○ブラック・アニス

 五月の昼下がり。穏やかな春の日差しは鮮烈さを増しつつ、深みのある青空の真ん中で太陽は人々に銀色の矢を射かけていた。
 ところはロンドンのとある住宅街。一軒の家の中で、その惨劇は起こった。
 家の主はフレッド・ハドスン。銀行家でそれなりの収入があり、家族にも恵まれている。性格は極めて実直で木訥、やや頑固なところもあったが、今の生活を支えているのはそうした性格による勤勉さの賜物であろうと本人は自負している。そして、それはハドスンの自尊心にもつながっていた。
 さて、その日は休日で、ハドスンは前日の深酒が祟って昼近くまで寝ていた。(休日前に羽目を外してしまうのは、それはそれでバランスがとれているという話だが、周囲から見れば、その羽目の外し方も些か地味である)それでも昼前には起き出し、何とか身繕いをして、愛犬バトラールの散歩に出かけた。ハドスンはバトラールの散歩が日課となっており、それが彼の健康の秘訣であると考えていた。その為、雨の日だろうが風の日だろうが、今日のように日差しが強く、バトラールが外に出るのを嫌がっていようが、お構いなしに出かけた。しかも、それなりの運動量を得る為に、ゆっくりと時間をかけて、長い距離を歩いた。であるから、今日のように昼前に出掛けた時には、当然、家に帰り着くのは昼過ぎであった。
 一応、軽い食事を済ませて出てきたものの、家に近づくと流石に空腹を感じる。庭の方に回るとハドスンは先にバトラールを庭に繋いだ。バトラールは何故か低く唸り、庭に入ろうとはしなかったが、何とか叱りつけ、なだめ、やっとの事で犬小屋に繋ぐことができた。ハドスンは多少訝りながらも、玄関に回り、ドアのノブを回した。バトラールの様子がおかしかったこともあり、自然、動きが慎重になる。妙に静かで、なんだか胸騒ぎがする。ハドスンはそろそろとダイニングに向かうと、そこではっと息を飲んだ。奇妙な男がテーブルの近くでうずくまっているのだ。ハドスンはそのまま相手に気付かれないように書斎に向かい、引き出しから銃を取り出し、弾が入っていることを確認して再びダイニングに戻った。
 最初には気が付かなかったが、ダイニングは血塗れで、壁のクロスはさながら抽象絵画のようであった。そして、壁際には婦人の死体が。最初には恐らく死角になっていたのだろう。婦人の顔はどす黒く変色し、後頭部は血塗れで壁に赤い花を咲かせていた。余程の怪力で殴られたのだろう、首はあらぬ方向を向いて力無く垂れ下がっている。それを見たとき、ハドスンはカッと頭に血が上った。喉に何本もの鉛の棒を押し込まれたようであった。怒りで頭が朦朧としながらも、部屋の中を見回すハドスン。二階にいる息子や娘の死体は無く、何とかそれだけの望みは得た。ハドスンは息を殺しながら、ゆっくりと激鉄を引いた。かちゃりと音がして、謎の男が振り返る。
 ハドスンはあっと叫んだ。
 男は人間ではなかったからである。言うなれば、爬虫類と人間のハイブリッド。
 驚いたときには既に遅く、銃はハドスンの手から振り落とされ、血でワックスの掛けられたフローリングをするすると滑っていった。
 そして、首に怪人の手が掛かる。
 怪人の醜悪な手がハドスンの首にぐいぐいとめり込み、ハドスンは空気を求めて喘ぎ、藻掻いた。目が充血し、視界が赤く染まるが、目の前の怪人の姿だけははっきりと確認できた。愛する妻を殺した憎むべき怪物。その眼球はこぼれんばかりに飛び出し、砂時計の形をした瞳、薄い膜が時折瞳を覆い濁らせる。そして顎は破れ、歯茎と異様に大きな舌が見え隠れする。必死に怪人から逃れようとする自分の他に、冷静に相手を観察する自分がいる。内心、自分でも驚いたが、結局、そんな観察も長くは続かなかった。
