GIRL FRIENDSヨーコ様

「おーさか〜〜〜!」

 誰かがうちの名前呼んでる・・・じゃなかった、うちをあだ名で呼んでる。随分でっかい声やからともちゃんやと思うんやけどなあ。そう思って振り向いてみたら、やっぱりともちゃんやった。

「大阪大阪〜、お・お・さ・か〜!」

「そんなになんべんも言わんでも聞こえてるでー。」

 うちのクラスメートで友達のともちゃん。いつでもものすごく元気があるいいコや。一部ではうるさいうるさいって嫌われてるみたいやけどうちはともちゃん、ごっつ好きやで。

「大阪〜、今度の日曜日、遊びに行こっ!」

 最近は毎週のように日曜日はみんなで遊びにいってたなあ。でもうちは

「ごめん〜、今度の日曜日はあかんねん・・・。」

 って言うて断った。

「ふーん、まあダメなモノは仕方がないなっ! 許してやろうっ!」

 でもともちゃん、なんも気ぃ悪くすることなく許してくれた。やっぱええコやで、ともちゃんは。

「ほんまにごめんなあ。」

 うちはもう一度謝ってから次の授業の支度を始めた。

「やべっ、次あたし当たってるんだった〜っ!」

 次の授業の教科書みて、ともちゃんが慌て始めた。ともちゃん、今日当たるみたいや。大慌てで勉強が得意なよみちゃんとこに行ってもーた。

「うちは今日、当たらん・・・よなあ?」

 そんなことを小声で呟きながらうちは鞄からノートを取り出した。

   ・

 日曜日。一週間ぶりの日曜日や。・・・って、日曜日は一週間に1回なんやから一週間ぶりなんは当たり前ちゅうたら当たり前なんやけど。でも『百年ぶりの世紀末〜♪』っていう歌かてあるんやからうちのも間違うてないと思うんやけどなあ。

 そんなこと考えながら、今日は朝からおめかしや。学校は制服やから普段着はどうも地味になりがちやけど、やっぱデートやから可愛いのん着ていかなあかんなあ。胸元にはブローチつけてみたりして。

「うーん、あんまりハデハデなんは似合わんなあ。」

 結局うちの胸元におさまったんは子供っぽいリボンや。ブローチとかネックレスとか一応持ってるんやけど、まだうちには似合わへん。榊さんやったらこんなんもカッコよくつけれるんやろうなあ。うちも榊さん目指して頑張らんと!

「えーと、えーと、へんなとこ無いやんなあ・・・。」

 鏡の中で何回もクルクルまわっての最終チェックや。せやけど、ちょっとまわりすぎたかも。気持ち悪うなってきた。

「うぅ・・・も、行こ。」

 うちはまだ新品同然のおしゃれな鞄持って家を出た。

   ・

 学校の側にある駅、ここの改札で待ち合わせや。一乗寺くんはまだ来てないんかなあ。でもうちの時計でみても改札口の時計でみても指定の時間まではまだ20分もある。ちょっと早く来過ぎてしもた。

「よいしょ、と・・・」

 うちは服が汚れたりせえへんように壁をちゃんと確認してからもたれかかった。ともちゃんらと遊びに行くときはこんな風に早く来ることなんてないのになあ。やっぱりうち、デートやから緊張してるんやろか。うちと同じ年頃のコは大抵デートなんて余裕でやるらしいけど、うちはそんな風にはできひんなあ。

 うちは約束の時間までぼーっと正面向いて待っとった。そしたら一組のカップルが前通りすぎて改札通っていった。うちと同じくらいの年頃のカップル。うちも一条寺くんと並んだらあんな風にみえるんかなあ。うちはあらためて今朝鏡に映した自分のカッコ思い出した。

「自身ないなあ・・・。」

 そう呟いた時、やっと一乗寺くんが来た。一乗寺くんがあらわれたんは時間ぎりぎりになってからやった。

「あれ、随分早く来たんだね。」

「え・・・そうなん?」

 一乗寺くんはうちを見つけるとそんなこと言ってきた。まさか一乗寺くん、うちが20分もここで待ってたん知ってるんかなあ?・・・そんなわけないやんなあ。なんかわからんようなってきた。

