私は21歳以上です。



 夕陽に染まる
     
エピソード1
                                  作:放射朗
                                 
  この大学の剣道部のうわさは私が高校生のころも何度か
聞いたことがありました。
 上下関係が厳しいとか、練習がきついとか。
 そんなことは当たり前のことだと思っていましたが、中に
は新入生の最初の自己紹介は上級生全員の前で、全裸でしない
といけないなどと、ちょっと信じられないうわさまであったん
です。 そんなうわさの数々、ほとんど信じてなかったけど、
本当だとしたらちょっとどきどきするなんて思っていました。
 女ばかりの集団が、男の人が思っているよりはるかに大胆に
なれるということは、女子高生だった私にも少なからず経験が
ありました。
 それに一人だけやれというんじゃなくてみんなで一緒にやるん
だったら、自分でもできるんじゃないかと。
 
 そんな疑問は実際に入部した時に、事実だったんだと思い知ら
されました。
 新入部員は私を入れて8人でした。
 上級生は2回生が6人、3回生が8人、4回生はあまり部活には
顔を出しませんが、9人いるということでした。
 新入生の初日には4回生も全員そろっていました。

 新入生は全員上級生の前に1列に並ばされていました。
 
 「それじゃあ全員揃ったところで、新入生の挨拶はじめます。」
 3回生の増田久美先輩が司会をはじめました。
 新入生たちはみんなジャージ姿。
 先輩たちは剣道着に着替えていました。
 2回生の先輩たちが妙に嬉しそうでした。
 「やっとしごく側にまわれたよね。」
 どこからかそんな声が聞こえてきました。
 
 「はい!では一回生のみんなはここで全部服を脱いで、
自己紹介をしてください。」
 増田先輩は当然の事のように淡々といいました。
 その声で新入生たちはざわめきはじめました。
 私もそんなうわさは聞いたことがありましたが、まさかと
思っていたので、とっさにどうしていいかわかりませんでした。
 それでもその声に「はいっ」と大きく答えて、服を脱ぎはじめ
る新入生が3人いました。
 後でわかったことですが、その3人はあらかじめ言い含められていたんです。
 いくら先輩の命令でも、入ったばかりの新入生がいきなりそんな命令を聞くわけがありません。

 でも8人の中の3人が従うと、他の5人は動揺してしまいます。 私もその中の一人で、最初は冗談じゃないと思っていたけど、3人が次々に衣服を脱いでいくのを見ていると、自分も従わないといけないような気になっていくんです。
 3人はすでにパンティとブラジャーだけになっていました。
 さすがに恥ずかしいのか3人ともそこで止まって、うつむいています。
 後の5人の内、私の右隣の子がおずおずとジャージを脱ぎ出しました。
 それにつられるように私を含めた残りの何人かもジャージを脱ぎました。
 「何ぐずぐずしてんのよ!全部脱げといったでしょ!一番遅かった子は特別メニューが待ってるからね。」
 増田先輩の声が響いて、上級生達からも、脱げ、脱げと野次が飛び始めました。
 最初の3人はとうとう全裸になってしまいました。
 
 そして私を含む何人かも下着だけになりました。
 全裸になった3人は恥ずかしそうに胸と前を両手で隠すようにしています。

 そんな状況で、一人だけまったく動じることなく服のまま突っ立ている子がいました。
 確か名前は斎藤さんだったと思うけど、、。
 「あんた命令を無視する気らしいね。」
 増田先輩がその子に向かって言いました。
 
 「くだらない行事に付き合う気はありません。そんなことするために剣道やってきたんじゃないんだから。」
 斎藤さんの言葉ははっきりとしていて、ずいぶん度胸のある人だと感心してしまいました。
 「あんた、なかなか見所ありそうだね、名前は?」
 予想に反して増田先輩はなんだか嬉しそうに彼女に聞きました。
 「斎藤翔子。剣道歴は10年です。」
 「名前は聞いたことあるよ。確か去年の女子高剣道大会で準優勝までいったんだったね。自分より弱いやつの命令なんか聞けないって事か。」
 斎藤さんはその言葉には答えず黙っています。
 
 「いいよ、そういうことなら、試合しましょう。3本のうち私から1本でも取ったら、特別待遇にしてあげる。でも1本も取れなかったら、命令に従ってもらうわ。腕に自信がないんだったらここから黙って出て行きなさい。」
 
 増田先輩が特に気負う様子もなく言いました。
 高校の大会とはいえ準優賞までいった子を相手に1本も取らせないなんてできるのかしら。
 周りの上級生たちから拍手喝采が起きました。
 斎藤さんが試合を受けると答えたからです。
 
 「久しぶりに面白いもんが見れるね。」
 2回生の一人がそういうのが聞こえました。
 
 きちんと防具をつけた二人が向かい合いました。
 私たち新入生は裸のまま(そのときは私はまだ下着姿だったけど)正座させられて、試合を見学させられました。
 
 斎藤さんは中段の構え。
 ピシリとした構えにはすきも無く、私から見てもかなりの腕前だというのがわかりました。
 増田先輩は、最初下段で構えていたけど、ゆっくりと上段に変えました。
 「おおっと、増田先輩に上段やらせるんだから、あの子も結構やるんだ、、。」
 2回生の一人がつぶやくように言いました。
 「そうね、増田先輩が試合で上段使うなんて久しぶりに見たよ。」
 その横の2回生が答えました。
 
