数人での徒歩での行軍。それらが他人の住処に足を踏み入れる。気配は微塵も感じさせない…
もっとも、魔導師であり神官であるカーラに気配を察知する術があるかは疑問だが
彼女は自分達をどう捉えているだろうか。昔マーモの傭兵だったこと…ベルドに恩義があること。それ故にフィアンナと後方攪乱を受け持った
けれど、その努力はカーラによって打ち壊された
自分達にとってのベルドの存在を、軽視していたのか。彼女は踏み込むべきでなかった足を踏み出し
彼等も足を踏み出し…大きな扉を開く
そこには、玉座のような大きな椅子に座すカーラの姿
護衛らしき戦士が数人。こちらを面白そうに眺めてきている
「…やはり来たのね」
分かってはいたのだろう、剣を構えるパーン達に当然のように微笑み
一瞬の邂逅…けれど、パーン達が必要としたのはその一瞬だけで良かった
…駆けだす、カーラ目指して…一気に踏み込み
「万能なるマナよ、その姿を死の具現と化し。我に抗う全ての者に死の抱擁を与えよ」
「なっ…」
スエインの呪文に護衛の騎士達が次々と倒れ伏す。その身体に既に命の灯火はない
カーラが放った火球はギムとパーンを包み込んだが。何ら痛痒も与えず
死の煙…古代語魔法の中でも最上級の代物だ、大陸にしか伝えられないとも聞き…それをスエインは事も無げに扱い
カーラは慌てて転移の魔法の準備にはいるが
「邪神ファラリスよ、その加護によって願う、我が自由を護るためにかの者の自由を奪え。クリップル」
杖を握る腕が動かなくなる…
エトによる暗黒魔法…これもかなり上位の魔法…連続して繰り広げられる最上位の魔法使いによる呪縛にカーラは意識を奪われ
慌てて古代語魔法の詠唱をキャンセル。数瞬逡巡し…逆手に持っていた盾をパーンに向ける…彼女には剣士だった経験もある、盾で受け…大地母神の神聖魔法でこの場を脱すつもりで
カーラは、パーンが手にする剣に気付かず
深々と突き刺さる剣は盾をくぐり抜けカーラの腹を凪ぐ
…カーラの剣技を持ってすら、パーンの一撃は受けることが出来ず
…漆黒の大剣。ソウルクラッシャーがカーラの魂そのものに衝撃を与える
そして、ギムの腕がカーラを掴み
「邪神に願う。その身に流れる血を毒の一滴へ…ポイズン」
急激な脱力感
…血液の一部を毒に変えられた。衝撃と痺れとに倒れそうになる…
精神を著しく損ない。腹には深い傷…血の一部を毒に変えられ利き腕を封じられ
カーラは。力の大半を奪われ
「フォースッ」
放たれた衝撃波がパーンとギムの腹を叩く…が
ニースの愛娘レイリアの全力を注ぎ込んだ魔力ですら。眼前の2人の戦士は何ら意に介することなく
パーンが腕を伸ばし左腕を掴んでくる…次の瞬間、カーラの肩の関節は外され
「ぐっ」
「ポイズンっ」
毒が再び全身を走る…先程の物も残っている。濃度を増した毒液にカーラの身体は軽い痺れに襲われ
「フォ…」
両腕は使えなくとも衝撃波なら放てるはず…周囲一帯に爆発的な衝撃波を放とうとしたカーラは、その顎を掴まれ言葉を封じられ
パーンに…顎の関節が外される、言葉すら自由にならなくなり
「麻痺の雲よ」
ギムやパーンを巻き込むようにして痺れの煙がカーラを襲う
2人は容易く耐えるが…既に麻痺毒に冒されかけていたカーラにはつらいものがあり
「「ポイズン」」
…走り寄ったエトとギムによって血液のほとんどを毒に変えられた瞬間。カーラの身体は抗う手段を無くした
身体が満足に動かない
舌さえ動かず、倒れ込み痺れる身体を横たえるカーラは…パーン達を睨みながら何も出来ず、瞳に煮た輝きを発するサークレットだけが不気味な輝きを放ち
「まだ殺しはしない…支配されたくはないからな」
知られている…滅びも確実なようだ。サークレットを奪われ破壊されれば、カーラはもはや存在を無くすだけで
腹の傷が癒される…男達はカーラを囲い
「それに…お前には死に勝る苦痛を味わってもらわないといけないしな」
その言葉の意味を一瞬、取り違え…そして、衣服を剥ぎ取られた瞬間自分の身に与えられるだろう恥辱に身体を震わせる
晒される肌…大地母神の加護を受けたレイリアの肢体が露わになり
「…あ…ぐ」
声を漏らすことも出来はしない、その中で…カーラは全裸を男達の前に晒し
魔術師らしき男が筆を持って近付いてくる。魔法帝国の生まれならばそれが何なのかすぐに分かる
男が蛮族の奴隷を完全に従属させるために用いた魔法道具
ギアスやクエストと言った魔法による従縛をさらに強める代物だ…どんなに強靭な戦士でも36度に一度は平凡な失敗をするという
…たとえ児戯の如き魔法しか用いられない見習いでも36度に一度は奇跡的な効果を発揮するという
それのどちらかが発揮されるまで繰り返しギアスを用いられ、かつその魔法道具を用いられれば…カーラですら、抵抗する術はなくなり
…筆先がゆっくりとカーラの肌を撫でる、すぅっと…敢えて触れるか触れないかの微妙な力で這う筆はカーラにこそばゆさを感じさせ
「んくっ…」
その間にもカーラの衣服は剥がれていく、男数人がかりで押し倒され…下着も奪われ。カーラは全裸で取り押さえられる
身に帯びているのは額のサークレットだけ、ツンと尖った乳首も豊かな双丘も。生え揃った恥毛すら…全てを晒し
自然のままにと言うマーファの教えに従う女の肢体は純潔の美しさを確かに保ち
…その身体に塗料で紋様が描かれていく、奴隷の中でも最も卑しい性奴隷の紋が
「んぅいっ…ぐぅぅっ」
暴れようとするが、毒によって自由を奪われた身体は微塵も揺らがず。舌すら噛むことが出来ない
死ぬことが出来れば支配の魔力が顕現されるというのに、カーラの死体は束縛され
…その白い肌を筆が伝う。カーラにも恋人は居た…過去の生の中で男と契ったこともある
けれど、レイリアの身体はそう言った感覚とは無縁の生をし。全身を駆け巡る感覚は処女のそれだ。初々しい肌を走る筆は性感帯を撫で上げながら紋様を身体に刻み
「お前を封じさせてもらうぞ…カーラ」
神官と魔術師が何かを唱え始める
…邪教団の儀式、彼女の知らない系統ではあるが…過去の記憶の中でよく似た儀式は見たことがある、暗黒神ファラリスの儀式で…
『我等の自由は他者の自由を奪うことによってもたらされる』
全身を這い回る紋。強力な魔力…魂が、束縛されていく
レイミアと、カーラの魂が…
「さて…まずはゆっくり教えてやらないといけないな」
「んぐっ…ぐぅぅいっ」
魂に枷が嵌められる、自分とレイリアの魂に鎖が巻き付き…
「…お前は死ぬことも許されない」
パーンの呟きが魂に刻まれた…
「俺達の言葉にただ従順に従う牝犬だ」
自由を奪われたカーラ、そして束縛の魔力が全身を苛む
「さぁ…悦ばせてやろう」