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葉月とせつら その2 

とろんと

「何やってんだ?2人して座り込んで。」「へっ?」「えっ。」2人が我に返って声のした方に顔を向けると、そこには意味深げに微笑む海里の顔があった。ふふん♪という顔をして葉月に聞く。「んで。私に何の用だったんだ?」すっくと立ち上がると、葉月は今度手を貸してせつらも立たせた。「もう済んだ。」服に付いたホコリを払いながらそう言って照れくさそうに笑う。「海里さんと葉月さんてお友達だったんだね。」海里の腕を前から掴む様に寄るせつらの髪の毛を撫でながら「そうだよ。」とあんまり他では見せないであろう笑顔(!)で海里がせつらを抱き締めた。「相変わらず、せつらちゃんは可愛いね・・・。食べちゃいたい位。」何て言いながら葉月の顔を意味ありげにチロリと見て、せつらにスリスリする海里。(うっっ・・・あいつ・・あんなに触って!)「おい。食べるってまさか・・。」って海里の肩にこわーく手をわっし! と乗せる。「可愛いせつらちゃんは、狼さんとは無縁なの!私には由奈が居るし・・そろそろ誰か信用のある奴見つけないとね?せつらちゃんも。」前半は葉月を、後半はせつらの顔をのぞき込みながら海里が言う。

「誰か好きな人居ないの?せつらちゃん。」「すっ・・きな人って・・居るけどぉ・・・。」突然聞かれて、躊躇しながらも相手が海里なだけに、隠さずに正直に答えてしまう素直なせつら。実は海里は知る人ぞ知る、せつらの保護者。いわば親代わり。「へぇ・・誰?」楽しそうに聞く海里と、緊張しまくり耳がダンボになっている葉月。「あ!こんな所に居たんだ?!せつらちゃん一乗さんが探してたよ!!」ああ・・後もう一息だったのに・・・。という感じの2人を余所に手を振りながら走って来たのは由奈だった。そうそう海里を保護者と言えば後もう1人せつらには保護者が居る。今、由奈の口から出た「一乗さん」。せつらのマネージャーだ。

フルネームは「一乗 蘭」。芸名みたいだが本名だ。本人は気に入らないらしいが名は体を表す、名前から想像する通りの美人敏腕マネージャーである。せつらの周りに美人あり!とはこの世界では有名な話だ。本当の保護者も綺麗な人らしいと言う噂まで出回っている程(笑)「せつらちゃん(はーと)」「わーい!由奈ちゃんだぁ(はーと」・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。「・・・おい。2人共・・いつまで抱き合ってんだ?」海里のツッコミに2人が「えーっ」って顔をするとみんなが笑った。「いいじゃないか、海里。」と言ってくすくす笑う葉月が続ける「しかし・・・今の光景は、殆ど禁断の花園だったね。」

「禁断の花園・・・って・・・(^_^;)」と由奈。「良い表現だ。」と海里。「何?それ。」(せつら)「「「は?」」」(3人ハモって)「せつらちゃんにはちょぉっと、ムズかしかったか・・・・。」ふむふむと海里が頷く。「あ!ほら、せつらちゃん!!一乗さんが呼んでるってば。」今更のよーに由奈がせつらを突っついた。「そうか☆そうだった!ありがと、またね由奈ちゃん。」と走って・・・ピタリ・と止まって振り向くと、「葉月さんありがとうございました。又・・逢えますよね?」と小首を傾げる様に聞いた。「もちろん。」葉月の一言に花の様な笑顔を見せ「海里さん、くまちゃんお願いします。」とスタジオの方へ小走りに去って行った。(天使だ・・・。)葉月は思った。無言で手を挙げ、答える海里に葉月が嬉しそうに、「はい。くまちゃん。」と縫いぐるみを抱かせた。

「わぁ☆可愛いね。葉月さんのなのかと思った!」と言って笑う由奈。「だ・そうだ。お前これ抱いてココで待ってたら?せつらちゃん戻ってくるぞ?」縫いぐるみを抱く海里とその縫いぐるみに抱きつく由奈を見比べ「行く所があるんだ。今後の為にもネ。」とウインク一つ。「じゃね!由奈ちゃん。似合うぞ海里、それ。」と軽く手を振って携帯電話を出しボタンをPUSH!「あ・藤実(ふじみ)さん?俺ですけど。やりたい仕事があってさぁ・・・・・・・。」葉月の声が段々遠くなっていった。「何が似合う!だよ・・まったく。」海里がブツブツ言う。「ま・葉月はかなり「紳士」だし、優しいし、何より良いのは強いって事だよな・・・何とかあの2人をくっつけてしまおう。」海里が頭の中で、企み始めると由奈が縫いぐるみに抱きついたまま「強いって?」と不思議そうな顔をした。「葉月って格闘技とか子供の頃から叩き込まれてて、かなり強いらしいんだ。ま・あいつん家は金持ちだから「誘拐」とかの対策なんだろうけど、今はせつらちゃんを守れるって事でポイント高いな、私の中で。