「じゃあ行こっか。」

「あ・・・うん。」

 一乗寺くんが歩き出したから、うちもそれについていった。

   ・

「こっち、こっち。」

 電車で近くの大きな街に出て、それから数分の間、うちは一乗寺くんの後をただついていくだけやった。一乗寺くんはうちに『次、右ね。』とかいろいろ声かけてくれるんやけど、うち、なんて答えたらええんかわからへんから適当に曖昧な返事ばかりしてた。そうこうしてるうちにちょっと路地に入ったところにある、なんかぼろっちぃ建物のところまで来た。建物の脇に、地下に降りる階段がある。

「え、降りるん?」

「降りるよ。大丈夫、友達いるから。」

 一乗寺くんは臆することなくとん、とんと階段を降りていった。うちは地下へ行くっていうのがなんか怖かったけど、一乗寺くんを信じてついていった。階段のつきあたりには扉があって、一乗寺くんはそれを開けて中に入っていった。

ジャジャジャジャジャ!

 中に入ると物凄い音がうちの耳に跳び込んできた。なんや知らん曲が大音量で流れてるみたいや。中にはいろんなカッコした男のコや女のコがいっぱいおった。

(女のコもおるやん・・・ほっ。)

 うちはちょっとだけ安心しながらくぐってきた扉を閉めた。大きな音がより一層部屋の中に響く。

「一乗寺っ、それがお前の彼女?」

 真っ赤な髪の毛した男のコが一乗寺くんに近づいてきた。

「へ〜、可愛いじゃない?」

「どれどれ?」

 そして間もなく他のコらも集まってきた。知らないコらにこんな風にみられるんは初めてで、うち、もの凄う恥ずかしくなってきた。

「名前、なんていうの?」

「か、春日、あゆむ・・・です。」

 真っ茶色の髪の毛した女のコがうちに名前を聞いてきたから、うち、なんとか頑張って自己紹介した。

「あゆむちゃんもラクにしてていいよ。」

 うちが身体をこわばらせてるとそれに気付いたんか、一乗寺くんがそう言うた。でも、それがここでの一乗寺くんの、うちに対する最後の言葉やった。

   ・

「どうだった?」

「え? あ、う・・・ん。」

 あの部屋から出たんは入ってから2時間くらいしてからや。うちの耳はいまだにじんじんしてるし、タバコのにおいとかお酒のにおいがまだ身体に残ってる気がして気持ち悪い。

「じゃあ、そろそろ行こう。」

 でも一乗寺くんは元気いっぱいに歩き出した。うちはもうヘトヘトやったけど、わがまま言うたら一乗寺くんに悪いから頑張ってついていった。

「ここだよ。」

 さっきのところからほんの少し歩いた先に、今度はちゃんとした、綺麗な建物にやって来た。もうさっきみたいなんとは違うみたいや。とにかくこれで少し休める、と思ってうちは ほっと一息ついた。

「いらっしゃいませ。」

 建物に入ると身なりのいい男の人が出迎えてくれた。今度はなんかのお店みたいや。とはいってもなんの店やろ。・・・あれ?

「な、なあ、ここって、ラブホ・・・」

「当たり前でしょ? さ、早く行こっ。」

少しばかり引いたうちの腕を掴んで、一乗寺くんは案内に従ってどんどん奥に入っていった。そして間もなくうちらはひとつの部屋に案内された。ベッドがひとつに小さなおふろがついてる割と質素な部屋やった。

「ごゆっくり。」

 それだけ言うと案内の係の人はどっか行ってしもた。一乗寺くんはうちを部屋へとひっぱると鍵を閉めて

「座ってて。」

 とだけ言うた。座るもなにも、椅子とか無いから仕方なしに、うちはベッドの上に腰掛けた。すると一乗寺くんは上着を脱いで鍵をその辺にぽいっと置くとうちの横に座ってひっついてきた。一乗寺くんの手がうちの腕を、肩を強く掴んで放してくれへん。そうやってうちの身体を固定すると、一乗寺くんはうちに顔を近づけてきた。