 視界の端に、驚愕の表情を浮かべる娘エルスペスの姿が映る。ハドスンは何とか娘に逃げるよう伝えたかったが、次の瞬間にはめきめきと骨の折れる嫌な音がして、視界は闇に覆われてしまった。婦人同様、どす黒い顔が首からだらりと垂れ下がる。
 父親の殺戮現場を目撃したエルシーは恐怖のあまりに叫び声をあげてしまった。そのまま黙って家を出ていれば、怪物に殺されなくても済んだかもしれないのに。父親の最後の願いも虚しく、エルシーは悲鳴を上げてしまったのだ。
 それは十二歳の少女には、あまりに凄惨な光景であった。愛する両親が殺され、血溜まりに横たわっている。力無く垂れ下がった頭、首は裂け、鮮烈な赤い傷跡から白い骨が露出していた。嗚咽を漏らし、ぽろぽろと涙をこぼしながら、エルシーはしゃがみ込み、失禁した。黄色い染みが白い下着に広がり、肉色の花弁を透過する。怪物はそれに興味を引かれたかのように鼻を鳴らし、震えるエルシーに近づいていった。
 エルシーは恐怖で頭が混乱していた。朝、目覚めたときには普通の休日であった。朝食を済ませた時には父親はまだ寝ており、新しい通学用の鞄が欲しかったエルシーは、自室で父親が起きてくるのを待った。しかし、ハドスンはバトラールの散歩に出掛けてしまい、彼女は父親が帰ってくるまで二階の自室で待っていたのだ。たっぷりと待たされた分、絶対に鞄を買ってもらおうと考えながら………。用意は万全であった。白いセーラーのワンピースを着込み、白と黒のストライプのニーソックスをはく。ベッドの下からお出掛け用の靴を取り出し、お気に入りのバッグを机の上に置いて、父親が帰ってくるのを待った。そして数刻後、いつもの休日は一転して血生臭いものへと変貌した。階下で物音がし、父親が帰ってきたと、エルシーは喜び勇んで階段を下りていった。そこで彼女が見たものは、壁際で横たわる母親の死骸と、今にも首を折られ怪物に殺されゆく父親であった。
 今、目の前に怪物がいる。エルシーの脳裏に、両親同様、首のもげた自身の姿がよぎる。しかし、怪物の目的は別の処にあった。砂時計のようにくびれた眼は少女のぷっくりと膨らんだ股間を見つめ、また、怪物の股間からは見るもおぞましい赤黒い肉棒がそそり立ち、青筋を立てて脈打っていた。怪物にその細い足首を掴まれ、エルシーは息を飲んだ。怪物はまだ湯気を立ている甘露を、その厚ぼったい舌で舐め回すと、やがて濡れて張り付いたショーツの上から、エルシーの股間を舐り回し始めた。
 怪物は興奮していた。息を弾ませてエルシーを舐め回す。涎をぬるぬると垂らしながら、太股と言わず淫裂と言わず、足首を持ち上げ、思うがままに陵辱した。やがて、着衣が邪魔になったのか、乱暴に下着を引きちぎると、ワンピースもビリビリと引き裂いた。
 ニーソックスだけを残した少女の白い裸身が、白日の下に晒される。エルシーは既に抗う気力を失っていた。魂の抜けた人形のように、怪物の陵辱を甘受する。ぬちゃりと花弁に亀頭が押し当てられ、やがてぬぐぬぐと押し込まれていく。事此処に至り、エルシーはようやく反意を示した。あまりの痛みに顔をしかめ、凶暴なくちなわから逃れようと腰を引く。しかし、怪物はエルシーを逃さず、その愛らしい薄桃色の乳首を舐め回しながら、どんどんと腰を進めていった。