私は21歳以上です。

エスニック
 
 赤いイナゴの大群

 第6話  赤いイナゴは夜を徹して男を貪る

 

  地面に深く打ち込まれた棒杭に四肢を大の字に縛り付けられ、着衣も全てはぎ取られた状態で、その男は仰向けの状態で拘束されていた。口には猿ぐつわを噛まされ、うんうんと言葉にならないうなり声をあげている。切り取られた右腕は肘から先が無くなっていたが、血は既に止まっているようだった。

 数人のアマゾネス兵たちが、周りを取り囲み、その男の中心にそびえ立つものを嬲っていた。殺戮の後の極度の興奮状態のなかで、今すぐにでもそのモノの上に腰を落とし、久しぶりの生身の男を犯し尽くしたいという衝動を辛うじて抑えているのがわかる。

 彼女達にとって、戦いに勝利した後の楽しみのひとつが、この「男を陵辱」する行為だった。彼女達の戦いに捕虜は存在しない。生か死、それだけが彼女たちの戦いの流儀であり、戦いに敗れた敵兵は全て皆殺しにする。

 ただそれでも、たまに生きたままの敵兵が捕まってしまうことがある。気絶したり逃げ損なったりしたその死に損ないは、家畜などと同じ彼女達共通の戦利品となる。そしてその生きたままの男という戦利品の用途とは、まさに性欲を満たすための道具でしかなかった。

 戦利品としての価値だけでアマゾネス達に捕らえられた男の運命は、あまりにも過酷で辛いものがある。このアマゾネス達による性の生け贄の実態を知らされたならば、誰もがひと思いに殺される方を選ぶかも知れない。

 今すぐにも襲いかかりたい衝動を、辛うじて押さえ、アマゾネス兵達は副官の到着を待ちわびていた。そこへ松明をもった兵を先導にアイリンが現れた。号令の声と共に、兵達は一斉に捕獲物から手を離しその場に平伏した。

 「よい。皆のもの、楽にして良い」。
 アイリンはその場に平伏する、兵士の一人一人に優しい声をかけた。
 (今宵は、みんなよほど飢えておるようだな・・・)
 その場の熱っぽいフンイキを察して、アイリンは苦笑しながら問いかけた。

 「で、それがそうか?」
 「はい、アイリン様。仰せの通り、敵の指揮官と思われる敵兵を、ご覧のように捕まえましてございます。戦場のハズレで単騎で逃げようとしているところを、後ろから馬を射て、落馬したところをこのように取り押さえました」。
 ジェラメという名の偵察隊長が、その場の兵を代表して答えた。

 アイリンは頬がゆるむのを隠しきなかった。あの小憎らしい若い男、今宵はこの男を存分に味わい尽くしてやろう。命が枯れるまで絞り尽くしてやろう。彼女は期待に満ちてその捕獲された敵の指揮官の顔をのぞき込んだ。

 「!!」。

 しかし、アイリンの期待はあっという間に失望に代わった。
 「ちがう・・・この男ではない・・・」。
 確かによく似ていた。目の形や髪型と言い全体の風貌も似ていなくはない。しかし決定的な特徴が欠けていた。その男からは野生動物に共通する荒削りな蛮風が全く感じられなかった。むしろ貴族的で育ちの良いお坊ちゃんに特有のなまっ白さのほうが目立っていた。

 「ち、違うのですか?」。隊長が驚いたようにアイリンを見る。
 「うん。違う。ジェラメ、残念だが、この男は私が捜していた男ではないようだ」。
 「そうですか・・・」。
 ジェラメの顔に落胆と共に、喜びの表情が浮かぶのを、しかしアイリンは見逃さなかった。無理もない。この男が目指す男でないならば、この男は彼女たちの戦利品となるのだから。
 「よい。この男は別人だ。よってコレはおまえ達のモノだ。好きなようにしても良い。」
 「ははーっ。ありがとうございます」。

 (きっとそう遠くには離れていまい。明日か、またはあさってか、必ずやあの男をこの手で探し出してみせる。そしてその苦しむ姿を、この目でしっかりと見届けてやるのだ・・・)
 アイリンはそう心に誓うと、くるっときびすを返し、もと来た道を帰っていった。

 アイリンの姿が見えなくなると、ジェラメはすっくとその場に立ち上がり、まわりにいる兵達に告げた。
 「よし。みな喜べ。アイリン様からのお許しが出た。今からコレは我らのモノとなったのだ。今宵は存分に男を犯し尽くせるのだぞっ」。
 「おおおーーーーっ」。
 
