ユウキ(7月27日(木)18時58分40秒)
★アニトさんへ
貴重なご助言ありがとうございました。
さっそくオーナー室へ向かいます。
(オーナー室って、アニトさんしか入れないのかと思ってましたから・・・。)
僕は田舎に住んでいて、映画館も無く、ビデオもなかなか見れません。
今のところ、本とインターネットが僕の情報源です。
でも、夏休み使ってもっとカッコイイ男目指しますっ!
そうそう白状します(笑)
昨晩、僕はオチンチンと一緒に寝ました(爆)愛しくて・・・(^^;)
軽くてへにゃへにゃだったので
ちょっと加工してホンモノっぽくなりました♪
許可を頂いたので・・・今夜は綾乃ちゃん、いっただっきまーす!
ではでは、新作です。
題は「女装de合コン!」にするつもりだったんですが、考えているうちに
後半は合コンからはずれそうなので・・・。やめました(笑)
前半コミカルですけど後半シリアス路線に戻ってきますからね。
/////////////////////
「表の姿裏の姿」

「今度飲み会するんやけど、来るか?」
高校時代の同級生、小石川から電話がかかってきた。
小石川は隣の町の大学の工学部に行っている。
「同窓会か?」
「いや、単なるビアガーデンの夏祭り。大学のゼミで行こうかと。」
「それなら俺、行ったらあかんやん。」
高校時代、男勝りで通した俺は、一人称も「俺」のまま。
おかげで女友達は一人も居ないが、
男友達はこうやって何かとよくしてくれる。
カムアウトこそしてはいないが、ほとんどバレている状態だ。
「俺な、幹事になってるんやけど、ゼミって野郎ばっかでさー。」
「・・・…まさか。」
嫌な予感。
「いやーははは。女のコそろえてくれへんかな?」
「合コンにするって?」
「そう。そっち女子大やろ。合コンのほうが楽しいやん。」
そう…。哀しいかな、俺の表の姿は女子大生。
国文学科に通う大和撫子・・・…。
「・・・…俺に友達居ないの知ってるくせに。」
キャミソールが着れない、化粧ができない、ミニスカートがはけない、
そんな俺は華やかな女子大生の中でかなり異色。
ゼミ友達はいても、合コンに一緒に行くほどの遊び友達はいない。
「そこをなんとか、さ。いい子頼むなー。」
「見返りは?」
「うーん。プリンタのインクひとそろいと、中古のギャルゲー一本。」
「それと当日の俺のエスコート役も。」
知らない男に詰め寄られたり、
むりやり誰かとくっつけられそうになることほど
面倒くさくて嫌なものはない。
ワケを知ってる奴に彼氏役をさせるのはとても合理的だ。
「わかったわかった。じゃ、頼むな。」
と、いうわけで俺は合コンに出る羽目になった。
まぁ、高校時代演劇部で慣らした俺に、
女役であろうが男役であろうができないことはない。
(やりたいかやりたくないかという気持ちの面は除いて。)
それに他大学に男友達がたくさん居ると分かれば、
俺もゼミで「彼氏いない歴○年」とか、
「内気で何を考えているのか分からない人」とか噂されることもないだろう。
自分のためにも、悪い話ではなかった。

(つづく)




アニト(7月27日(木)23時33分39秒)
ユウキくん、こんばんは。
『空想デート』はみんなのものですから、
いつでもどこでも出入り自由です。
いろいろなところを触って触って、立派な男になってください。
女装娘さんたちとはまったく正反対の立場での
新作、大いに期待しています。




