疲弊しきったアンジェラ達は部屋で寝かしつけてあるはずだ
・・もっとも、騎士のほとんどを相手にしたのだから精神的にもぼろぼろだろうが
リースも、あの後まだやり足りなかった何人かを相手にしていたが・・もう、あてがわれた部屋に戻っている頃だろう
部屋の掃除も、騎士達に任せておいた・・・明朝には終わっているはずで
「・・・」
デュランは城で最も高い塔の上に昇ると夜空を見上げる
天の星々すらも、手を伸ばせば届いてしまいそうな錯覚
神にでも達してしまったかのような傲慢な自尊心
「それでも・・」
強くなりたかった、そして強くなった
けれど、それで手にした物は・・・・
自らの欲望のままに生きる、獣・・魔物のような生き方
・・・・人としての自分を捨て、悪鬼のように壊し、歩む日々
・・・それは、本当に自分が望んだことなのか
「考えることは愚かしいか」
人だけだ・・そんなことを考えるのは
動物も魔物も、ただ己の本能のみに従って生きる
同じ生き方、喰らいたいときに喰らい、抱きたいときに抱き、眠りたいときに眠る
欲しいのは・・・それを越える欲求
それだけで自分の生き方が決まるような、強い意思
「生き方・・逝き方・・それを探すのも・・悪くはないか」
眠る必要すらなくなった男は、夜空に手を差し伸べながら横たわる
自分がすべき事を求めながら
「バイゼルからローラントか」
マナストーンを求める4人は再び旅を続ける、リース、アンジェラ、シャルロットを連れたデュランはその道を再び、マイアへと舞い戻ると・・そこから南西のバイゼルへと足を運ぶ
そこからローラント方面の船が出ているのだ、非合法なブラックマーケットの街としても知られているバイゼルは昼の最中にしても影が多く
「・・・・ぅ・・」
アンジェラが身を竦ませる、普段着ている魔導師姿だが・・デュランによって極限まで布の面積を削られた衣裳は乳首や陰毛を覗かせ、尻に食い込み
「・・・」
真っ赤になっているシャルロットは数歳成長した状態で・・・前掛けだけを与えられている、横から見れば白い肌が見やすい衣裳は、跳ねるだけで股間を覗かせ
「・・・」
さすがに恥ずかしいのか、手を股間の前で組み交わしているリース、動きやすいように腰元までスリットの入ったスカートは・・下に何も履かず
白い薄絹を纏っただけのフェアリーが、ピンク色の突起や股間の茂みを覗かせながら続いている
ブラックマーケットの街とは言え、ここまでおおっぴらに痴態を晒させているのは初めてだろう、男達の好奇の視線が注がれ
街を歩き回る内に陽が落ち始める・・・バイゼルの本当の姿は、日が完全に落ちてから現れる・・・闇市の姿が
デュランは4人を連れたまま、ブラックマーケットへ繰り出し・・・
「ロイヤルストレートフラッシュだ」
感嘆とも溜息ともとれる息が周りから漏れる、ずっと・・デュランにコインが集められ
・・・周りの殺気が一層濃くなる
ブラックマーケットのカジノに繰り出したデュランは、迷う素振りも見せずにリース達を担保に大金を借り入れ
「フルハウス」
・・手元でえみゅを弄りながら大勝ちを続けている
いかさまではないかと騒がれたため、テーブルに裏向きのままカードをランダムに出させ、それを対戦相手に裏返させているのだが
「フォーカードだ」
・・・負けたときは暴れてうやむやにしようと思っていたため、4人を担保に得た金を一点賭けしたのだが。どうやら正解だったようだ
見たこともないような大金がデュランの前に積まれる・・・これでは、換金の時に殺されても文句は言えないだろうが
「・・そう言えば、ココは情報も売ってるんだったな?」
勝負の途中から出てきたブラックマーケットの元締めに問う、元々、そう言うつもりで来たのだ・・・えみゅが機能しなければ暴れるつもりだったが
「あぁ・・何が知りたい?」
デュランがコインの半分ほどを渡しながら考え込む・・・
「エリオットという名のガキの所在、アルテナの侵略の度合いと女王の近況、ヒースという名の男の居場所」
そして提示された言葉は連れの者達を喜ばすに十分な物ばかり
特に・・・細かい特徴に言葉が及んだときには
「そのガキなら・・覚えがあるな」
1人が呟く、エリオットと似たような容姿、性格の子供を赤い眼の不気味な男に売ったのだという
リースはその言葉に大きく反応し。問い詰めの手を緩めず細かい特徴まで聞きだしているようだが、アルテナの女王の最近の動向に関しては色々と聞け、その行動がアンジェラに言わせれば異常らしい事も知れた
・・・だが、ヒースのことまでは分からず
デュランは男達にもっと詳しく調べて置いてくれと、稼いだ金の大半を返しながら言ってのける
・・・彼等に人並みの心が有ればそれなりに働いてくれるはずで
デュランにすれば分からなくても構わない、だが、この行為は奴隷達を逃げづらくするだろう
少なくとも、デュランと共にいる方が情報を集めやすいと思っている内は・・・
自分には分からない感覚だ、自らをすり減らして生きることは。けれど、少なくとも彼女達はそれを持ち
「フラッシュだ」
・・・元締めが頭を下げるまで、デュランの気ままな振る舞いは続いた