 アマゾネス兵達は一斉に歓声を上げて、地面に拘束した男に群がった。待ちきれないように衣服を脱ぎ捨て、男の中心にそびえ立つ起立にむけ、押し合いへし合いをしながら、その熱く火照った裸身をぶつけていく。

 十数人もの若い女の裸身によって、拘束された男の身体はあっという間に埋め尽くされる。無駄な抵抗と知りつつも、男は身体を揺すってその女狼の嵐から逃れようとするが、手も足も出ないとはこのことだ。
 「うううーーーーーっ!!!」。
 時折、猿ぐつわされた口から、言葉にならないくぐもった男の悲鳴が洩れるのがあわれだった。

 さっきまではアイリンによる面改めがまだだったので、勃起はさせても射精は許さない、いわば生殺しの状態で放置され続けていたのだ。何人もの女達によるこの寸止め地獄によって、男の意識は混濁の極みに達していた。

 それは女達の方も同じで、目の前においしそうなゴチソウをぶら下げられたまま犯すことを禁じられ、欲求不満は限界に達していた。それが一度に解禁されたのだ。堰を切ったような十数人の女達の欲望が、たった一つのペニスに襲いかかったのだ。

 (人違いとはいえ、この男は上物だな)
 ジェラメは思った。今回の戦いは思ったよりも苦戦してしまった。そのためいつも以上に多くの敵兵を殺してしまい、戦いの後の「楽しみ」をほとんど残すことが出来なかった。

 この男の身体全体からは、育ちの良い貴種の香りがする。軍の将校の服装をしていたが、おそらく貴族の子息かなにかだろう。よくみると色白でまるで女のように華奢な身体をしている。

 これは久しぶりに犯しがいがある。この優男が泣きながら命乞いをするのを眺めながら、みんなで思う存分に絞り尽くすのだ。今夜は楽しい夜になりそうだ。ジェラメは期待で股間をしっぽりと潤うのを感じていた。

 男の身体の上では、ペニスを巡る争奪戦にようやく決着がつき、一人の女兵士がペニスを確保した。彼女は男のペニスを右手で自らの壺を押しあてると、そのまま一気に腰をぐっと落とした。

 「ああんっ、うんっ、はいった・・・」。
 「うぐぐっっっ・・・」。

 拘束された男が顎をのけぞらせて身もだえる。争奪戦に負けた他の女達も負けてはいない。男の顔や手足など、ありとあらゆる部位に、自分の裸身をこすりつけ、少しでもそこから快感を引き出そうとする。

 「あうんっっっ。うんっ、うんっ」。
 「きゃっ、きゃっ、もっとぉおおっ」。
 「はあっ、はあっ、はあっ」。
「おおーーっ、あっあっ・・」。
 さまざまな女達の嬌声が響き、共鳴し、それがますます彼女たちの興奮状態を高揚させていく。蜜に群がる蟻のように、女達が地面に固定された男を貪り尽くそうとする、恐ろしくも淫らな光景が展開する。
 
 「ううーーーっん、ぐぉぉぉぉぉっ」。
 想像を絶する女達の洪水に、時おりくぐもった弱々しい男の悲鳴が響く。下半身から突き上げてくる快感に、アゴをのけぞらせた男の顔面には、ねっとりと愛液をあふれさせた女性器が押しつけられ、身体中のありとあらゆる部分が柔らかい女の身体に包まれる。

 すさまじいまでの快感により、たちまち絶頂を迎え白液をほとばらせても、女達は一瞬たりとも休ませることなく、たちまち選手交代して、次々に騎りかかってくる。女達の巧みな刺激によって、強制的に勃起させられたまま、何人もの女達の快楽のための道具として酷使され続けるのだ。

 夜のとばりが落ち、満天の星が夜空を覆い尽くしても、さらに東の空がかすかに明るくなってきても、女達の責めに終わる兆しは見えなかった。女の洪水によって覆い尽くされた男が、果たして生きているのか死んでいるのか。ただ今もまだ、数え切れない程の女陰によって絞り尽くされ続けていた。

 赤いイナゴの大群。まさにイナゴの大群がその進路にあるあらゆる植物を食い尽くすように、彼女たちもまた、密かに捕らえた不幸な生き残りの男を、最後の一滴まで絞り尽くそうとしていた。

 つづく
 

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