雌犬の姿を借りて


5 一線

「いあ……あ、あ、あ……」

 犬のほうも、押し込められたことにとまどいがあったのでしょう。
 しばらくの間、中の感触をたしかめるように、じっとしていました。
 私は、脂汗をながしながら、下腹部に目をやり、
 その絶望的な光景を確認しました。

 ……入っている……!

 魔物の手が器用に動き、犬のペニスを私の中に導いたのです。
 犬のペニスの、大半は、まだ、はみ出したままでした。
 先端の、指先ぐらいの部分だけが、私の体の中にもぐりこんでいるのです。
 かえしも、亀頭もない犬のペニスは、
 あまりにすんなりと私の体に入り込んでいました。
 大きな衝撃もないままに、わたしは、はじめて、貫かれたのです。
 目の前の光景が信じられず、私の体は、恐怖に凍りつきました。
 頭の中は、イヤでイヤでたまらないのに……
 どうすればいいのか、頭が動かなかったのです。

「や……やあああああああ!」

 叫んだのと、犬の体がブルっと震えたのと、どちらが先だったのでしょう。
 まるで、わたしの声に後押しされるように、犬が動き出しました。
 私の背中に置かれた爪が、ぐっと肌に食い込みます。
 犬のペニスが、わたしのアソコを、激しく前後し始めました。
 私の体の中を、下から上に「おぞましさ」が走り抜けました。
 それから、圧倒的な熱さと、痛みが、駆けぬけます。

「あーーっ! あーーっ! あーーっ!」

 なんと叫べばいいのかもわからなくなり、
 ただひたすらに嗚咽を繰り返しました。
 私を押さえ込む犬の力はなおも強くなり、
 お尻をうかせたまま、わたしは地面に押しつぶされるような形になりました。
 犬のストロークはますますはげしくなり、処女を失ったばかりの私のアソコが、
 無惨に押し広げられていくのが感じられました。

 涙が、いつのまにか頬を埋め尽くしていました。
 頭の中を、いろいろな言葉が流れていきました。

 純潔が……犬に……
 魔物が見てる前で……
 屋外で……裸で……

「あ……… あ……… あ………」

 意識は覚醒しているのに、頭は回りませんでした。
 何がおきているのかは、はっきりわかるのに、
 何も考えられない。

 犬のよだれが、背中にポタポタとたれてくるのを感じました。
 激しい犬のストロークにおされ、わたしは、
 まるで犬が腰をふりやすくするかのように、お尻をもちあげ、
 ただされるがままにしていました。
 叫び声すら出すことができず、のどから絞りだすような音がもれるだけでした。
 
 男の笑い声が、響きます。

「どうぞお幸せに、姫君。伴侶と、末永く。
 ……お苦しいですか?
 なに、心配はいりませぬ。
 まもなく、お待ちかねの快楽が訪れますとも」
 
 苦しみにあえぐ私の耳に、その言葉は残りませんでした。
 意味を理解することができないまま、風となって言葉はきえていきました。
 でも、私は、彼の言葉の意味を、すぐに、身をもって体感することになったのです。
 私のアソコが、「きゅん……!」と反応するのが、自分でわかりました。
 それは、犬のペニスがわたしに入る前に……
 入り口をこすっていたころに感じたのと、同じ感覚でした。
 腰のあたりがぞくぞくと震え、その感触が体をのぼっていきます。

 いつのころからか、犬の動きにあわせ、
 ちゃぷ……ちゃぷ……という音が響きはじめていました。
 
「姫君はずいぶん愛液がお盛んですなあ。
 突き刺されるたびに、とびちっていますよ」
「あ……う……」

 そのころには、もう、私の体は、苦痛と快楽の間の板ばさみにあっていました。
 処女を貫かれ……意識が飛び、気がついたときには、
 もう、秘所からさかのぼってくる感覚の半分ぐらいは、快感が混じったものになっていたのです。
 背筋をぞくぞくとする気持ちよさが走りぬけ、
 割り広げられた膣口からは、分泌された愛液が、どんどんこぼれだしていました。
 犬のペニスが私の中をかき回すと、いっそう愛液の量は多くなり、
 私の快感も、それだけ強くなりました。
 
 あまりの強い感覚に、ほかのことは考えられなくなってしまいした。
 ……ええ、魔物にかけられた呪いは、私の想像以上に強いものだったのです。
 私の体中の感覚は何倍も鋭敏になり、そのすべてが、快楽を伝えてきます。
 処女を失ったとき、涙でうめつくされた私の顔は、
 快感にゆがみ、口をだらしなくあけ、よだれをたらすまでになっていたのです。

(……きもち……いいっ……!) 
 
