===========あにぃの居ない休日==========
「ふぅ・・・・」
一人の少女がため息をつきながら廊下を歩いていく。この少女は衛、この家で兄妹だけで生活している女の子、兄と二人きりで生活している女の子、わけあって両親とは一緒に生活をしていないけど、毎月しっかりとしたお金が仕送りされてくるので普通に生活している。
「はぁ・・・今日もあにぃは部活か・・・」
今日、兄は部活の練習試合に行ってしまった。大会が近い事もあり、ここ数週間の休日はいつも練習試合で、夜遅くに帰ってくる。衛は、最近兄と満足に会話すらしていない。
「あにぃ・・・今度の試合、ボク応援に行くから頑張って・・・でも・・・寂しいな・・・」
つい独り言が出てしまう。とぼとぼとした足取りで、自分の部屋に戻り、ソファーの上に腰かける。机の上に置いてあった雑誌を手に取り、パラパラと数ページめくって見る。だけど、何度も読み返したその雑誌は、とても味気ないもので、すぐに飽きてしまい、苛立ちからか、バサッとベッドの上に放り投げてしまった。
「・・・・あ〜あ、なにか面白い事ないかなぁ・・・」
ソファーに寝転びながら、窓の外を見上げて、前髪をいじくる。すると突然何かを閃いたように飛び起きて、部屋から飛び出す。
「そうだ、千影あねぇの家に行こっ、」
衛の思いついた事とは、隣の家に住んでいる『千影』の家へ遊びに行く、と言う事だった。千影は昔から隣に住んでいて、衛の事を本当の妹の様に思っている。衛も千影のことを『千影あねぇ』と呼んでいるあたり、やはり二人はお互い姉妹のように思っているらしい。彼女は魔術などに興味があるらしく、家にはいろいろな本や実験道具があり、退屈凌ぎとしては丁度いい場所だ。
「へへへっ、千影あねぇ居るかなぁ、今日も何か実験してるのかな?」
玄関に鍵を掛けて、走って千影の家に向かった。実際、千影の家の場所は隣なので『走る』という行為に何の意味も無いが、衛は早く退屈なこの状況から抜け出したく、走って千影の家へ向かった。
トントントン
「おじゃましま〜す」
ガチャ
ノックはしたが、いつも自分の家の様に入り浸っているので、返事も確認せずに中に入った。
「ちっかげあねぇぇ〜遊びに来たよぉぉ〜〜」
パタパタパタパタ
お客用のスリッパを履いて、居間の方へ歩いていく。
カチャ
「やぁ、衛くん、ビックリしたよ・・・・・いきなりなんだい?」
あまり愕いた様子は無いが、千影は愕いたと言いながら、衛の方を向かずに忙しそうに瓶などを鞄に詰めている。
「えへへっ、遊びに来たんだよ」
「今日は・・・・・兄くんは居ないのかい・・・・・・?」
そういいながら、やはり何か忙しそうにしている。
「うん、あにぃは今日は部活の試合なんだって、最近ずっと部活なんだ」
「そうかい」
千影は一度も衛の方を向かずに部屋の中を走り回っている。
「・・・悪いが、今日は少し用事があって出かけなければいけないんだ・・・」
「えっ!?・・・あ・・・う、うん、わかった」
悲しそうな表情になりうつむきながら答えた。こうなると悪いイメージしか浮かび上がってこない、兄も千影も自分の事をかまってくれない、皆イロイロな事情があるのだから仕方ないけれど悲しくなってくる。そうなると泣きそうになってくる。
「じゃあ、ボク帰るね」
目に涙を溜めながら、しかし千影の前ではそれを見せないようにしながら、居間を出ようとした。すると千影が、
「・・・・・寂しいのかい?」
動きを止め、衛の方を見ながらそう言った。しかし衛は何も言わず、首を横に振るだけだった。もし『違う』と言ったらその瞬間に無き出してしまいそうだったからだ。そんな衛を見かねた千影は、棚から一つの小瓶を取り出して衛に渡した。
「・・・そうか・・・寂しくはない・・・か・・・・でも、もし寂しくなったらこれを飲んでみるといい。・・・・・それじゃあ気をつけて帰るんだよ」
そう言いながら、衛の頬をなで、頭をなででやった。
「うん、また来るね。あねぇ、アリガト♪」
笑顔で玄関を出て行く衛、それを見送る千影、そこには優しい姉の微笑みがあった。
家について、自分の部屋に戻り、ベッドにうつ伏せになりながら千影にもらった小瓶を眺める。それは薄いピンク色で、軽く振ってみると、小さな泡が出来たがすぐに消えてしまった。
(コレなんだろ?)