「あゆむ・・・」

「んむっ!」

 一乗寺くんはうちの名前を呟くとうちに唇を重ねてきた。普段はごはんとかパンとかが触れてるだけのうちの唇に不慣れな感触が襲ってくる。更に一乗寺くんはうちの上の歯と下の歯のわずかな隙間からにゅうって舌をいれてきた。

「あふ・・・うむぅ」

 一乗寺くんの舌がうちの舌と交錯しながらうちの口の裏側の、いろんなところを舐めようとする。もちろんそんなに舌が伸びるわけないんやけど、一乗寺くんはどんどん顔をおしつけて舌を奥に届けさせようとしてきた。その顔の動きが激しくて、一乗寺くんの下の前歯がうちの顎に突き刺さったりする。

「んう・・・んはぁ!」

 舌を舌で散々なめまわしたところで、ようやく一乗寺くんの舌と顔がうちから離れた。なんかヌルヌルした生き物踊り食いしたみたいで気持ち悪かったし、いろんなところに一乗寺くんの歯が当たって痛かった。

「い、一乗寺くん!?」

 うちが突然のキスの後で一息ついてる隙に、一乗寺くんがうちの服を脱がそうとしてきた。うち、勿論抵抗してん。せやけど

「あゆむ、好きだから・・・」

 っていう一乗寺くんの言葉を聞いた途端、不思議と身体から力が抜けていった。うちが腕をだらんとおろして座っていると一乗寺くんはただ無言でうちの服をゆっくり脱がしていった。すぐにもうちはブラとパンティだけになってもーた。

「ひあっ!」

 一乗寺くんの手がが突然うちのパンティの中に、おへその下のとこから入ってきた。

「うっ、やめ、やめて、動かさんといてぇ!」

 一乗寺くんの手はうちのパンティの中で、パンティが伸びてしまいそうなほどに動きまわった。うちの意思とは全く無関係に動くから、おなにーしてる時と全然ちゃう。うちの敏感なとこに一乗寺くんの手が触れたかと思ったら、すぐそこから離れてまう。

「あゆむ、どう? 気持ちいい?」

「き、気持ちよくなんか・・・あ、あらへんっ・・・」

 気持ちいいというより、寒気に近いもんやった。普通、他人って自分の身体触ったりせえへんけど、いたすらで膝とかさすられるともの凄う寒気する。それに近いのんが今、うちのパンティの中で感じられるんや。

「こっちからもいくよ!」

 一乗寺くん、今度はもう片方の手を背中の方からペンティにいれてきた。そんで前と後ろの両方からうちのあそこの周りに指を添える。

「じゃあちょっと、入れてみるよ。」

 ぎゅううっ、て一乗寺くんの指の先があそこに入ってきた。どの指かわからんけど、たしかに指がはいってくる感触がする。更に、一乗寺くんがリズムにのって指を突き上げ始めた。

「あん、あん、あん、あん!」

 指がつきあがる度に、うち、恥ずかしい声出してもーた。やっぱりココは特別なんや。

「あん、あん、あん!」

 一乗寺くんがあんまり激しく揺らすから、うち、一乗寺くんにしがみついた。そしたら一乗寺くん、うちの顔を覗き込んで

「可愛い、可愛いよ、あゆむ! そのまま、パンティ脱いでみせて・・・?」

 って言うた。

「あん、で、できひん、あん、そんなっ、こと!」

 そう答えたら今まで以上に突き上げが強くなって、今度は痛くなってきた。

「あうっ! わ、わかった、脱ぐ、からっ! あんっ!」

 うちは唇を噛んで声がでてしまうんを我慢しながら、両手でパンティをずらしていった。パンティの中からうちの陰毛があらわれる。

「よし、じゃあ俺も脱ぐよ。」

 そしたら一乗寺くんも手を止めてズボンをパンツごとずりおろした。

「えっ!?」

 うち、思わずびっくりして顔を横に向けた。だって、一気にみせるんやもん、男のコのん・・・。

「いくよ、あゆむ。」

 一乗寺くんがうちに覆い被さってきて、顔を近づけてそう囁いた。

「・・・・・!」

 うち、無言でかろうじて頷いて、全神経を股間に集中させた。――もうすぐ入って来るんや、一乗寺くんのが。眼を閉じて、唇噛みしめて入ってくるんを待つ。我慢する。

「・・・あっ!」

 一乗寺くんのがうちのあそこのまわりを滑るように這って、入り口のところで止まった。来る、入って来る――!

