THOUSAND SHADEヨーコ様

「・・・兄くん・・・

 兄くんは・・・私だけを・・・みる。

 私だけを・・・愛する。

 そして・・・私だけを・・・感じるの。」

 

 黒魔術、悪魔、呪い・・・僕は図書館から借りてきた分厚い本を開き、そういった単語と格闘していた。勿論そういった本を広げているということはそういったものに興味がある訳だが、僕の場合はちょっと違った。

「なんか、わからなくなってきたぞ・・・」

 魔術といった言葉に胸を躍らせながら本を開いたはずの僕だったが、数十分経った頃には最早はじめの勢いはなかった。やがてパラパラとページをめくってゆき、適当なところで本から眼を離して寝転んだ。

「千影はわかるんだろうな、やっぱ。」

 僕はベッドの上で天井をみつめながら一人ぼやいた。そう、僕が魔術だの呪いだのいう本を読んでいたのは個人的に興味を持っていたからじゃない。僕の妹、千影が夢中になっているので、僕も少し触れてみることにしたのだ。図書館にいって本を探している内に僕自身の興味もある程度までは膨れ上がったが、選んだ本が悪かったのか、オカルトの基礎知識の『き』の字もない僕には全く読めない代物だった。

 ――千影。僕の妹だ。紫がかった長い髪に蒼い瞳。服の色は黒を好み、静かに、ただ静かに物語る。そのさまはまさに幻想的、という言葉がぴったりだった。そして千影の趣味は、オカルト。その熱中ぶりは半端ではなく、実際に赤い十字架の入った白いローブをまとって何かしらの儀式をおこなう程だ。実のところ僕が千影に会ったのはつい最近で、僕は千影があらわれてから毎日驚きっぱなしだった。そんなことを考えていると、突然部屋の電気が消えた。

「兄くん。」

「うわあっ!」

 前触れなくやってきた千影の声が僕の身体をびくつかせた。みると、部屋の入り口で千影が一人、火の灯った蝋燭を持って立っている。部屋の電気も千影が消したようだ。

「千影、ど、どうしたの?」

「こうすると・・・私だけが見える・・・だろう?」

 千影はそう言って蝋燭の明かりを自分の顔に近づけた。たしかに暗闇の中ただひとつの明かりに照らされた千影しかみえないのは事実だが、それはちょっぴり怖くもあった。

「と、とりあえず電気を点けよう。」

 そう言いながら僕は立ちあがり、千影の側の電灯のスイッチをいれた。同時に視界が回復する。先ほどの暗さからすると、ずいぶん時間も遅いようだ。

「千影、一緒にご飯を食べにきたんでしょ? ちょっと待っててね。」

 僕は千影にそれだけ言うとキッチンへと行き、適当な料理を作り始めた。千影もゆっくり後を追ってきて、僕の手際をじっと観察している。

「兄くん・・・上手だね・・・」

 千影が僕の手の動きから一時も眼を離さず言った。別に僕は特別料理が得意な訳ではないが妹にとって兄のすることというのはおおかた凄いものに見えるようだ。

「さっ、できたぞ。」

 荒削りながら自分でも満足なできに仕上がったマーボードウフをテーブルへと運び、二人分のご飯を用意して席につく。

「いただきます。」

「・・・いただきます・・・」

 千影がゆっくりとした動作で箸を動かし、その小さな口にマーボードウフを運ぶ。僕は千影の口の動きに満足し、自分もマーボードウフを口にいれた。

(妹って、いいもんだな・・・)

 僕は食事中、ちらちらと千影に視線を向けながらそんなことを思った。

   ・

「へー、呪いの儀式っていうのは途中でやめると呪いが術者にかえってくるのか〜。」

 僕と千影は食事を終え、ゴールデンタイムにやっているオカルト番組を眺めていた・・・筈だったが、いつのまにやら千影は寝てしまったようだ。僕の左肩に千影の頭がのっかって、紫色の髪が僕の頬を撫でる。