そう思いながら時計を見ると、既に昼の12時を過ぎていた。いったん瓶を枕元において、昼食を食べるために、台所に行く。棚を開けるとスパゲッティがあったから、それを適量茹で、バジルで味付けをして食べる。いつもなら目の前には兄が居る。衛の作ったものを、オイシイと言いながら食べてくれる二人の食事、しかし今日は一人・・・今日も一人だけの食事、そう考えるとまた切なくなってくる。
カチャ
「ごちそうさま・・・」
自分の食べたモノの食器を洗い、自分の部屋へ戻る。結局さっき千影にもらった元気は無くなってしまった。
(千影あねぇ、飲んでみろって言ってたけど・・・飲んでも平気なのかなぁ・・・)
ベッドに飛び乗るように仰向けに寝転び、枕元に置いておいた瓶を眺めた。衛がベッドに飛び乗った衝撃で、液体がユラユラと揺れている。
(でもあねぇがくれた物だし・・・大丈夫だよね)
瓶を手に取り蓋を開けてみる。それを鼻先に近づけてみるが、特に匂いは無い。何度か見たり匂いをかいで見たりする。ようやく決心したのか、ゆっくりと口元に瓶を持っていき、一気に飲み干した。
「うげぇっ!マズッ!!」
それはなんとも言い難い味で、もう一度飲んでみろと言われても、飲む気にはなれない味だった。
(・・・・・・・特に変化は無い・・・・な・・・)
と思いながら、無意識に部屋を出た。そのままトコトコと兄の部屋の前までくると、何故だか無性に兄の部屋に入りたくなってきた。
ガチャ
いつもなら兄の部屋に無断で入るようなまねは絶対にしないのだが、衛は自分でも訳が分らないうちに兄の部屋へと足を踏み入れた。そのまま部屋の中央に進んでいく。壁際には、テレビがあり、パソコンがあり、窓際には本棚とベッドがある。ふと、ベッドに目をやると、引き寄せられるようにベッドの傍まで歩いていった。何も考えず、いきなり横になる。すると布団からは兄の匂いが漂ってきた。
その時急に衛の中で何かがはじけた。体が熱くなり、胸の辺りから何かが湧き上がってくるような感覚、自分が抑制できない、そんな気さえした。
「あにぃ・・・・・・あにぃ・・・あにぃっ」
布団にしがみ付き兄の事を連呼する。そうする事で、また胸が苦しくなり、また兄の事を考えてしまう。しばらくそれを繰り返していると、衛は下着の上から指で自分の秘所に触れた。
くちゅ
そこは濡れていた。兄の事を考えながら、兄の部屋の兄のベッドの上で濡らしてしまっていた。平常時ならとてつもなく恥かしく思える行為、しかし衛は止める事が出来なかった。それどころか、その行為はどんどん激しさを増していく。
「んっ、あっ、あにぃ・・・・はぁ、はぅぁ、ぅぅっ」
さらに片方の開いている手で、小振りの自分の胸を揉みはじめ、指で勃起し始めた乳首をはさみながら、もう片方の手は秘所を弄る事を止めようとはしない、そんな淫らな行為を衛は続けていた。
しかしそんな行為も長くは続かず、だんだんと絶頂を迎えつつあった。
「んあっ、あにぃ・・・・・あにぃっあにぃっっ、あぁっ・・ぅあぁぁぁっ」
最大の速さで指を動かす。その指の数が一本から二本へと変わる。
「ボクッ、あにぃが、あにぃがぁっ・・・・うぁぁぁぁっっ」
ビクビクと体を振るわせながら、アソコからは大量の愛液が流れ出していた。しばらくして動かなくなったかと思うと、そのままベッドの上で寝てしまった。
数時間後、衛は目を醒ました。そこは・・・自分の部屋のベッドの上だった。
(あれ?・・・ボク・・・あにぃの部屋で・・・)
ボッ
自分の行為を思いだし、耳まで赤くして、事を振り返る。
(ボクッ、確かあにぃの部屋に居たハズ、ここに居るって事は、夢・・・?・・・ううん、違うっアレは現実だ。ってことは、あにぃがボクを・・・あれ?あれぇ?うわぁっぁぁ)
勢い良く自分の部屋を飛び出し、ドタドタと兄の部屋まで駆けて行く。
