真昼の情事/官能小説

食物循環食物循環

                        蛭野譲二

   1.三人家族


  
 枝美子が寝室からダイニングルームに戻ると、一郎は、風呂からあがり一段落したところだった。

 「もう寝たのか?」。

 ソファーに座ってテレビを見ていた一郎が振り向いて言った。

 枝美子は、生後十ヵ月になるの亮太を寝かしつけたところだった。

 「オッパイもたくさん飲んだし、朝までぐっすりじゃないかしら」。

 「明日は休みだし、ゆっくりできるな」。

 一郎は軽く微笑み言って立ち上がった。

 これから二人の夜が始まるのである。

 二人の初めての子供である亮太が生まれてから、三ヵ月過ぎるまでは、とても二人で夜を楽しむどころではなかったが、授乳回数が減り、子育てに少し慣れてきてからは、徐々に夫婦生活の回数も増えてきた。

 出産という大きな経験をしたせいもあってか、それ以前より大胆になった夫の要求にも、枝美子は素直に応えられるようになっていた。

 数ヵ月前に「子供も大事だが、俺たちは子育てマシンじゃない」と言った夫の意見にも妙に納得させられてしまっていた。

 出産後、体形がほぼ元に戻ると、一郎は枝美子に、少しずつ結婚前のような派手な洋服を着せるようになった。

 結婚前まではイベント・コンパニオンをしていただけに、元々スタイルには自信のあった枝美子である。「おまえも『子供を産んだらオバさん臭くなった』とは言われたくないだろう」などと説得されれば、夫の要求を強く拒絶することもできなかった。

 復帰当初は、家の中でコスプレ的にミニスカートを穿いたりしていただけだが、最近では亮太を連れて夫と出かけるときも、かなり大胆なファッションに身を包むようになっていた。

 元々一郎は、スタイル抜群の枝美子に派手目の格好をさせるのが好きだった。恋人時代は、たいていミニスカート中心のファッションで、キュロットやスラックスを穿くことは一切認めていなかった。

 最近は、子連れにもかかわらず、膝上十センチ以上のミニスカートを穿いて出掛けるように指示することも珍しくなくなった。

 一郎に授乳しやすさを説かれ、バストコンシャスな格好もするようになったが、こちらの方はまだ少々抵抗があった。と言うのは、枝美子の胸は、あまりにも大きくなり過ぎていたからである。

 枝美子は元々細身の割りに胸が大きく、妊娠前からDカップのブラジャーをしていた。妊娠期間を経てさらにバストのサイズは十センチ以上も大きくなっていたのである。

 出産後ウエストのサイズが元の五十センチ台に戻っても、バストは九十七、八センチのままで、小さくなる気配は全くなかった。

 妊娠前に着用していたブラジャーは、全くサイズが合わなくなっていた。しかも普通に売っているブラジャーでは、とても枝美子の巨大な乳房をカップに収めることはできない。

 「授乳用ブラジャーは、ダサいからやめとけ」という一郎の指示もあり、初めはインポート物のブラジャーの中からサイズの合うものを探して、何とか身に着けていた。

 しかし、それでも窮屈だったので、最近では特注でブラジャーをあつらえるようになっていた。

 「せっかくオーダーで作るのだから、授乳しやすく、野暮ったくないものを」ということで、主にハーフカップ・タイプのものを身に着けるようになっていた。



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