その20

 

 

 

 

こうして口づけを交わしているだけでも、腕の中の狐娘に生気が蘇ってくるの

が分かる。あの老人の言葉では無いが、おそらく卓也の一族の発する精は、一

般人のそれと比べて桁外れのエネルギーに満ち溢れているのであろう。

弱り切っていたはずの少女の頬に赤身が戻り、彼にしがみつく手にも力が込め

られてくると、若者は己の欲情を感じないわけには行かない。女性経験の少な

い卓也は相手が物怪ではあるが、見た目は少女としか思えない狐娘とのディー

プキスに溺れて痺れている。

最初こそ、恐る恐るといった風情で舌を絡めていた若者であったが、慣れてく

ると大胆に成り、互いに貪り合う様な濃密なキスをくり返す。やがて、恋人の

様に甘い口づけを交わしながらも、少女の手が彼の股間に伸びて来る。ズボン

の上から、すでに勃起している肉棒を摩られて、卓也はそれだけで漏らしをう

に成る自分の未熟さを恥じている。

「ねえ、脱いで… 」

目もとをほんのりと赤く染めた少女の台詞に有頂天に成った卓也は、もう自分

は対妖魔戦闘部隊の一員である事も忘れて、急いで着衣を脱いで行く。彼の所

属する『紅』は、現在も総力を上げて、九尾の狐を追い掛けているだろう。

その捕捉目標を前にして、卓也は任務を無視する暴挙に及ぼうとしているのだ

。あの謎の老人の言葉通りに、傷付いた妖狐の首を狩るのが、『紅』のメンバ

ーとしては正しい道であるのは百も承知している。

だが、長きに渡って、ひとの都合で封印されて来た彼女をむざむざ見殺しにす

る事は、卓也にはどうしても出来なかった。頭に血が昇っているから、ズボン

を脱ぐのに手間取りはしたが、若者は精一杯に手早く着衣を脱ぎ捨てる。勇ん

で事に及ぼうとする若者の股間は、すでに臨戦体制を整えていたので、少女は

微笑みを浮かべたままでいきなり顔を寄せて行く。閨事には慣れぬ卓也の驚き

をよそに、彼女は何の躊躇いも無く雄根を口に含んでしまった。

(くふぅ… あったかい… )

少女に見えた希代の大妖怪のテクニックは絶妙なので、卓也は不様に噴かぬ為

に両足を踏ん張り、ぐっと下っ腹に力を込める。そんな若者の努力を嘲笑う様

に、亀頭を舌先でチョロチョロと舐めながら、垂れ下がる皺袋にまで手を延ば

した少女は、ゆるゆると陰嚢を揉みしだいている。

正直に言えば、里の年増女を相手に童貞を捨てたばかりの卓也であるから、見

目麗しい少女のフェラ姿を見せられて、もう気分は早くも盛り上がり、射精感

が狂った様に下腹の辺りで暴れている。だが、こんなにも気持ちの良い行為を

、少しでも長引かせて味わいたい欲求もあるので、彼は相反する二つの欲望の

狭間で混乱を深めて行く。

「ぐぅ… ちょっと、待ってくれ、そんなにされたら… ふわぁぁぁ… 」

情けない話だが、まだくわえられて間もないのに、もう卓也は押し寄せる快感

との戦いを強いられている。あまり早くに噴いてしまって彼女に侮られる事を

恐れて、懸命に歯を食いしばってみてはいるが、生まれて初めて味わうフェラ

チオの前には、陥落が近い事を思い知らされていた。

「あっ… くぅぅ… 」

懸命に快美の波動を堪えていた防波堤を易々と破壊する大きな愉悦の津波が押

し寄せた瞬間に、もう卓也の我慢はあっさりと限界を迎えてしまった。腰を刺

す様な快感と共に、ついに若い牡の精がドクドクと脈打ちながら精通管を通過

して溢れ噴き出した。

(ふわぁぁぁぁぁぁぁぁぁ… )

