「・・・」

窓から空を見上げる

・・・金色と蒼の双眸、特異な眼が蒼穹を見上げ・・薄く、口元を吊り上げる

視線を下げ、道を行く矮小な命達・・それらを踏み潰す想像に、口元を綻ばせ

「お兄ちゃん」

・・・ノックの音に、急ぎ布団へ戻る

身体を駆け巡っていた性的な興奮を鎮め

「お兄ちゃん・・」

ひとまず、聞こえる少女の声に身を起こそうと

「ルイセちゃん、そんなのじゃ駄目よ」

ふと、聞き慣れぬ声・・義妹でも、義母でもない少女の声に、怪訝そうにする中で

「ティピちゃん・・・キィィック」

・・・鼻柱の鈍痛は、全てを闇に返した
 
 
 
 

箱庭の日常

幽閉の日々

自由など有り得なかった17年・・それから解放される

ちびと、そして自分を監視する役目にあった宮廷魔術師の言葉に、歓喜を押さえながら答える

・・・世界を滅ぼす闇、世界を救う光・・・

相反する神託を授けられた自分には、幾つもの監視の目があった・・けれど、17年、自らを諫めて過ごしてきた日々の中で・・・自由が、手に入る

なんと喜ばしいことか、なんと幸福か

けれど、義理の母から与えられた言葉は確かにそれを肯定する物

・・・・

「自由だ」

・・街から出られる、常にサンドラの息子としての監視下にあった自分が、自由を得、大手を振って監視から逃れられる

それは・・考えるまでもない、幸福

・・・・まぁ、差し当たっては

「さ、買い物に行きましょ」

・・・新しい監視を何とかしなくてはならないが

ぱたぱたと羽をはためかせて舞うティピ・・・妖精の姿をした魔法生物に嘆息しながら、鋭い眼を辺りに向け

・・・考える、如何にしてこれを処分するかを

ルイセもサンドラも、いい獲物でありながら手を出すわけにはいかなかった、けれど外に出てしまえば、辺りには獲物が転がっている

完全な自由を・・・そのために、まずはこれを排除・・・それには・・

物陰に潜むと怪訝そうにするティピに向け呟く

「スリープ」

眠りに落ちた妖精を手にすると、ゆっくりと考え込み

(サンドラとの精神感応・・それを何とかしないと)

・・・スリープ然り、サンドラの魔導書を盗み見て学んだ知識から精神感応に関する知識を引っ張り出す

そして

「買い物の時間は30分くらいしかないからな」

急ぎ、城へ向かうとサンドラの研究室へ忍び込み・・・ティピに改造を施す

精神感応が自分の意思で使えないように

持ち主の命令に逆らえないように

他者に持ち主の私的な情報を伝えられないように

・・・彼・・グローは、妖精を改造すると、嬉々として自宅へと帰った・・・これから始まるだろう、自由の日々を期待して・・・
 
 
 
 

「お兄ちゃん、行ってらっしゃい」

・・・買い物が終わったと告げ、急ぎ買い込んだバンダナだけを巻いて帰宅したグローは

義母と義妹に行ってくると告げると・・・何故かふらふらとしているティピを連れ

・・・ひとまずは、茂みへと、姿を消した・・
 
 
 
 
 
 

「あんた、いきなり何処行く気なのよ」

溜息を付き、呆れたように言うティピ・・手首ほどの大きさのないそれを連れ、下水道をくぐり・・街の外れ、人気のまるで無い茂みへ姿を消したグローは、ダンディブックなどを拾いながら

「・・教育できるところさ」

ティピを握り潰す、掌に圧迫され、むぐむぐ言っているそれを・・迷うことなく、グローは手近に流れる川へ沈め

・・・・グローの指の間で藻掻くティピ、けれどグローの腕は手首ほどから水に沈み・・藻掻く彼女の口や鼻に水が流れ込む

しばらく沈めた辺りで解放し

「あ・・あんた、何す」

「自分から水に沈め」

言い放つ・・怪訝そうにし、手の届かない辺りに避難していたティピは、けれど・・すぐに自分から川に身を投げ出し

・・・藻掻き苦しむティピ、それを楽しみながら、グローは自分が施した制限が完全に架せられていることを確認し

・・・自由を、手に入れた
 
 
 
 

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・・・飽田は反応が少ないとつくづく更新が遅れますので
ちなみに、レスはとことん遅いです
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