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葉月とせつら その3

とろんと

キャッキャッとはしゃぐ声。(可愛い)だの(色っぽい)だの・・外で待ちわびている関係者には、イケナイ幻(爆)を想わせるよーな言葉が続く。「あ・やーだぁ芽衣ちゃん!そんなトコ触っちゃぁ。」(ちょっとHで美味しそう)な(←由奈のキャッチフレーズ(笑))由奈の声に、みんな悶え苦しんでみる(死)「ねーねー似合う?」と言うせつらの声と、一瞬の沈黙。「「可愛い・・・。」」思わず・と言った風な2人の声と共に、ドアが開いた。出てきた3人の格好を見て、みんな漏れなく悶絶死。

猫耳にハイネックでアメリカンスリーブのミニのトップス。ジーンズの短パンに付いた、長い尻尾。猫手猫足のグローブと靴&オーバーニー・・・。首元で揺れるリボンと金の鈴。3人共、色違いで・・・・・。芽衣は縞猫で、トップスとオーバーニーはピンク。由奈は黒猫で、トップスとオーバーニーが白。せつらは白猫で、トップスとオーバーニーが水色。「肉球がピンクだよ!蘭ちゃん。」せつらが蘭に駆け寄る。「あら、可愛い事。3人共、良く似合ってますよ。」3匹の激烈可愛いネコに囲まれて、嬉しそうな蘭。周りは放心状態(笑)こんなんで衣装合わせって言うんだろーか・・・。

やっと我に返った(笑)スタッフに囲まれて楽しそうな3人を見ていると、蘭を呼ぶ声がした。
振り返ると、そこにはせつらがレギュラー出演している番組のスポンサー会社の担当部長が立っていた。「鈴木部長さん・・・お久しぶりです。」と、そつなく頭を下げる蘭。「本当だねぇ・・一乗君。」「今日はお仕事で?」「いや実はね・・・せつらちゃんの事で大事な話があるんだよ。」「せつらの事で?」首を傾げる蘭に鈴木は続けた。「ちょっと人には聞かれたくないんだけど・・・。何処かナイかな?」「あ・はい。じゃあ・・こちらへ・・・。」と先に歩き出す蘭には見えなかった。鈴木の口元に浮かんだ、何とも言えない笑みが・・・。

「いつも葉月君は、面白い仕事を見つけてくるねぇ。」しみじみと藤実が言う。「うん、まあね。」そう、せつらの王子様になりたくて、葉月はマネージャーの木の下藤実を呼び出し、プロデューサーに直接掛け合いに行ったのだ。葉月はいつも自分で仕事を取ってくる(笑)藤実は良い男ではあるのだが、何分ちょっと(ぽやっ)とした所があって、積極性に欠けるのだ。どちらかと言うと、後のスケジュール調整などの事務処理等を片づけるのが、藤実の仕事になっている。「でも、今回は藤実さんにとっても、良い仕事でしょ?」「えっ?」「だって、秋せつらちゃんと(一緒)って事はさあ・・・マネージャーの一乗さんとも(一緒)なんだよ?嬉しいでしょ?!」「葉月君・・こんな所で、大きな声で言わないで下さい!」顔を赤くして抗議するが、葉月には届いていない様だ。かえって笑われている。

側に葉月が居るせいで目立たないが、藤実の方も背が高く、かなりな美男子だ。オールバックにした髪の毛の一房が額に掛かっている辺りや、銀ブチの伊達眼鏡がそそる(笑)実際、モテるのだが如何せん本人がこういう性格の為、気が付かない。まあ・・蘭を想い続けているのも一因だが・・・・・。ホンワカしていて、とてもマスコミ向きでない藤実がマネージャーという道を選んだのは、大学生の時の就職講座に講師として来た2年先輩の蘭に憧れて、一歩でも近づきたかったから・だと言う。マネージャーとしての仕事や、葉月に振り回されて、全然近づいてナイ!という噂もあるが(笑)「好きならさ・・・やる時はやらないと・・・。」葉月が呟く。自分に言っているのか、藤実に言っているのか、その口振りからは分からなかったが。長い一本廊下を終え、T字路を曲がろうとすると、反対の方から悲鳴が聞こえた−−−−!!「きゃっっ。」
「やめて!」「せつらちゃん?」「蘭さん!」声の主を確かめるまでもなく駆け出す。

氷城葉月と、木の下藤実が廊下を歩き始めた頃、せつらは蘭が居ない事に気が付いた。キョロキョロと辺りを見回すと、遠くの角を曲がる蘭と見た事のあるスポンサー会社の人が後を付いて行くのが見えた。「蘭ちゃん・・・。」何だか嫌な予感がした。いつもはボーッとしているせつらだが、勘だけはとても良いのだ。人には見えない様な物が、せつらには見えるらしい。「なんだか分からないけど・・・・・あの人・・キライ!!」蘭の後を追って、せつらは衣装のまま駆け出した。蘭が案内したのは、余り使わないが通路に面した倉庫だった。ここなら何かあっても、声が外に届くのを蘭は知っていた。・・・・・がそれが甘い考えだという事を蘭は思い知る事になった。