「うあぁ、きた、はいってきたぁ・・・はあっ!」

「はぁ〜・・・んう・・・はぁっ」

 一乗寺くんが息を荒げながら腰を動かしてゆく。それに合わせてどんどんうちのなかに太くて、硬くて、大きいものがはいってくる。

「はあ、だいぶ入った、かな・・・あれ?」

 一乗寺くんが接合面に眼を向けて、それから手をその接合面へと伸ばした。

「あれ、やっぱりそうだ。

    あゆむちゃん、処女じゃなかったんだね。」

 ・・・・・!

「そ、それは・・・その・・・」

 うち、既にハダカで恥ずかしいちゅうのに、もっと、もっと恥ずかしくなってきた。どんな顔すればいいんかわからなくなって、うち、ずっと横向きっぱなしやった。そうしてるうちに、一乗寺くんのが一番奥まできた。

「はあっ、はあっ、あゆむちゃん、いい・・・よぉっ!」

 一乗寺くんがうちの腰を両手で掴んで、あれを押し込んだり引き戻したりをすごい速さで繰り返した。うちのあそこの入り口のあたりはもちろん、なかも全部、一乗寺くんのあれに引っぱられたり押し込められたりする。それがうちの身体の中の、おへその下辺りまでにかけて感じられる。

「はあっ、はあっ、はあっ、はあっ!」

 うち、ずっと横向いたまま恥ずかしい声出してた。そうしてたら急に身体の中からアレが抜けて、なくなってもーた。その直後、うちのお腹の上に熱いもんがこぼれてきた。

「ふうー、ふうー、ふうー・・・」

 なんや、と思って振り返ってみたら一乗寺くんがあれ握り締めてうちのお腹に向けて中腰で立っとった。あれのさきっちょから白く濁ったのんが出てる。終わったみたいや。

「あゆむちゃん、よかったよ。」

 一乗寺くんはそれだけ言うとうちの横にごろんと転がって、うちの唇みつめながら顔近づけてきた。うちはそんなん無視してさっと立ちあがると、床に落ちてたうちの服からポケットティッシュ取り出してお腹についてるねばねばを拭き取った。そんでちゃんと綺麗にとれたか確認してからすぐ、うちは服を着始めた。

「え、あゆむちゃん、もう帰っちゃうの? 部屋は朝までとってるんだけど・・・」

「泊まるんはだめやから・・・」

 うちがそう答えて胸のリボンぎゅって引き締めて、鞄持って部屋の鍵開けようとした時や。一乗寺くんがすっぱだかのまんま立ちあがってうちの前を遮った。

「もう少し! もう少しだけいいだろ、な?」

 一乗寺くんはどうしてもうちを引きとめようとする。せやけどうち、その時はごっつ、一乗寺くんの声が耳障りやった。

「邪魔せんといて。」

 うちが一乗寺くんに言うた、はじめてのうちの言葉やった。うちはそれだけ言うと後は無言で部屋を出て、家に帰った。

   ・

   ・

   ・

「おおさかっ、遅い〜!」

「ごめんな〜。」

 次の日曜日。うちはいつも通りともちゃんらと一緒に遊びに行った。待ち合わせにはちょっとだけ遅刻してもーた。ともちゃんが駅前で叫んでる。

「遅れてくるあたり、大阪だな。」

 みよちゃんはあんまり怒ってへんみたいや。とは言うても、ともちゃんかて全然怒ってないけど。わかるんや、ともちゃんらのことは。

「やっぱともちゃんらがええなあ〜。」

 うちはうちの言葉を言うた。

「はあ? 何言ってるんだ大阪???」

「大阪の言うことだからな。」

 うちの言葉はいつも通り流されてもーた。でも、やっぱりこれがええんや、今のうちには。ようやく歩き出したともちゃんらの後をついて、うちもてくてく歩き始めた。

 

「ともちゃんらが男のコやったらなあ。」

「気持ち悪いことゆーなっ!」

 ともちゃんの鉄拳が飛んできた。

 

 




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