妹が熱を出した。
両親共に仕事。夏期休暇で家にいる俺に看病が回ってくるのは、当然といえば当然だ。
だが俺にだって、休みで暇してるって言ってもそれなりに予定がある。はっきり言って俺は不機嫌だった。
俺のすぐ横のふとんで祥子が額に水で冷やしたタオルを乗せて眠っている。だいぶ熱も下がってきたのか、寝息は静かなものだ。
考えてみれば、この春に祥子が中学に入ってから、まだまだガキのくせに色気づいたか、部屋に入ることも中を見ることもなかった。
いい機会だからちょっと妹の部屋を物色してみようか。そんな悪戯心が湧いてきて、俺は机とその横の本棚に目を移した。さすがにいきなり洋服ダンスを漁るような大胆な真似はためらいがある。
本棚に並んでいるのは数冊のハードカバーに少女小説や少女漫画の類。こんなところは昔とほとんど変わっていない。机の引き出しの奥にでも何か隠してないかと思ったが、せいぜいがちょっと悪い小テストの答案くらいで、これはと思うような物はみつからなかった。
次に目をつけたのは、押入れの奥。頭半分突っ込んで探してみると、布製のブックカバーがつけられた数冊の本が出てきた。
わざわざこんなところに隠すように置いてある本だ。どんなものかと思いブックカバーを外して中を確かめる。それは、カバーがなくなったのか剥き出しになった、本棚にあったのと同じような少女小説だった。
俺は正直がっかりしたが、それにどこか違和感を感じた。もう一度本棚に並べられた本を見て、俺はその違和感の正体に気づいた。
試しに、本棚から一冊を取り出して、中を開いてみる。
……なるほど。そういうことか。
俺は顔がにやけてくるのを止められなかった。
祥子は急に肌寒さを感じて目を覚ました。
それもそのはず、いつの間にか掛けぶとんがめくられていた。さらには彼女のパジャマのボタンも外され、まだ膨らみかけたばかりの胸がその隙間から覗いていた。
そこに今にも覆い被さろうとしていたのは、祥子の実の兄、征四郎だった。
「ちょっ……お兄ちゃん、何やって……」
「なにって……決まってるじゃないか。寝汗を随分かいてるから、俺が親切に拭いてあげようってわけさ」
慌てて半身を起こしかけた祥子をそう言って押しとどめた兄の手には、たしかに大きなタオルが握られていたが、その目は異常な光を帯びていた。
本能的に危険を感じた祥子がそれを拒もうとしたが、逆に兄の手で押さえつけられ、持っていたタオルで両手と机の脚を頭の上で纏めて括られてしまった。さらに征四郎は、祥子が身を起こしかけた際に額からずり落ちたタオルを祥子の口に素早く押し込む。
「んむ、んー……!」
「おとなしくしてろ。すぐに汗を拭いてやるから。」
まともに声も出せなくなった妹に覆い被さり、体重で足も封じると、征四郎は妹のパジャマの前をさらに大きく開いて、露わになった少女のうっすら汗ばんだ肌にそっと唇を寄せた。
ぴちゃっ、ぺちゃっ……
まるで汗や垢を拭おうとするように、執拗に妹の肌に舌を滑らせる。
「こうして俺の舌で、……体の隅々まで、な」
一旦顔を上げてそう言うと、妹は舌のぬらついた感触に、嫌悪感で身を震わせている。
うっすらと涙さえ浮かべたその顔を見て、征四郎は口の端を歪めていやらしい笑みで答え、再び妹の肌に舌を這わせていく。
今度は臍の周りで円を描くように動かし、徐々にその輪を狭めていく。
中心に辿り着くと、ちろちろとくすぐるように臍に舌を走らせる。
祥子の体は次第に嫌悪感から奇妙なくすぐったさへと変わっていき、身悶えが激しくなって顔もうっすら紅く染まっていった。
妹のそんな反応を舌を這わせたまま目だけで確認すると、征四郎の舌は臍から体の中心線に沿って舐め上がっていく。
胸の小さな谷間に到達すると、再び円運動を開始し、まずは右のなだらかな斜面を征服にかかった。
その小さな頂は、いつしか祥子自身も気づかぬうちに尖りだしていた。
「!」
そこに征四郎の舌が触れた瞬間、祥子の体はビクリと跳ね上がった。
それは、同時に反対側の乳房を優しく包み込むように兄の掌があてがわれたためでもあった。
いやらしい動きを続ける舌とはうってかわって、その手の動きはまだ未熟な固い乳房を慈しむようなものだった。
唇が右の乳房に吸い付き、口中で乳首を舌で転がすようにして弄ばれる一方、左の乳房はあくまで優しい愛撫を受け続ける。
「んっ……んぐっ!」
呼気が熱くなり、段々と息が苦しくなってきたそのとき、不意に口を塞いでいたタオルが取り除かれた。
「ぷはあっ!」
やっと楽に息ができるようになったと思ったのもつかの間、
「むぐぅっ」
再び今度は兄の唇が重ねられた。同時に舌も入れられ、苦しさに喘ぐ舌を絡め取られる。
舌や口内粘膜、歯茎の裏と思うまま口内を蹂躙され、熱と酸欠で頭が次第にボーっとしてくる。
ようやく征四郎の舌が離れると、兄と妹の唇の間に、細くきらめく唾液の橋が長く糸のように繋がった。