 2分くらいは打ち合うことなく互いに間を取り合っていました。片方が近づけば片方が引き、それをゆっくりと繰り返すんです。
 でも試合は一瞬で終わりました。
 斎藤さんが胴を狙って踏み込んだ瞬間、増田先輩は少しだけ
引いてそれをはずしざまに見事な面を決めたんです。
 パシ!切れ味の鋭い見事な面が入ると、大きく歪んだ増田先
輩の竹刀が私の目に飛び込んできました。
 
 あんなふうに竹刀が歪んで見えることなんて初めてでした。
 斎藤さんはその一撃でくず折れました。
 10年間剣道をやっている、しかも大会で準優勝までいって
いる斎藤さんを増田先輩は一撃で失神させてしまったんです。
 高校の剣道と、大学の剣道がそれほどレベルが違うのか、それとも増田先輩が強すぎるのか、、。
 失神してしまった以上、3本やるまでも無く増田先輩の
勝ちでした。

 「防具をはずして休ませておやり。」 
増田先輩のあまりの強さ、カッコよさに私を含めて、新入生は
みんなぽーとなってしまいました。
 「他に文句のある人はいない?」
 増田先輩の質問に誰も答えません。
 「だったら全部脱いでしまいなさい。」
 はっと我に帰ったみたいに新入生達は立ち上がると、まだ下着姿だった私や何人かはすべて全裸になりました。

 「前を隠すんじゃないよ!両手は後ろに!足を広げて起立。」
 そんな命令にもみんな従順に従いました。
 「あなたが一番脱ぐのが遅かったわね。一番遅かった人には
特別メニューがあるって言ったの憶えてるわね。」
 私の右の子に、増田先輩が言いました。
 
 その子のひざが震えだしたのがわかりました。
 両手を後ろに組んで、足を広げて1列に並んだ全裸の新入生の
姿は、さながら股間のヘアーの品評会でした。
 
 「右から3番目の子、かわいい顔の割にもじゃもじゃジャン。
ちゃんと手入れくらしろよな。」
 「左端の子は正反対ね。あれパイパンなんじゃないの。剃るま
でもないって感じ。」
 上級生はそれぞれ観察しながら卑猥な言葉を言っていました。
 順番に新入生が出身校、氏名、趣味などを自己紹介して
いきました。
 「男経験の自己紹介も追加ね。」
 上級生の一人がそういうと、自己紹介は最初からやり
直しになりました。
 「南校から来ました。林田あゆみです。趣味は特にあ
りません。男性経験は、、。」
 最初の娘がそこで言いよどんでいます。
 
 パシイ!いつのまにか1列に並んだ新入生の後ろに回っていた上級生が、林田さんのお尻にきつい一撃を加えました。
 竹刀の跡がくっきり残るほどの一撃に林田さんは顔を苦痛にゆがめ、泣き出してしまいました。
 「泣いても無駄だよ。大きな声ではっきり言いなさい。」
 増田先輩に促されて林田さんは気を取り直して自己紹介
を続けました。
 「、、男性経験は高校3年の時、です。」
 その後も、今までの経験人数とか、初体験の状況とか根掘り
葉掘り聞かれました。
 その答えによって上級生たちは笑ったり、冷やかしたり、
新入生の羞恥心をことさらあおるようにしていました。
 私はそれまで男性経験がなかったので、そんなに恥ずかしい
ことは聞かれませんでしたが、後にそんなこととは比べ物にならないくらいの屈辱的で恥ずかしい事を強要される事になるのでした。
 
「さて一番脱ぐのが遅かったのは山本裕子さんね。それと、さっき試合で負けた斎藤祥子さんも準備が整ったようね。」
 増田先輩が言いました。
 試合で失神していた斎藤さんはすでに全裸にされて私たちといっしょに並ばされていました。
 
 「特別メニューは剃毛にしておきます。あまり最初から痛めつけるのも悪いしね。」
 増田先輩が言うと、2回生の一人が、バリカンつきの男性用髭剃りを持ってきました。
 二人は抵抗する気力も無いようで、おとなしくされるまま
になっていました。
 2回生の先輩の持つ髭剃りがうなりをあげて動くたびに、
彼女らの股間の茂みはそり落とされ、しまいには後ろ向きで
お尻を突き出す格好までさせられて、肛門の周りまできれいに
つるつるに剃り上げられてしまいました。
 
 「これから1年間あなたたちには陰毛を伸ばす権利はありません。後は自分で毎日処理すること。もしサボって伸ばしていたら、
かなり痛い目にあってもらいますからそのつもりでね。」
 
 増田先輩のその一言で、羞恥に充ちた新入生自己紹介の
儀式は終わりました。
 
 でも、こんなことはこれから始まるさらに屈辱的で、痛みすら伴う剣道部一回生の今後の、ホンの初めの1ページに過ぎませんでした。

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