悲しき献身あうあう様

(第二話・罠に落ちた少女)

 

かっては背筋を伸ばし凛とした姿で街を颯爽と歩いていた春歌は、今は肩を落とし俯きながら家路を歩いていた。両親の遺産は莫大という訳ではなかったが、事故による生命保険も有り、二人が普通の生活をしていく分には十分なものが有った。

しかし多額の治療費のかかる入院生活が長く続くと、両親の残した蓄えは急激に目減りしていき、このまま治療費を払い続けることが、学費その他の生活費との関係で不可能になってきた2ヶ月前、春歌はその事を主治医である院長に相談したのであった。

それがその後、どういう結果を引き起こすかなどと、その時の春歌は知る由もなかった。

 

2ヶ月前に春歌に相談が有りますと言われて、この病院の院長である大久保と言う男は春歌と二人きりで話す機会が出来たことを喜んだ。春歌が男にとって、まさに理想の少女であったからだ。

10代の少女に目がない性癖を持つ大久保は、しばしば援助交際の少女達を金に飽かせて抱くことにより、その欲求を晴らしていたのだが、援助交際をするような少女達と言えば、所詮はスレた不良少女達ばかりであり、自分が青春時代に憧れた、清楚でかつ健気な雰囲気を漂わせる大和撫子の少女を抱くことなど、望むべくも無かったのである。


春歌の兄の診察の為に病室を訪れたときに、ベッドの脇で健気に兄に付き添う春歌を初めて見た時に、大久保は暫くの間その場に立ちすくんでしまった。

今では珍しい着物を着た少女。そして長く艶の有る髪を後ろにまとめたポニーテールに、凛とした雰囲気をたたえた瞳、白い肌と美しいうなじ。そしてなにより少女から女になる途中の春歌の清楚さと色気を漂わせた美貌に、釘付けとなってしまった。

そして会話を交わすと春歌の、大和撫子的な容姿を裏切らない今時の少女達とは雲泥の差の、丁寧かつ品のある言葉遣いが、大久保をすっかり春歌の虜にしてしまった。

また春歌が制服姿で病院を訪れた時には、ミニスカートから覗く、程よく肉が付きそれでいた引き締まった脚のラインと、着物の時には分からなかった豊かに盛り上がった制服の胸元を、視姦するように見つめたものだった。

そして、その時から大久保はいつか春歌という少女を、自分の性欲を満たす道具にするチャンスが来る事を心待ちにし、虎視眈々と蜘蛛が網を張るように狙っていたのであった。そして今、その網に春歌という蝶がフラフラと近づいて来たのである。相談の内容は兄の治療費の話であるだろうことは、最初から予測できていた。そして大久保は、その問題を解決する見返りとして春歌の身体を、兄が回復し退院するまでの間は自分の愛人となることを要求したのだった。


春歌は最初は当然のごとく拒否した。そして医者という聖職に有りながら、そんな事を要求する相手を罵倒し、そんな医者のいる病院に兄は任せられないので転院すると言い出した。

しかし他の病院に行っても兄の治療費の問題は解決しないこと。そしてこの近辺の病院で兄の病気に対する治療環境が最も整っているのは、この病院であることを大久保は春歌に突き付けて、春歌に選択を迫った。

そして、春歌が最終的には自分の身体の事より、兄の身体を優先するであろう事をすっかり見抜いていた大久保は、ついに春歌に治療費の大幅な減額と、兄に万全の治療体制を提供する事と引換えに、その卑劣な要求を納得させる事に成功したのである。


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その翌日、大久保に身体を提供することを承諾してしまった春歌は、制服姿で指定された駅前の待ち合わせ場所に向っていた

「兄君さま以外に身体を・・・操を捧げることになるなんて・・・。でも・・・」

確かに春歌は兄以外の男に身体を許す気は無いと考えていた。しかしその一方で自分がどんな事になろうとも、自分は兄を守るとの決意も昔から固めていた。その兄が死んでしまったらば、いくら操を守っていても意味がない。自分の身体を汚すことで兄の命が助かる、十分な治療を受けさせることが出来るのならば、自分の身はどうなろうとも構わないと、春歌は大久保の卑劣な提案をのんだのだった・・・。

「あんな卑劣な男と身体を合わせるなんて、ワタクシ・・・。でも、そうしないと兄君さまは・・・」

「そう、これも全て・・・兄君さまの病気を治す為なのです。その為ならばワタクシは・・・」

待ち合わせ場所で改めてそう決意したとき、春歌の前に一台のシルバーのセダンが止まった。

「お待たせ、春歌ちゃん。さあ隣に乗って」

大久保に言われるままに春歌は、助手席のドアを開け車内に滑り込んだ。そして発進した車は高速インター近くのラブホ街に入り、その中の一件の駐車場に春歌達を乗せた車は入っていった。

そしてエンジンが止まると同時に、駐車場の入口のシャッターが自動的に閉まった。

春歌にはそのシャッターの閉まる音が、自分が今迄の世界から隔絶される音に聞こえた・・・。

 

(続く)

 




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