私は21歳以上です。



  新体操倶楽部 千秋部長編 
                 作:テンちゃん
分岐B(その3)
   
      『いじわる千秋』
  

 そうだ、、アレにしよう。千秋の猫のような瞳は体育館
のちょうど中央にある『吊り輪』にとまった。

 新体操では普段つかうことはないが、以前、先輩達『体
操部』が残していったものがそのままあった。
 千秋はフザけたように吊り輪を指さすとイタズラっぽく
言った。

 「あんましウッサイから『はりつけ』に決定!」

 他の部員に取り押さえられているシンジは、泣きワメい
ていたがズルズルと引きずられていく。
 それを見ることが辛かった舞は下を向き付いていくしか
なかった。

 「ね!、ね!、、だれか『台』になるもの持ってきて!
そうそう!、、、ほら!シンジ、、あやく上がってよ!」

 普段は<非協力的>な弥生が一年に指示を出し、率先して
指揮をとっている。
 弥生は嫌がるシンジを踏み台に上げ、三人がかりで吊り
輪の<輪>に彼の手首を新体操のリボンで固定した。
 その様子を『現場監督』のように腰に手をやった千秋が
見上げている。

 「フフ、、弥生ったら、、あんなハシャイじゃって、、
もしかしたらアタシよりSっ気あんじゃナイの?、、ね、
舞、、、、、、まい?」

 舞は人の輪を避けるように遠くでうなだれている。と、
ナニか、意を決っしたようにまっすぐ自分の方に歩いてき
た。

 「、、ち、千秋、、、コレッておかしくない?、、ね、
こんなバカなことやめようよ、、ね?」

 ついにきた、、、始めはホントに仲直りしたいと思って
いた。ただ、彼女のこういう『まっすぐ』なところがナニ
か気に障る、、、、むかしから、、、、、
 自分にはない正直でまっすぐなところ、、、、、、

 「あんさ〜、、、っつーか、どーしたいの?、、、アタ
シと仲もどしたくないの?、、せっかく仲直りできたと思
ったのにナ、、、」

 「べ、、べつにそういう意味じゃなくて、、、」

 二人の間になんともイイがたい空気が流れる。

 「、、、、、、、ぅぷ!、、、キャハハ!、、ウソピョ
〜ン!、冗談だよ!、、舞っ!、、冗談っ、!、、舞がい
ないとアタシ、、まじダメ、、、ホントだよ、、」

 こうなると舞は同意せざるえなくなる。まさに人中掌握
の術。ココに千秋が中、高と女子のあいだで不動の座をお
さめてきたナニかがあった。
 今ここで舞を敵にはしたくない。変に騒がれて学校にで
もバレたら事だ。なにより部員の半数がまだ舞を慕ってい
る。それは半年間この部を見てきてよくわかっていた。
 それよりも舞と昔のように仲直りし、自分の居心地を良
くした方が得だし楽だ。
 さらに舞は、、、舞を敵にすると、、何かコワイ。
 自分にないものを持った、、、、オンナ。

 千秋は以上のことを『ヒラメキ』に似た速さで<感じ>と
った。
 女性は男性に比べ遥かに合理的な考え方をする。子供を
生み、育て、少しでも延命しようという本能でもある。
 まだ高校生とはいえ、そうした他者とのコミュニケーシ
ョンを通じて千秋の感性は研ぎすまされていた。 

 「アソビだよ、、、ア、ソ、ビ!、、舞ってむかしっか
らカタイんだもんなぁ!、、、おねが〜い!、、チアキっ
からの最後のおねがぁ〜い、、、!!」

 その千秋のヒョウキンなふざけた顔は中学、高校と共に
歩んできた『親友』の顔だった。

 「、、あ、、、あんまイジメちゃダメだよ、、、」

 その言葉に子供のような笑顔で抱きついてくる千秋。

 「み〜んなぁ!、、きいてきいて!、、舞からOKもら
ったよぉ〜!、、、アンガト、、舞、、ね?もし見たくな
かったら先帰っててもイイよ、、舞こーゆーの好きじゃな
いもんね、、、、あとウチらでやっとくから、、、」

 舞は小さくうなずくとシンジから逃げるように体育館を
後にした、、、、、
 校門を出たとたん小雨が降りはじめた。半年前のあの晩
、、、、、
 舞は今、何が正しくて何が誤っていることなのか解らな
くなってきていた、、、、、



 A よくよく考えたらシンジなどどうでもいい。家に帰
って録画していた連ドラを見る
 
 B なんだか今さら千秋のことがムカついてきた。体育
館に戻りビンタを一発くらわせたい
 
 C それにしてもあの子、、、、なにやら下半身がムズ
ムズしてきた。戻って一緒に『プレイ』を楽しみたい
 
 D 抱きついてきた時の千秋のカラダ、、、ムネのふく
らみ、、、そして留実、、留実のあのキャシャなボディ、
、、、、、イケナイ方向に走ってしまいたい
 
 E あれれ?、、こんなところに以前千秋に言ったイケ
メンのタクヤ君が、、、彼を千秋に会わせよう


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