私は21歳以上です。



 命がけのサバイバル   その1
                        作:サスガ

ゴトゴトゴト・・・

隣の人がもたれかかってくる重さではっと目が覚めた
電車の中ではこういうことはよくあることだ
電車の定期的な振動が心地よい眠気を誘う

ただ、いつもと違うのはここが電車の中ではないということだろう
これはたぶん車の中だ。しかも普通の車とは違う、不潔ではないけど薄暗くて少し寒い
座椅子も何もないトラックの荷台のようなところに自分以外にも何人もの人が載っている

なんで僕はこんなところに載せられているんだ??
ついさっきまで学校の校庭でサッカーしていたはずだ・・・

そうだ!みんなと別れてすぐに変なヤツに話し掛けられたんだった

たしか

「あなたなら私達を少しは楽しませてくれるかしら?」



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                  @「島へ」


思い出したと同時に背中に痛みが走った
そうだ、話し掛けられた直後に誰かに殴られたんだ!!
それで僕は気を失って・・・

いったいこの車はどこに向かっているんだ?
これから一体どうなってしまうんだろう・・・

薄暗い空間の中で不安になっていたところに
隣の人が肩を叩いてきた

「あんた、その格好を見たところ特別招待された人間のようだね」

「特別招待?どういうことですか?!」

「これは"ゲーム"なんだよ」

「ゲーム!?一体どういうことなんですか!?」

できるだけ小声で話そうと思っていたけどいきなりこんなところに入れられて気が動転しているせいで
どうしても声が大きくなってしまう、周りの人が何人か目を覚ましてしまったようだけど
そんなことよりも何で今、自分がこんなところにいるのかが早く知りたかった

「そんなに怖い顔するなって。特別招待だから何もわからないんだな?
 わかった、このゲームの説明をしてやるからしっかり聞けよ」

そういいながらその人は僕の目を軽く睨んできた

「簡単に言うと "サバイバルゲーム" だな」

「サバイバルゲーム!?」

「そう、日本が非公式で開催しているのさ。参加者は日本人の中からランダムに100人前後の男たちが選ばれる
 これから連れて行かれる島を1ヶ月間に生き延びることができれば国から莫大な賞金がもらえるって話さ。
 ランダムで選ばれたやつらは基本的に参加を断ることもできるが、特別招待のやつは強制参加って話を聞いたぜ」

「その特別招待が僕・・・」

「そういうことみたいだな」

「・・・・・・」

「怖いのか?」

「はい・・」

「まぁ無理もないな、あらかじめ準備をしてきた俺達とは違っておまえは気持ちの整理もつかずに参加だもんな
 でもあまり不安がる事もないらしいぞ。島と言っても無人島のような殺風景なとことは違って
 普通にたくさんの人が生活しているらしいんだ。当然食料や衣服も売っているって話だ」

「それってサバイバルとは違うんじゃ・・・」

「確かにな、とはいっても簡単に攻略できるものでもないらしい。何か頭を悩ませる難題とかあるんじゃねーのか。
 でも、あまり怖がることもないかもしれないぜ」

このあともいろいろと教えてもらった
基本的に参加者同士が殺しあうような生臭いサバイバルじゃなくて
テレビ番組の企画のような気楽なもののようだ

そこまで聞いてようやく僕の気持ちも楽になってきた
ちょうどどこかへ一人旅へ行きたいと思ってたんだ
形は少し違うけどそれが実現したと思えばラッキーじゃないか

辺りが明るくなってきたのか、車内にも光がさしこんできた
もう少しで到着のようだ・・・


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もう完全に日が昇っているのだろう
強い太陽光が運転席の方から常に差し込むようになってきた

外を眺めてみたいけど荷台はホロがかかっていて、しかも外から閉められているらしく
中から開ける事はできない。
仕方なくわずかに入る太陽光を眺めながら時間を潰していた

キキーッ

車が音を立てて停止した
それと同時に外は大勢の人間が走り回る足音で騒がしくなっている
その中のいくつかの足音が僕らが載せられている車の近くまでやってきた

少し間が空いたあとその足音は荷台の方へ近づいてきた
ガチャガチャっと鍵をはずすような音が聞こえた後一気に出口部分の布が取り払われた

「うわっ!」
ずっと暗いところにいたせいであまりの光の眩しさに中の人間みんなが目を覆う

「ようこそ、参加者のみなさんはこちらへどうぞ」

声の主は女性だった。軍人さんだろうか、とてもよく通る声でハキハキと僕らを手招きした

ようやく眩しさにも慣れてみんなぞろぞろと車を降りだした。僕もその流れに遅れないようにする
ぴょんと車を軽く飛び降りるとそこには大勢の参加者の人たちが並んでいた

ぱっと見ただけでも僕と同じくらいの年頃っぽい人や中年の男、老人以外のあらゆる年代がそこに揃い踏みしていた

ポンポンっ
肩を叩かれて振り返るとそこに軍服をまとった女性が立っていた

「随分びっくりしているみたいですね、口開いてますよ」

あっ
驚きの表情が簡単に読み取られたらしく、クスクスと笑っている

「ごめんなさい、びっくりしちゃって・・。僕はどこへ並べばいいんですか??」

パラパラっと手に持っていたファイルをめくり僕の顔を確認すると
「こちらですね」

と、目の前の列を指差した

「ここですか、どうもありがとうございます」

「いえ、これも仕事ですから」

彼女の笑みは陽の光と重なってとても眩しく感じた

「ところで君は特別招待された子ね?」

「あ、はい・・・なんかそうみたいです」

「うふふ・・・大変かもしれないけれど頑張ってね」

そういうと彼女はまだ並びきれていない男の人たちの方へ走っていってしまった
その時の僕は無性に頑張ろうという気持ちで満ち満ちていた
どうやら女性の軍人の人たちがメインで働いているらしい

女性士官の人たちによる整列、人数確認作業も終わったようで
士官の人たちは僕らの列の前に整列した。

「これからルール確認をはじめます!みなさんしっかり聞いてください!!」



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