倉庫に入ると鈴木が有無をも言わさず、蘭の口を手で塞ぎ、柱へと縛り付けたのだ。凄い早業だった・・まるで練習したかの様に。蘭の口を手で塞いだまま耳元で囁く。「一乗君・・・大事な話って言うのは他でもない・・・今度もう1本、我が社で番組を持つ事になってねその主役にせつらちゃんを予定してるんだよ・・・もうちょっと私が(押せば)の話なんだがね・・・。」そう言ってニヤリと笑う。「分かるね?」蘭の首筋を指で撫で上げる。「んっ・・・。」口を塞がれている蘭にはうめき声しか出せない。外に声が届く場所でも、声が出せなければ意味がない・・・。きっちりと着ているスーツのブラウスのボタンを、一つ一つ片手で器用に外して行く。白い胸元が露わになると、鈴木は「綺麗だ・・。」と言ってスルリと手を差し入れた。蘭の体が反応してピクッとはねる。ピンク色の蕾を、執拗に弄り蘭の表情を楽しむ。

−−−油断していた・・まさかこんな・・・・今まで気を付けて自分もせつらにも気を配って来たのに・・ こんな男に−−−−−!蘭の目から、涙が零れた。「大人しく私の言う事を聞けば、せつらちゃんは主役の座を射止められるし、君も良い思いが出来る・・。気持ちいいだろう?大丈夫・・充分楽しませて、よがり狂わせてあげよう。」蘭の首筋に唇を這わせ、手はスカートを捲り上げる。白い太股を撫で回し、その手が太股の奥へ

−−−−とその時。凄い音がして倉庫のドアが開いた!「蘭ちゃんに何するの!!」飛び込んで来たせつらが鈴木に飛びついた。せつらの首に付いた鈴が鳴る。その拍子に蘭の口から手が外れる。しがみつくせつらを、腕の一振りで吹っ飛ばす。リ・リン!!「きゃっ。」「やめて!」せつらの悲鳴と蘭の制止の声が重なる。「子供は指でも銜えて、そこで見てろ!」突然入った邪魔に怒鳴るが・・・せつらの格好を見ると、表情を変えた。「ほう・・なかなかそそる衣装だ。良い事を思い付いたょ。たまにはこういうのも良い・・・。まずは君から頂く事にしよう。一乗君の前のオードブルとしてね・・・・・。」倒れ込んだせつらの上にのし掛かり、トップスの中に手を入れ、剥き出しの足を撫でる。「どうせ、何も知らないんだろう?私がじっくりと教えてあげるよ・・手取り足取りね・・・・。」せつらの耳元で囁く。「いやーっっ!」「せつらちゃん!!止めてっせつらに手を出さないで!!誰か!誰か来て!!」助けを求める蘭を睨み付けせつらの両手首をひとまとめに掴むと、蘭に平手打ちを食らわせる。頬の痛みに耐え、キッと鈴木を睨み付け「誰が!あんたなんかに!!」と、蘭は怒鳴った。

「大人しくしろ!!」顔を赤くし、逆上する男の拳が蘭の鳩尾に−−−−−!蘭は覚悟していた。きっと殴られて気を失って・・・せつらも自分もこの男に好きにされてしまう!自分だけでなく、せつらまで!その事だけが悔しくて、蘭はギュッと目をつぶり涙ながらに男の拳を待った。・・・・・しかし、いつまで経っても何も起こらない。蘭が堪りかねて目を開けると、人の背中が目の前にあった。「貴様!誰だ!!」男の怒号。

「蘭さん・・一乗さん・・に・は、これ以上・・さ・わらせ・ない!!」と背を向けた人物がちょっと苦しそうに言い放ち、蘭を守る様に両手を広げた。「大丈夫か?!せつらちゃん!一乗さん!!藤実さん!」両手首をやっと解放され、倒れたせつらに駆け寄って、優しく抱き起こしたのは葉月だった。「葉月・・さん・・・。ら・蘭ちゃんは?」苦しそうな息の下から蘭の身を案ずる。「大丈夫だよ。もう大丈夫。」葉月の言葉に体を起こそうとして、力無く葉月の胸に崩れ落ちるせつらをしっかりと抱き止めると、せつらの目から涙が零れた。酷い目にあって・・怖かったんだ・・可哀相に−−!!怒りを込めて犯人の方を見ると、犯人が蘭を守って立つ藤実を殴り付けた所だった。銀縁の眼鏡が床に飛んで、レンズが割れる。しかし、藤実は倒れなかったし、引きもしなかった。反対に気迫のこもった目で相手を睨む。その目に気圧されさのか後ずさりする男の後ろには・・・・・。