ユウキ(7月30日(日)22時50分02秒)
二日ほど忙しくしていたら、こんなに書き込みが・・・。
ちゃんと毎晩「通い婚」しないとなー。(笑)
★綾乃さんへ
夜のオカズにいただきました(笑)ごちそうさまでした。
実はねー・・・僕もじいが好きです・・・。
性格が似てるのかな。気持ちがよく分かる・・・
良いお友達になれそう(笑)
★数値フェチっ娘さんへ
そうか、もう3作めでしたか・・・。
早いなぁ。すっかりここにハマってます。
Iモード館、がんばってください。ちゃんと見てますから!
★唯奈さんへ
>「僕の・・・・」 素敵。ユウキ様のペニスをフェラチオしてみたいわ。
うーん、嬉しい。フェラチオされるの夢なんだよ(爆)
でも、おいしくないだろうなぁ。ゴムだから。
>「真夏の夜の夢 」 可憐な純愛。
>ユウキさんの男としての初恋だったのデスか?
男としての初恋は小学生の時です・・。
Hは高校の時、つきあってた女の子と。
あっ、でも、まだボクは童貞!(笑)
最近は女装娘さんのほうが好きだな。心がキレイだから。
★梓さんへ
>自分自身の意志とは全く無関係に、泣き続けていました。
読んでいて、なんだか自分の事をかかれているような気がしました・・・。
いろいろあって、心臓が痛み出すほどです(^^;)
僕の作品の後半とシチュエーションがダブるかも。乞うご期待?
★沙希さんへ
はじめまして。すごいですね!スピード感のある展開といい、
話のまとまりといい・・・。見習いたいです。
これからも、カッコイイお話をよろしく。
★みずきさんへ
しのぶちゃんがだんだん育ってきましたね。
その成長ぶりを、眼を細めて見守るじいのような気持ちです・・・
(ってはなしが違う?)
早く続きが読みたいです。
/////////////////
「表の姿裏の姿 2」
「さて。」
電話を切って、しばし悩む。
「何着ていこうかな…」
男物の服を買い込む俺と、女物の服を大量に買ってくる親のおかげで
俺の部屋の三分の一くらいはクローゼットと洋服箪笥と衣装箱だ。
(後はベッドと本棚とパソコン)
クローゼットを開けると、
一番始めにいつも学校に着ていく女物のパンツスーツが掛かっている。
それから、長袖の白いカッターシャツが数枚。
ジャケットにズボン。カラースーツってわけにはいかない。
洋服箪笥を開ける。
Tシャツ、ポロシャツ、ランニング…
じゃなくて、タンクトップ。デザインはいたってシンプル。
その奥に、おふくろが買ってきたキャミソールが突っ込んである。
スカートはといえば、膝下20センチくらいのロングしかないし。
「サマーセーター・…うひゃー暑そう。」
おしゃれ・流行にはほど遠い。
親に話せば大喜びで一揃い買ってくるだろうが、
そんなことにお金をかけたくもない。
「参ったなぁ…「空想デート」で相談してみよーかなぁ。」
別館に置いてあった写真なぞを参考にしたりして。
キャミソールにカーディガン?
「でもやっぱ暑いの嫌だなぁ…無難なところでワンピースかな。」
翌日、俺はいつもの白いシルクのカッターシャツに
黒いズボンという姿をやめて、
水色のチビTシャツに白いズボンで学校へ行った。
「皮膚焼けるーーー!クーラー寒いーーー!」
長袖に慣れきった俺の体が悲鳴を上げている。
道を歩けばむき出しの腕がチリチリして痛いし、
学校に入ればクーラーで腕が冷えて
先日トレーニング中に痛めた肘が痛みだす。
つくづく、慣れない格好は嫌だと思う。
…ガマンガマン。
「あれ?ユウコちゃん?なんか今日可愛いー」
ゼミのクラスに入ると、みんなが声をかけてきた。
女子大生ってどうしてみんな下の名前で呼び合うんだ?むしずが走る。
「うん、○大の男の子と会うの。だからちょっとね。」
「えー、彼氏ぃ?!」
男女間の友情ってやっぱり存在しないんだろうか。
俺の顔をのぞき込んだキラキラメイクの顔に、ちょっとたじたじ。
「んー。友達、かな。合コンの打ち合わせにね。みんな来ない?」
打ち合わせなんか電話で十分、もちろん、嘘だ。
「えっ、いーの?○大って賢いんでしょ?すごーい。イイ男いるよね!」
というわけで一瞬にして話はまとまった。
ほっとした所へ教授が入ってきて、授業が始まった。
(女言葉でクラスメートとしゃべってるより、
教授と敬語でしゃべってる方がよっぽど楽だよ。)
そんなことを考えているうちに、気を抜きすぎたのか。
「痛っ!」
うとうとした俺の頭にチョークが飛んできた…。