「しょうがないな、今日はうちに寝かせよう。」

 僕は千影を客間へと運び、柔らかい布団の中に彼女の身体を寝かせた。

   ・

 深夜。車の音も人の足音も聞こえない静寂の中、僕の部屋の扉を誰かが開けた。いや、誰かはもうわかている。千影だ。僕はまだ完全に眠ってはいなかったのですぐに千影の接近に気がついた。

「千影、起きたのかい・・・!?」

 僕の口から音声が途絶える。月の光に照らされた千影は一糸まとわぬ姿で僕のベッドの側に立っていたのだ。いや、正確にいうならば一糸まとわぬという表現は適切じゃない。千影は首に、右腕に、そして左腕に十字架型のアクセサリーをぶらさげ、その上半身を僕の顔の上へと持ってきた。そして両手でなんらかの印を結ぶ。

「兄くんに・・・呪いをかけたよ・・・」

「な、何言ってるんだ、千影? とりあえず電気をつけるよ!」

 僕は立ちあがり、電灯のスイッチの方へ眼を向けようとした。が、その瞬間僕の両目に痛みが走った。

「痛っ!」

 僕は突然の痛みに顔を抑えてベッドの上にうずくまった。痛みがひかない。ところが僕の顔を千影が覗きこんだ途端、痛みが引いた。

「・・・兄くん・・・私をみていないと・・・痛くなるんだ・・・」

 その言葉に僕の視線は千影の顔、そして身体にくぎづけになった。呪いのことが本当かどうかはわからない。だが、僕の意識は今や千影の胸に、お腹に、脚に集中していた。すぐにも僕の右手は伸び、千影のお腹から胸にかけてをさすりはじめた。

「はあ・・・兄くん、まだ次の・・・呪いがまだ・・・」

 僕の右手、そして左手もが探求心に満ち溢れ、手の届く限りの千影の身体をさすりまわした。その手が千影の脚の付け根に潜り込むまでにそれほど時間はかからなかった。

「はうっ!・・・そ、そこは・・・兄・・・くん」

 千影の股間に1箇所、指の先がズブリと入る個所があった。もしかしてここが・・・? 千影の性器に触れた、その事実が僕の股間を刺激する。

「兄くん・・・じっと、して・・・」

 僕の両手はまだまだ物足りなかったが、千影がそう言ってその両手を払いのけてしまった。が、今度は千影の両手が僕の身体へと迫ってきた。そして僕のパジャマを紐解いてゆく。

「ち、千影! それはいくらなんでも・・・」

 千影をみていないと眼に激痛が走る為僕の意識は視線に集中し、身体を動かして千影に抵抗することができなかった。千影はみるみる僕の裸体をあばき、遂には躊躇することなく僕のパンツを脱がせてしまった。

「ち、千影、これは・・・その」

 僕はすっかり大きくなってしまっていた自分のペニスをみて思わず赤面する。だが千影は僕のペニスをそう意識することもなく、僕に抱きついてきた。

「兄くん・・・まだ動いては・・・だめ」

 千影が僕の胸元で小さく口を開き、僕の男として当然小さな乳首をれろ、れろと舐め始めた。

「ううっ!」

 乳首を舐められたことなど当然ない。僕は乳首を舐めまわす千影の顔、そして舌に視線を送りながら全神経を舐められている乳首に集中した。

きゅう!

 千影が僕のありもしない胸を強く吸いあげる。乳首の先端はすっかり千影の口の中に入り、なおも舌で擦られ続ける。

「・・・はあ・・・んふう・・・」

 千影が吐息を漏らしながら口を離すと、乳首の先端から千影の前歯に唾液の糸が繋がる。僕の乳首は千影の唾液ですっかりベトベトだ。千影は唾液でうっすらと光る僕の乳首を確認すると、もう片方の乳首へ向けて僕の胸の上に舌を滑らせた。