「はぁっ、はぁっ、はぁっ……」
お互い息はすっかり荒くなり、身体が上気していた。
「……大丈夫か? 随分身体が熱くなってるみたいだが。また熱が上がってるんじゃないか?」
至近距離で見つめあったまま、まるでつい今までのことがなかったかのように征四郎は妹に優しく言葉をかけた。
だがそれも一瞬のことで、瞳には相変わらず欲望の光が宿っていた。
「……熱があるなら、注射して熱を下げてやらないとな」
パジャマ越しに熱く硬いものが股間に押し当てられているのを感じて、祥子は一瞬で熱さが引いた気がした。
「そ、それだけは許して……お母さんたちにも何にも言わないから」
哀願するように言ったが、征四郎は全く心を動かされる様子を見せず、祥子のパジャマの下に手をかけた。
ズルッ
「いやーっ!」
下着もろともパジャマを膝の辺りまで引き下ろされ、祥子はたまらず悲鳴を上げた。
なんとか兄から逃れようと必死にもがくが、両手を頭の上で縛られている上、膝のところで引っかかっているパジャマが邪魔となって、すぐに征四郎に押さえられてしまった。
最も人の目には触れさせたくない部分。まだほとんど毛の生えていないそこを兄の目が凝視している。
これは現実じゃない、熱にうなされた自分が見ている夢だと、できればそう思いたかった。
しかし、女の一番大切な部分に伸びてくる指の感触が、これが悲しい現実だと伝えていた。
興奮して余裕がなくなっているのか、胸を触ったときより随分乱暴な感じで触れてくる。
「いっ……!」
多少は汗や何やで湿ってはいるが、濡れているとは到底言えないそこにいきなり指を挿入され、痛みの声が漏れる。
まだ第一関節も入りきっていない時点でのその声に、さすがの征四郎も躊躇して動きを止めた。
「お、お願いだから……それだけは……」
涙声で懇願する妹の声と、今自分で確認した秘所の幼さとを考え、征四郎はしばし悩んだ。
今更後戻りはできないし、する気もないが、かといって妹の体に深刻なダメージを残すのは本意ではない。それ以前に、その場合否応なく両親に事態が発覚することにもなりかねなかった。
「……よし、今日のところは飲み薬で勘弁してやろう」
最悪の事態だけはさけることができたようだが、突然のその言葉の意味はよくわからなかった。
しかし、それは征四郎の次の行動で、嫌でも理解することができた。
「……ほら」
征四郎はとうとう下も脱ぐと、剥き出しの屹立した一物を祥子の眼前に突きつけた。
こんな間近で男の物を見るのは、当然ながら祥子は初めてだった。想像していた物よりもグロテスクで、ツンと鼻を刺すような異臭も放っていた。思わず顔をそむけようとしたが、すぐに頭を掴まれ再び正視させられる。
「早くしろよ。せっかく俺が舐めるだけで許してやるって言ってるのに、また気が変わっても知らないぞ」
そう言って征四郎は妹を促す。
下の口に突き刺すのを勘弁してやる代わりに、上の口で愛撫しろと言っているのだ。
実際に兄の一物を目にして、正直それも恐ろしかったが、下手に機嫌を損ねれば今度こそ無理矢理犯されるかも知れず、おそるおそる祥子は兄の一物に顔を寄せていった。
舌を半分ほど出して、ちろりと一瞬だけ舐めた瞬間、慌てて祥子は舌を離した。
……しょっぱい。
初めて味わう男の物の味に戸惑わざるを得なかったが、やがて覚悟を決めると再び征四郎の物に顔を近づけていった。
ぺろっ……ぺろっ……
ゆっくりとだが、今度は確実に亀頭の部分を舐め上げていく。
「うっ……」
征四郎は初めての快感で小さく体を震わせた。過去に一度彼女がいたことはあるが、そのときはキス以上に進む前に別れてしまい、他人の手で性器に愛撫を受けるのは彼にとっても初めての体験だった。
「つ、次は咥えるんだ。早くしろっ」
上ずった声で指示を出すと、祥子はためらいながらも口を開いて亀頭の部分だけを含んだ。
「うぅっ」
慣れていない征四郎は、危うくその刺激だけでイってしまいそうになった。かろうじて自制したが、
「ふひは、ほうひははひいほ?」
祥子が征四郎を口に含んだまま『次はどうしたらいいの?』と問おうとした舌の動きに耐え切れず、限界を迎えた。
ドクッドクッ……
亀頭だけを祥子の口に入れたまま何度も跳ねて射精する。
突然口内で出された祥子は、一部をまともに喉に入れてしまい、激しくむせて亀頭と残った汁を吐き出した。
征四郎の方もかなり動転していた。いきなり、しかもあまりに早く出してしまったことに妙な恥ずかしさ、バツの悪さを感じて、後始末もそこそこにトランクスとズボンをはくと、
「い、いいか。誰にもこのこと言うんじゃないぞ。それから、ちゃんと自分で始末しとけよ!」
まだむせ続ける祥子に一方的にそう告げ、床に脱ぎ捨てていたシャツを掴んで逃げるように妹の部屋を出て行った。
後に残ったのは、唇とそこから流れた雫で薄い胸を白く汚してまだむせ続ける少女だけだった。