私は21歳以上です。



      カリスマ

                        作:テンちゃん
                                 
     プロローグ


 「カァ〜ン!、カァ〜ン!、カァーン!」

 「、、いいわよぉ〜!、、サイコ〜だったわよ〜!」

 「リナァァ!!、リナァ!、、、、わぁ!、、ユウナァ
!!!!、、、、あっ!!、、キャ〜〜!!、コッチよぉ
、、、、ナミッ!、、ナァミ〜〜!!!!」

 場内は興奮のるつぼの中、鳴り止まぬカネの音と共に、
客席からは盛大な歓声と拍手が中央の『リング』に注がれ
ていた、、、、、、、、、

 ここは今、我々が『住んでる世界』とは『別の世界』、
、、、、、、
 
 ここには人類が誕生し幾度となく進化してきた課程にお
き、唯一違うモノがあった。
 
 そう、ここは全人口の9割方が『女性』であり『男性』
はほんの一握りしかいない『世界』なのである、、、

 いつの頃からだったろうか、ほぼ同率の割合で『共存』
していた『男性』は、精神力、持続力、はたまた健康面に
おいても『女性』に<劣る>ということで冷遇視され、また
、世界同時の未曾有の大不況のあおりもありソノ存在意義
は薄くなっていった。、、、、、、
  
 主要国7ヵ国ではスパイラルデフレが横行し『物』の『
価値』が暴落。株は紙切れと化し、それに伴う内戦が後を
絶たたなかった。
 
 過去、この世の下支えになっていた産業はことごとく淘
汰され、それらの破片は新たなる『産業の胞子』となり確
実に小さな芽を育んでいた。
 『ビッグバーン』を思わせる激動の世。 
 そんな中、立ち上がったのは他でもない『女性』達だっ
た、、、、、、
 
 現在では科学も多方面に及び、遺伝子技術もあいまって
過去の時代の精子を活用できる『人工授精』もその辺の町
医者などで安価で行える。
 タブーである『人間の遺伝子操作』は、いまや机上で『
改造』されることさえあった。

 『時代』は『法』の威厳さえなくし、『神への侮辱』と
唱われてきた倫理感までもが欠落、結果、人類はその『魅
力』に勝つことは出来なかった。 
 
 冷凍保存された精子にはそれぞれ『価格』があり、過去
に有能な成績をおさめた人物の『モノ』になると多額の値
がついた。
 デュネーブに本部を置く『国連精子機構』はパソコンの
ボタンひとつで各国を通じ、世界中を網羅した。
 今では、その『精子』そのものを作る研究が各国で盛ん
に行われている。

 むろん、政治家、教師、医者、弁護士、警官、軍隊に至
るまで一部の<下級>で働く『男性』以外、この世界は『女
性』で構築されていた。
 
 5代連続でこの国の大統領も女性だった。
 
 今やコンピューターで出来ぬことは微塵ほどしかなく、
『つくる産業』から『考える産業』にその商業ベースを転
換し、『女性』の持つアイデンティーティーと発想の豊か
さは、かけがいのない世の財産になっていた。
 よって、もはやまったくと言っていいほど男性の『価値
』はなくなっていた、、、、、、、
 
 『核家族』すら崩壊し、女性同士が『婚姻』できる制度
が施行され、はや300年が経とうとしている。
 
 いち時期、世論のあおりを受け『動物保護』の様にソノ
『価値』を見直されはしたが、より良い世界の発展と人口
増加による食糧不足に拍車をかける様に人々の考えは衰退
していった。
 
 以前、ごく一部、わずかに残った世界の男性は総力を上
げ、『人種』を越えた『性種』に意をとなえようと様々な
組織を立ちあげたが、その内部にも女性に飼われた『ペッ
ト』が潜入し、成功を待たずして崩壊していった、、
  
 RC暦3801年の4月、<第一次世界性権戦争>勃発。
 
 よもや圧倒的に比率の少ない『男性連合軍』は大敗し、
その責任を問われ、相当の人数が処罰された、、、、
 その後、女性から受ける風当たりは一層厳しさを増し、
残った男性は迫害され続けた。

 現在、『男性』は犬や猫の様な哀願動物でしかなく、薄
っぺらな法で守られてはいるものの、実際、裏のルートで
はより良い容姿、ルックスの『ソレ』は多額の貨幣で売買
されていた。
 国を越える『密輸』も珍しくなく、政府はその実態を把
握してるにも関わらず『国家の利益』を旗印に事実上黙認
していた。
 
 当然のことながら飼い手には『所有権』が与えられ、あ
る地方自治体に至っては、殺してしまっても国に対しての
『始末書』的な書類にサインするだけで罪は免除された。

 既に『国家の法』は大儀でしかなく、各都道府県特有の
法が機能している証であった。
 
 今日、この世界において自ら男性を『生もう』とする者
は皆無に等しく、欲しければ金で買い、要らなくなれば路
上に捨てる者も後を絶たなかった、、、
 その為、街には『のら男』なるモノまで出現し、各役所
、保険所はその対策に頭を抱えていた。
 通常、ある者は実験台にされ、ある者はそのまま処理さ
れるのが実情だった。
 特に『実験台』にされた『生き物』の末路は悲惨きわま
りない。
 眼球と鼻のない者、口が二つある者、あるいは足が三本
ある者など、およそコノ世の生物ではないと思う位に変形
し処分された。
 現在、バイオテクノロジーを駆使し『授精』の段階で以
後の成長、容姿をシュミレート出来る段階まできている。
 より良い『商品』を手掛けようと『各企業』は躍起にな
っていた、、、、、、、、、、、

 言うまでもなく女性は、元来あっただろうおくゆかしさ
を無くし、はるか大昔、狩猟民族である我々、特に男性が
持っていた攻撃的な部分までもが『開花』していった。
 街では女性同士が『希少価値の高い』イイ男を巡り喧嘩
、殴り合う場面も日常的で、今まで隠し持っていた『本性
』が浮き彫りになっていた。
 が、ここで言う『イイ男』とは、体力、知力、容姿、血
統に至るまで『合成』された『商品』である。
 前にも述べたがソノほとんどは疎外され、軽蔑視された
、、、、、
  
 こんな混沌とした国に住む人々の楽しみは、<闘い>であ
る。平和?な昨今、ソレは女性達を熱狂させた。
 
 いや、言葉が間違っていた。厳密に言えば『虐待』なの
だが、、、、、

 「、、、はぁ〜イ!! 、誰か他にも挑戦者いるぅ??
、、『私達』に勝てるってヤツゥ!、、これじゃ〜ウォー
ムアップにもなんないよぉ!!!、、、ねぇ?ネエさんッ
?!、、、、もっと『骨』のあるヤツいたら、ユウナみた
いに『ハぁーい』って手ぇあげてっ!!!、、、、」  
      

 前の試合の男性レスラーが担架で運ばれるのを横目で見
やり、手を教室で挙手する様に上げ、リング中央でそうマ
イクで言うユウナにリング下から刃物を持った男が近づい
た、、、、、、

                    つづく

   Part 2に続く   投稿の目次へ

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