「・・・・・・・・・・・・・。」「何だ?その顔は。」「あのね。何もしないで見てよーよ。大丈夫!絶対に!葉月さんがせつらちゃんの事好きなら、まず間違いなく・ね。」海里からとうとう縫いぐるみを取り上げる事に成功(笑)した由奈が断言する。「ん?由奈・・お前何か知ってるな?」「別に!」と縫いぐるみを抱き締める。「言わない気か?」何をしてくれよう!と言わんばかりの目で見られ由奈は慌てた。「だからぁ!言わないって約束してるの!」由奈は口が固い。言うなと言われれば何があっても喋ったりはしない。そこら辺は海里よりもガンコなのだ。海里もそれは分かっているのだが、せつらの事なだけに心中穏やかではない。「せつらちゃんが海里さんに話せなかったのは、立場の違いなんだと思うよ?リーダーとパートナーじゃやっぱり見方が違うし、僕に話すのもかなり悩んだみたい。芽衣ちゃんにも話してないって・・。」ちょっと傷ついたであろう海里の心を察して、由奈が懸命にフォローする。「由奈は良い子だネ・・・。」優しい声で、しかしちょっと照れくさそうに海里が囁く。ポーカーフェースの海里としては珍しく心の奥を見透かされてしまったらしい。真っ赤になった由奈の髪を掻き上げて、優しく口付けた。2人の間で熊の縫いぐるみがちょっとつぶれた。

「せつらちゃん!何処へ行ってたの!!探したんだよ?!」スタジオに入るとマネージャーの一乗蘭が血相変えて走り寄って来る。「あのね・・っと、その前に。」と深々と頭を下げて「ごめんなさい。」と謝る。「無事なら良いんだけど、何があったの?嬉しそうな顔して。」こんな嬉しそうな顔をしているんだから私が心配するような事は無かったのだと安心しながら、蘭は表情を緩めた。「あのね!!蘭ちゃんが、先に行っててって車を置きに行った後、この間のシャンプーのCMのスポンサーさんに逢ってネ、大きな熊の縫いぐるみを貰ったの。はいって渡されたのは良いんだけど、大きくて重かったから、近道したの。」「それで迷子になった。」指を立ててクイズに答えるようにそう言う蘭。「ブーッ!!はずれ!一杯色んな物が置いてあってぇ・・一人しか通れなくて、前が見えなかったから向こうから来た人とぶつかっちゃった☆」てへっって感じのせつらと同じポーズを取りながら・・・「ぶつかっちゃった☆じゃないでしょ!!」とツッコミを入れる蘭。「んで、一体誰に体当たりしたの!」額に手を当て、ため息一つ。「へへ・・・。」と嬉しそうなせつら。(人に体当たって何が嬉しいんだか・・・・この子は!もうっっ)「氷城葉月さん。」「へ?」「だからぁ、葉月さんにぶつかってぇ手ぇ繋いで貰ってぇ肩抱いて貰ってぇ・・ふふふ。お礼にほっぺにちゅうしてぇ・・・。」

頬を上気させて幸せそうなせつら。「って!!!ほっぺにちゅう?????」(この子は・・何にも知らないネンネのくせに・・こういうトコだけは大胆なんだから・・・)ネンネだからこその大胆さとも言うが・・・。「んで、葉月さんは?ちゃんと謝ったの?2人ともケガはないの?」パタパタとせつらの体を触り確かめながら、蘭は聞いた。「うん。ケガはしなかったし、ごめんなさいもちゃんとしたよ。葉月さんねぇすっごーく優しくてぇ・・せつらが思ってた通りの人だったよ!」幸せ満面!はっきり言ってノロけている。「暖かかった☆」「はあぁ・・・。」思わずその笑顔にしゃがみ込む。「と・とにかく打ち合わせして!・・・くまは?」「くまちゃんは、海里さんに預けてきたの。」「はいはい、結城さんね。」「せつらちゃーん!始めるよーっっ。」

ADの呼ぶ声に「はあい☆」と返事をして楽しそうにスキップして行った。その姿に(ため息)と(寂しさ)という2つの気持ちを感じながら、蘭は「くまちゃん」の引き取りに海里の控え室へ向かうのだった。「お互いに大変ですね・・・・一乗さん。」「まあ、幸せな悩みではあるんですけどね。」「「はあぁ。」」2人してため息をつく、海里と蘭。あんたらオバハンか?!まるで子供の事を話している井戸端会議だ。「また、そこが可愛いんだよね・・せつらちゃんは。」「ええ。温室育ちを極めてますから。」と蘭がキッパリ。「いや・・そんなの極めなくても良いんだけどね・・・。」このちょっとした違いが由奈の言うリーダーとパートナーの違いなんだろうか?なんて海里は考えてみる。当の由奈は縫いぐるみを抱いて寝てしまったらしい、規則正しい寝息が聞こえる。由奈はくまに埋もれて幸せそうだ。くまが大きいので見方を変えると襲われている様にも見える(笑)

