お仕置きポリス(籠城編)

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　作：てんちゃん
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
　＜お仕置きポリスシリーズもいよいよ第３作に突入します＞
　　　　　　　　　　　　
　その１

　　「で、、、立てこもってからどのぐらい経つの？」

　<中学校>を取り囲む取材車や報道人の群れ。『立ち入り
禁止』のテープをくぐりながらナオに聞くユイ。

　「なんかぁ、、丸二日経ったって言ってけどぉ、でさぁ
、、その子ってゆーのが『パソコンオタク』で、すっんご
い太ってるらしいよ〜！、、見てみたいよね、ソイツゥ」

　「ホントに？、、じゃ、プクプクしてんのネ、、それは
それでアリね、、」

　男性刑事では少年が興奮しかねない為、少年課のユイと
ナオの出番になった。
　拡声器での呼びかけにも応じる気配がなく、時間だけが
ズルズルと経ち夜中の１時をまわっている。
　途中来た母親は泣き崩れ救急車で搬送されていく。

　「ユイ、、夜の学校ってキミわるいよね、、」

　怖がりで甘えたところのあるナオは、昇降口あたりから
ユイの腕にしがみついていた。
　ユイも多少ビクビクしていたが『姉御肌』の気質かナオ
に弱みを見せようとしない。
　だが、あっちこっちに動く懐中電灯の光は彼女の不安の
あらわれでもあった。

　「だ、だいじょうぶよ、、ナオ、、ところでそのオタッ
キー君ドコにいるのかしら、、」

　怖さを紛らわせようと話題を変えるユイ。

　「えっとねぇ、、シチョウカクシツって言ってけどぉ、
、ってゆーかドコにあんのよ、、もうヤダ！」
　
　<白のノースリーブ>のナオと<青のポリススーツ>のユイ
は途中何度もキャアキャアと言いながら三階の階段を登っ
ていった、、、、、、、、

　<視聴覚室>と書いた白札が廊下の奥に見え、胸をなでお
ろす二人。

　「やっと着いたワネ、、もぅ！、、たっぷりお仕置きし
てあげなきゃ気が済まないワ、、、でしょ？、、ナオ？」

　ナオはまだ暗さが怖いのか、キョロキョロと辺りを見回
しユイの腕をつかんだまま離そうとしない。

　「そ、そうだよぉ、、こ〜んなコワイのひさしぶりだっ
たしぃ、、んで、、ドコいんの？、、オデブくんは？」

　「せ〜ので開けるワネ、、、、、ダメ！、、、、ナオも
ソバにいてっ！、、、おねがい！！」

　最後の最後で怖くなったのか、自分から離れるように少
し距離を置いたナオの手を引っ張る。
　気を張っててもやはり女の子だ。勢いよく開けられると
思ったドアは、ナオと二人でソロソロと開けられた。

　「ね、、ね、、だれか、、いるの？、、いたら返事、、
しなさ、、い」

　ユイが細く蚊の鳴くような声で言う。ナオは彼女の背後
に隠れるように首をのばした。
　真っ暗な視聴覚室、、、、だれもいないの？、、、

　ガタンッ！！、、、、、ガタタタッン！！！！

　キャアアアアアアアアアアアア！！！！！
　キャアアアアアアア！！！！

　いきなり部屋の奥で机が揺れ、二人は同時に空気が裂け
るような声をあげた。、、、すぐ、、そのあと、、

　うっわあああああああああ！！！

　メガネをかけた太った少年が二人の目の前で悲鳴をあげ
る。
　、、、、抱きついている二人は固く閉じた目を開いた。

　「ちょ、、ナオ、、ナオ！！、、イタイってば！、、、
はなしてって！、、、」

　ユイに賢明にしがみつき離れようとしないナオ。
　少年の汗をかいた顔が懐中電灯に照らされ、彼女は震え
る足で尋問を開始した。

　「キ、キミが、、、え〜と、、太一クン？、、、」

　「ご、、ごめんなさい！！、、、ボ、ボク、、、そ、外
すごいサワギですよね、、？、、、な、なんだか出ずらく
なっちゃって、、、、」

　出ずらくなった？、、、、今の一言でユイの顔つきは怒
ったようになる。

　「ハぁ？、、出ずらくなったって、、アンタどれだけの
人に迷惑かけたかわかってんの！？、、、だいたいねぇ！
、、ココまで来るのどれだけ怖かったかわかる？」

　「ハ、ハイ、、ボクも怖かったんで朝になるまで隠れて
ようと思ったんです、、、、」

　「ダメよ、、、ゆるせないワ、、ナオ、、ドアに鍵かけ
てちょうだい、、、この子にはお仕置きが必要ネ、、、」

　一気にココまで来た恐怖感が消え、代わりに怒りと、こ
ういうタイプにイジメてやりたくなるユイ。
　そんな彼女に同調するようにナオが言った。

　「ね？、、太一クン、、聞こえた？、、お仕置きってど
んなだろうねぇ、、、ユイ怒らせるとコワイんだよ、、、
だまって言うこと聞いたほうイイよ、、」

　応援車両か。遠くからサイレンが近づくなか、二人は彼
のベルトを強引に外すとズボンを一気に下ろした、、、、

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　捜査二課へつづく

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