「つっ!」

 千影が強く吸い付き、僕の乳首に軽い痛みが走った。だがその痛みはどちらかというと快感に近かった。ようやくその刺激に慣れてきた僕は再び両腕を起こし、両のてのひらを千影の身体に密着させた。千影の汗ばんだ身体がとても熱い。そのしっとりとした汗を、熱く火照った身体を腕全体で感じたいと言わんばかりに僕の両腕は千影を包み込んだ。

「兄くん・・・」

 千影が僕の胸から顔を離し、自分の股間、そして僕の股間がある方をみつめる。そして千影はその視線の方向へと右手を伸ばし、僕のおおきく反りあがったペニスを指で優しく包んだ。

「兄くん・・・ここ、なんだ・・・」

 千影の右手が僕のペニスを扇動し、僕のペニスが千影の股間に擦れる。

「あっ! ち、千影・・・!」

 僕は情けない声を上げてしまったが千影は気にすることなく、ただ右手の動きに集中した。そして僕がペニスの先端を襲う触覚に違和感を覚えたと同時に、千影は僕の身体から上半身を起こし、中腰の体勢をとった。

「うっ・・・くっ・・・」

 千影がネジをまわすかのように腰をまわし、すこしづつ身体を僕の上に落としてゆく。同時に僕のペニスの先端は千影の入り口のあらゆるところに擦られながら奥へ、奥へとはいっていった。

「うっ・・・あああっ・・・!」

 千影は苦しみながらも動きを止めず、止むことなく僕のペニスと触れ合う肉の壁を回転させ続けた。やがて、僕のペニスをつたって千影の股間から朱色の液体が流れ出る。

「ち、千影!」

「うっ・・・ううっあぁ・・・!」

 僕の呼びかけにも答えず、千影はどんどんと腰を低くしてゆく。そして遂に僕のペニスは千影の下半身にずっぽりとはまってしまった。

「はあ・・・はあ・・・兄、くん・・・」

 荒々しく呼吸をしながら、千影がまたも両手をあわせて何らかの印を結ぶ。千影は僕にセックスを望んでいる。そして呪いという手段でそれをさせようとしている。だが、呪いが無くったって僕は、僕は・・・!

「やめるんだ、千影!」

 僕はとっさに右手を伸ばし、千影の印をほどいた。呪いの力を借りずとも僕は千影を抱いてやる。千影が望むなら抱いてやる。その時はただ、それだけだった。

「千影、呪わなくていい。呪わなくても・・・」

 僕は優しく、優しく千影に語りかけた。だが千影の反応はただ

「・・・あ・・・に・・・く・・・ん・・・」

 だけであった。そして千影はそれだけ言うと両手をベッドにおしつけ、いまだ血の流れ続けている下半身を上下に揺らし始めた。

「はあっ・・・はあっ・・・はあっ・・・はあっ!」

「うっ、ち、千影! はあっ、ど、どうし・・・うはあっ!」

 千影はまるで僕の声が聞こえてないかのように下半身を上下させた。処女膜が破れてまだ数分も満たない。そんな状態でこれほど性器を動かせばどうなる・・・? 予想通りの痛みが千影を襲っているのだろう、千影の両目から涙がぽろぽろと零れ落ちる。

「はうっ、千影、やめ・・・ああっ!」

 僕は必死にペニスを包み込む千影からもたらされる快楽に耐えながら千影を呼んだ。だが千影の様子はかわることなく、ぼろぼろと涙を流しながら、快楽というより苦痛を感じているかのような声を上げながら下半身を揺らすのみだった。

「・・・あ・・・あに・・・くん・・・」

 ほとんど吐息ともとれるようなかすれた声で千影が僕に話し掛けた。

「千影、くうっ、ど、どうした・・・!?」

「・・・あに、くんに・・・かけようとした呪い・・・はあっ! 途中・・・途切れっあぁっ!」

 呪い返し・・・? 食事の後観ていたテレビ番組のテーマが僕の脳裏をよぎる。千影は僕になんらかの呪いをかけようとした。しかし僕は理由はどうあれそれを中断させてしまった。それゆえ僕にかかるはずの呪いが千影にかかってしまった・・・?

