攻殻○動隊 アンドロイドは×××の夢を見るのか?


その1

 

 

ほとんど人気の絶えた深夜の9課のオフィスに、バトーがひょっこりと顔

を出す。

「おっ… やっぱりまだ居やがったな。おい、トグサ、ちょっと付き合え

 よ」

大男の呼び掛けに、元刑事だった新入りは書類仕事の手を休める。

「なんだい、旦那? 」

「いいから、来いよ。来ないと後悔するぜ」

不意に顔を出したバトーの後に続き、彼はエレベーターに乗り込む。笑い

男事件の捜査は完全に行き詰まり、その上に捜査本部内をスパイする様な

インターセプターの不正使用疑惑まで持ち上がった事から、警察の内部の

暗闘すら感じ取れる状況が続いている。

荒事よりも捜査での手腕を買われて9課へ引き抜かれた真面目な元刑事は

、この日も深夜に及ぶまで事件調査の糸口を求めてオフィスに隠っていた

「しかし、お前も真面目だな。そんなに一人で根を詰める事もあるまいに」

義眼を光らせてバトーが揶揄する。

「まあね。でも、俺はその為に9課に呼ばれたわけだからな」

3、5インチバレルのセブロ・スナブで22ヤード離れた標的に対して、

3秒間で12発をピンヘッドで打ち抜く腕前を誇る大男に対して、特Aに

満たない技量の元刑事は苦笑いを浮かべる。

バトーに限らず、9課の誰と比較してもトグサの実戦能力は目劣りしてい

るだろう。そんな自分をこの不正規部隊へ引き抜いた草薙の思惑を十分に

承知しているから、元刑事は己の欠点を潰す努力よりも、長所を生かして

貢献する道を選び捜査に打ち込んで来た。

「地下って? 倉庫に何の用事なんだい? なあ、旦那? 」

「いいから黙って付き合えよ。ほら、こっちだ」

普段はめったに降りる事も無い地下3階のフロアは、深夜でなくても人の

気配は感じられぬ倉庫だった。バトーは迷う事なく、廊下の一番突き当た

りの部屋を目指す。ドアをあけると照明が自動的に点灯されて、室内の様

子が明らかに成った。

「えっ? なんで、こんな所にタチコマが? しかも、たった1機で? 」

鮮やかな青に塗られた小型の思考戦車が室内に鎮座している光景に、トグ

サは驚き思わず呟いた。現在は非常呼集も掛かっておらず、9課は通常任

務中であり、この頼もしい万能型の思考戦車も、それぞれの格納庫に納ま

り記録の並列化が行われているはずだ。そのタチコマが1機だけこうして

離れて、この地下室に控えているのは、どう考えても妙だった。

「へへ… 驚いたか? こいつは俺の愛機でな。天然オイルを入れてやる

 のと引き換えに、秘密の任務を引き受けてもらっているんだよ」

「秘密って? こんな場所でかい? 」

9課のオフィスが入っているビルの地下3階の倉庫の中で、いったいどん

な任務が遂行出来るのか? と、トグサは増々困惑を深める。

「あれ? バトーさん、お帰りなさ〜い。でも、良いんですか? トグサ

  くんを連れて来ても? マズイでしょう? 」

甲高い合成音の声を張り上げて、タチコマが身じろぎする。

「まずい… って? 何が不味いんだ、タチコマ? 」

反射的に良からぬ雰囲気を感じ取ったトグサが、優秀なAIを搭載した万

能思考戦車を問いつめる。

「えっ? あっ… えっと… それは… あの、その… ねえ、バトーさ

 ん」

タチコマは返答に詰まって、優先責任者である大男に話を振る。

「いいんだよ。それよりも、中の具合はどうなんだ? 出してみせてくれ」

バトーは当惑する小型の思考戦車に助け舟を出した。

「はい、バトーさんが、そうおっしゃるなら」

まるで安堵したかの様に機体を微かに震わせたタチコマは、後部に設置さ

れているコクピットのハッチを開く。

「こっ… これは、まさか… 少佐! 」

狭いコクピットの中には、彼等の指揮官である草薙素子が全裸で屈み込み

、白目を剥いて悶絶している。トグサは、衝撃的な光景に驚き身動きひと

つ出来ないでいた。

「どうだ? 似ているだろう少佐に。阪華精機のトリムアンデの最新型だ

 ぜ。この間のゴーストダビング事件で押収された違法セクサロイドの中

 に混じっていた機体をひとつ借用して加工したのさ」

「なんだ、アンドロイドなのか… しかし、これは、ソックリだな。よく

 も、まあ、ここまで似せたものだよ」

意識を失っている少佐擬きの顔を覗き込みながら、トグサは安堵の溜息を

漏らす。

「あたりまえだろう。もしも少佐本人に、こんな真似をしたら、首根っこ

 を引っこ抜かれて、ドブに捨てられちまうさ。何しろ股間にはキングサ

 イズのバイブレーターをぶち込んで、タチコマの中に拘束しているんだ

 からな」

コクピットの中に気絶したままで全裸で蹲る素子の背中を軽く叩いてバト

ーが笑みを浮かべる。彼の言い分はもっともだ、世界屈指の擬体使いにし

て恐るべき戦闘能力の持ち主である9課の前線指揮官に対して、こんな狼

藉を行える者は何処にもいないだろう。

「おい、タチコマ。この10時間の彼女の状況を説明しろ」

「はい、バトーさん。『少佐』は10時間12分46秒前に、バトーさん

 に媚薬ソフトを強制インストールされた上に、性器に直径15センチ、

 全長28センチのセラノ社製のP1029型バイオ・バイブレーターを

 出力全開で挿入されました。その結果、挿入後26秒後に、まず最初の

 オーガスムス波形の脳波を観測、続いて1分45秒後に、2度目が確認。

 現在までに累計で227回の絶頂を体験しています。オーガスムスの5

 4度目以降には断続的な失禁と意識の混濁、さらに、制御不能な痙攣を

 繰り返して来ました。180回目を超えた辺りで反応が鈍化して、一度

 完全な失神状態に陥りましたから、カンフル剤と一緒に、とびっきり強

 力な電脳媚薬をインストールしてあげたんですよ」

妙に明るいタチコマの声で語られた内容は、驚く程に残酷な代物だった。

電脳キーでAIを支配された少佐を模したセクサロイドは、この10時間

余りの間に、狭い思考戦車のコクピットに押し込められて、股間で荒れ狂

う巨大なバイブに翻弄され続けて来たのだ。

「基本AI保護法に明らかに違反しているぜ、旦那」

偽物とは分かっているが、外観が素子そのものであるセクサロイドを目の

前にして、トグサの軽口も上擦る。

「ハハハ… なに、心配はいらねえよ。もしもシステムクラッシュしても

 、AIのソフトは何度でも上書き可能だしな。それじゃなくても、こん

 なお遊びがバレたら少佐に絞め殺されるじゃないか。明日の朝にはきれ

 いサッパリと消去して、押収しておいた元からの通常のソフトをぶち込

 むさ」

ゴーストを持たない御人形を前に、バトーは大きな笑い声を上げた。

 

 

 


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