少しずつ大人になっていくのでしょう。


「少年」 5へ

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