「由奈ちゃん・・・無邪気な顔して寝てますね。」「ええ、本当に。」「今度、うちのせつらと芽衣ちゃんと由奈ちゃんでユニットを組む事になったんですよ・・・。」「ユニットぉ?」「そうなんです。何かユニット名も本人達が決める!って言って3人で考えたんですよ(笑)3人共個性があって良い!ってプロデューサーが話を進めましてね・・・。3人並べるとまるっきりハーレム状態なんですけど(笑)」「嬉しそうだね。」「違った魅力が並ぶと相乗効果があるんです。衣装とかの打ち合わせの時、3人並んだら見慣れてるハズのスタッフが全員見とれちゃって、話が進まない進まない(笑)」「ははは。」2人で仲良く笑い合うと、由奈が身じろぎをした。「あっごめんなさい由奈ちゃん。起こしちゃって。」蘭が髪の毛を撫で撫でしながら謝ると、由奈は目を擦りながら「何の話?一乗さん。」と聞いた。「ユニットの話をしていたんですよ。打ち合わせが進まなかった話とか(笑)」「ああ・・・。あれね(笑)みんな口開けて見てるんだもん・・・恥ずかしかったな、ちょっと。」

「ユニット名は決まったのか?」由奈を膝の上に乗せ、海里が聞く。「あっもう!駄目だよぉ・・・一乗さんの前で!失礼でしょ。」と嫌がるが、海里は放さない。逆に「ユニット名!」と睨む。「パイナップルピンク・・・。」(怒ってるよぉ・・・)くすくす笑う蘭。唖然とする海里。「何それ・・・。」「だって・・可愛いのにしよう!って3人で話し合ったんだけど、芽衣ちゃんが(フリフリピンク)とか言うしぃ・・。せつらちゃんはニコニコしてるだけだしぃ・・・僕としてはフルーツの名前を入れたかったの・・結局、全然まとまらなくて・・・・2人でグッタリしてたら、せつらちゃんが(じゃあ、パイナップルピンクだね☆)って・・・・・。」まぁ・・少なくとも、木の下芽衣がセンスがナイと言う事だけは判明!(笑)「一番頼りなさそうな、せつらちゃんがまとめ役なの?」と不思議そうな顔の海里。「3人で居る時はいつもそう・・かな?」「2人の事、良く見ていて最後に意見をまとめるのがせつらなんですよ。じっくり聞いて、ちょうど2人の意見の間を取って案を出すものだから、2人共納得しちゃうんですよね。」未だ海里の膝の上から逃れられていない由奈の髪の毛を撫でながら、蘭が面白そうに言う。「そうなの。」うんうんと頷く由奈。コンコン・・ドアをノックする音。「由奈ちゃーん!」噂をすれば・・・の芽衣とせつらの声。「打ち合わせ終わったよ!」ニコニコ(笑)

「衣装合わせだって☆」にこにこ(笑)何だかご機嫌の2人。「本当?!どうかなぁ・・どんなのかなぁ、衣装。」おや?由奈もノリノリ? ふと、振り向く由奈。「あのね、海里さん。衣装が決まって、それから報告してビックリさせようと思ったの・・・。うんと可愛いのにして3人で衣装を着て、一番に歌を聴いてもらおうって。」言ってたんだよね・と由奈が2人を見る。「うん」「うん」頷き合う3人。「勿論!宏治さんも。」と芽衣が元気良く手を挙げる。「いいなぁ・・・。」とせつらがちょっとふくれてみせる。「はいはい、衣装合わせでしょ?行きますよ3人共。」「はあーい。」渋々&ルンルンといった感じで出ていく3人。「熊、預かって頂いて済みませんでした。せつらったらお礼も言わないで・・まったく。」

「良いですよ、置いといて。又戻って来るつもりなんだよ、きっと。」つい弁護してしまう自分に苦笑しながら、海里は由奈の言葉を考えて居た。(一番に・・か。それで黙っていたのか、由奈。可愛い服って・・又フリフリヒラヒラのか?好きだなぁ、って言うより、事務所はOKしたのか?そんなの・・・)海里の中で、由奈が色々な服を着て微笑む。そしてそれはどんどん海里の好みに変わっていって・・・結局最後は、ああやって、こうやって・・と脱がされるはめになる由奈だった(笑)あーでもナイこーでもナイ・・と淫靡な考えに支配されている海里を一人残して、蘭も(ほくほく)と言った状態で「しかも」熊を抱きながら出ていった。・・・やっぱり似ている2人(笑)

 

つづく

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