「ち、千影、呪い・・・解く方法・・・はあっ!」

 僕の心は千影にかかった呪いの解除だけを望んでいた。だが、身体は僕の心に反して快楽を欲し、千影の身体をしたから突き上げ始めた。

「つっ!・・・ぐぅっ!・・・ぎぃっ!」

 今まで以上の苦悶の表情を浮かべ、千影の涙が僕の胸にしみをつくる。僕はそんな千影が可哀相だと思いながらも下半身の動きを止められなかった。下半身の得る快楽が遂に僕のは心をも覆い尽くす。そして僕の心に魔がさしはじめる。

 

――1回くらいいいよな。

――ここまでやってるんだ、最後までやろう。

――やったあとで呪いを解除すればいい。

 

 僕の意志は「とりあえずセックス」におちついた。となるやいなや、僕のペニスの奥から今まで以上の快感が発生する。射精だ。

「千影、一気に出すよ、千影の中に、出すよっ! はっ、はあっ、はあぁっ!」

「あああああ―――!!!」

 千影の中の肉に大きな重圧をかけられていながらも僕のペニスはその重圧をおしのけて見事に脈打ち、千影の中へとしっかり精液を注ぎ込んだ。

「ふうっ、ふうっ、ふうっ・・・」

 僕は射精を終え、ようやく心を取り戻した。しかし同時に僕のペニスが何らかの力で千影の中から押し出される。

「な、なんだ・・・?」

 そしてあと亀頭ひとつで外に出る、というところで今度は千影の入り口がペニスを呑み込み始めた。

「はうっ! ち、千影? ・・・!?」

 僕の意識が再びペニスに集中する。が、僕の意識がみつけたのは快感よりも驚きだった。

(ペニスの前に壁がある・・・?)

 しかしその壁を破ろうとでもいうのか、千影は下半身の動きを止めない。そしてすぐにもペニスの先端で何かが破れた感触がし、再び千影の股間から今度は脚をつたって血が流れ出る。

「そ、そんな・・・千影。さっきとっくに・・・」

「ぐっ・・・ぐううううっ・・・!」

 二度目の貫通。一体何がどうなっているのか。その答えを、遂に千影がだしてくれた。

「・・・この呪い、は・・・生け贄とひきかえ・・・処女膜とその痛み、を、捧げて・・・兄くん、君との・・・セックスを・・・だ・・・けど・・・!」

 千影が口から唾液をこぼしながら言葉を続ける。

「呪い返し・・・は、何倍にもなって・・・かえって、くる・・・だから何度も・・・痛みを感じ・・・それを捧げて・・・何度も・・・セックスをする・・・んだ・・・!」

「千影! 呪いを解く・・・うっ、方法・・・はっ!?」

「返された・・・呪いは・・・解け、ない・・・」

 その問いへの返答が、千影の最後の言葉だった。あとはひたすら、千影は荒々しく吐息をくりかえしただけだった。

「どうして・・・どうして呪ったりしたんだ・・・! 呪わなくたって、呪わなくたって!」

 僕の視界が涙で歪み、その涙が頬をつたって僕の言葉を発した口へと入ってくる。なんとかしなければ。なんとかしなければ! だが、一瞬涙の晴れた僕の眼はとらえてしまった。

「あふん・・・んう・・・」

 艶めかしい吐息を漏らしながら腰を90度くねらせる千影。千影のお尻が見え、千影のすらっとした脚が僕の眼前にせまる。そしてその動きで僕の股間のネジがしめられる。

「ち、千影・・・!」

 僕は再び腰を突き上げ始めた。千影もそれにあわせて息を漏らし、下半身をゆっさゆっさと揺らす。二度目の絶頂はもうそこまで来ていた。

 そして3度目の破瓜。3度目の流血。3度目の射精・・・セックスは何度も何度も続いた。そう、千影が望んだ何倍にも。

 

「千影・・・

 ねえ、千影。

 返事をしてくれよ、千影。

 どうして全然動いてくれないんだい?

 もうちょっとで出そうなんだよ、がんばってよ。

 千影ってば・・・」

 

 




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