兄の部屋のドアの前で止まると、ノックをして「おぅ」という返事を確認してから、部屋に入った。そこに居る兄は、壁に寄りかかり本を読んでいた。
「あの、あにぃ・・・?えっと・・・」
兄はチラっと衛の方を見ると、読みかけの本にしおりを挟み横に置く。
「帰ってきたら俺の部屋で寝てるんだもん、マジびびった。あぁ、あと服と下着、濡れてたから替えといたぞ・・・流石にタンス開けるのは恥かしかったから、俺の服と・・・」
そこまで聞いて衛は、起きて初めて自分の服装を見た。それは兄のTシャツに、トランクスと言う格好だった。
「わっ!」
「言っとくけどキレイなヤツだぞっ?」
兄も恥かしいのか、顔を薄く赤らめている。
・・・・・・・・・・・・・・・・・
しばし沈黙が流れた。その状況を破ったのは衛だった。
「あにぃ、ごめんなさい・・・」
何の解決にもなっていないが、取り敢えず謝ってみる。衛は普段の兄から想像して、今回の事も笑って無かった事にしてくれるに違いない、と思っていた。しかし今回は違った。チョットした悪戯とかでは無く、今までに無いような衛の行為、その行為に対する兄の返答は、いつもとは違っていた。
「ダメ、絶対許さない」
「ほん・・・えっ?」
いつもは許してくれる。そんな考えがあったのだろう。衛は一瞬喜びの声を漏らしたが兄の返事は違う。『許さない』その一言が衛には意味が分らなかった。
「衛は俺の部屋に無断で入って、しかも汚したんだ。そんな事する妹は許せないな」
そう言って読みかけの本を手に取り、また読み始める。
「・・・・・・・・・」
衛はしゃべる事も出来なかった。そこに兄からの追い討ちがあった。
「早く出てってくれない?」
「そ・・んな、ごめんなさい、ごめんなさい・・・」
うつむきながら謝りつづける衛、しかし兄はそんな衛をそっちのけで本を読みつづけている。
「ごめんなさい・・・ごめんな・・エック・・・さい・・・」
両目からボロボロと大粒の涙が零れ落ちる。その涙を手で何度も拭うが、涙は留まる事を知らない。
「ごめんなさい、エッ・・・あにぃ・・・何でもするから許して・・・」
大好きな兄からの拒絶、それは衛の心にとてつもないダメージを与えていた。すると兄が衛の言葉に反応した。
「何でも?いま何でもって言ったよな?そっか♪何でも言う事を聞いてくれるのかぁ」
さっきまでの兄とは違い、いきなり明るい感じになる。しかし衛は兄の変化に気づかずに、まだ泣いている。入り口にたたずんでいる衛にゆっくりと近寄ると、頭をなでながらこう言った。
「衛、じゃあ頼みがあるんだ・・・もう泣かないで」
その言葉に反応して、衛は泣くのを止めようとする。だけど、一度泣き始めると、そう簡単には止まらなかった。衛の目からはまだ雫が流れている。
いつまで経っても無き止まない衛に、兄はおでこにチュっとキスをして、お姫さまだっこで衛を抱きかかえると、ベッドにそっと降ろした。何度も頭をなでて、衛の目をジッと見ながら言った。
「俺は、いつでも笑っている衛のほうが好きだなぁ・・・」
兄の、好きと言う言葉を聞くと、ようやく泣くのを止める事が出来た。すると兄は足と足の間に衛を座らせて、後ろから抱え込むように抱きつき、耳元で囁いた。
「今日、俺の部屋で何してたの?いけないことだよね?なんで?」
「えっと、最近あにぃ、部活ばっかりでボクと遊んでくれないんだもん・・・何だか寂しくなっちゃって・・・それで・・・」
「へぇ、衛は寂しいとえっちなことしちゃうんだ?」
「それはっ・・・」
「じゃあお願いしていい?今日俺の部屋でやった事、もう一度ここでしてみせてよ」
「えっ、そんな・・・」
いきなりの兄の言葉に、衛はおどろきを隠せない。
「そんなのヤダよ・・・」
「俺の言う事なんでも聞くんだろ?まぁ嫌ならいいけど、じゃあさっさと部屋を出ていってよ」
「・・・っ!!うぅぅ・・・わかったよ」
