・・・あんた・・狂ってるわ、もうルシオラは死んだのよ?

知ってますよ・・美神さんが言ったんですよ、子供にルシオラの霊気片を遺すことが出来ると

・・・それで?私を監禁してレイプ?ふざけないで

必要なんですよ、高圧な霊気を持った母体が・・俺は今までまともに女は抱いていません、ずっと・・ルシオラのために

・・・狂ってる・・あんたはもう、狂ってしまった!死になさいっ、せめて私の手の届くうちに
 
 
 
 
 
 

『今日のニュースです・・・今世紀最高位のGS、横島老が・・自らの生の限界を感じ、近くに死去することを公表しました・・・横島老は一世紀の長きに渡り最強の座を護り続け、西暦2130年度のGS模擬戦闘訓練においても無敗という、140を超えた老人とは思えない実力を発揮しましたが

寄る年波には勝てず、霊力による肉体の維持も限界とこぼし、自らの肉体が数日のうちに崩れ落ちると友人に話したそうです

横島老は20世紀末最強のGS美神令子の助手としてGS資格を取得、伝説のアシュタロス事件においてその才能を発揮し、2010年、美神令子の死去後、美神氏の後を継ぐ形でGS事務所を開設、精力的な働きでその後数十年に渡り悪霊を除霊し続け

・・・霊力により肉体に魂魄を繋ぎ止め、今日まで生き延びてきました、その霊力は一世紀の長きにおいても未だ最強、特に全盛時においては文殊と呼ばれる特殊呪法によってあらゆる特性を持った霊術を用い、現在は気功術と仙術を組み合わせた闘術

また、魔術や龍族にのみ伝わる秘術も用いるとされ、その経験は130年のGS歴が実証しております

生涯独身を貫き、唯一の直弟子ほたると、半世紀の間横島老の助手として生きた、最強のアンドロイド、テレサ弐式のみが面会を許されている状態です

彼の身を案じる人々が・・・』

プツッ

・・・・しわがれた指がモニターの電源を切る

枯れ枝のような指は、もう満足に動きもせず・・・

「マスター・・お身体の具合は?」

「・・・悪いさ・・もう、半日保たないろうな・・」

金髪碧眼の美女・・・長身痩躯、年の頃22,3ほどだろうか・・理知的な双眸を暗く沈ませスーツに身を包ませた女は、目の前の・・既に、死骸のような風貌を持つに至った主に、女性として理想的なプロポーションを跪かせ

「・・では、計画を」

気休めの薬を口に運ぶ・・撫でられる頬は、そのために自分が存在する故で

「ああ・・体が無くなってからでは・・・私の一世紀が無駄になる」

声を出すことすらつらいのか、ヒュゥヒュゥと喉を鳴らし、しわがれた指を扉に向ける・・・それは、指先から念動力となり、扉のノブを開ける

・・・今彼は、同じような能力で崩れ落ちそうな身体を支え続けている、140という人間の寿命を無視した齢は彼の苦闘の結果だ・・・

彼の念動力で開かれた先には、両手一杯に荷物を抱えた2人が歩いてくる

・・・予見したのだ、来ることを・・・未だ、彼の霊能力はまったく衰えていない

「頼まれていた物、持ってきたぞ」

そして、開かれた扉の奥からは自分とそう変わらぬ高齢の老人が近付いてくる

しわがれた指の持ち主が現代最強の霊能力者ならば、彼は最高の錬金術師・・・

テレサを創り上げたのも彼だ

Drカオス・・世界でもっとも知と、歳を重ねた識の守護者

「そうか・・これは・・謝礼だ」

「・・うむ」

カオスが運んできたのはかなりの量の呪的アイテムの数々、総量は・・・実は、国家予算にも相当するほどの資金がかけられている、彼の全資産と借金、それに美神令子の遺産を全てつぎ込んだ

