私は21歳以上です。


エスニック

     女子寮のペットくん

              その3

   
  「さあて、じゃあそろそろ始めましょうか。」
 遥香先輩の主導権の下に、何かとんでもないことが始まろうとしていた。
 私たち1年生は先輩達の意図がわからないまま、不安と興味の入り混じった複雑な気持ちで、この場から離れることもできずに、その事態の推移に従っていた。

 でも私たち以上に、下着ドロボウの犯人である和馬君は、その数倍も不安に襲われていたみたい。だって警察に突き出されるという、彼にとっての最悪の事態だけは免れたと思ったとたんに、どうやら自分の失言が原因で、今度はリンチまがいの制裁が始められようとしているのだから。一難去ってまた一難てとこね。

 「あの・・・・、な、なにをしようって?」。
 和馬君ったら遥香先輩を見上げながら、蚊の泣くような小さい声で恐る恐る尋ねた。私たちにはそんな、不安だらけの彼の表情がすごぉく可笑しかった。
 痛いことはしない、でもすごく恥ずかしいことをするって、一体どういうことをされるんだろう。きっと彼の中でどんどんと不安が膨らんでってるんだろうな。

 遥香先輩は、謎めいた笑みを浮かべたまま、その問いには答えず、後ろを振り返って、私たちに向かって言った。
 「それじゃみんなも協力してよね、今からこの部屋をロックして、外に出るもことも、入ることも一切禁止します。いいわね。それがイヤなら今のうちに出ていってほしいの」。

 誰も出ていこうとはしない。一体何が始まるのかわからないけど、私たちもこの場を支配する秘密めいたムードに感化されたみたい。秘密を共有することに、すごい興味がわいてしまい、とても出ていこうなんて考えられなかった。

 「誰もいないのね?。そう、みんなありがとう。じぁあ美久ちゃん、入口のドアに鍵をかけてきてっ。いい、しっかりとロックしてしまうのよ」。
 「はーい」。
 1年の美久ちゃんが談話室の入口に走り、ドアをロックする。美久ちゃんの親友の沙樹ちゃんが、ぱっと立って、窓のカーテンを閉めて回る。さすがぁ、彼女っていつだってとてもよく気がつく子なんだ。

「あ、沙樹ちゃんありがとう。うん、これでいいわ。これでこの談話室は、外の世界から完全に隔離されたことになるわね。さあて、今この密室の中にいるのは、私たちと、この不埒な下着ドロボウの変態君だけというわけよね」。
 みんな、無言で先輩の次の言葉を待っている。

「わたしさぁ、思うのよ。男の子が女の子の下着に興味を持つのって、私たちから見たらちょっと変態っぽいことなんだけれど、それはそれで、仕方のないことなのかなと思うの。それが男って言うもののもつ本能かもしれないって。
 でもね。だからって勝手に人の下着を盗っていいという理屈にはならないわよね。欲しければ自分の彼女にでも、友達にでも頼んで譲ってもらうか、買ってもらうとかしたらいいと思うの。もっともそんなこと頼まれた女の子は、面食らってその子のことを変態と思っちゃうだろうけどね」。

 ぷっ。私たち思わず吹き出した。さっきまでの緊張した雰囲気が、その一言でいっぺんに和んだ感じ。遥香先輩ってただ秀才というだけでなく、話の進め方についても、いつも感心するぐらいにうまいんです。場の空気を読むというのだろうか、みんなが何を考えているのかを的確につかんで、話題として提供してくれる。みんな和んだムードのままで、先輩の次の言葉を待った。

「この子をそのまま警察に突き出してもいいんだろうけど、この子自身は見たとおりほとんど反省していないわけだし、取り調べる警察官もやはり男じゃない。私たちのこの悔しい気持ちを理解してくれるとは思えないの。たぶん未成年だし、調書を取って親に連絡しておしまい。そんなところじゃないかなって思うの」。

 「でも一番大切なことって、この子がもう二度とこんなことをしないように、深ぁーく反省させることよね。でしょ。だったら他の方法、例えば私たち自身の手で彼を更正させる方法があれば、その方が正しいというわけなのよ」。

 「ははぁん。なるほどね・・・」。瞳先輩が、にやにやしながら、遥香先輩の言葉に相づちを打つ。二人の間では意味深な視線の会話が交わされている。ごくっ。わたし思わず生唾を飲み込む。すごいことが始まりそうな予感。