つづく




アニト(7月30日(日)23時42分33秒)
ユウキくん、こんばんは。
ユウキくんはまだいいですよ、
わたしなど1日休んだら10以上のレスを書くことになりそうです。
が、これはうれしい悲鳴ですからまったく苦にはなりません。
自分を慕ってくれる女の子がいるのなら、全力で受けとめてあげる、
これが男の心意気と覚えておいてください。
なるほど、みんな着る物では苦労しているようですね。
たぶんわたしが一番洋服代は少なくて済むのでしょう。




ユウキ(7月31日(月)22時43分27秒)
★アニトさんへ
「女を三人囲うと、クリスマスは24.25.26日の三日間。
自分の時間も欲しい。プレゼントは三つ、だから金も三倍。
そのためには給料が人の三倍必要、
そのためには人の三倍努力しなけりゃいけない。
時間は24時間って決まってるから三倍集中して仕事する。
一夫一婦制より、そのほうがずっと日本のためになるんじゃないか?」
こんなふうなことを以前、ビートたけしの本で読みました。
以来、僕はがんばってます。
常に女性には100%以上の力で臨むこと。
絶対3分の1にしたらいけませんね。
その点やっぱりアニト兄さんはちゃんと実行されてて、尊敬します。
僕もがんばります。
★綾乃さんへ
食あたりはしてませんよ(笑)
クーラー入れすぎのねびえです・・・
遊んでる途中で寝ちゃったんで、素っ裸〜(爆)
親に見られなくてよかった。
じいへ
良いお話をありがとう。
言いたいことはたくさんあるけど、とりあえずお疲れさま。
ゆっくり休んでください。のんびりお風呂にでも入って。
熱いお湯はご老体には毒ですから、ぬるめのお湯がいいですよ。
いつか、秋口の散歩日和の日にふらりとお邪魔するかもわかりません。
そのときはどうぞよろしく☆
★みずきさんへ
可愛い服ねぇ・・・見るのは好きだよ。
特に可愛い子が着てるのを見るのが好き。自分では着ないなぁ・・・。
アクセサリーもね、いっぱい持ってるんだけど、一つもつけない。
宝の持ち腐れ・・。誰か使って!
///////////////////
「表の姿裏の姿 3」
それからしばらくして、合コン当日。
俺は親のお下がりの小花柄の紺色のワンピースを着た。
ちょうちん袖で、襟が大きめに開いている、一昔前のデザインだ。
それに銀のチェーンのネックレス、生足に黒いサンダル。
すこし反抗して左片耳だけに十字架のイヤリングをつけた。
(片耳ピアスがゲイの象徴だと知る人は何人いるだろう?)
背中の真ん中あたりまである髪を下ろして、ピンで少し止めてできあがり。
手にはそんな格好に不釣り合いな大きなボストンバッグを下げて出かける。
女装っ娘なら分かると思うが、ボストンバッグの中身はもちろん「着替え」。
ユウキ専用夜遊び服。
黒のシルクのシャツに黒のズボン、金と黒のストライプのネクタイ。
ジャケットは俺の大好きなルパン三世を気取って赤。
黒い革靴も入っている。
コンパに飽きたら逃げ出すつもりで居る。
準備は万端だ。
ボストンバッグを駅のロッカーに押し込んで、待ち合わせ場所へ向かう。
日はすっかり落ちて、ギャルたちがたむろしている。
最近ではキャミソールじゃなくて肩ひもなしの服が流行っているらしい。
背後から忍び寄って、引きずりおろしてみたい衝動にかられる。
俺はどうせならサラシ巻きのほうが好きだぞ(笑)
それにしても、ピンヒールの靴だとか、ミュールだとか、
足が痛くならないんだろうか。
すでにサンダル履きの生足にマメができて痛み始めていた俺には、
理解に苦しむ光景だった。
待ち合わせ場所には幹事の小石川が待っていた。
「・・・…」
俺だと分からなかったらしい。
傍によって初めて気づいて眼を白黒している。
「…化けるもんやなぁ。」
「ダテに女子大生はしてないね。」
髪を掻き上げてみせる。小石川が唾を飲む。
女に化けたルパン三世気取り。
耳の十字架が揺れて、俺の本性を物語っている。
そして、宴たけなわ。
着飾ったゼミの仲間に負けず劣らず、俺も注目を集めている。
「ユウコちゃんてさ、大人しいねー。もしかしてすごいお嬢様?」
「そうみたいよ?いつも門限とか言ってるしー」
「お酒もたばこもダメなんだって!」
おーおー言ってくれるよ、ゼミ仲間。
俺の表の顔しか知らないくせに。
ま、それを聞いてほくそえんでるのもまた一興。
「文学少女って感じ!彼氏いんの?タイプは?」
俺は黙って恥ずかしそうに微笑むだけ。
「何いうてんねん、だまされんなよー」
隣に座った小石川が口を挟む。少し酔っぱらって大阪弁だ。
「オレはなー高校いっしょやったけど、こいつなー…」
「やだもぉ、やめてよー」
じゃれつくふりをして、テーブルの下では
サンダルのかかとが奴の向こうずねに直撃している。
「つぅ…おまえなぁ!」
俺の頭にげんこつ。高校時代によくあった光景だ。ちょっと懐かしい。
「いっ・…(てーな!なにすんだよっ!)…たぁい!もぉ、なにすんのよー。」
「小石川―女殴るなよー。ユウコちゃん涙目になってるぞー。」
確かに涙目だ。
笑いをこらえてたのと、ラガーマンの小石川のげんこつがちょっと効いたのと。
女役ってのも、たまにやると楽しいもんだ。

