私は21歳以上です。


エスニック

女子更衣室でおきたこと

            その1

 どやどやどや、たくさんの足音と共に部屋の中が急に騒がしくなった。練習を終えて女子体操部の部員達が帰ってきたのだ。女の子達のおしゃべりが部屋中に響き、そしてなまぬるい少女たちの体臭が狭いロッカーの中にさえも漂ってきた。

 更衣室の一角、隅っこにあるロッカーの中に宏は閉じこめられていた。身動きすることも物音をたてることも出来ず、じっと見つからないことだけを祈りながら、狭いロッカーの中でじっと息を潜めていた。

 宏はいじめられっこだった。ひ弱で内気な宏はクラスの不良グループにとつて、いつも格好のターゲットだった。その日も体育館の裏でこづき回されたあげく、わずかばかりの小遣い銭をむしり取られ、挙げ句の果ては両手両足を縛られ、ご丁寧に猿ぐつわまでされたまま、なんと女子体操部の部室のロッカーに押し込められてしまったのだった。
 
 「よお宏、いつもいじめたお詫びに、今日は女の裸をたっぷりと見せてやるからよ」。「へっへっへっ、おまえのあこがれの斉藤亜美の裸が拝めるんだぜ。俺達に感謝しな」。不良達のからかいに、宏は本能的な危険を感じて、必死で抵抗をしてみたのだが、あっという間に閉じこめられてしまったのだった。
 
 しかも不良達は彼が自分の力で逃げ出せないように、宏のズボンを降ろし下着とワイシャツだけという何とも不格好な姿にした上、さらにロープの端をロッカー柱に縛り付けてしまったのだった。しかもご丁寧なことに、彼のいるロッカーには鍵すらもかかっていなかったのだ。
 
 「朋美あんたちょっと胸大きくなったんじゃない?」。
 「やーだ、触わんないでよ、あんたレズっけあんの」。
 「ねえ、由紀ったら、最近大学生の彼、全然見ないけど、どうしちゃったのよ、飽きた  んなら私に回してよ」。
 「数学の河井の奴ったらさ、今日私のことじーっと見てンのよ、だからさ、ちらっとス  カートをめくってやったたら、ドギマギしちゃってさ、もうケッサク・・・」。

 じっと息を潜め、このまま見つからないことを祈りながら、身を縮めていた宏だったが、耳に入ってくる女の子達のとりとめのないおしゃべりと、着替えをしているであろう何人もの女の子達のたてる物音、そして否応なく鼻腔をくすぐる、えもいわれぬ日向臭い思春期の少女特有の芳香に、男の本能が反応してしまった。

 宏の目の高さには、小さなのぞき穴が空いており、そこに目を近づけると外の様子を見ることが出来た。不良達が言っていた斉藤亜美の裸も気になった。宏はおそるおそるその穴に目を近づけていった。

 いきなり目に入ってきたのは、部屋中に展開するヌードの洪水だった。女子高校生ならではの若いぴちぴちしたまだ青さの残る肢体が、何の警戒心もなく、宏の眼前に展開していた。ドキドキしながらも宏は食い入るようにその光景に魅せられていた。

 彼女たちはおしゃべりに夢中になりながらも、汗くさいレオタードを脱ぎ捨て、セーラー服へと着替えていく。まさか男子禁制のこの更衣室の中に、男の目が光っているとも知らず。女子更衣室という気楽さのせいなのか、中にはブラジャーとパンティーだけという、あられもない姿で、話に熱中している子までいる。

 実際、彼女たちの誰一人として、部屋の片隅にあるロッカーに注意を払うような子はいなかった。彼女たちのあまりに自由奔放な光景に、宏は我を忘れて見入ってしまつた。それと同時についつい張りつめていた緊張の糸すらも解け始めた。もう少し見える位置にと、身体をずらそうとしたその瞬間だった。