 「ねっ、きみ。聞いていたとおりなの。私たちはキミが憎いんじゃなくって、キミの行為に腹を立てているの。だからその行為の原因になっている、不健康な衝動を押さえるために、ちょっとした治療行為を施してあげようと思うの。ここにいるみんなも協力してくれるんだし、キミにもがんばってもらわなきゃならないの。わかるわよね」。

 「い、いったい何を・・・・」。カレの声、ふるえている。

 「そうねぇ。まず治療行為のじゃまになる衣服を取り去って、生まれたままの姿になってもらおうかしら。でも、逃げられないように手足は縛ったままだから、みんなで協力してあげるわ」。

「うっ、ちょっと、待って下さい。いや、それは・・・・」。
 間髪を入れず、瞳先輩がみんなに指示を出す。
 「よーし、みんなまず最初はこいつをすっ裸にしてしまうんだ。きっと抵抗するだろうから、みんなで協力して押さえつけるんだぞ。幸いにして、ちょうど脱がせやすい服装をしているしよっ!。開始っ」。

 きゃーっ。

 集団心理というのだろうか。一人が動くと、みんなが一斉に行動を起こした。例えは悪いけど、まるでバーゲン会場みたい。私もみんなに負けないように、カレのダサいジャージに手をかけて、一気に足下に引き下ろした。ずるずるって。するとその下から姿を現わしたのが白いブリーフ。きゃっ、でもすごく楽しくなってきた。

 上半身にとりついた子が、パーカーとその下のTシャツを一緒に引き上げる。カレの貧弱な胸板が現れる。きゃっ、まるで自分が裸にされていくような、不思議な感覚が。でも今は私たちの方が脱がせる側で、圧倒的に有利な立場。よくわからないけど、レイプする男の心理がちょっとだけわかったような気がする。

「わーーっ、やめてよーっ、だめっ、はずかしいっっ」。
彼ったら必死に抵抗しているつもりなんだろうけれど、悲しいことに両手と両足はしっかりと縛り付けられているから、彼に出来ることと言ったら、ただもぞもぞと身体をうごめかすことぐらい。

でも、そんなことで私たちのバーゲン会場さながらの動きを封じ込めることなんてできっこないわよねぇ。あっという間に男性ヌードの一丁上がり。彼ったら恥ずかしそうに身体を丸めて、男性自身を隠そうとするんだけど、無慈悲な私たちは、肩と足に力を入れると、えいゃっとばかりに仰向けにしてしまった。

 彼の男性自身が、もろに寮生全員の前にさらけ出された。きゃっとみんな恥ずかしそうに目を閉じるポーズをしながらも、しっかりと品定めをしている。想像していたよりちっちゃい。きっと緊張のあまり縮こまってしまったのだと思う。

 「ひぇーっ、は、恥ずかしいよう・・・」。彼ったら、本当に恥ずかしそう。だってそらそうでしょうね。こんなにたくさんの異性にオチンチンを見られる経験なんて、きっと初めての体験だろうし、うん、私だったら死んでしまいたいくらいに恥ずかしいだろうな。

「ふふふっ、なによ元気が全然ないじゃない。ヘンタイ君のわりには度胸がないわね。どうしちゃったのアソコがふにゃふにゃよ」。
 「ほんとだぁ。ふにゃふにゃ・・・・」。
「ねぇ、キミ恥ずかしがってるわけぇ?」。
 「それはないでしょ。下着ドロボウみたいな、あんなに恥ずかしいことを平気でする人なんだから、これぐらいで恥ずかしがってちゃダメじゃない、ねっ」。
 
そんな。いくら「ねっ」なんていわれてもねぇ。私思った。そういえば別に寒くもないと思うんだけど、彼ったらぶるぶると震えている。私たちにムリヤリ裸に剥かれて、オチンチンを見られるのって、そんなにコワイことなんかなぁ。

 「しゃあない、これじゃ何もできないし、だれかシコシコしてやんな」。

 瞳先輩の言葉にみんな顔を見合わせる。確かにみんな興味津々なんだけど、みんなの見ている前で、真っ先に手を伸ばす勇気はない。だって、そんなことしたら後で誰に何を言われることやら。女の世界の恐ろしさは、ここの寮に入ってから、いくら鈍感な私でも身にしみて判っている。

 「だれもいないの?」。
 瞳先輩がみんなをなめ回すように見る。だめっ、すごく悪い予感。きっと、まず間違いなく1年生に回ってくるはず。この場にいる一年は私を含めて全部で5人。私と同室の加奈ちゃん、今回の被害者の香澄ちゃん、いつも明るい美久ちゃん、その親友の沙樹ちゃん。みんなさあっと目を伏せる。興味深げに視線をなめ回す先輩達。