勿論、それと引き替えに渡される物も通常では入手は不可能な代物

輝くそれは、カオスの手の中で確かな文字を浮かび上がらせ

「『精神時間逆行』の文殊・・6文字もの文殊をこうまで安定させられるとは、さすがじゃのぅ」

・・・Drカオス・・永遠の生を持ちながら、精神がそれに満たなかった老人だ、けれど・・カオスは特殊な呪法により、精神のみ数百年の時を遡り全盛時の全てを取り戻した・・・

それと引き替えに、彼はテレサを創り上げたのだ

その能力を世界で唯一与えられるのが彼・・横島、あらゆる可能性を持つ文殊を扱える唯一の存在

「分かってるとは思うが・・・今の記憶は消える・・マリアに」

「ああ、勿論じゃ」

副作用、ここ数百年の記憶が消えるが・・・彼が持つアンドロイド、マリアにかかればそんな心配は杞憂に終わる、全ての情報を彼女の中に保存すればいいのだから

「・・お前とも、そろそろ別れじゃの」

「・・・・美神さんを殺してからの百年・・長かった」

・・・望郷に浸る男の背で、空間が歪む

ふっと、しわがれた老人の背に少女が舞い降りる・・小柄な少女、13,4だろうか・・黒い眼を枯れ枝のような顔に向け、安心する・・まだ、死んではいなかった

控え目に縮こまる彼女は、そっと・・血に濡れた指を横島に向け

「父さん・・小竜姫、殺してきました」

黒い髪と紫紺を思わせる神秘的な瞳、おかっぱに髪を揃えた彼女は父の手に、神族でも名高い神の角を与え

「・・後戻りは出来なくなったか」

神と言えど、限界はある・・・絶対に仲間と信じきっていた少女、横島を継ぐとされ直弟子として育てられた彼女なら、一瞬の隙が在れば十分だ

・・・ほたる、横島の直弟子にして・・娘

子を為せない身体となった彼が体外受精によって高名なGSの卵子と自分の精子で体外受精・・ルシオラの旧知の友人だったパピリオを仮腹として産み出された生命・・

彼の、娘だ

本来ならば美神を仮腹として産み出すつもりだったが・・100年前の失敗以来、体外受精以外での出産は不可能になってしまったのだ

「・・・ルシオラ」

・・・娘だ、彼が命をかけて産み出した命、愛した女の・・忘れ形見

テレサが懐から仰々しく布を差し出す・・霊糸を何万本も編み込み、竜族の逆鱗でコートし、神族の加護を与え、魔術で産み出した

およそ、考えられるオカルトアイテム全てを凝縮したそれは、今のままでも例えば・・防具として用いればあらゆる魔を斥け、けして斬れぬだろうし

霊能力の増幅も勿論行う・・・けれど、一世紀の長きに渡り作り上げたそれには、1つきりの力しか付与されず

バンダナのようにして・・・それを額に巻く

「・・・美神さんの呪いは永劫に続く、けして解かれることはないだろう・・」

100年前から自らの身体を蝕む呪詛・・・けして女に触れられないと言う

それは、性欲の塊とも言える彼には煉獄に等しく・・現に、一世紀を越える生の中で彼は女に触れることすら出来ず、ただ悶々とした生涯を過ごしてきた

だからこそ、ルシオラの復活すら出来なかったのだ・・ただ、ほたるを産み出すことしか出来なかった

・・・100年前・・・

・・・美神令子を殺そうとしたときに、彼女は自らの命と引き替えに彼を呪って消えたのだ・・・

・・・それが・・・美神から遺された傷痕・・・

死と引き替えの呪いは、永劫に渡り、横島に異性に触れられないと言う呪いを遺した

・・・これは、それを解き放つための行為・・・

「さぁ・・始まりだ」

西暦1997年

全てはこの時から・・始まる
 
 
 
 

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・・・飽田は反応が少ないとつくづく更新が遅れますので
ちなみに、レスはとことん遅いです
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