モンバーバラ
酒場や大きな劇場もある大きな街だ、特に・・何年か前から、街で2人の名を知らぬ者は居ないほど、有名な双子の姉妹がおり
「?・・・」
妹、ミネアが表情を曇らせる
水晶玉に向かって一心に祈る彼女は凶兆を見つけ、それが世界全体に達することを察する
・・・何か、不吉な現象が水晶玉へ映り
何かがやってくる・・・そんな、嫌な予感に突き動かされ
「この街一番の踊り子ですか・・楽しみですねぇ」
「やれやれ・・年寄りには長旅はこたえるわい」
・・・・神官と老魔術師が通り過ぎていく
一瞬、何か感じたことはあったが。凶兆の原因を調べるのが先で
・・ミネアは凶兆の最大の原因を見逃すこととなった
舞台の上で褐色の肌が艶めかしく翻る
肌も露わに舞台の上を所狭しと駆け回る姿は躍動美に溢れ、その四肢がくねるたび歓声が上がり
胸元と腰回りだけを覆った水着のような衣裳で跳ね回る女をじっと、舐めるように眺める2人
有る意味異色だ・・・何せ神官と老人なのだから
舞台の上の踊り子、マーニャも怪訝に思いながら跳ね回り・・
「あの娘・・もしや・・」
「・・・そんな感じがしますね」
ぼそぼそと呟き合う・・・評判の踊り子と言うことで見に来たが。彼等が探し求める人間の気配がしたのだ
もしそうなら、今のうちに潰しておくべきで
「・・ふむ」
何やら頷くと、踊りも終わっていないのに突然劇場を出る2人・・・そのまま、裏口へ回り
・・・
「ふぅ・・・」
一回目の公演を終えたマーニャは気持ちよさそうにソファに身を投げ出す、思う存分踊れたのだ、満足感が沸き上がり
二回目はより情熱的に踊れる気がする、幸い一回目で身体もほぐれた・・・問題など何処にもなく
「マーニャ君」
「あら」
劇場主に頭を下げる、機嫌の良さそうな男はにこにこと笑いながら。マーニャに近付いてくる・・・異常なまでに上機嫌のそれに一種薄ら寒さすら感じながら
マーニャは激情主の言葉の続きを待ち
「次の公演だけどね、特別頑張ってもらえないかい?」
「はぁ・・・・」
「エンドールのカジノの経営主が来てるんだよ、それ如何によって君を招きたいとも言って」
カジノ・・その言葉に一気にやる気が増す
この女、賭け事が大の好物なのだ・・エンドールのカジノならば報酬も多いだろうし、何より経営主と言うことなら多少の無茶は効く
マーニャにとってこれほど条件のいい仕事はなく
「とにかく、多少調子が悪くても最後まで踊りきって欲しい・・こう言うのは途中でやめるのが一番評判に響くからね、是非頑張って」
「はい」
・・気合いを入れる、四肢にうっすらとかいた汗を拭く
やる気がどんどんと増し
「それと・・まだ時間があるね、何なら会っておいても良いから水浴びしてくるといい。その方がきっと気に入られる」
確かに、二回目の公演にはもう少し時間がある・・マーニャは喜びながら水を浴びに走り
「・・単純な奴じゃ」
劇場主は髭をこするように顎を撫でる。髭のない顎は何も触ることはないが・・その仕草は手慣れた物で
「これでわしの仕事は終わりじゃな」
・・・後は、クリフトがうまくやるだろうし
・・・観客の方にも仕込みはしてある。今頃は大半が化けた魔物になっているはずで
「楽しい楽しいステージを・・始めようかの」
笑いながら・・煙と共に突如老人へと姿を変えた激情主は踊り子の服を弄りだした
・・・艶めかしい音楽と共にマーニャが姿を現す
褐色の肌を踊り子の衣裳で包み、躍動感溢れる演技をする・・・勇者の1人である可能性を持つ女
クリフトとブライはかぶりつきからそれを眺め
「・・・♪〜〜・・・」
鼻歌交じりに踊るマーニャの姿を眺める・・楽しそうな彼女はこれから身に振りかかる地獄も知らず跳ね回る
躍動感溢れる踊り、艶めかしく身をくねらせる様を眺めながら・・
「さて・・そろそろやるかの」
ブライは杖を握る、客席に座る男達は巻き起こる喜劇を前に下卑た笑みを浮かべ。ブライがその杖を振ったとき
・・・急に、踊り子の衣裳が股間へ食い込んだ
「っく・・」
脚がふらつくが、慌てて体制を整えるマーニャ、汗を浮かべる褐色の肌をひらめかせながら、マーニャは大きく脚を動かし
・・前掛けが大きく跳ねる
いつもと同じように纏ったはずだったが、気負ってしまったか・・・股間に食い込む布地のせいで動きにくく。前掛けが少しだけ長くなる
ふんどしのように前後に垂れ下がる布は汗を吸って湿り・・当然、股間に食い込む布も湿り始め
・・・薄く乾燥されていたそれが水分を求めて動き出す
「・・・・ふっっ・・・んっ」
股間に食い込む布を何とか気にすまいとして踊るマーニャ、脚を大きく拡げると高く上げ・・そのままの勢いで跳びはね
(な・・に?)
股間に何かが当たる、突然服の中に何かが出来たような感覚。脚が満足に動かず
「・・・ん・・」
・・・マーニャが纏う衣服は少ない
光沢を放つ胸当て、金属で出来たそれで乳房を隠し・・紐で結ぶショーツと、腰に巻いた金属の鎖に通す布だけだ
その・・ショーツと布が食い込み
・・・虫のような何かがショーツの中で蠢いているような感じがする
我慢できないわけではないが、影で下着のずれを直したいとは思い・・
・・・劇場主が頑張れとジェスチャーしている、この舞台だけは・・・些細なことで中断するわけには行かず
「くぅっっ・・」
大きく脚をひらめかせる
・・・汗が零れ、蒸す下着の中で・・・そこへ張り付けられた乾燥したしびれクラゲの子供が蠢くが
・・・その不気味な感触に耐える、彼女は下着の中で蠢く何かを気のせいだと信じ
水分を吸ったクラゲはどんどん大きくなる。それはクリフト達の予想通りの動きを示し
・・・秘裂を嬲り。毒を放つ
「んっ・・・ぁぁ・・」
汗を滴らせながら舞い続けるマーニャは・・踊り続ける、音楽は最高潮。最も盛り上がっているタイミングだ、まさかこの状態で脇へ逃れることも出来ず
汗のみならず、股間を塗らしながら踊り続ける・・・マーニャ達の踊りは扇情的な様で観客を興奮させる種の物だが・・・その雰囲気は普段のそれより遙かに情熱的で
多くの視線を浴びるのを感じながら、マーニャの身体は前のめりに倒れ込み
「あ・・え?」
身体が痺れて動かない・・ぴりぴりとした痺れが全身を周り。そのまま舞台へ倒れ込む
踊りに失敗した、倒れ込むマーニャに・・けれど、観客達は騒ぐことなく
・・・客席に向けて大きく脚を拡げるマーニャにその視線を向けた