そしてついに、ぶちりと言う鈍い音が華奢な少女の体内で聞こえ、これまで以上の激痛がエルシーを襲った。青白い顔をし、口をぱくぱくと喘ぐエルシー。しかし、怪物は己の快楽だけを求め、乱暴に腰を揺すった。片膝を抱え上げ、より深い胎内目指して腰を突き進める。血が白い太股を滴り落ち、床を汚す。ぬちゃぬちゃと猥褻な音が、真昼のリビングに響きわたる。やがて、絶頂を迎えた怪物は、白濁液を少女の腹の中にたっぷりと注ぎ込んだ。陰茎がぬるりと吐き出され、ひくひくと収縮する花弁からは、精液と血が混じり合い、滴り落ちている。
 立ち上がり、足下で荒い息をつく少女を、怪物は無言で見つめた。その時、不意に窓に掛かったレースのカーテンがたなびき、一陣の風が舞い込んだ。
 何かの気配を感じ、怪物がふと振り返ると、いつの間に現れたのか、そこには一人の少女が立っていた。歳はエルシーと同じか一つ下くらいだろうか。黒い衣装を身に纏い、首には血のように赤いリボンを巻いている。そして、手には一本の黒い傘。
 少女は何も言わず、その赤い神秘的な瞳で、ただ怪物を見つめた。しかし、怪物は新たなる獲物を前に涎を垂れ流すと、剛直をいきり立たせた。少女に襲い掛かる怪物。
「怖いのね、トマス………」少女は憐憫の思いを込めて呟いた。
 しかし、怪物は聞く耳を持たず、少女の股間へと顔を埋めていく。
「あなたは今、生まれ変わろうとしている。いえ、本来の姿を取り戻そうとしている。そう言った方が正しいわ。古の神、その裔としての姿を………」
 怪物は少女の尻たぶを掴み、粘液質の舌で花裂を舐め回す。しかし、少女は抗うでもなく、むしろ自ら受け入れるかのように、怪物の頭を掴み、股間をせり出した。甘い蜜が怪物の口内に溢れ、喉を流れ落ちていく。
「やがて、あなたは神の眷属としての姿となり、力を得ることになる。そうなれば、今あなたが抱えている漠然とした不安、混沌が生み出す恐怖から解放され、目の前に新たな世界が開ける。矮小な人としての価値観は失われ、新たな価値観が芽生える。その時はもう、すぐ目の前まで来ている………」
 ぬらぬらとした舌が花弁を擦り、淫核を舐めあげる度、少女はぴくりぴくりと反応し、膝をかくかくと揺らした。快感に力が抜けそうになるのを、必死で堪えているのだ。やがておぞましい舌は、菊蕾をも陵辱し始める。長く厚ぼったい舌が股間全体をずりゅずりゅと刺激する。
「い、今は………はぅんっ!!………その恐怖を、………忘れさせてあげる」
 少女の蜜を貪る怪物。少女の言葉通り、怪物は変質しつつあった。青白かった肌はぬめりを増し、極彩色の斑紋が現れて心臓の動きと共に収縮を繰り返す。鼻梁は既に消え失せ、顔の中心には穴があるだけで、口は皿をくわえたように広がっている。そして、腕はその長さを増し、体型も最早、立って歩く蛙のようであった。
 やがて怪物は少女を押し倒すと、着衣を引き裂いた。ぐるぐると白い喉元を膨らませ、怪物は少女の身体を舐め回した。鼻や口をずるずると唾液まみれにし、少女の滑らかな首筋にしゃぶりつくと、次に乳首に吸い付いた。ぷるんと震えるニプルが舌先に心地良い。怪物の舌が這い回る度、手が身体の上を滑る度、少女は身体をくねらせ、ミルクのような甘い体臭を立ち上らせた。
「あんっ!………気持ち好い」
 頬を薄紅色に上気させ、少女は甘い溜息を洩らす。怪物は少女の太股を抱え上げると、亀頭をあてがった。変質の為だろうか、怪物の陰茎は先程よりも太さを増し、こぶのようなものが表面に現れている。
 ぐぬぅっ!!