つづく




ユウキ(8月1日(火)20時31分50秒)
★みずきさんへ
アンバランスですか・・・そうですよねぇ。
僕の中ではふつうの出来事なので、改めて言われて、納得しました(笑)
だから僕の文章ってクセがあるって言われるのかなぁ?
★数値フェチっ娘さんへ
すごい統計です・・・びっくりしました。毎月記録されてるんですね。
そして一人一人にコメント。脱帽です。恐れ入りました。
//////////////
「表の姿裏の姿 4」
「ねーねー二次会カラオケ行かない?」
すっかり男性陣と意気投合したまさこが声をかけてきた。
「あ…私、カラオケ苦手だから…。」
ギクリとして俺は答える。「ユウコ」はカラオケが苦手なのだ。
「えー、大丈夫だよー。いっしょに歌お?」
文子も追い打ちをかける。酔った奴ってどうしてこんなにクドいんだ?
「だって、最近の歌とかよく知らないし…。」
「ええやん、俺と一緒に寅さんいこー。演歌うたえるやろ?」
「演歌は…遠慮します…。」
小石川とは高校時代何度かカラオケに行った。
演歌好きの小石川とハードロックがすきな俺と、
異色の組み合わせでそれなりに楽しかった。
が、今は「ユウコ」だ。
「小石川くんってシブいー」
黄色い声。頭に響くぞ。
「小石川…鼻の下伸びてるよ。」
俺が苦笑する。
俺は潮時だと思って、時計を見た。八時半。
親には終電で帰ると言ってあるから、11時くらいまで遊べる。
着替えて隣町まで行って、誰か女友達でも呼び出すか。
その時。ふと気配を感じた。
「?!」
レストランの中。人は大勢いるし、人の気配なんて…。
気配の方に目を向ける。その先に、黒いスーツの男。
「!」
俺は心臓が飛び上がるかと思った。
上気した顔から血の気が引いていくのが分かる。
「あっ、もうこんな時間?帰らないと。」
平静を装って、俺は席を立った。
カラオケに行く連中も一緒に立ち上がる。
連れだって会計へ。
(どうしよう…どうしたらいい?…俺は…)
急に頭を働かせたので、胃が痛み出す。消化不良だぞ。
「ユウコちゃん?元気ないねー?」
男のコが声をかけてくれる。
「あっ、大丈夫です」
答えて、ワリカンで支払いを済ませる。そして。
「あの、すみません。」
皆が外に出てしまってから、俺は会計係に言った。
「あのテーブルの人に白ワインをグラスで、あげてください。」
個別に支払いをする。
オーダーが通って、男の前にグラスが置かれる。
俺はそれを見届けて、店を出た。
背中に、奴の視線が突き刺さるのを感じていた。
「じゃぁね、お先にー。」
店の前で皆と別れる。駅は右、カラオケボックスは左。
皆に背を向けた俺の顔はすっかりユウキに戻っている。
(やっかいなことになりそうだぜ…でも、仕掛けたのは自分だろ?)
心臓がバクハツしそうだ。サンダルの足音が夜道に響く。
グラスワインの挑発を後悔して、早足になる。
どうか奴の機嫌が悪くて、俺のジョークに引っかかりませんように。
希望は砕かれた。
「ユウキ」
足音も、気配すらなく。
テノールの、ぞっとするほど柔らかい声が俺の背後に響いた。