 がたん、突然更衣室に大きな音が響いた。

 「しまった」。縛られて不自由な状態であることを忘れて、前屈みになったとたんに、バランスを崩してロッカーのドアに身体ごとぶつかってしまったのだった。

 「なにっ今の音」。
 「こっちからきこえたわよ」。
 「嘘でしょ、ひょっとしてのぞき?」。
「みんな動いちゃダメよ」。

 女達の目が、一斉に片隅のロッカーに注がれた。

 「ここのロッカー怪しいわね」。
 「そう、音もここから聞こえたわよ」。
「ええっ、誰かそこに隠れてるの?こっ怖あ〜いっ」。

 狭いロッカーの中では、宏がパニックに陥っていた。大変なことになってしまった。自分の軽率な好奇心がとんでもない事態を引き起こしてしまったのだ。こんな恥ずかしい格好を女の子達に見られることもさることながら、のぞきの汚名までも着せられてしまう。まさに絶体絶命のピンチだ。

 ロッカーを遠巻きに取り囲んでいた女の子の中から、部長の藤田弘美が進み出た。
 
「みんな落ち着いて、大丈夫だから。明美それから由紀、逃げられないように入り口に鍵かけてきて。それからみんなは何か武器になるもの、そうね何でもいいけど、掃除のモップでもバトンでもいいから持っといて・・・。私が123でドアを開けるから、もし中の男が暴れるようだったら、一斉にぶったたくのよ、いいわね」。

 どうしよう、どうしよう・・・。ドアを開かれたらもうおしまいだ。出来れば両手でドアが開かないように押さえておきたいところだが、あいにく両手は後ろ手に縛られている。宏の額からは冷や汗がとどめもなく吹き出してきた。 

 「みんないいわね、行くわよ」。弘美の手がロッカーのノブにかかり、力が入る。まわりの女の子たちは前を隠すことも忘れて、一斉に息を飲む。緊張が部室全体を覆い尽くす。1、2・・・サンっ。

 一気にドアが開き、素早く弘美が飛び退いた。それと同時に黒い物体、つまりバランスを崩した宏が、その恥ずかしい格好のままで、床の上に転がり出た。どったーん。キャアーッ。黄色い悲鳴が部屋中に響きわたり、獲物を手にした女の子達までもが、殴りかかるどころか、一斉にざざざーっと後ずさった。

 一瞬の緊張の後、ロッカーの中から飛び出してきたものが、彼女たちに対して一向に危害を加えるわけでもなく、ただ床の上でごろごろともがいているだけだと分かったとたんに、一度は怯えて逃げ腰になった女の子達も、その飛び出してきたものの正体にやっと気がついた。

 「あれーっ、なんだこいつ」。

 そこには、何とも場違いで滑稽な代物が、だらしなく転がったままで、身をくねらせてもがいていた。たちまち立場が逆転して、女の子達は思わずげらげらと笑いだした。
    
 「なんか、変わったおのぞきサンねぇ」。
 「あんた、ひょっとして変態?」。
 
 目から火が出るような恥ずかしさに、宏は頭にかーっと血が上った。ううーっううーっ、(ごめんなさい、助けて下さい)と言ったつもりだったが、猿ぐつわまでさせられているので声が出ない。口からは間の抜けたようなうなり声だけしか出てこないのだ。

 「あれーっ、よく見るとおまえ、いじめられっこの宏じゃないか」。
「えっ、あっそういえば、こいつ1年3組の?・・、でもさぁ、何であんたがここにい  るわけ、それもそんなだっせー格好でさぁ」。
 「あっわかった、さてはいつもの連中にいじめられて、ここに閉じこめられたって訳?  ・・・きゃははっ、ケッサクだね。おまえらしいよ」。

 女の子達は、別に宏に同情するでもなく、宏の周りを取り囲んで、珍しい動物を眺めるかのように、見下ろしながら会話を交わしている。うつぶせのままだったのを仰向けにはしてはくれたものの、ロープをほどいてくれるような気配は全くないようだ。

 いや、仰向けにされたということは、状況がさらに悪化したと言うことだ。それはワイシャツと下着だけにされている宏にとって、無防備な下半身を女の子達の前にさらけ出すことであり、また同時に彼を取り巻く女の子達のあられもない姿が、イヤでも目に入ってくることを意味していた。