 犬に犯されているとか、そういう事実が、どうでもよくなるほど、
 その快感は強烈でした。
 わたしはできるだけ深く、できるだけたくさん、受け入れられるように、
 腰を振り上げ、犬と動きをあわせるようにお尻をさしだすようになっていました。
 犬のペニスは、スラリとして、かえしのない形状をしていました。
 私は、貫かれると、入り口をしめたまま腰を前後左右にずらし、
 膣の内側の壁を犬のペニスにおしあて、さんざんにその快感を味わいました。
 ぞっ、ぞっ、と膣壁をこする音が体内に響きます。

「ずいぶんお気に召されたようで、幸いです」
「あ………ひぃ………」
「顔中べとべとですよ? お肌も、おやおや、ずいぶん興奮していらっしゃるようで。
 ピンク色で、実につややかだ」
「あ……あ……」

 魔物は、もう一言二言、私に対する言葉嬲りを続けていました。
 でも、私の体は、もう、
 後ろから送られてくる激しい感覚を受け止めるのに精一杯でした。
 屈辱の言葉さえ耳にとどかず……わたしは、快楽におぼれました。
 犬の……後ろの彼の腰つきはなおも激しくなり、
 私の中を、一番奥までかき回し続けます。
 彼の挿入にあわせてぎゅっと膣に力をこめ、膣壁がこすられる感覚を
 ギリギリまで楽しみ、引き抜かれるペニスを、
 名残惜しげに見送る、激しいセックスが続きました。

 直前にかけられた、魔法のせいだと……
 そう信じたい、時間がすぎていきました。
 
 からだ全体を熱くもやし、全身で快楽を楽しんだわたしが、
 正気に返ったのは、二つの違和感に襲われたときでした。

「あ……ぎっ……!?」

 膣に深く入りこんだペニスが、ぐっと厚みを増したようでした。
 私をえぐる「それ」が、どんどんと熱くなっていくようでした。
 熱くほてった私のからだより、さらに、どんどんと、燃え盛っていく感覚です。
 彼のものが、どんどんと大きさをまし、貫いたままの私の入り口を、
 さらに押し開こうとしていました。
 何が……と考えるより早く、私のからだが反応しました。
 
 2つ目の違和感は、私の体の中から現れたものでした。
 犬のペニスの圧力が、体内から私を押し広げた結果でしょうか……
 わたしのお腹が、不意に、イヤな音をたて始めたのです。
 それまで、熱く燃え上がっていた私の意識が、
 水をかけられたようにさっと冷めました。
 脳裏に浮かぶのは、犬との行為が始まる前でした……。
 そのときも、わたしのお腹は排泄を要求していて、結局、それから……
 わたしは、それを果たしていないままでした。
 
 昂揚した体は、忘れていた事実を思い出したかのように、
 激しく私の体をせめたてました。
 さっきまで、まったく感じさせなかったのがうそのように、
 私の体を刺激します。
 お尻の穴がきゅ、きゅっと内側から圧迫されました。
 私は、お尻に力をこめて、それを耐えようとしました。
 ……でも、そんなことにはお構いなしに、
 犬のペニスが、私を押し広げていくのです。

 私の顔色は、もう、はっきり青ざめていたことでしょう。

 このまま決壊すれば、果たしてどうなるか……。
 考えるまでもないことでした。
 私のお尻の、すぐ後ろには、折り重なるようにして犬の腰があるのです。
 もし、もし出してしまったら……!

「ぐ……く……う……!」

 私は、必死でお尻を引き締めました。
 体を襲う不快感も、貫かれる快感も、すべてを抑えこんで、
 お尻をふさぎました。

(はやく……! はやくおわって……!)

 お尻を締め付けたことで、わたしの膣にも力が入り、
 私の体は、犬のペニスをしっかりと握り絞るようになっていました。
 私の中の、わずかな動きでさえ、はっきりわかるようになり、
 そのペニスの動きで、射精が間近にせまっていることは、
 直感的に理解できました。
 
 私は、救いを求めるように、射精を待ちわびました。

(出して……! はやく……!)

 そうすれば、この地獄が終わる。
 射精さえされれば、それが終われば……。
 私は、それが唯一の道であるがように、救いを求めたのです。

「だし……てぇえええええええ!」

 犬のペニスの根元が、コブのように膨らみました。
 そして、すごい勢いで、私の中が満たされていきました。
 膣の中が、あっというまに白いジュースで埋め尽くされていきます。
 私の奥にむかって、大量の液体がながれこみ、
 昨日まで穢れを知らなかった部分を蹂躙しつくしていきました。

 「出してくれた……!」と、私は思いました。
 これで助かった、救われた、と、思いました。
 浅ましい声をあげてしまった屈辱さえ忘れ、
 耐え抜いた、やりとげた……という、心地よい達成感に打ち震えました。

 ……ですから、次の瞬間の私の叫びは、
 自分でも驚くほどの声量で行われたのです。

「……イ、イヤァアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」

 2つ。

 忘れていた……あるいは、知らなかったことがあったのです。

 ええ、もちろん、私が知るよしもないことでした。
 犬の射精が、長い時間、ずっとかけて行われることだとか、
 そのために、女性の膣から外れないように、コブのようなもので
 固定されることとか……。
 ですが、もうひとつは……考えなければならないことだったのです。