つづく
〜いよいよ(?)ストーリーは後半に入ります〜




アニト(8月1日(火)23時57分00秒)
ユウキくん、こんばんは。
『空想デート』がみんなのものであるということがわかったでしょう。
定期的に書き込みをしてくれる人や、統計をとってくれる人、
(数値フェチっ娘さんはご存じのように
『i-mode館』の管理もしてくれています)
またつい昨日のことですが、「『別棟』の『USAやふジオへの道』が
HP作りに大変参考になりました」というメールもいただいています。
(あ○みさん、読んでいてくれますか?)
わたし1人ではとうていできることではなく、
みんなの協力があるからこその『空想デート』なのですよ。




ユウキ(8月2日(水)23時33分35秒)
「黒いスーツの男」反響大きくて喜んでます。
「つづく」の直前をどこで切るかって難しいですね。
今回の「つづく」の先はストーリーバレバレかな(^^;)
★綾乃さんへ
じいにはうなぎか焼き肉でもごちそうしてあげてください。
夏はそれでなくてもスタミナが必要ですから。
謎の男、正体あっという間にバレてます(^^;)
★みずきさんへ
>ユウキさんのことだから
深読み、半ば正解かもわかりません。
「性」に関してだけはすごく寛容な奴ですから。
奴について詳しくはこれからです。
しのぶちゃん、ついに・・・ですね。
しかもいきなり3Pとは。僕までドキドキしてきました。
★まみさんへ
>いくら愛の証しだとは言え、子孫繁栄のためには何の役にも立たないもの
わかってることだけどグサリときてしまいました。
僕、最近少しナーバスなようです。夏バテかな。
まみさんの嬌声、淫らすぎて・・・何故か僕の精神安定剤になってます。
/////////////////////
「表の姿裏の姿 5 」
「ユウキ」
その声に俺は歩みを止め、観念したようにため息をつき――
ゆっくりと振り返った。
「・…ひさしぶりだな、桐生。」
開襟の白いシャツに黒いスーツ。
ゆるい天然パーマの髪に、インテリ風のメガネ。
その奥には、黒目が大きい表情の読みづらい細い瞳。
桐生。俺と誕生日が364日違いの年下の男。
クールで秀才、甘いマスク。俺とは正反対の桐生は女にモテた。
知ってる人は「金田一少年の事件簿」の明智警視をイメージしてもらいたい。
俺は高校時代、こいつになりたくて、こいつの真似ばかりしていた。
桐生も何かと俺にかまった。
どうして桐生が俺を気にしたのかはさっぱりわからない。
学年最下位の成績の俺に真似されて
うざったく思って馬鹿にしていたんじゃないだろうか。
とにかく、俺にとってはお手本兼ライバル、そんな感じだ。
年下なのが余計ムカつくが。
「合コン…だったのかな?小石川も居たようだね。」
「あぁ、居たよ。」
俺はぶっきらぼうに答えた。余計なことをしゃべると危険だからだ。
「いつ帰ったんだ?」
「昨日。」
桐生はアメリカのカリフォルニアの医大へ行っている。
おおかた夏休みで帰ってきたんだろう。
「そういえばおまえ、メシ食いに来てたんじゃないのか?」
「あぁ…構わない。それに…」
桐生は鞄を開けた。
「僕もボトルで頼んでたからね、もって来ちゃった。」
俺の頼んだのと同じ白ワインのボトルが入っていた。
「で、もって帰るわけ?」
俺が苦笑する。
「持って帰っても良いけど…どこかで飲もうかな。飲む?」
「あぁ…いいな。」
俺は頷いた。
「あかりは…元気にしてるか?」
肩を並べて歩きながら、俺は問うた。
あかり。俺の元彼女。
男装・女装仲間の間では「純男に寝取られた」と言っているが、
本当は俺がフラれただけだ。
秀才と女心をくすぐるセリフに彼女が奴に惚れただけ。
俺は止めなかったよ、俺から見たって、桐生のほうがデキる奴だったし
俺のわがままで彼女を縛りたくなかった。俺は、ただの金メッキ。
「元気だよ。」
「そう。」
桐生は女好きだ。
遊んでるわけではなく、本気で何人もとつきあっている。
あかりはそれを知っていて、なお奴についていき――
同じ大学・同じ学部に入ってしまった。
「二番手でも三番手でもいいの、彼が好きだから…」
俺と別れるときに、あかりは泣きながらそう言った。
俺は素直に降参するしかなかった。
あかりが元気なら、俺はそれでいい。
「それにしても…合わないね、しゃべり方と服装。」
「悪かったな。着替えが駅にあるんだけど。」
「取ってきたら?その格好じゃきゅうくつだろう。」
「そう…だな。」
これからどこへ行き、どこでワインを飲むのか――。
おそらく、駅で荷物を出して、そのまま駅の裏のホテル街に行くのだろう。
ホテル街ねぇ…。手出しされるんだろうか?それは桐生の気分次第か。
桐生はカプセルホテルのかわりにラブホテルを利用する奴だから、
ラブホテルだからと言って警戒する必要はあまりない。
それに俺だって昔一度は、ちゃんとした女の子になろうとした時期があった。
「女の悦び」を知れば考えが変わるかと思って、
一度桐生に抱かれたことがあった。
桐生の手出しのやり口は解っている。
どうせ終電までの時間だから、ワイン飲んで久しぶりにゆっくり話をして、
シャワー浴びて着替えて帰ろう。
俺だってダテに歳とったわけじゃない、少しは成長してる。
桐生が手出ししてきてもちゃんと止められる。
俺は、すこしタカをくくっていたかもしれない。

