真昼の情事/官能小説

  ミルク宅配便

                        蛭野譲二

   5.冷凍パックを送る日


  
 二日後。母乳バンクに冷凍パックを送る日がやってきました。

 あの坂崎クンが来る日です。

 夕飯の仕込みが粗方終わったところで、瑠美にお乳をあげました。

 何時ものことですが、瑠実が飲み終わってもオッパイの痛みが取れたくらいで、まだミルクがたくさん貯まっている感じです。

 でもこの時は、残乳を搾らないことにしました。母乳が溢れ出るのが収まるまでガーゼをそっと当てて待ちます。

 母乳の滴が少なくなったところで、新しい母乳パッドを二枚重ねにして、ブラにオッパイを仕舞いました。

 それから暫くして、宅配便が来ました。予定どおり坂崎クンです。

 「ご苦労様。そのボックスに詰めて、そのまま持っていって貰いたいから、上がって待ってて」。

 ウチに上がるのは初めてでないし、重いボックスを引き取ることも分かっていたので、今日の彼は素直にリビングに付いてきました。

 「直ぐに詰めるから、また飲み物でも飲んでて」  私は冷蔵庫から、またアイスコーヒーを取り出します。

 「あっ、そうだミルク要るんだったわよね。いっそカフェオレにしてあげましょうか?」。

 一昨日のことを思い出したのか、彼はハッというような顔をします。

 「また、母乳でいいわよね」。

 私は彼が返事をする前にちょっと強引に誘導してしまいました。彼は頷くしかありません。

 「そのかわり、今日は新鮮なのを入れてあげるね」。

 その言葉を聞くと、彼の眉がピクッとします。

 私は、搾乳器を準備しました。

 「見ないでね」。

 そういうと彼に背中を向け、ブラウスのボタンをはずしました。

 さっき搾乳しなかったので、ブラから出した乳首からはミルクが滴っていました。そのまま搾乳器を当ててスイッチを入れると、勢い良く母乳が噴き出します。

 プーンというモーターの音に混じって、背中から坂崎クンの息づかいが聞こえてきました。おそらく、相当にどぎまぎしているのでしょう。

 搾乳器には、小さい方の容器を付けていたので、二、三分で容器が一杯になりました。

 ブラウスのボタンは、二つだけ留めて振り返ります。

 彼の視線は一瞬、袷から覗いているブラジャーに向けられますが、直ぐに目を逸らそうとして、泳いでいました。

 私は、笑顔を絶やさないようにして、容器の母乳をコーヒーの入ったグラスに注ぎました。

 「はい、どうぞ」。

 本当は、私も椅子に座って少し話でもしていたかったところですが、妙な雰囲気になり過ぎるのも何なので、直ぐに冷凍パックをボックスに詰め始めました。

 冷蔵庫の前で何回も立ったりしゃがんだりして居ると、彼から声を掛けてきました。

 「随分ありますね。それ何ですか?」。

 「これはねー、母乳を冷凍にした物なの。送り先が病院になってるでしょ。お乳が出ないお母さんのために送ってあげてるの」。

 私は出来るだけ事務的にしゃべりました。でも彼は「まずいこと聞いちゃったな」っていう顔をしてました。

 「わたしはねー、お乳が出過ぎちゃって困っているくらいなの、その余ったミルクが少しでも人の役に立ってるっていうのが嬉しいの。だから、あなたに飲んで貰うのもまんざらじゃないのよ」。

 彼が罪悪感を持たないようにと話をしていたら、彼の緊張感もだいぶ解れてきていたようです。



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