 「部長どうします、この変態」。
 「そうねえ、このまま先生に突き出してもいいけど、ちょっと可哀想な気もするしねぇ」。「可哀想なことないですよ先輩、だつてこいつ私たちの裸見てたんですよ。そりゃあ最 初は自分の意志で入ったわけじゃないだろうけど、中でいやらしい目で私たちのこと見 てたのに決まってますよ。現に今も、ほらっ」。 
「ええーっ、こいつ立ってるぅーっ」。

 彼女が指を指した先には、宏のブリーフ一枚だけの股間があり、そこがいつの間にか下からの力によって盛り上がっていた。もっとも男なら誰だって、狭い密室の中で、十何人ものほとんど下着だけの若い女の子に囲まれているのだ。勃起するなという方が無茶というものだろう。 

 しかしそんなことは、彼女たちには通用しない。最初は「いじめでこんな目にあって、ちょっと可哀想かな」と思っていた子まで、いやらしく勃起をした宏を見て、自分たちの裸をのぞき見た、イヤらしい変態の痴漢男との見方を強めてしまったのだ。

 「弘美、こんな変態野郎にはちょっとしたお仕置き必要かもよ。おあつらえ向きに、ち ゃんと両手も両足も縛ってくれてるし、しかも口も押さえられてるから大声で騒がれる 心配もないしさ」。
 「そうね、再発防止のためにも、ここはお仕置きが必要かもね」。
 「よっしゃあ、リンチだリンチだ、変態のリンチだぁ」
 「おもしろそーっ、今後の見せしめのため、みんなでいじめちゃうんだ」。
 「それって、くすぐったり、つねったりとか?」。
 「それだけじゃないわよ、恥ずかしいところもむき出しにして・・・」。
 「セーエキだ無理矢理出させちゃうとか?」。
  女の子達の話はどんどんとエスカレートしていく。

 これは大変なことになったぞ。宏は話の成り行きの思わぬ展開に思わず身震いした。何とかここから逃げ出さないと、とんでもないことになる。うんっうんっ、必死でもがいてはみたが、背中に回されたロープはびくともしない。

 「聞こえたかな宏君。私たちみんなあんたにとっても腹を立ててるのよ。だつてそうでしょ。いくら悪ガキ達に無理矢理ここに押し込められたと行っても、キミも男の子でしょ、どうしてもイヤなら必死で抵抗したら良かったのよ。結局こうなったのは、半分はキミも私たちの裸を見たかったんじゃなくて?。その証拠にこんな状態にも関わらず、あそこを勃起させてるんだもん、どう考えてもおかしいわよ。」
 
 部長の弘美が、みんなを代表して、宏の顔をのぞき込むようにして話しかける。いままで騒いでいた女の子達も、事の成り行きに目をランランと輝かせながら弘美の死刑宣告?に聞き入っている。

「だから私たち、キミがもう二度とこんな事を考えないように、とっても恥ずかしいお仕置きをすることに決めたの。さて、どんなことするんでしようねぇ。知りたい?」。

「うちの部員には、まだ男性経験の少ない子が結構いるのよね。この時間帯は誰もこの部屋に入ってくるはずはないから、たっぷりとキミを実験台にして、男性研究することが出来るのよ。もうここまで来たからには覚悟を決める事よね」。

「怖がることなんかないのよ。最初はきっと楽しいと思うわ。こんなに美しい女の子に囲まれて、セミヌードまで見せてもらって、その上にふふふっ、大好きなエッチもさせてもらえるかもよ・・・。」

「エッチ好き少年にとっちゃあ、まんざら悪くないんじゃない?。でもね、いっとくけどうちの部員って、自分で言うのも何なんだけど、とっても好奇心が旺盛な子が多いし、はっきり言ってとってもスケベなのよ。ということは、後半はきっとキミにとって地獄かもしれないわね」。

 更衣室中に一斉に爆笑が巻き起こった。そして女の子達は一斉に行動を開始した。



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