つづく




アニト(8月3日(木)23時48分31秒)
ユウキくん、こんばんは。
物語のおもしろさはスリーリーもさることながら
「人物」だと思います。
あるていど本を読んでいる人なら話の展開は想像できるでしょうが、
登場人物たちがこの後、何をし、何を思うか、
この「何を思うか」に作者の個性が表れ、
読者の期待があるのです。




ユウキ(8月5日(土)10時00分25秒)
★アニトさんへ
「何を思うか」大切ですよね。
一昨日、「あかり」のモデルになった元彼女から電話がありまして。
用事はパソコンについての質問だけだったんですけど、
ついでに「桐生」の話もたっぷり聞かされ、
僕の頭はクラクラしてます。また熱だして倒れそうです(^^;)
情けないったらありゃしません。
でも今の話を書いているおかげで、「俺」も一つの答えを見つけました。
書くって、やっぱり良いことですね。
ちなみに、僕「も」ロリっ気ありますよ☆
★ みずきさんへ
「いけないバカンス」完結おめでとうございます!
僕もこの夏は良い思い出ができるといいなぁ。
あやかりたいような、綺麗な終章でした。感動です。
僕の作品…難しかったですか。すんません。
桐生は純男です。あかりは純女。
これからは、わかりやすい展開を心がけるようにしますね。
★絵梨花さんへ
>桐生さんって、かっこいいな *^-^*
ショック・・・・・・・・。俺は???(ToT)
「甘く危険な香り」毎回楽しみにしています。
周囲の描写が細かくて、まるで映画を見ているような気さえします。
続き、期待して待ってま〜す。
★綾乃さんへ
怪談、ものすごく良かった!楽しかったです(^^)
綾乃さんらしさが出てて好きだな☆
★瑞樹さんへ
はじめまして。人生ままなりませんねぇ(笑)
男になりたい女のあがきを読んでやってください・・・。
★梓さんへ
・ ・・・・。思考回路が似てるのでしょうか。
毎回他人事とは思えずにのめり込んでしまいます。
早く続きが読みたいです。
////////////////////
「表の姿裏の姿 6」
手もつながないままラブホテルに入る。
監視カメラから見ている奴が居たら、おかしな光景だろうな。
「さて…」
部屋に入って、ソファに鞄を放り、桐生はベッドに腰掛ける。
俺にはお構いなしにそのままベッドにひっくり返った。おいおい。
俺ならそんなことはしないな。
ソファに女と二人並んで腰掛けて、話をしながらゆっくり接近して…
ベッドに移動するのはその後だ。
…ってそんな話じゃなく。
あまりに「素」な桐生の態度に俺が気押されてる。
でもまぁ、クーラーの効いた部屋で、素の自分になれて、
ゆったりソファがあるだけでもありがたい。
俺はソファにいつものように腰掛けようとし…。
自分が女装中であることを思い出した。
スカートはいたまま大股開きで座るのはマズいよな。
それに汗もかいたし、着替えてくるか。