気を失ったせつらちゃんに自分の服を掛け、そっと寝かせると葉月は立ち上がり静かに男に聞いた。「お前の会社は何処の系列だ?」いやに静かな声。「そんな事、お前みたいな餓鬼には関係ないだろ。抱きたいんなら私が抱いた後で、お前にくれてやるさ。」「系列は何処だ?」葉月の迫力に男は、自分が喋り出すのを聞いた。「氷城・・・コン・ツェルン・・の系列・・・・・です。」「監督不行届だな・・・お前の会社の取締役は・・・俺だ。」苦々しく吐き捨てると、男が噛みついた。「役得って奴だよ!上の方でふんぞり返ってる奴には、俺達の苦労なんて分からないんだ!!」「貴様ぁーーーーーっっっっ!!!」葉月の拳が男の腹に思いっきり叩き付けられる。ドスッっという音と共に倒れ掛かる体を突き飛ばし、葉月はクルリ・・と相手に背を見せた。その次の瞬間!!葉月が振り向き様に放った回し蹴りが、鈴木の横っ面に決まった。ガゴッッ!!積んであったダンボールに突っ込んで行く鈴木の体など見向きもせず、葉月はせつらの元へ戻る。立ってから、倒すまで何秒間の出来事だったろうか?海里が言っていた(葉月は強い)というのは本当だった・・・尋常の強さの範囲ではないが。

せつらを抱き上げてから、無様に倒れる男を見て「悪いが分からないな・・そんな自分の欲求で他の何の罪もない人を傷つける気持ちなんてな・・・。」と呟いた。何処か自嘲気味のその言葉に、何か言ってくれそうなせつらは依然気を失ったままだ。藤実は腹を殴られた苦しさを堪えて、蘭の縄を解きに掛かった。「木の下さん・・・・。」蘭はこの時初めて、守ってくれた相手の顔を見た。眼鏡は飛び、髪は乱れて切ったのか唇からは血が出ている。蘭の体を縛めていた縄を全部解くと、藤実は蘭を抱き締めた。「よかった・・・・無事でいてくれて・・本当に良かった・・・。」縛り付けられ、冷たくなっていた体に藤実の暖かさが伝わってくる。初めて蘭は、抱き締められる事を気持ち良いと思った。恐怖と嫌悪で固まっていた体がほぐれて行く・・・と同時に、涙が溢れた。「駄目です。一人でこんな所に来ては・・・。」「分かっています。でも・・」「分かってません!貴方は!!自分がどんなに魅力的で綺麗か・・・・分かってません・・。だから・・だから・・私は・・・。」一生懸命話そうとする藤実の体がカクン・・と沈んだ。「木の下さん!!」慌てて支えようとするが、蘭も膝をついてしまう。必死で抱き止めると、藤実が小さく呻いた。「木の下さん!しっかりして下さい!!」「大丈夫です。いやあ・・やっぱり慣れない事はするもんじゃないですね・・・結局、蘭さん・・いや!一乗さんに支えて貰うんだから・・・情けないです、まったく。」はは・・と力無く笑い、顔を上げた藤実の目に映ったのは真剣で切なげな蘭の顔だった。蘭は藤実の唇についた血を、そおっと舐めた。藤実の体がビクッとする。「蘭さん・・・。」「自分の魅力に気が付いていないのは、貴方も同じです。情けなくなんかナイです!十分です・・・私・・・・・私は・・。」

気が付くと蘭は、藤実の胸にしがみついて泣いていた。「貴方はしっかりし過ぎなんですよ・・・何でも自分でやろうとする。もっと人に頼っていいと思います。みんな貴方が好きなんですから・・勿論・私も・・・。もっと自分を大切にすべきです。」「木の下さん・・・藤実さん・・・私は・・でも・・せつらちゃんを守らなければいけないんです。」そう言う蘭の乱れた髪を撫でつけ、藤実は自分の背中越しに繰り広げられている光景を見せた。そこには、せつらを大事そうに抱き、涙を拭いてやっている葉月の姿があった。その姿はとても優しく、そして何よりも頼もしく蘭には見えた。藤実が何を言いたいのか、蘭には分かった。何も自分一人でせつらちゃんを守って行かなくても良い!みんなに愛されているせつらちゃんなら・・・みんなで気を付けて大事にすればいい。そしてせつらちゃんを愛し守る人が居るように、蘭にも愛してくれる人が居るのだから。

「藤実さん・・私を守ってくれますか?」「もう、一人で泣いたり、怖い思いを抱え込まなくてもいいんです・・・。私が一緒に泣きますから・・恐がりますから・・・守らせて下さい!貴方を。」と言って置いて・・・。「何か・・・あんまり格好良くないんですが・・・。」照れくさそうに頭を掻き、落ちた眼鏡を拾う。「それ・・・伊達眼鏡でしょう?髪の毛も今みたいに下ろした方が素敵です・・。」蘭に言われてハッとして髪に手をやる。いつもは後ろに流して固めている髪が、さっき殴られた時にだろうか?バサッと前に落ちている。藤実はクスッっと笑うと、蘭に言った。「じゃあ・・貴方の前でだけ・・ね?舐められますから若く見られると。」蘭は藤実の笑顔に赤面すると、それを隠すかの様に抱きついた。藤実の暖かい大きな手が、蘭の背中を優しく、いつまでもいつまでも撫でていた。

      つづく

 

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