 「あのぉ・・・許して下さい・・・」。
 そこに間の抜けた和馬君の声が。その哀願に似た叫びにはもちろん誰も答えない。

 ふふっ。なんかその声を聞いたとたんに、ふっと気持ちが楽になった。そう。恥ずかしがっている場合じゃないわ。今この密室状況は、私たちが絶対的に有利な立場だし、この部屋にいる全員が共犯。誰がしたって同じことじゃない。それならば、こんなこと今後も滅多に出来ることじゃないんだし、この際、経験しておいた方がトクってことよね。

 私が立候補しようとしたとたんに、すぐ隣にいた香澄ちゃんが先に手を挙げた。
 「はいっ、私やります」。
 みんなの視線が一斉に香澄ちゃんに集中する。

 「おっ、えらいえらい。えーっと、あんたは・・・」。
 「はい。一年の茅原香澄です」。
 「あっそうそう、香澄ちゃんね。確か今回の被害者であり、第一発見者だったわよね」。
 「はいっ、そうです」。
 香澄ちゃんったら、やたらとハキハキと遥香先輩の質問に答えている。目がきらきらと光っていて、少しだけ涙がにじんでいる。きっと普段からマジメでおとなしい彼女のこと、勇気を振り絞って手を挙げたものの、みんなの視線を浴びて緊張しまくっているのかもしれない。

 「ねっ、遥香ちゃん、緊張しなくっていいのよ。もっとリラックスして、そうそう、実習だと思えばいいのよ。精液採取の実習ね。ここに横たわってるのは実習用の人形で、しかもハイテク技術で声も出るし精液も出るような仕掛けになっているのよ」。
 「はい」。遥香先輩のやさしい言葉はほんとうに感動的。香澄ちゃんの緊張が伝染しかけていた私たちまで、これですごくリラックスが出来た。そうか、人形を使った実習か・・・。それなら恥ずかしくない。

 「あのぉ・・・ボク、生身の人間です・・・」。と、くだらないことを口走る和馬くん。ほんと、馬鹿じゃないのこの子。

 「おうおう、本当だ。この精液人形、ボクは生身だなんて、ちゃんとしゃべるようにプログラミングされてるぞ。そん次は助けて下さいなんて口走るんじゃないのか」。
瞳先輩ったら、おかしい。すると、

 「あのぉ、助けて下さい・・・・」。
 えっ? 本当に言ったよこの子・・・。
 「きゃははっ、言った、言った、素晴らしい機能じゃん、アイボみたいに学習機能も搭載してるって感じね」。2年生も1年生も大はしゃぎで笑った。ほんと可笑しい。

すっかりリラックスした香澄ちゃんが、和馬君のペニスに手を伸ばす。おそるおそるという感じだけど、そのぐんにゃりとしたものの先端を指先でつまむ。びくんっ。そのとたんに和馬君の体がふるえる。

 「ねえ、精液人形のアイボ君、きみってひょっとしてドーテイ?」。
 遥香先輩の問いに対して、彼は答えない。あまりの恥ずかしさのためか、しっかりと目を閉じたまま、必死に何かをこらえている感じ。

 「いいよ。答えなくたって・・・。そんなことはお姉さん達にはすぐに判ってしまうんだから。キミの身体が正直に答えてくれるはずだからねっ」。
 「・・・・・・・」。
 「香澄ちゃん、もっと指を動かしてごらん。ペニスの裏側とか、タマタマの付け根とか、先端とかにね。あっ、そうそう最初は強くすると痛いから、ふわっとなでるように触った方がいいみたいよ」。

 先輩の的確なアドバイスに、香澄ちゃんったら積極的にペニスに指を絡ませていく。なんかすごくうらやましい。わたしも触りたい。ふにゃふにゃ状態のものが、自分の手の中でどんどんと変化していくって、どんな感じなんだろう。
 
 「先輩、なんだかちょっと固くなり始めてるみたいです」。と香澄ちゃん。
 「ふふん、そのようね。ちょっととがってきたわね。じゃ次のステップに行きましょうか。みんな覚悟はいい? 次もみんなに協力してもらうわよ」。

 えっ??。遥香先輩、次は何を言い出すんだろう。私、期待半分、不安半分で、どんどんとのめり込んでいきそう。

 その2へもどる   小説のトップへ戻る  その4へ進む

fc