そう言うと、昼にしたように指で自分の秘所に触れる、大好きな兄の目の前で・・・その事実が衛の体を熱くさせる。
「んっ・・・・はぁ・・・あっくぅ・・・」
自分の責めに激しく反応する衛、兄は後ろでその反応を楽しんでいた。
「くぁ・・・・・ん・・・んぁ・・・・・あにっ、ボクもうイっちゃう・・・」
「ダメだよイっちゃ」
そんな事をいいながら、うしろから衛の服を捲り上げて、既にビンビンになっている乳首を軽く刺激した。
「うわぁっ・・・ダメあにぃ・・・・そんなの・・・」
「手を休めちゃダメだよ。ほら、しっかり昼にしていたようにしてみせて」
敏感な部分への刺激で指の動きが止まってしまった衛に、兄は手を休めないようにと指示する。しかし兄の乳首への刺激は激しくなる一方で、そのたび衛の指の動きは止まってしまった。
「ふふふ、もうイキそう?」
「う、ん・・・ボクもうおかしくなっちゃいそう・・・」
「しかたないな、じゃあイっていいよ」
そう言って衛への刺激をさらに強める。それと一緒に衛も自分の指のスピードを早めて、一気に絶頂へと達した。
「あ、あ・・・ふぁぁぁぁぁぁぁぁんんっっ・・・・・」
ビクビクと何度も体を痙攣させてイっていた。痙攣がひとしきり治まると、余韻に浸っていた衛に兄は既にカチカチになった自分のモノをおもむろに取り出し言った。
「衛ぅ・・・そろそろ俺限界だわ・・・入れていい?」
虚ろな目になりベッドにうつ伏せになっていた衛は、その言葉に反応してガバッと起き上がった。
「いいの?あにぃボクなんかで・・・」
「ばか、俺は衛とだからしたいんだよ」
「えっ・・・そ、それって」
「あぁ大好きだよ。衛・・・・・だから・・・さ?」
「うん、いいよ。ボクもあにぃの事大好きだから・・・・・でも・・・」
「でも・・・?なんだ?」
「でも、初めてだから・・・やさしくしてよね」
あまりにも可愛い衛の反応に、俺は包み込むようにギュッと抱きしめて、何度もディープなキスを交し、仰向けに寝かせた。
(じゃあいくぞ)
(うん)
声は無いが、お互いの目で会話をし、最後にもう一度キスをして、自分のモノを衛にあてがい、ゆっくりと挿入を始めた。顔をしかめながら苦痛に耐える衛、そんな衛の表情を見て兄は、
「痛かったらやめるぞっ」
と言ったが、衛の返事は
「だい、じょぶ・・・だから続けて・・・・・・・・・ッ・・・・」
半分くらいまで入れたところで衛から声にならない叫びが聞こえた。その時は兄の方にも何かをプッと破る感覚がしていたが、そのまま止めることなく奥の奥まで挿入を続けた。
「・・・衛・・・全部入ったぞ」
「うん、ボクの中、あにぃのでいっぱいだよ」
「動いていい?」
「いいよ」
そう言われてゆっくりと動き始める。
「んぁ・・・すごいあにぃの・・・きもちいい・・・」
「衛のもマジですっげぇイイッ」
初めは遠慮しがちだったが、衛が感じているので、徐々にスピードを上げていった・・・が、衛は先程イッたばかりだったので、スグに絶頂に達しようとしていた。
「あにぃ・・・ボク、もう」
「まてっ、俺ももう少しだから」
さらにスピードアップし、何度も何度も衛の中に出し入れする。
「だめ、我慢できないっっ・・・うぁぁっっ」
ギューーッと中が締まったと思うと、遅れて兄もその痙攣に乗じて達した。
「ごめんなさい、先にイっちゃって・・・」
「何いってんだよ。そんな事気にするなって」
二人は、事が終わったあとのベッドの上で、お互い裸のまま寝ている。
「ねぇあにぃ?今日の事ゆるしてくれる?」
「・・・・そうだな、また今度やらせてくれたら許す」
「うーーそんな事言うあにぃはこうだっ!」
チュ
兄の頬に口付けをしてベッドに潜り込む衛、そんな衛を捕まえて最後にもう一度キスをしてから、抱きしめ深い眠りについていった。
その頃隣りの家では、ようやく帰ってきた千影が、渡す薬を間違えたと気付き頭を悩ませていた。
「・・・・まぁ・・・・いいか・・・」