俺はボストンバッグを持って、バスルームに向かった。
バスルームでタオルを取って、鞄を開けていたら
ベッドルームの扉が開いて、桐生が出てきた。
「何してるの。」
「あ?着替えようかと思って。汗もかいたし。」
「そう。」
鞄をごそごそやりながら答えていたら、
桐生の両腕が背後からまわってきた。
「おいおい。俺汗かいてるから臭いぞー。」
冗談混じりに言う。桐生も単にじゃれてるだけだ。
本気の桐生はマジで怖い。俺は良く知ってる。
桐生が顔をすりよせてくる。
「・・・…っつ!」
突然、耳元に熱い吐息がかかったかと思うと、
俺の全身を電気が走った。
膝の力がゆるんでいくのを必死にこらえて唇を噛む。
桐生の薄い唇から覗いている、銀の十字架。
(こんなキザなこと、俺にゃぁとてもできねーな…)
などと考えていたら、幾分か正気に返った。
左の耳たぶが熱い。
その間に桐生は俺のイヤリングをその長い指でつまんで
洗面台の横に置いた。
「離せよー暑苦しい。」
俺は苦笑を崩さない。その手は喰うか、だ。
桐生の腕が離れる。
ほっと一安心、なんておくびにも出さない。
「何つっ立ってんだよ。見んなよ。」
立ってる桐生に少しキツめに言う。
面食らってんだか、悲しんでるんだか怒ってるんだか。
ホントに表情の読めない奴だ。
「恥ずかしい?」
「ばぁか。単に嫌なんだよ。出てけ。」
俺は軽くタオルを投げて、桐生を追い払った。
奴はおとなしくベッドルームへ戻っていった。
「まったく・…。」
洗面台の鏡で背後のドアノブが動かないかチェックしながら
ワンピースを脱ぐ。ベージュの質素な綿の下着が姿を現す。
「女のコだなぁ…。」
すっかり「ユウキ」になりきっているだけに、
鏡の中の女のコが自分だとどうしても思えない。
一人で首を傾げ、それから下着も脱いだ。
ひどいときは吐き気をもよおすことさえある姿。
今日はまだマシなほう。
鏡を無視して、俺はガラス張りの浴室のドアを開けた。
俺は桐生を止められたことでほっとしていた。
崩れそうな自分を律して耐えたことも。
俺は自信過剰だったかもしれない。
その過剰な自信が後にどうなるかなんて、
俺はその時考えもしなかった。

つづく




アニト(8月5日(土)23時36分47秒)
ユウキくん、こんばんは。
何を思い、そしてその先にあるもっと大切なことは
どういう答をだすか、ですね。
物語って自己確認のための自問自答の作業だと思うのですよ。
僕は男になりたい、わたしは女の子になりたい、
なってどうするか?、デートしたらどうなるか?。
もちろん多分に空想を絡めていますから、
過激な物語ができやすいのですが
書くという行為のなかで答が見いだせるものだとわたしは信じています。
ところで、「も」ってなんですかぁ?。わはは。

「表の姿裏の姿」 7へ

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