 魔族の……あの男は、いつのまにか、私のすぐ横に、しゃがみこんでいました。
 そして、その手は、私のお腹に回されていたのです。
 おなかに触れられた感触で、ようやく私はそのことに気がつきました。

 グイ。

 無慈悲に、私の体が押されました。
 おなかの、わずかについた肉をもみしだくようにしながら、
 私の体から何かを押し出すように、圧力が加えられました。

 犬のペニスによる後ろからの圧迫と、内臓に直接響く、男の手の力。
 耐えられようはずもありませんでした。
 それでもなんとか……という思いが、私の口をつきました。

「お、おえが……い! たすけ……」
「ええ、お助けしますよ。気持ちよく出してください」

 ……最後に感じたのは、お尻の穴にふれた、犬の体毛でした。
 フワリとしたその感触に、私の体は、とうとう最後の一線をこえました。
 次の瞬間、私の出口は、最大限に開き、中にたまったものを
 吐き出してしまったのです。

「あ……! あ……! あ……!」

 あまりの惨めさに、涙がさらに私の瞳からこぼれていきました。
 ビチャ、ビチャと、汚らしい音が響きます。
 犬のお腹が、茶色く汚れていきます。
 密着した、二人の間に、それが、どんどん広がっていくようでした。
 
「嘘……よ…… こんなの……」

 犬の射精は、まだ続いていました。
 犬が身じろぎするたび、にちゃり、にちゃりという汚い音が、
 二人の間から生まれます。

 野外で、犬に、四つんばいで犯され……
 感じ、あえぎ、脱糞までさらしてしまい……
 いったい、これ以上に最低な初体験はあるのでしょうか。
 私の意識は、だんだんと薄れていきました。

 精液を出し切った犬のペニスは、信じられないことに、まだ硬いままでした。
 そのまま、私のすべてを味わいつくそうというように、
 さらなる蠕動がはじまります。
 ……それが、最後に認識できたものでした。
 心地よいまどろみに、救いを求めるように、
 私の心は、闇に飲まれていきました。
 男が、脇で何かをつぶやいていたようですが、もはや、
 耳で聞き取ることもできませんでした……。 


*****


 ……その先は、もう、語る気もおきません。

 目を覚ましたあと、わたしは、今度は人間に抱かれました。
 ええ、犬の姿に見える、そのままで、です。
 その相手……その、浮浪者は、異常な性欲をもっていて、
 しばしば、野良犬を捕まえては犯しているそうでした。
 魔物は、そのことを語りながら、
 私がその男にねじふせられるさまを嬉々として眺めていました。

 男は、「こんなに具合のいい雌犬ははじめてだ」とわめきながら、
 汚いペニスを押し込み続けました。 
 私のアソコが腫れ上がるまで犯し続け、
 入り口から犬の精液と浮浪者の精液がドロドロと零れ落ちました。
 そのころには、わたしの心はなにをされても動かず、
 ただ、されるがままに男に犯されていました。

 一度だけ、「絶頂を迎えると、姿をくらます魔法が解ける」と
 男に脅されたときは……そのときは、しばらくの間、恐怖に震えました。
 でも、そのまま男に抱かれるうち、
 痛みのいりまじる快楽と、それから、身をおおう絶望感が、
 そういう恐怖さえ押し流し、私をおぼれさせました。
 ……結果として、男の言葉が事実かどうかは、はっきりわかりませんでした。
 犯されていた間、一度、男が驚いたような声をあげ、
 それまでにも増した興奮をみせ、
 わたしの体を陵辱しはじめたことは覚えているのですが、 
 終わったあとには、結局、姿くらましの魔法は、
 再び力を発揮していたのです。

 そうして、心を打ち砕かれた私を見て、
 魔物は、満足げにさっていきました。
 いったい、彼が何を目的にしていたのか、それは、
 いまになってもわかりません……。
 あるいは、これから明らかになるのかもしれませんが……。
  
 ……そのあとの物語については、みなさんご存知のとおりです。
 ラーの鏡と、遠い国からやってきた、
 祖先をひとつにする2人の王子によって、私は救われ、
 大神官ハーゴンを討つべく、こうして、旅をしています。
 あのときのことは、うそだったかのような……
 戦いの日々が、続いています。


 ただひとつだけ気になるのは……。

 
 ……ええ、最近、気がついたことです。
 ローレシアの王子が、時折みせる横顔に、
 あの、下卑た表情をいつも浮かべていた魔物の面影があるのです。
 それに気づいたとき、わたしは、ぞっとして、
 背筋をふるわせました。
 魔法の素養ひとつない彼が、あの魔物と関係があるわけはないのです。
 そう、そうわかってはいるのですが……。

 ……このことが、何を意味するのか。
 魔物の狙いは、結局なんだったのか。
 それを不安に思いながら、三人でのたびは続いているのです……。
 
 
  - 完 -


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