かろうじて情けない声を漏らすのは堪えた卓也だが、余りの心地良さに目眩を

感じて、しばし呆然と佇む始末だ。その間にも少女は手慣れた様子で頬を窄め

て、一滴も残すところなく若者の精を飲み干して行く。ここまでは完全に彼女

のペースであったのだが、相手が新宮の一族であった事は、狐娘にとって大き

な誤算と成る。咽を駆け降りる若者の精が、彼女に思いも寄らぬ影響を齎した

のだ。

「ありゃ? ありゃりゃ〜 うふ… うひゃう〜〜〜〜 」

最後のひと雫まで惜しむ様に卓也の精液を飲み干した少女は、何故か躯をぐら

ぐらと揺らして、なんとも奇妙な笑みを浮かべている。射精の快感を噛み締め

ていた若者であるが、さすがに彼女の様子がヘンな事に気付いて訝し気な顔を

見せる。

「おい… どうしたんだ? なあ、おい… おいってば! 」

「うにゃぁぁぁぁぁぁ〜 うにゃにゃにゃ〜〜〜〜 ああ、キモチいい… 」

人と魔の境界線にある新宮の一族の中でも、特に霊感等の素養がまったく無い

変わり者で

ある卓也の精を飲み干した狐娘は、どうしてなのかは分からないが、まるで強

い酒に酔っぱらった様に、いや、それよりもマタタビの原木を与えられた猫の

ように尋常では無い乱れ姿を曝している。

「にゃにゃにゃ… って、猫じゃないんだから。どうしちまったんだよ? な

 あ? 」

「うにゃ? あふぅ… 美味しいの、すごく美味しいし、気持ちが良いの…

 ねえ、抱いて、ギュっとして、あはははははははは… 」

妖しい魅力に溢れた少女は、九つに別れた尾をパタパタと振りながら、いきな

り卓也に飛びついて来る。リクエストに応えてしっかりと抱きとめてやれば、

若者の精に酔った狐娘は彼の下腹に手を延ばし、射精を終えたものの勢いを失

う事も無い肉棒を捕まえて、ゆるゆるとしごいて来る。

「ねえ、これ、ちょうだい… はやくぅぅ… うにゃ〜 」

「うにゃ〜 って、お前、猫かよ? 本当に大妖怪なのか? まったく… 」

憎まれ口を叩いてみるものの、若さ溢れる卓也の肉棒は浅ましい事に一向に衰

える気配は見せない。再び彼女に主導権を握られそうに成ったものだから、若

者は慌てて自分からも仕掛けて行く。負けじと少女の股間に手を延ばして見れ

ば、秘裂から溢れ出した愛液は太ももの内側をべっしょりと濡らしている。

そのまま指を進めて行き、肉の割れ目を探り当てれば、少女はビクっと裸身を

震わせて増々しっかりと彼にしがみついて来る。多少は窮屈な姿勢だが、それ

でも劣情の昂りが上回り、若者はなんとか少女の濡れた女陰に肉棒を埋めて行

く。難しい角度なのに、溢れた愛液の滑りの力を借りて亀頭はヌルっと蜜壷に

もぐり込む。

「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ… 」

もう恥じらいも何も無い狐娘の嬌声が、森の中に木霊する。これまでは術中に

陥れた男等を手玉に取り、散々に精を搾り取って来た彼女なのに、何故か卓也

との性交では最初から調子が狂いっぱなしだ。欲情を露にする少女の中に、彼

は迷う事もなくズブズブと肉棒を押し込んで行く。

すると、まるで待ちかねていたと言わんばかりに、少女の淫肉は妖しく蠢き彼

の精を絞り出そうとする。その心地よい蠢動に曝されて、卓也はすぐに動き出

す事が出来なかった。

直前にフェラチオで一度迸しっているにも関わらず、あまりの気持ち良さに、

彼はまた急な快楽の階段を一段飛ばしで駆け上がってしまいそうなのだ。余り

にも早く噴いては格好がつかないから、彼は己を落ち着かせる為にも、いきな

り動き出す様な無謀な真似は慎み、根元までしっかりと雄根を沈めたままで、

彼女の蜜壷の中の温もりや艶かしい蠢動を味わっている。

 

 

 

 

 


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