 鉄棒が淫らにぬめる花弁を掻き分け、少女の中へとねじ込まれた。少女は潤んだ瞳で嬌声をあげる。
「はんぅ、お、お腹の中が、おちんちんで一杯になったみたい………」
 少女が熱っぽく呟く。
 少女の泥濘は火傷をしそうなくらいに熱く、そして、ぬりゅぬりゅと締め付けてくる。腰が砕けそうになるのを感じながら、怪物はその幼い肉体に溺れた。腰を沈め、引く度に、愛液にまみれた肉襞が陰茎にまとわりつき、絡み付いてくる。怪物は我を忘れて腰を突き動かした。淫水が溢れ、じゅぶじゅぶと泡を持ち、飛沫をあげる。
「あん、っう………と、トマス。もうすぐあなたはそのどちらつかずの状態から抜け出すことになる。ひうっ!………はぁ、そ、そうしたら、人の心も失ってしまう。………あんぅ、だから、そ、その前に」
 ぐちゃぐちゃとはらわたを掻き回され、少女は怪物にしがみついてよがり泣いた。
 内なる衝動に駆られ、激しく腰を打ちつける怪物。心の中には自分でもどうしようもないほどの恐怖心が渦巻いていおり、それを打ち払うための破壊衝動が溢れかえり、性的な欲求を満たすことにより逃げ場を求める。今や、怪物の心の中は混沌としていた。そして、その負の感情が支配する闇海の底、そこに沈み込んでいるトマス自身。少女の肉体を荒々しく蹂躙しながらも、トマスの本体は恐怖に泣き叫んでいた。ほんの数週間前まではあの音は、声は聞こえなかったのに………。ほんの数時間前までは人間だったのに………。
 トマスは幼い頃から一風変わった少年だった。誰もいない部屋で誰かと話していたり、他の誰にも見えていない者が見えていると言ったり。そんな奇行は、幼い頃なら誰もが経験することであり、感受性が豊かな証拠だと、トマスの両親は深く考えなかった。実際、そうした奇行は年をとると共に消え、トマス自身もその事を記憶の奥へと追いやってしまった。ところが、最近になって再び奇妙なことが起こるようになった。最初は夜寝る前、奇妙な物音が壁の中から聞こえる事から始まった。眠る直前に聞こえる意味不明の雑音、ざわめき。トマスは錯覚だと意に介さなかった。しかし、音は次第に明確になり、かりかりと、ネズミが壁の内側を引っ掻くような音がし始めた。そして、トマスはその音が大きくなるにつれ神経質になり、ついには白昼夢を見るに至った。自分の知る筈のない記憶が、突然眼前に広がるのだ。ある時は冷たい真空を彷徨い、またある時は見知らぬ惑星に立っていた。そしてついに、壁を引っ掻く音がそうではなく、それが意味を為すもの、ある種の言語であることを理解したとき、身体に異変が生じたのだった。髪の毛は抜け落ち、眼球は飛び出し、舌は大きく晴れ上がった。全身を鋭い痛みが走り、苦痛に身を捩る。おかしな病気にかかったのではと思ったが、例の言語を理解したときから、そうではないことを本能的に知っていた。恐怖が身体を支配し、暴力的な衝動が身体を突き動かす。気が付いた時には人を殺し、少女を犯していたのだ。いくら抑えようとしても沸き上がる破壊的な衝動。まるで、自分以外の誰かが、自分を突き動かしているようであった。謎の少女の言うところの、生まれ変わろうとしている新たな自分。
 トマスは少女の幼い身体を激しく突き上げた。赤い瞳の少女が言うように、今は恐怖が忘れられる。トマスは湧き起こる快感を噛み締めながら、ついには絶頂を迎え、信じられないほどの大量の精液をその小さな膣内に吐き出した。ぶびゅるっと、奇妙な音を立てて白濁液が漏れ、溢れる。のるりと陰茎が吐き出され、トマスは少女の上に倒れかかった。
 少女はせわしなく胸を上下させ、荒い息をついていたが、立ち上がるとトマスに言った。「あと、どの位もしないうちにあなたは別の者に変わる。それが望むべき事であるかどうかは私に分からない。そしてそれは、人であったあなたにも、生まれ変わったあなたにも分からない。だから、私はそのどちらでもない今のあなたに聞きたいの。………何を望む?」
 少女の言葉にトマスは起き上がり、頭を垂れた。怪物の中に残った何者でもないトマスが、最大の自制心を働かせているのだ。それは少女の不思議な力だったのかも知れない。今やむくつけき怪物は、さながら巡礼者のように少女の足下に跪き、何事か口の中で呟いていた。それはまるで何か別の動物が調教によって人と似た言葉を無理矢理話させられているようでもあった。トマスの発声器官はあまりにも変形しすぎて、最早人間の言葉を話せないのだ。それでも、トマスはもつれる舌でひゅーひゅーと音を洩らしながら、贖罪の言葉を紡ぎ出す。
「……ぼぐわ………ぼくわとうざんやかあざんを………あいじて……ほ、ほんどにあいじていだ」そう言って、ぐったりと横たわる少女を一瞥すると。「あ、あう………え、えるじーも………」
 贖罪の言葉を、赤い瞳の少女は無言で聞いた。その瞳には憐憫も侮蔑もない。少女はただ、無言で頷くだけだった。もっとも、それが故にトマスは救われているのかも知れない。安っぽい同情や哀れみは、却って彼の罪の意識を大きくするだけであろうから。
「それは人としてのトマスの言葉?」少女は質した。
 トマスは瞳を軽く閉じると、静かに首を振る。
「………ぼぐは、いば、なにものでもない」
 少女は深く頷くと、トマスの額にその細い指を添えた。
「なら、殺してあげる」
 何の感慨も見せず、赤い瞳の少女は応えた。
「だめぇえええっ!!」
 その時、今までぐったりとして放心状態だったエルシーが起き上がり、そして叫んだ。
「だめ、だめ、だめ、だめぇえっ!!兄さんを、兄さんを殺さないでぇっ!!お願い、兄さんを助けてぇっ!」
 エルシーの必死の哀願に、謎の少女は一瞥もくれずに告げる。
「私には、あなたの遺伝子に押された刻印を消し去ることもできる。そうすれば、あなたは封印された神としてではなく、人として生きていくことができる。もし、あなたが望………」
 少女の言葉をトマスは静かに、しかし、固い決意を持って遮った。
「ぼぐわもう………なにものとじても、いきてはいげない」
 トマスの怪異な顔が歪み、頬を涙が伝い落ちる。何事か言い募ろうとする妹を制し、トマスは赤い瞳の少女にあらためて向き直った。
「光の粒子に………」
 少女はトマスの額に指先で触れると、その部分から怪物の姿は崩壊し、光の粒子として音もなく、さらさらと崩れ去っていった。
 嗚咽を漏らすエルシー。
 やがて、完全にトマスの身体が崩れ去ると、赤い瞳の少女は、股間から伝い落ちていたトマスの精液を指ですくい、ぺろりと舐め取った。
「………永遠に、トマス」
 そう言うと、謎の少女は落ちていた自分の傘を拾い上げた。そうして、傘を無造作に拡げると身体の周りで一回転させる。すると、今まで裸だった謎の少女は来たときと全く同じ恰好で立っていた。今更ながらに、驚きの表情を見せるエルシー。
「あ、あなたは一体………」呟くエルシー。
 赤い瞳の少女はその言葉ににこりと微笑むと、エルシーの元に跪き、その可憐な唇を奪った。突然の事に、エルシーは驚き、目を見開く。
 やがて、エルシーの唇を堪能した謎の少女は立ち上がり、庭に出ると傘を頭上に掲げた。
「私の名前はアニス。エルスペス、あなたとっても可愛いわ、今度私の相手もしてね?」
 言葉と共に少女の身体はふわりと浮き上がり、そのまま風に乗ってどこかへと飛んでいってしまった。
 エルシーは慌てて庭に飛び出すが少女の姿は既に見えなくなっており、銀色に輝く太陽が、ただその威を誇っているだけだった。

 

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